艦娘と提督   作:ためきち

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8話

 あーなんて言うかそこまで涼しいわけじゃないけど暑いわけでもない。

市役所とかそういう所の涼しくもなければ暑くもない冷房の温度って感じ。

だけども廊下の窓にカーテンもブラインドもついてるわけでもないからずっと立ってると暑くなってくる。

夏やべぇなぁ。今年は特にやばいもんなぁ……

 

 

「ようこそ提督。ここが今日から貴方の職場よ」

 

「ここから階段を上がらずに右に行けば駆逐艦と軽巡それに特務艦達の寮。左に行けば食堂や工廠、入渠ドック……まあ、風呂場がある。次に階段を上がって左に行けば重巡と戦艦、空母達の寮。右に行けば執務室と提督の私室や資料室がある。他にも施設は沢山あるがいっぺんに言っても覚えきれるものでもないだろ。後で案内もするがとりあえずそれだけは覚えておいてくれ」

 

「了解了解。俺の部屋は階段上がって右な。パッと見た感じ執務室とかにもあんな感じでなんの部屋か分かるようにプレートが付いてるんだろ? なら平気だと思うぞ。それにもし俺が忘れてもここには沢山教えてくれそうな子達が居るしな」

 

 

 ご丁寧に部屋の一つ一つに学校の教室の扉の上に付いてるようなプレートがあり、ここはなんの部屋とか誰と誰と誰の部屋といった感じに表示がされていた。

いや、まああのプレートは学校じゃなくてもあったか。大事よね。名前書いておかないと分からなくなるし。

 

 

「提督ぅー! 私達の部屋は2階に上がってすぐだからいつ来てもいいからネ? そ・れ・と・も、今から来ちゃいますカ? 腕によりをかけて美味しい紅茶を用意するネー!」

 

「金剛。すまないが提督にはやらねばならない仕事がある。だから先に執務室に向かいたいのだが……その前に島風。そろそろ提督から降りるんだ」

 

「えぇー……」

 

「島風。すまないが俺からも頼む。腕がそろそろきついし何より俺は島風をおぶったまま階段を上がれる自信がない。運動不足で不甲斐ない俺ですまない」

 

「むぅー……」

 

 

 しぶしぶと俺の上から降りていく島風。そんなにも俺に引っ付いていて楽しかったのだろうか。

どう考えたって俺に乗ってたんじゃ遅くてつまらなかっただろうに。てか、案の定島風の服びちょびちょやんけ。

全部俺の汗なのだろうか。いや、よく見りゃ島風もほんのり汗かいてる様に見えなくもない。

まあ、そうは言ってもほとんど俺の汗なんだろう。絶対ぐしょぐしょで気持ち悪い。

 

 

「あーあ……俺の汗で服びしょびしょじゃねーか。着替えあるんだろ? それ持って一回風呂に行ってきなさい。シャワー浴びてすっきりするんだぞ」

 

「うげぇ……ホントだ。んーじゃあ、ついでに連装砲ちゃんも一緒に洗ってあげよっと! 提督また後でねー!」

 

「廊下は走るなよ」

 

「はーい!」

 

 

 元気に返事したくせに島風はキーンという効果音が出そうなポーズをして走り出した。

いや、俺今廊下は走るなって言ったよね? あれかい? 島風的には走ってるに含まれませんって事か?

なんて島風の後姿を見ていたら駆逐艦の寮の方からドラム缶みたいな形の物が3つ程走ってきた。

あぁ、あれが連装砲ちゃんか。よく見りゃ頭の上にお風呂セットみたいなの乗せてるし。着替えとか持ってこさせたって所かな。

 

 それと、分かってはいたけど連装砲の遠隔操作は可能なのか。ん~感覚的には空母達の戦闘機と似たようなシステムなんだろうか。

でも、アレは戦闘機の中に妖精さんが乗って操縦してるってイメージがある。戦闘機の上でかっこいいポーズしてる瑞鶴似の妖精さんとかああいう子達。

確か……連装砲ちゃんって図鑑に載ってないはずだからどんな妖精さんが乗ってるのかちょっと気になる。

 

 

「提督。ちなみに連装砲ちゃんの中には誰も居ませんよ」

 

「大淀は俺の心の中が読めるのか?」

 

「いえ、ただ提督が連装砲ちゃんの事をじっと見ていたのでそういう事を考えてたんじゃないかなと。連装砲ちゃんは島風ちゃんが考えてる事を受信して動いたりある程度の事なら自分で考えて動けるみたいです」

 

「半自立型兵装って事? かっこいいじゃん」

 

「島風ちゃんにそれを言ってあげると喜ぶと思いますよ!」

 

「そうですね。あ、あと提督に注意していただきたいのですが連装砲ちゃんにしても連装砲くんにしてもあの可愛らしい見た目で重量は3トン以上あります。くれぐれも交通事故に合わないように気をつけてください」

 

「3トン……あんなにちっさいのによく道路を走ってたトラックぐらいの重量なのか……やべぇな」

 

 

 中身ギッチギチじゃん。

いや待て。ゆうて大きさなんて一番でかいやつで島風の太ももぐらいの高さしかないんだぞ。

中身ギッチギチとかそういうレベルじゃないと思うんですけど……

やはりあれも艦娘の不思議技術の賜物という事か。

 

 

「さて、それと金剛もだ」

 

「ノゥ! 絶対にノゥ! 執務室だって別に狭いわけじゃないじゃないですカ!」

 

「提督の使う部屋なんだ。狭いわけがない。ただ、全員が座るだけの椅子がない」

 

「じゃあ、立ってマス! それか提督の膝の上に座りマス!」

 

 

 イヤイヤと駄々をこねる金剛。駆逐艦の方が物分りがいいって問題だと思うんだよね。

それにだ、島風が俺の上から降りた事と冷房が効いた室内に入った事の二つが起こった結果。金剛は当ててんだよとかそういうレベルじゃないぐらいに俺の腕を抱きかかえていた。そう抱きかかえている。もう挟んでるんだよって状況よ。

 

 いやね? ほら、最初はおっふ最高でござるって感じだったのよ。

けどさ……イヤイヤするたびに金剛が左右に揺れるわけさ。俺の二の腕と前腕をガッチリホールドした金剛が揺れるたびに俺の体も右に左に揺れて結構痛い。肩にくるんだよね。

金剛の胸が俺の腕を挟んでいるって事実があっても痛いから離して欲しいっていう結論にたどり着く。

が、金剛が俺の腕を離す気配は全くもって微塵も感じられない。

 

 

「ここは長門の言うとおり金剛達は一旦解散って事でいいか?」

 

「提督ぅ~……」

 

「あー……わかった。今日は行けるか分からないが落ち着いたら金剛の入れたお茶を飲ませてくれ。今はそれで手を打ってくれないか?」

 

「絶対ですカ?」

 

「勿論。お茶会の作法とかは知らないからその時教えてくれると助かるな」

 

「ノープロブレムネ! その時はみっちり教えてあげマス!」

 

「ありがとう。それじゃあ、そろそろ腕を離してくれないか?」

 

「提督はもう忘れてしまったんですカ? 執務室は2階デース。つまり階段を上がるまでは提督から離れなくても良いという事になりマスネ」

 

 

 んふふ~と俺の腕を抱きしめて嬉しさ一杯の金剛とそれを見て幸せ一杯な妹3人。

俺は恥ずかしすぎて見れないけど絶対に金剛からハートが一杯飛び出てるに違いない。いやほんと、恥ずかしいんだけど?

そりゃまあ、イクとはっちゃんにはハグしてあげたけどあれはまだ身長が小さいから子供相手ってイメージが先行してくれたおかげでどうにかなった。

 

 けどさ? 戦艦はもう割とアウトだよね。

完全な大人バディが色々と想像させてしまう。そう、色々と!

服越しだけどはっきりと分かるあれやこれがもうね、もう、こう、あれであれね。やばい。

元々無い語彙力が更に消失していく感覚をヒシヒシと感じてしまう。

ぐっ……これが大人な女性のバディ!!!

 

 なんて翻弄されつつも階段を上がればなんて事無い一階と似たような造りの廊下が左右に伸びている。んで、向かって左が艦娘寮だったか? 

そう思って左を見れば一番手前のドアの上に金剛型と書かれたプレートが付けられている。

ちなみにその次のドアの上には赤城と加賀の名前が書かれたプレートが付いているところを見ると別に艦種で順番ってわけじゃないらしい。

 

 

「うぅ……もう二階に着いてしまったネ……」

 

 

 本気で残念がっている金剛を見ると多少の罪悪感とホントなんで俺なんかをこんなに好きになれるんだろうという気持ちになる。

 

 

「今はここまでデスガ! 今後も提督の隙を見て沢山アタックしていくので覚悟しててくださいネー!」

 

「お、お手柔らかに頼むわ」

 

「早速隙ありデス!」

 

 

 俺の腕を離して部屋に向かおうとしていた金剛がクルリとその場で回転して俺のほうへダイブしてきた。

まあ、勿論俺にはそんな一瞬の出来事に反応できる程の身体能力はないから金剛が俺を完全にホールドしてから逃げようとした。

が、まあね。ホールドされてるから動けなかったよ。それとダイブからのホールドの衝撃に耐え切れなかった俺の体はその場から動きはしなかったものの首だけが後ろに傾いた。これ知ってる。交通事故ってやつでしょ。鞭打ち案件じゃん……

そして、そんな俺の状態に気が付かなかった金剛はそのまま俺の頬にキスをしてくる。

 

 

「あぁ! 提督なんで避けたんですカ!!」

 

「首がメタクソいてぇ……いや、今のは避けたわけじゃないんだけどね。けど、まあ、キスされそうになったら避けるよな」

 

「な、何でですカ!」

 

「なんでって……金剛がいつも自分で言ってたじゃんか。時間と場所をわきまえなヨーって」

 

「Oh……なんてこと……私の台詞が原因だっただなんて……わかったネ。次はしっかりムードを整えて挑むとしマース。それじゃあ、提督! 次はディナーで会いまショウ!」

 

 

 そう言って金剛はもう一度俺の事をちょっと強く抱きしめてから妹3人を引き連れて部屋に戻っていった。

にしてもあの3人全然喋らんかったな。比叡なんかはもっと騒がしいイメージがあったんだけども……やっぱりその辺りもこっち側に来て何かが変わったんだろうか。

 

 

「提督、首は大丈夫ですか?」

 

「うん? まあ、うん。痛いけど多分平気じゃないかな」

 

「一応、執務室で妖精さんに見てもらいましょう」

 

「妖精さんってそんな医者みたいな事も出来るのか」

 

「えぇ、簡単な物に限られますけど可能です」

 

 

 妖精さんチート過ぎでは? チート過ぎて童話○害とか引き起こされないか心配なレベルなんだけど……

とりあえず、妖精さんが欲しがった物は出来る限り渡しておこう。ボイコットもなかなかにしゃれにならないから福利厚生がしっかりした上でちゃんとやり過ぎないように注意していこう。

 

 首を押さえながら長門に付いて歩くこと数歩。うむ。階段から資料室を挟んで二つ目の部屋が執務室だった。

なんかこういう部屋って結構奥まった場所にあったりするイメージだったからちょっと拍子抜け感がある。

確かアーケードでももうちょっと歩いてたと思う。やった事無いからPVとかでそんな感じだったなーぐらいの記憶だけど。

 

執務室と書かれたプレートの下には他の部屋よりも素材が良さそうで装飾もちょいと豪華な扉が2枚。

なんてったか……観音開きだっけ? たぶんそんな感じで開きそう。

そんな感じで余計な事考えながら俺は執務室の扉を開いた。うむ。思った通りの開き方したわ。

 

執務室の内装と言えば俺が画面越しに四六時中みていた物と全く一緒。と思いきや見たことない物もちらほらと設置されていた。

俺がゲーム内で設置していて目に見えていた物と言えば秘書艦と提督の机に長門模型の桐箪笥に夜戦主義の掛け軸ぐらいなもん。

壁床窓なんてのは建物によってだろうしね。

 

 んで、見覚えのない物。

冷蔵庫にIHヒーターなどなどの調理器具一式や資料を入れるためのなんかおしゃれな感じの高そうな戸棚にお偉いさんの部屋にしか無さそうな革張りのソファに机。

もうね。庶民には調理器具ぐらいしか馴染みが無くて今すぐにでも帰りたい。

ここで仕事をしろとか結構な罰ゲームなのでは?

 

 ここがホントに俺の部屋? って具合に後ろに居る艦娘達に視線を向ければその通りと深く頷かれてなんなら長門に背中を優しく押されながら「さあ、まずはソファに座ってくれ」とイケメンなエスコートをされてしまった。

ソファすっごい。適度な反発感っての? 座っただけで「あ、これ高いよ」って感じで尻が訴えてくる。

 

 

「さて、仕事があると言ってここまでつれて来たが実は今日のところはそんなものはないんだ。ただ、提督にいくつか報告をしておかないといけないことがあったから最初にこの部屋に来てもらった」

 

「報告?」

 

「そうだな……まず、提督は最初に私達が接触した人類は自衛隊だと聞かされているだろうがそれは間違いだ。私達は最初に貴方のご家族に会いに行ったんだ」

 

「なんでまた俺より先に?」

 

「それは私達が危険だと判断された場合、提督と提督のご家族が人質にされると判断したからだ。その為最初に提督のご家族に接触して妖精さんを配置してきた。妖精さんを配置した今なら仮に自衛隊が攻撃を仕掛けてきても一週間はご家族を守りきれるはずだ」

 

「妖精さんすご……てか、誰が行ったのかは知らないけど俺の両親は君ら……艦娘についてなんか言ってたか?」

 

「いや、流石に提督のご家族に私達が艦娘だとは明かしていない。近々あなたの息子さんをヘッドハンティングするのでその挨拶に来ましたと外堀を埋める風に説明してきた」

 

「私と長門で行ってきたんだけど、提督の妹ちゃんに「どちらかが彼女だったりするんですか?」って聞かれてちょっと可愛かったわ」

 

「それは悪かった。あいつまだ高校生だからなぁ。そういうのが大好物な年頃なんだ」

 

「構わないわ。私も「まだ違うの。だから提督の好きな物教えてくれないかしら」って聞いたらちょっとお得な情報教えてもらえたもの」

 

 

 茶目っ気たっぷりにウインクを放つむっちゃん。

妹は何をこのお姉さんに教えたのかお兄ちゃんとても気になります。

それと俺の首を見るための妖精さんを連れてきた眼鏡のお姉さんが「そんな情報聞いてません……」って妖精さんを握りつぶしそうになってるのがちょっと怖いです。ようせいさんかわいそう。

あと更にその後ろをお盆に人数分の湯のみと急須を載せておっかなびっくり歩いてる五月雨ちゃんも結構怖い。

 

 

「だから仮に何かあっても提督のご家族は安全だから安心して欲しい」

 

「あぁ、ありがとう」

 

「当然の事をしただけさ。さて、次にだが、私達の事だ。私達はゲームのキャラクター。ゲームのキャラクターなんだから当然データを消されたら私達も消える。この国のトップ達も最初に提督の艦これのデータを消す事で私達を消そうとしてきたよ」

 

「でも、ここに居るって事はデータをどうにかして守ったって事だよな?」

 

「えぇ、そこは明石と妖精さんがやってくれました。ハッキングして私達のデータを根こそぎ抜き取ってサーバーと隔離してこの島に保管してあります。ここが攻め込まれて私達が負けでもしない限りは私達は消えたりしません」

 

「実質絶対に消えないって事ね。でも、ほら改二とか新艦娘が実装されたらここにあるデータもアップデートするんだろ? その時にウイルスとか仕込まれたりしないのか?」

 

「問題ありません。機関の方々には既に根回しが済んでいますので。向こうも諸手を挙げて私達を歓迎してくれました。まあ、ハッキングした件については言ってくれれば渡したのにと少し怒られましたけど」

 

 

 既に運営さんを抱え込んでござったか。

やっぱりクリエイターな人達は自分の考えた物が現実世界に出てきたら嬉しいんだろうか。

じゃなかったら普通国を敵に回してまで艦娘の味方なんてしないよな。

 

 

「提督のご家族を守る。そして私達の存在をこの世界にとどまらせる。この二点が我々と提督が一緒に居るために必要最低限の事だと判断し先行して事に当たった。そして、それから提督の知る自衛隊との接触に繋がるな」

 

「提督と一緒に居たいから私達頑張りましたって事ね。褒めてくれてもいいのよ?」

 

「あぁ、よく頑張ったな。正直、俺は最初に五月雨と龍田に会ってからそんな事一度も考えなかったからな。流石だと思う」

 

 

 いやホント。俺、家族の事どうすんべなんて一切考えてなかったからね。お茶美味しい。

しょうがないじゃない。なんとか現代っ子と言えなくもない平和ボケした年齢の野郎にそんな作戦を考えろとか言われても返事だけよくて何もできないパターンよ。

うーむ。そんな俺の下につく俺より頭のいい部下達。つまり、「あれだな?」「あれでございます!」みたいな会話になる。ポン骨かな? 

いやでも、あの人はそれなりに頭が回る人だったからいいんだけど俺全く回らんからなぁ。くまったくまった。

 

 

「あぁ、それとわざわざ自衛隊ひいては日本と接触を図った理由だが簡単な事だ。先の話でも分かるように我々が隠れて提督と接触するのはたわいないことだ」

 

「確かに提督と会うのは簡単だったの。でも、ほら、提督の住んでた部屋ってとても狭いじゃない? そうなると順番決めて提督と会わないといけない。折角この世界に来たのに提督に会えないのってなんか寂しいじゃない?」

 

「じゃあ、どうしよっかってなって考えてたら誰かが言ったんです。提督はそんな大きな土地を用意できない。私達も用意できない。じゃあ、お金と権力がある人にお願いすればいいんじゃないかなって」

 

「だから、私達は日本に接触しました。それから色々あって一年も掛かってしまいましたがなんとか提督と一緒に居られる島を手に入れられました。だから、安心してください」

 

 

 ずっと一緒に居られますよ。と声を合わせる4人。

長門と陸奥の影のある笑顔は割と迫力あるし大淀なんてどうやってるのかわからないけど眼鏡が曇って目が見えない。だが、おしい!

五月雨ちゃん順番待ちでちょっとそわそわしてたし何かを読んでるかのような喋り方だったのがいけない。

あの演技できてますってドヤッてる顔は物凄く可愛いから許す。でも、全く出来てないからね。超かわいい。というかあの順番に喋るやつを練習したのかなって思うとちょっと笑える。

あとおじさん大淀が言った「色々あって」の部分が気になります。

色々って色々な意味があるんだよ色々と。

 

 

「五月雨、今のやつどのぐらい練習したんだ?」

 

「えっと……大体二日ぐらいです。明石さんが提督こういうの好きなんですよって教えてくれて」

 

「わかった。この件は後で明石に言ってこよう。あと自衛隊と接触してからの一年間の内容。大淀報告してくれ」

 

「わかりました。ついでにお茶請けも出しましょうか。ちょっとお高いカステラです」

 

 

 そう言ってキッチンスペースの戸棚からちょっとお高そうな箱を取り出して切り分けて各人の目の前に並べていく大淀。

お高いカステラすごい。ふわっふわなのにしっとりしてる。いやーお高いカステラすごい。

そんなカステラを楽しみつつ大淀の報告を聞く昼下がりの一四○○。俺は昼飯を食ってないしなんなら午前の演習をこなしていない事に気が付く数分前の事だった。

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