「提督ー。そろそろ起きてくださーい」
そんな声が遠くから聞こえてきてうっすらと目を開けた。
あー……確か昨日飲兵衛達が来てしこたま飲まされて……あー……どうしたっけ?
布団……入った記憶がナッシング。いや、誰かに運んでもらったような気がしないでもない。
「あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙……頭おっも……」
「提督。おはようございます。朝ごはんは狭霧特製のおにぎりとしじみのお味噌汁を用意しました」
「ありがとう……」
「大丈夫ですか? 立てますか?」
「あぁ……うん……大丈夫大丈夫。ありがとね」
狭霧が差し伸べてくれた手を取って何とか起き上がる。口ではうわ言のように大丈夫大丈夫言ってるけど、全くもって大丈夫じゃない。
記憶が薄れていて定かじゃないんだけど結構飲んだ気がする。これが宅飲み……帰りの電車とか気にしなくていい上に酒が無尽蔵に出てくるというパラダイス。
初めてここまで泥酔してしまった……というか、こんなに一気に飲んだのに急性アルコール中毒にならなかったのは運が良かった……
狭霧特製だという塩むすびとシジミ汁が五臓六腑に染み渡る……
酒飲んだ次の日って味噌汁がやけに美味しく感じるし、体中に水分が染みる感覚が実にベネ。
あと、不安そうに味はどうかと聞いてくる狭霧が可愛いのもいい。
これなら毎日飲んだくれて介抱してもらうのもあり寄りのありなのでは? って考えちゃうわ。
「美味い。狭霧も料理出来るんだな」
「簡単な物だけです。朝食とか間食で出せるようなメニューだけは練習しておこうと思って間宮さんに習ったんです」
「そうか。狭霧は偉いな。俺なんて一人暮らししてた時はコンビニ弁当とかインスタントに冷凍のおかずばっかりだったわ。自炊……最初はやる気満々だったんだけどね」
「提督の食事風景は皆知ってますよ。だから、狭霧も含めて何人かの艦娘は提督のためにって間宮さんに料理を教えてもらってましたから。きっとこれから色んな人に料理を振舞ってもらえますよ」
「そいつは楽しみだけど……う~ん。料理してもらうだけってのも申し訳ないし俺も間宮さんに料理習おうかなぁ」
「わぁ~それはいいですね! 提督と一緒に料理するのも楽しそうです!」
顔の前で両手をそろえてにこやかに笑う狭霧がかわいいんですが。
ホントうちの艦娘はどの子も可愛くてしょうがねぇな。
でも、間宮さん俺に料理教えてくれるだろうか。昨日のあの調子だと俺に料理とか教えてくれそうにないよね。
何せあの人俺を太らせて可愛がりたいタイプの人だし……
つまり、最初に頼むのは伊良湖だな。あの子どう考えても押しに弱いでしょ。
「提督。本日の予定ですが、午前中はデイリー消化。お昼は阿賀野さん達と食事。午後から明石さんと会議。夕食は戦艦の方々と摂るといった予定ですが何か漏れなどはありますか?」
「いんや……個人的に予定入れた覚えもないしそれで大丈夫だよ。そんじゃ、ちゃきちゃき支度してデイリー済ませちまうかぁ」
「はい。あ、お味噌汁のおかわりはいりますか?」
「……頼めるかな?」
結局その後味噌汁を3杯おかわりした。だって、美味しかったんだもん……
あと、飲み終わるたびに「おかわりいりますか?」って狭霧に聞かれたら誰だっておかわりするでしょ? 俺だってしたし誰だってする。
歯磨いて顔洗って用意されてたパリッパリに糊のきいた軍装に着替える。
予定調和ではあったけど妖精さんの腹から出てきたそれはちょっとぬくたい。
とか、考えてたら次に渡された帽子は冷たかった。ちょっと霜が付いてるレベル。
てか、え、冷やせるの? これは、冷やすって言うか凍らすってレベルだけどさ……
「妖精さんの服の下はどうなんってんだ……」
「どうかしたんですか?」
「妖精さんに着替えを出してもらったんだけどさ、軍装は生ぬるかったのに帽子はキンキンに冷やされた状態で出されたんだよね。狭霧、何か知ってる?」
「う、う~ん……正直私も妖精さんの事はあまり知らないんです……すいません」
「いや、わからないならいいよ。分かりそうなのはやっぱり明石か」
自分であれこれ決めつけておいてあれだが明石なんでも知って過ぎでは?
だって、艦これで知識枠って言ったら大淀か明石だろって思うじゃん。思うよなぁ。
現に暇つぶしに読んでたりした二次創作でもそうだったな。ただ、あれとこことじゃ状況全く違うからなぁ。
ああいう作品は大体艦これの世界の話だけど、うちは現実の世界に艦娘って状況。
もしかしたら、明石ですら知識枠でない可能性よ。何せあの子も他の子と一緒でこっちの世界歴1年だしね。
そんな事を考えながら狭霧の入れてくれたお茶を啜りながらデイリーを消化していく。
単艦放置兄貴からS勝利を貰い、遠征はバケツ回収中心でイベントに備えて、出撃は適当に回数を重ねる。
ウィークリーは昨日のスパルタ大淀が一緒に編成考えながらやってくれたから凄い助かった。
あの子wikiの情報とか基本的に全部頭に入ってるか持ってたファイルにまとめてあるんだよね。
すんごいよなぁ。俺なんて普段行かない遠征とか海域とか常にwikiとかまとめサイト見ながら編成丸パクりだもの。
その点、今日の秘書艦の狭霧はそういうの全然知らなかった。
試しに「今は行かないけど、この海域ならどんな編成がいい?」って聞いてみても顎に手を当てて数秒悩んでから「詳しい編成はわからないです。すいません……でも、駆逐艦枠なら私行けます!」とふんすふんす言いながら答えてくれた。
この事から、別に艦娘は全員が全員、海域に関しての知識とか羅針盤に負けない編成を知っているわけじゃないってのが分かった。
まあ、少なくとも俺の嫁は知らないと思う。むしろ、五月雨ちゃんが編成のあれこれ知ってたら逆に凄い。
そんな感じでほのぼのデイリーを消化しているとコンコンコンと扉を叩く音が部屋に響いた。
艦これのBGM以外流れてない部屋だから扉を叩く音だけでも結構響く。結構ビビった。
んで、さらに追い打ちをかける様にこっちの返事がまだにもかかわらず勢いよくドアが思い切り開かれてビビった。
「うぇーい! 提督さんげんきー? 阿賀野は元気でーす! あ、提督さん今日のデイリー終わった?」
「……まだやってるよ。てか、びっくりするから扉を思い切り開けんな」
「ごめんごめーん! あ、狭霧ちゃんもごめんね!」
「い、いえ、大丈夫です」
「ところで、どうした? 昼……はまだもうちょいあるな」
「提督さんがお昼一緒に食べてくれるって矢矧が教えてくれたから待ちきれなくて先に来ちゃった☆」
きらりーん☆ と白い歯をこれでもかと見せつけながら満面の笑みを浮かべて入室してきた阿賀野。
その後、テーブルの上にお茶請けの饅頭があるのを見つけてソファにダイブ。
数個饅頭を食べてから「狭霧ちゃん! お茶ちょーだい!」と饅頭を食べていいかも聞かなかった上にお茶を要求するという遠慮の欠片というか常識から物凄く逸脱した暴挙の数々。
普通なら上司が居る空間でこんな素晴らしい態度はとれない。というか、上司が相手じゃなくてもしないよね。
だがしかし、阿賀野はやってのけた。自由人過ぎるよね。でも、そこが好き。提督許しちゃう。
昨日の俺が言った「お前たちは家族だ」宣言に則った正しい対応だと俺個人は思うよ。うん。
でもまあ、たぶん、ここ以外の場所でこんな事したらべらぼうに怒られると思う。
あ、いや、ここでもべらぼうに怒られるかも。
静かな空間だからこそ外の音とかも結構拾うのよね。例えば、ドシドシ歩いてくる足音とか。
「失礼します。あ、やっぱりここに居た! 阿賀野姉! 何やってるの!」
「あ、矢矧~。やっほ~。このお饅頭美味しいよ?」
「美味しいよじゃないわ! もう! 提督に対して失礼でしょ!」
「え~提督何も言ってこないし怒ってないって? ねぇ~提督」
「まあ、俺は怒らないけど、饅頭もお茶も準備したの狭霧だからな。狭霧は怒るかもしれない」
「えっ! あっ大丈夫です! お茶も提督の物を入れるついでだったので問題ありません!」
「ほらほらー」
「提督。あんまり阿賀野姉を甘やかさないでください。これ以上ぐうたらになったら戦闘で攻撃当てられなくなるなんて状態になるかもしれませんよ」
「そいつは困る。阿賀野ダメじゃないか」
「うえぇぇぇぇ~! 提督の裏切り者ぉ!」
俺は阿賀野の家族であると同時に矢矧の家族でもあるのです。だから、裏切りとかそういうんじゃないんです。
俺が艦これをカチカチと操作している横で阿賀野が床に正座させられて矢矧から説教を受けてる。
時折、阿賀野が助けてくれとパチパチまばたきしてくるけど無視。無視というか見つめ返すだけ。
それに対して阿賀野は急にポッと頬を染めて目をそらす。と、同時に矢矧に頬を押さえられて「こっちを見ろ」と怒られた。
これはもうどっちが姉なのかわからんな。
能代も割と阿賀野を甘やかすタイプの子だった気がしたし矢矧がこうなるしかなかったのだろう。
その下の酒匂も割とふわふわしてる感じの子だし矢矧結構大変なんじゃないだろうか。
「阿賀野もあんまり矢矧に迷惑かけたらだめだぞ」
「これはほら……お姉ちゃんからの妹への愛情表現ってやつ?」
「こんなめんどうな愛なら私要らないわよ」
「えぇえぇぇぇー! そんな事言わないでよ矢矧ぃ」
「あ、提督なら大歓迎だからね? どんどん私に迷惑かけてくれていいわよ」
「男前すぎて惚れそう」
「そっちも大歓迎よ」
抱き着こうとする阿賀野の顔を片手で鷲掴みしながら俺に向かってウインクしてくる矢矧。
イケメンか? おっぱいのついたイケメンか? 惚れてまうやろー!
なんか矢矧の顔の周りにキラキラエフェクト出てんだよな。少女漫画かな?
那珂ちゃん達も星出せてたし多分矢矧も出せるんだろう。艦娘の不思議ってやっちゃな。
てか、俺はギリギリ耐えたけど隣にいる狭霧はダメだったらしい。「か、かっこいい」って言ってから口半開きで動きが止まってるもん。
「……まあ、提督も色々あるでしょうし。私の練度が99になったらまたこの話しましょうか。大丈夫。悪いようにはしないわ」
「その笑顔が怖いんだけど?」
「提督の事を想っての笑顔よ。嬉しいでしょ?」
「まあ、なぁ」
「でしょ。さてと、そろそろ能代姉の準備も終わるらしいし提督はそろそろ仕事に区切りを付けてもらえるかしら?」
「わかった。悪いんだけど、狭霧はお茶の用意をしておいてもらってもいいかな?」
「わかりました。美味しいお茶を入れますね」
「じゃあ、阿賀野は提督のお手伝いしてあげる!」
「ダメよ。阿賀野姉は私と一緒に配膳の準備よ」
矢矧に襟首を掴まれて「ぐふぅ」とうめき声をあげた阿賀野が引きずられていく。
まあ、いいんだけどそんなに引っ張ったらチラチラ見えてたヘソがついに丸出しになってるしそれより上も見えそうだからね?
なんて、チラチラ見てたら妖精さんが飛んできて顔に張り付いた。結構いいスピードで突っ込んできたもんだからばちーんといい音が響いた。鼻がいてぇ……
顔から引き剥がしてどんな妖精さんが突っ込んできたのか確認すると割烹着を着たデフォルメ阿賀野だった。
確か、特別な方のおにぎりに描かれてた妖精さんだったかな。長波様と一緒のやつね。
この野郎……って思って軽く睨みつけたけど、いやんいやん体をくねらせて俺の親指に抱き着いてスリスリと頬擦りを始めてしまった。
「阿賀野?」
「阿賀野の提督への溢れんばかりの想いが形になっちゃった☆」
「溢れちゃってるわよ阿賀野姉……」
「え、妖精さんってそんな簡単にぽんぽこ生み出せるわけ?」
「そうですね。人によりますけど簡単に出せます」
「こんな感じです」と言ってから狭霧がむむむっと力を込めると俺の頭の上に妖精さんが落ちてきた。
落ちてきた妖精さんを掌に乗せて狭霧と見比べる。うーむ。かわいい。
右手に阿賀野、左手に狭霧。ハムスターより少し大きめでミ〇モサイズの妖精さん。
この子達はふよふよとそこら辺を飛んだり跳ねたりしてる妖精さん達より1~2cmぐらい大きい。
ついに俺の指をしゃぶりだした阿賀野妖精にどこから取り出したのかわからないお茶をすまし顔で飲み始める狭霧妖精。
やっぱり妖精さんは自由の象徴だな。
「す、すいません提督! こら、提督の手の上でお茶なんて飲まないで!」
「あーずるいぃー阿賀野も提督のゆ「阿賀野姉?」こ、こらー、提督の指食べたらだめでしょ?」
「矢矧は妖精さん出せないのか?」
「ごめんなさい。私は出せないわ……」
「となると、元絵がある子は出せるとかそういったルールがあるのかもしれないな」
「確か、明石と夕張もそんな事言っていたわね」
「あとで確認してみるか。で、俺も何か準備手伝おうか?」
「大丈夫よ。座って待っていて。あ、そうだ」
ふふっと不敵に笑った矢矧は俺の手の上から妖精さんを回収しようとしている二人を止めた。
「ちょうどいいわ。あなた達そのまま提督の掌の上に居てくれる?」
「えっそしたら俺動けないんだけど?」
「だからいいんじゃない」
「あ、そうですね。いいと思います!」
「だって提督って自分の事をお世話してくれる人がタイプなんでしょ? ずっとそう言ってたじゃない。だから、どんどん甘やかしていくわ」
「阿賀野の事も甘やかして欲しいなぁ?」
「はい、阿賀野姉はこれテーブルに並べて」
仕事を渡された阿賀野がぶーたれながら皿をテーブルに並べていく。
てか、そういうセリフもしっかり聞かれてたんだなぁって。俺結構PCの前でやらかしてるんだけど?
ヒモ宣言然りド変態宣言然り。でも、たぶんいっちゃんヤバいのは艦これ以外のゲームのキャラを可愛いとか美人とか叫んでた件だと思うんだ。
オタクってのは嫁が沢山居るからね。艦これ以外のゲームのキャラを好きだとよく叫んでたよ。
その点に関して怒ってたりするのかな……藪蛇になりたくないから聞かないけど怖いなぁ。
まあ、ゆうて「君たちの方が好きなんだ」って言った所で結局は200人近くに愛の告白するようなもんだからな。不誠実にもほどがあんだろと。
なんて、ろくでもないことを考えていると執務室にドアをノックした音が響いた。
「あ、来たみたいね」
「提督。こんにちは。能代特製カレー持ってきたわ」
「提督こんにちはー!」
「おう、おはよ」
なんとなく、こんにちはって言いにくいんだよね。ちわーっスだったら言いやすい。
能代が持ってきた鍋をテーブルの上に置いて、酒匂も持ってきたおひつをその横に置いた。
カレー。カレーか。まあ、嫌いな人はいないよな。俺も嫌いじゃない。ただし、おこちゃま舌の俺は辛いカレーが食えない……能代のカレーはどうなんだろうか……
「? あぁ、安心してください提督。能代のカレーは辛くありませんよ。阿賀野姉と酒匂も辛いの食べられないので辛く作らないんです」
「あ、そうなの? ならよかった。辛いのはちょっとな」
「能代お姉ちゃんのカレーはとっても美味しいから楽しみにしててね!」
「ところで提督はいつまで妖精さんを手の上に乗せてるんですか? それじゃ、カレーが食べられないのでは?」
「あぁ、あれはあれでいいのよ。あの状態なら提督にあーんしてあげられるわ」
「なるほど。それいいわね!」
「えっ」
「提督。ストロー挿しておきますね」
「さあ、提督さんはこっちよ! 阿賀野の隣ね!」
「ずるいよ阿賀野お姉ちゃん! じゃあ、酒匂はその反対!」
しれっと狭霧も俺を助けてくれないんだが? ってそういえばさっき矢矧の妖精さんそのまま案に全面同意してたな。
この空間普通に俺の味方がいないんだけど? 俺このままあーんされる運命なん?
しかしながら、ついに俺の親指に飽きて手のひらをなめ始めた阿賀野妖精とどこから取り出したのかわからない布団に包まって寝てしまった狭霧妖精のせいで俺は両手が使えないと言っても過言ではない……無理やりどかすとか可哀そうだしなぁ。
能代と矢矧に手加減してくれと目で訴えても「少ないですか?」とか「このぐらいなら一口でいけるかしら?」としか返ってこなかった。てか、もう既にあーんされた。矢矧が行動力の化身過ぎる。
「どうですか提督。美味しいですか? 辛くないですか?」
「……美味い。ビックリするぐらい美味いんだけど。辛さも問題ないぞ。……失礼な事聞くけどレトルトとかじゃないんだよな?」
「当然です。具材の種類からスパイスの種類まで全部能代が考えて作りました」
「ほぉー……今までレトルトしか食べた事なかったからカレーの大体の味を予想して食べたけどいい意味で裏切られた。いや、美味い」
「そうでしょ。能代姉のカレーはとても美味しいのよ。はい、あーん」
「ちょっと待って矢矧。さっき一口目は譲ってあげたでしょ? 次は能代にやらせて」
「でも、ちょっと考えてみてよ能代姉。このカレー作ったのは能代姉でしょ? それを提督は美味しい美味しいと食べてくれているわ。つまり、能代姉はもう既に凄く褒められているの。それで充分だと思わない?」
「はい、司令。あーん。バレると怒られちゃうからぴゃっと食べてね?」
「次は阿賀野が食べさせてあげるねー?」
「うーん……美味しい。狭霧もカレー作れるようになった方がいいかな……」
うーん。カオス。
あまりのカオスっぷりに食べさせてもらってるのが恥ずかしくないと思えてきた。
その昔、そういうのが気になるお年頃な時に調べた時はあーんは愛情表現とか書いてあったっけかな。
まあ、確かに正直言ってあーんって食べにくいしお互いに愛情がないとめんどくさいよね。
「あ、二人とも待ちなさい。次は能代だって言ったでしょ」
「そっちはそっち。こっちはこっち。縄張りが違うのでそのルールは適用されませ~ん」
「待って。それだと俺はどんだけ食べることになるんだ? 流石にそんなに多くは食べられないぞ」
「はい、提督あーん」
阿賀野に言われて反射的に口を開けてカレーを頬張る。
これはもうダメですね……でも、阿賀野にあーんって言われたら誰でも口開けるよね?
しっかし今はいいとしてこの調子で甘やかされていったら間宮さんとか鳳翔さんの理想とする体型になってしまう……
最初は長門とか武蔵に相談するよりも吹雪達に相談しようかな。
なんか二人のイメージは有酸素運動よりも無酸素運動って感じなんだよね。
そんな感じで今後に不安を抱きながらも口の中に放り込まれていくカレーを食べていく。美味い。けど、手加減してほしいなぁ……