「長門。説明をくれ」
「あぁ、提督。提督は初めて見たから驚いているかもしれないが別にこれ自体は珍しい光景じゃないんだ。アイオワが喧嘩を売って大和か武蔵が買う。殴り合いの喧嘩をするわけにはいかないから大体大食いとか飲み比べとなどだな。アイオワとしては日本最強に勝ちたいらしい」
「へー……で、今日は大和の勝ちみたいだけど普段は? 勝敗とかはどんなもんなん?」
「勝ったり負けたりのシーソーゲームらしい。まあ、勝ち負けの回数より勝って嬉しい負けて悔しいが重要らしい」
「そいつはまた仲がいいんだな。いい事じゃん」
「でも、これ要は提督がなかなかこの三人を出撃させないから色々とくすぶってるってのもあるのよ?」
「いやーんーしかしなぁ……この三人を出撃させると目に見えて資材が減るからイベント海域限定……それも最終海域で出すかどうか悩むレベルだからなぁ」
「提督。それについて提案があります。武蔵。提督をここに。大和の隣に」
持っていたジョッキをテーブルに置いてから右手でポスポスと自分の横を叩く大和。
それに応えるように武蔵は俺を抱きかかえたまま移動して座り、さも当然と俺を膝の上に乗せた。
「なぁ、武蔵」
「ダメだ。私はこうしたい。それに相棒もこの武蔵の体を堪能できるんだからいいじゃないか。それよりほら、大和が膨れてるぞ」
「提督。まずは話を。その後、大和もそれやります」
「じゃあじゃあ、お姉さんはその次ね?」
「陸奥。よさないか。武蔵もあまり提督を困らせるものではないぞ」
「長門は堅いのよ。もっと柔らかくいきましょ? 提督だってまんざらじゃないわよ。ね?」
「俺としては恥ずかしいからやめてもらいたいんだけど?」
「ふっ嫌よ嫌よも好きの内って事だな相棒。愛い奴愛い奴」
「照れなくてもいーのよ? あ、それともお姉さんに抱きしめられるよりもお姉さんを抱きしめたい? 私はどっちでも大丈夫よ?」
「提督! お話ししましょう!」
俺をがっちり抱き込んで離さない武蔵にむーむー言いながら袖を引っ張る大和。
うちの最大戦力がこうも幼児化しているというこの状況……正直ちょっと悪くないかなって。
悪くはないけど、武蔵の抱きしめはそこそこ痛いし、でかい武蔵に成人男性の俺が乗ってるもんだから太ももがテーブルに食い込んでこれまた痛い。
大和は純粋に袖が破けそうで怖いです。はい。
陸奥は可愛いよね。私色々分かってるし知ってます風ってのがいい。最高。
「長門……お前なんでこんなになるまでほっておいたんだ……」
「すまない提督。私もどこか気が緩み過ぎていたかもしれない……今後は艦隊全体の引き締めを図っていく。任せてくれ。戦艦長門の名に懸けて必ずや任務を遂行してみせる」
「まあ、程々にな? 何も禁酒しろとかそういうレベルじゃなくて程々にたしなむ程度に抑えるようにって話ね。酒が飲めないってなったら何するかわからん連中もいるしな。程々、程々に」
「了解だ、提督。この長門必ずややり遂げてみせる!」
「任せたぞ。あと、気になったんだけど長門は酒飲んでないのか? それとも飲めない?」
「ん? 飲んでるぞ。しかし、いざという時になったら私が艦隊の指揮を執らねばいけないからな。酔いを適度に醒ましながら飲んでる。だから陸奥達みたいに悪酔いしていないだけさ」
「酔いを任意で治せるのか?」
「あぁ、直せる。簡単に言えばちょっと艦娘としての力を出すと酔いを醒ます事が出来るんだ。まあ、中にはそれをやっても酔いが醒めない例外も居るがな……」
「なるほどな……」
アルコールも毒だって話だけど、フグの毒がノーダメージならアルコールぐらい素通りか。
しかも、即時回復可能って話だしよっぽど……よっぽどポーラ達みたいな醜態を晒すこともなさそうだな。
てか、え、なに? 今までのすんごいパワーは艦娘の力を欠片も使わずに発揮してたって事?
特に抱き着いてきてる武蔵と俺の手を自分の頭の上に乗せて動かなくった大和なんかも艦娘パワー0状態って事だろ? やっば。
「そういや、長門。今回来なかった子らは?」
「提督の呼びかけに全員参加させなかったのはすまないと思っている。今回不参加の者達はこれだけ人数が居ると自分たちの時間が短くなるから今回は不参加。後日自分たちから誘うから待っていて欲しい、と伝言を預かっている。一番最初に提督がここに来た時に伝えられなくてすまなかった」
「あの時は、リシュリューとウォースパイトから強めのお誘いがあったからな。しょうがないさ。で、不参加組は後日だな。わかった。狭霧に伝えて予定を空けておくよ」
「あぁ、すまないがよろしく頼む」
「うん。正直、俺も全員揃ってなくてよかったと思ってしまっていた所だからな……戦艦組全員を一挙に相手するなんてのは今の俺には出来ないからな。こっちこそ申し訳なく思うよ」
「まあ、しょうがないんじゃない? いきなり全部の要望に応えてくれって方が無理な話よ。と言うか逆に全部の要望に応えてたら体壊しちゃうし……そりゃ、応えてくれたら応えてくれたで嬉しいけどその甲斐性どうやって身に着けた? って問いたださないといけなくなっちゃうわ。私達の提督はそんな甲斐性ないって分かってるつもりだし」
「陸奥」
「だって、そうでしょ? 四六時中画面の向こうの私達と一緒だった提督が生身の女の子と交流があったとか考えられないじゃない?」
「…………」
「長門? 黙らないで? そこ黙ったらダメでしょ? ほら、もしかしたらがあるかもしれないじゃん?」
「あるの?」
「…………」
「ほら、ないんじゃない」
むっちゃん声弾ませながらそういう事言わないで……おいちゃん傷付いちゃうでしょ。
しかし、陸奥が言ってる事は事実なので甘んじてライフで受けてやろう。
というかね。本来であれば俺がこうやって武蔵に捕まってるのにもかかわらず冷静に受け答え出来てる事もなかなかにおかしな状況なのよさ。
だって、武蔵のおっぱいが常時体に押し付けられてる状態とか普通に考えてありえなくない? なんなら左手は大和の頭の上にある。
少なくとも数日前の俺だったら冷静ではいられない。たぶん、もぞもぞしてる。
でも、今はそんなこともなく長門と会話が可能という異常事態。
まあ……どうせ俺が飲まされたあの超人細胞の効果だろうけどね。わかってる。良かれと思ってだよね?
下半身が一切反応しないように設定したとか言ってたし、性格というか俺の女性への苦手意識なんかも弄ってる可能性あるな。
それでこの子達が嬉しいなら俺も嬉しいし多少弄られてても別にいいかな。
それに女の子って触ってるだけでも気持ちいいしな。役得しかない。むしろ、前のままの挙動不審野郎だったらキレられてる可能性あるレベルだし。
「提督はあれこれ考えなくてもいいわよ。それより私達があれこれ考えた方が提督もサプライズ感あっていいでしょ? ま、時間は十二分にあるわけだしゆっくりいきましょ?」
「それはそれで怖いんだけど……まあ、そうだな。甲斐性なしの俺が考えるより断然いい判断だな」
「なんだ相棒。甲斐性なしって言われてちょっといじけてるのか? おぉ、よしよし。この武蔵が慰めてやろう。どうだ私の胸はでかくて柔らかいだろ?」
「武蔵。はしたないぞ」
「武蔵! そういうのは大和がやります! 早く替わって!」
「あら、あなた起きてたの? てっきり飲み過ぎで寝ちゃったかと思ってた」
「起きてました。起きてましたけど、提督の手が思ったよりも気持ちよくてトリップしてました。さ、提督。今度は手だけじゃなくてその体を全て大和に預けてください。この大和! 居住性において戦艦の中でも一番だと自負しています! さぁ! さぁさぁ!」
「や・だ」
「武蔵! むーさーしぃー」
「大和型は酔うとどっちも子供っぽさが増し増しだな……大和、揺らさないで……」
「まあ、日本の戦艦の中じゃ一番若いのは間違ってないし、というか軍艦全体を見ても若い方ね。だから、まあ、お酒飲んで開放的になって子供っぽくなっちゃうってのも頷けるわ」
「普段、駆逐艦や海防艦の子達の面倒を見ている分提督には甘えたいんだろう」
「なるほどな……でも、武蔵のこれびくともしないんだけど? 俺をふんわりと抱きしめつつ絶対に俺じゃほどけない力を入れてやがる……」
「酔いながら器用な事をするものだな……」
どうしたもんかと考えていると流石の武蔵もあまりの姉の必死さにため息を一つついて俺を大和の方へ差し出した。
うん。この際俺が物みたいに扱われていることに関しては目をつむろう。大したことじゃないしな。
大の男がひょいひょいと運ばれている光景。当事者じゃなくて外からその光景を見てみたかった。
大和は俺を受け取るとすぐに後ろから抱きしめて首元に顔を埋めて呼吸をし始めた。
いや……流石に超絶恥ずかしいんだけど? これあれよ。妹の少女漫画でこういうシーンみたんだけどちょっとエッチだった。それを今俺がやられていると思うと……えっちじゃん。
「ちょっと武蔵の匂いが強いですけど悪くないですよ提督……すーはー……」
「そいつはどーも。逆に大和はやばいぐらい酒臭いぞ……本当に大丈夫なんだよな?」
「提督! 女性に酒臭いはどうかと思います!」
「あぁ、そのぐらいなら毒にはならない。その量でダメだったらポーラにしても隼鷹にしてももう轟沈している」
「なんだその説得力しかないワードは……平気ならいいんだ」
「相棒。まだ私の膝の上に戻ってきてくれないのか? 今まで相棒が乗っていた分何もなくなると違和感が凄いぞ」
「次はお姉さんの番だから武蔵の番は当分後よ。清霜呼んで来たら? 喜んで飛んでくるんじゃないの?」
「いや、それは清霜に申し訳ないだろ。提督の代わりに座ってくれっていうのは誠実さに欠ける」
「武蔵お前もう酔ってないのか? えらく真面目な事言いやがって」
「ひどいな相棒。このぐらいの事は酔ってても判断できるさ。まあ、実の所はちょっと炉に火を入れたんだ。さて、んー……しょうがないか。虚しさは食べて紛らわせよう。ほら、相棒。食べさせてくれ」
「そのぐらい自分でやりなさい武蔵。今は大和が提督を堪能してるんですから!」
「冗談だ大和。大和はからかうと面白くてな」
くつくつと笑いながら武蔵は目の前にあった食事に手を付け始めた。
戦艦らしく豪快に食べていくのかと思ったんだけど、武蔵は想像よりも随分とおとなしい食事のとり方だった。
ジ〇リみたいに豪快に食べるんだろうなとか考えてすいませんでした。なんなら俺より綺麗に食べてて尊敬するレベル。
でも、食べる速度はえーわ。飲んでない? それとも咀嚼スピードが常人には見えない速度なんだろうか。
「相棒。そう見つめないでくれ。流石の私だって食事している所をそう凝視されると恥ずかしいのでな」
「それちゃんと噛んで食べてるか? 飲んでない?」
「……勿論噛んでるさ。なんだ。相棒は信じられないのか? しょうがないなぁ。口移しで食べさせてやろうじゃないか。どれが食べたい?」
「いや、噛んでるならいいんだ。ちょっと艦娘の食事の常識をアップデートしたかっただけなんだ」
「遠慮するな。からあげでいいか? ほら、こっちを向くんだ相棒」
「武蔵! だから、今は大和の番なの! そういうのは後でやって!」
「後でもダメだからな?」
「でも、瑞鳳とはやったんだろ?」
その一言で空気が死にました。大和の抱きしめも一段階ぐらい強くなりました。
ふー……当然ながら俺にその記憶はない。瑞鳳とやったのはいつ俺が噴き出すかのチキンレースだったと思う。
あれぇ? と思って厨房の方を見ればちょうどよく瑞鳳と目があった。
どうやら超聴力で会話は聞こえていたらしい。デビルイヤーかな?
この距離でも聞こえるらしいからどういう事だと聞いてみれば、瑞鳳は少し悩んだのちに凄くいい笑顔と共に右手で横ピースをやって逃げた。
逃げたらだめだろ! 逃げたらよぉ! なんか認めてるみたいじゃん!
「提督?」
「やってない。瑞鳳が俺に卵焼きを食べさせてきただけだ。それ以上もそれ以下もない。もしそれで口移し判定されたら今日のリシュリューだって口移しになるぞ」
「あら、口移しやってよかったの? そういうのはもっと早く言いなさい。次は口移しよ」
「藪蛇ね」
「……ごほん。とりあえず口移しはやってないし今後もしない。リシュリューもしないし武蔵もしない。いいな?」
「つまり、要教育というわけだな。わかった。この戦艦武蔵に任せておけ。口移しに対する抵抗感を感じなくなるまで教育してやる。なに、今すぐやるとは言わないさ。数年後とかに提督が油断し始めたらやる。是非忘れててくれよ」
「提督。それは五月雨ちゃんでも嫌なんですか?」
「五月雨?」
「えぇ、提督が唯一。そう唯一ケッコンカッコカリをしている五月雨ちゃんです」
五月雨ちゃんか……カッコカリではあるけどケッコンしてるしありっちゃありなのでは?
まあ、五月雨ちゃんがそういう事をするって発想になるのかは甚だ疑問は残るわけだけども……
なんて、大和の問いにちょっとだけ考える。というか考えてしまった。
「提督。口移しなんてしないと即答せずに考えたという事はケッコンカッコカリさえすれば提督とそう言った事も可能になる可能性があるという事でいいんですね!」
今度は空気が死んだというよりも全員がこちらに向かって聞き耳を立てているからこその静けさが食堂を包んだ。
まあ、一瞬ではあったんだけどね。いわゆる、幽霊が通ったみたいな感じ。
今は、もう完全に元通りの状態だけどわかったことがある。艦娘は全員デビルイヤーだわ……
「で、相棒。どうなんだ?」
「お姉さんも気になるな―」
「お前たちそこへんにしておけ。提督が困っている。ケッコンに関しては提督が決めることであって我々から強要すべきことではない」
「わかってます。なので大和、プレゼンをしようかと。大和がお嫁さんになったらこんな特典がありますよってアピールします。大和がお嫁さんになれば毎日美味しいお食事を用意いたしましょう!」
「大和の手料理が美味しくないとは言わないが、食事なら毎食主計課がとても美味しい料理を用意してくれるからアピールとしてはいまいちだな」
「秘書艦としてお仕事も完璧にお手伝いできます!」
「提督の今の仕事は我々艦娘との交流及びゲーム内任務の達成のみで手伝いはあまり必要ないな。それにいざとなれば大淀や香取、鹿島が手伝う手はずになっている」
「大和は体が大きいのでこうやって後ろから抱きしめて安心感を与える事が出来ます!」
「今もやっているからケッコンは関係ないな。それと提督は抱きしめられるよりも抱きしめたい派だ」
「いや、なんで長門知ってるのよ……」
「ふっ」
「で、では、ケッコンすれば燃費が良くなります! 通常海域でもバンバン敵を倒してみせますよ!」
「大和、残念ながらお前たち大和型はケッコンした所で消費量は断トツだ。とても通常海域で出撃させられるレベルではない」
「で、ではEO海域ならどうですか!」
「伊勢が改二になって5スロットな上に航空戦まで行えるようになってしまったからな……私も出撃する枠がないほどだ」
「うぅぅぅぅ……」
「というか、なんで提督じゃなくて長門が大和のプレゼンにダメ出ししてるのよ」
「提督はこういう事は苦手だからな」
「うぇえぇぇん! 長門さんが私は提督の事なんでも分かってるいい女アピールしてきますー!」
「大和……もうちょいゆるめて……」
正直長門が応対してくれなかったら押し切られていた可能性が大。
目があった長門が任せておけと言わんばかりに微笑んできた。イケメンかよ……イケメン過ぎて惚れるわ……
矢矧もイケメンだっけど長門も長門でイケメン。俺、イケメンに弱すぎでは?
もし俺がイケメンに弱いってバレたら艦娘がもれなく全員イケメンになったりするんだろうか……
イケメン鎮守府ってありよりのありでは? 全員イケメン……いやだめだ勝てねぇ……
基本的に戦場で戦う彼女たちはどこかしらにイケメン要素があるからな。そこを増幅させた存在とかもはや無敵。
「ぐすん……それで、提督どうでしょうか……」
「あー…………その件についてはまた数年後とかに話し合おう」
「燃費……よくなります。回避と運も上がります……」
「いや、そういうところも分かってるんだけどね。でも、ケッコンだからなぁ」
「大和。諦めろ。今はまだ時期尚早だ、今は」
「いまは……」
「そう、今はだ」
「そういうやりとりはさ。俺がいないところでやらない?」
「相棒の目の前で今はまだ~なんてやりとりをすれば相棒は嫌でも意識するだろ?」
「何してくるんだろうって気になるな」
「そういう事だ。常に頭の片隅に私達が居る。最高だな」
「武蔵が思ってたよりも恋する乙女っぽい事を言い出して大和は少し驚きました」
「右に同じ」
「何を言う。どこからどう見ても恋する乙女だろ」
最後に最高のキメ顔で締めた武蔵は恋する乙女っていうか少女漫画のヒーローみたいでした。
だから、やめろよイケメン。惚れてまうやろ!
というか、ケッコンの話されると思わなかったわ……
俺はなるべくなぁなぁで数年は過ごそうと思ってたらこれですよ。
そもそも、妻帯者がこうやって代わる代わる女性の相手をするのってのはどうかなって思って白露型椅子取りゲームの時に五月雨ちゃんに聞いちゃったもん。
「私は提督が好きです。そして、他の艦娘達も提督が好きです。私も皆も頭で考えれば踏みとどまれるとかいうレベルじゃないんです。だから、少し寂しいけど提督にはもっと他の艦娘の皆さんとも交流してもらいたいって思います。提督が私に遠慮して交流を最小限にするなんて事になったら凄い事になります。もう、凄いです」
「凄いのか……」
「はい。たぶん……いえ、絶対に。なので、ここは、ばばーんと提督による艦隊はーれむを築く他ありません! 私もこの艦隊の皆なら何も思う事はありません。だから、提督は気にせずイチャイチャしちゃってください!」
「そっか」
「はい! あ、でもでも、少しだけわがままいいですか?」
「勿論、なんでもいいぞ」
「えっと……やっぱり最初のお嫁さんなので私の事を少しだけ優遇してもらえたらなーって……ダメ、ですか?」
あの時はもちのロンで二つ返事した。
あんなやりとりがあったからなるべく全員とコミュニケーションとれるように頑張るつもりだしお願いはなるべく聞いてあげるつもりでいる。
でも、ケッコンはな……五月雨ちゃんもそこはハッキリと明言してなかったしまだって事なんだろう。
この子達には申し訳ないけどもうちょっと五月雨ちゃんとイチャイチャするまで我慢してもらうしかないな。
今だってこんなやりとりを五月雨ちゃんはちゃんと聞いてたりするはず。
確かあっちの方に……と目を向ければ五月雨ちゃんじゃなくて白露と目が合った。
なんか口パクと身振り手振りで言ってきてるけど何言ってんのか全くわからん。
俺が全く理解してないと気が付いたのか紙にせかせかと書き込んで小さく折ってから妖精さんに渡した。
その妖精さんはその紙を服の下にしまい込んでから俺の方へ飛んできて上着のポケットの中に入っていった。
どういう事だと白露の方を見ればポケットを指さした後にウィンクとサムズアップをして五月雨ちゃんを引っ張って食堂から出て行ってしまった。
しょうがないからポケットから妖精さんと紙を取り出して読んでみる。
「なんですかそれ?」
「今、白露から貰ったんだけど……ッ」
「どうしました? なんて書いてあったんですか?」
「あー……奥さん居るのにデレデレし過ぎって……自覚してたけど結構ダメージが……」
「あー……うーん……」
何か言おうと悩みながらも絶対に俺を離さない大和はいろいろ葛藤してるんだなってわかるんだけど、話を聞いてたはずの陸奥は「次私の番って忘れないでね?」と笑顔で言ってきてる。
分かってたけど陸奥は全員で共有してもなんの問題もない勢って事ね。
これもしこの艦隊に俺の事共有NGな子が居たらもうやばいのでは? よく創作界隈でヤンデレっぽく書かれてる子とかやばたにえんなのでは?
もしそういう子が居たら俺が話し合うしかないな。解体とかありえないしそれしかないよな。
真面目に考えてる間にも大和から陸奥へと俺の席は移動していきそのまま1時間ぐらいいじくりまわされた。
ホントにこれが色々な事を勘違いしてる女性の行動なのでしょうか……それとも知らないが故の行いなのでしょうか……
そして、宴もたけなわ。食事会は解散となりいじり倒されて疲れ果てた俺は狭霧に手を引かれて部屋へと戻っていった。五月雨ちゃんが待ってる部屋へ。
実は白露から渡された紙には大和に伝えたようにデレデレし過ぎと書いてあったけどその下に「今日は五月雨を提督の部屋に置いておくからよろしくね!」と……
提督として腹をくくります。ドアノブを掴んで心の中でよろしくおねがいしまぁぁぁぁすっ! と叫んで自室へと入室した。
部屋に入ってから朝起きるまでの出来事は消し飛び結果だけが残ります。