ファイアーボーン覚醒   作:謎多き殺人鬼

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設定(作者のキャラを参考にしてます)

名前 ドヴァキン(本名不明)

性別 男

種族 インペリアル

容姿 黒髪で赤い瞳をしており、目元に傷がある。

信仰 デイドラの16柱(あまり熱心ではない)

軍の中で最も収集癖がある




異変~前編~

クロム達は王都へ帰還する為に、村で泊まる事を断って歩いていた。

 

最初は泊まらずに行けば暗くなると村長に言われていたが、夜営訓練の一環になるとフレデリクがそう言って断り、現在予想通り夜になってしまった。

 

「うぇ~やっぱり夜になっちゃったよ・・・」

 

リズは嫌そうにそう言うと、クロムは笑いながら夜営の用意をしている。

 

「良いじゃないかリズ。これも経験だ」

 

「うぅ~・・・ふかふかのベッドで寝たいよ」

 

「無理言うな。こんな森の中にベッドがあるならとうにそのベッドの中で夢を見ているぞ」

 

文句と我がままを言うリズにドヴァキン溜め息混じりにそう言うと、長い間から使ったている鞄から鍋や食材を取り出していた。

 

「ドヴァキンさん。料理が出来るのですか?」

 

「旅をしていたらいつの間にか出来る物さ。さて・・・肉が無いな」

 

「なら、俺が得物を取りに行こう」

 

「私も行きます。ドヴァキンさんはリズ様とルフレさんと共に火の番をお願いしてもよろしいですか?」

 

「良いぞ。どのみち調理するつもりで残るつもりだったからな」

 

「では、お願いします」

 

クロムとフレデリクは得物を探しに夜営地から離れると、ドヴァキンは調理の続きを始めた。

 

まず、林檎を取り出して皮を剥き、キャベツを手頃な大きさに千切った後、塩等の調味料を使ってじっくりと煮込む。

 

ルフレとリズはドヴァキンの作る料理の匂いに釣られていると、ドヴァキンは木で出来た器に注ぐ。

 

「出来たぞ。アップルキャベツのスープだ。まだクロム達が戻ってはいないが食べたければ食べてくれ」

 

「いっただきまーす!」

 

「頂きます」

 

リズとルフレはスープを口にすると、驚きの顔、美味しいと言う顔になった。

 

「美味しい!」

 

「リンゴとキャベツがこんなに上手く組合わさるなんて・・・とても美味しいです」

 

「喜んでくれて何よりだ」

 

ドヴァキンはそう言いつつクロム達の分も確保しつつお代わりをねだる二人にスープを注いでいると、クロムとフレデリクがデカい熊を担いで運んできたのだ。

 

「戻ったぞドヴァキン。これで肉は足りるか?」

 

「よく、こんな大物を仕留めて来たな。熊肉は食った事はないが・・・肉は足りるな」

 

「く、熊を食べるの・・・?」

 

リズは嫌そうな顔でそう言うと、ドヴァキンは首を傾げながら熊を捌きながら聞く。

 

「熊肉が嫌いなのか?」

 

「だって熊の肉って固くて臭いんだもん・・・」

 

リズが熊肉を嫌う理由にドヴァキンは確かにと思った。

 

実際に熊の肉は固く、臭みがある為にあまり食用として出される事は少ない。

 

旅の道中で何度か熊と対峙しては仕留めたドヴァキンでさえ、肉は食えない物と言う認識で避けて皮と爪のみに留めていた。

 

「良いじゃないか。熊肉だって捨てたもんじゃないぞ。なぁ、フレデリク?」

 

「そ、そうですね・・・クロム様」

 

「(フレデリクも熊肉が嫌いなのか・・・)」

 

ドヴァキンはフレデリクの心中を察した後、ふとルフレを見るとスープを夢中ですすっており、熊の好き嫌いの話など眼中に無い感じだった。

 

「そんなにスープが旨いか?」

 

「はい!とても美味しいです!」

 

「そ、そうか・・・よく食べる奴だ・・・」

 

ドヴァキンはルフレの食欲に驚きつつ熊肉を取り敢えず塩で味付けしながら焼くと、クロム達に渡した。

 

「うん・・・塩を振り掛けるだけでもなかなかイケるな。このスープも旨いし、今晩は最高だな」

 

「うぅ、やっぱり固い・・・臭い・・・」

 

「ですが何も味付け無しよりは・・・」

 

クロムは喜んで熊肉を食べている中、リズとフレデリクの二人は嫌そうにしつつ食べている。

 

ルフレは熊肉をもぐもぐと食べており、結果としては熊肉はクロムとルフレしか満足しなかった。

 

「そうえば、ドヴァキン。お前何か食べたのか?」

 

「いや、今から食うつもりだ」

 

ドヴァキンはそう言ってデイドラの兜を脱ぐと、黒髪の赤い瞳、目元に傷のある顔が現れた。

 

ドヴァキンは熊肉を取ると口にした。

 

「・・・初めて食べたが、旨い!」

 

「そうだろう」

 

ドヴァキンの感想にクロムは嬉しそうに言うと、ドヴァキンはまた熊肉を頬張る。

 

暫く食事をした後、クロム達は交代で眠りにつき始めた。

 

辺りが焚き火の光が広がるだけの空間の中、ドヴァキンは眠りにつく事なく火の番をしていると、ドヴァキンの体にひんやりとした妙な気配を感じ取った。

 

「・・・何の気配だ?」

 

ドヴァキンは辺りを見渡していると、クロムが起き上がった。

 

「どうしたクロム?まだ起きるのは早いが・・・?」

 

「妙な気配を感じてな・・・ドヴァキン。お前は何か感じなかったのか?」

 

「・・・感じた。とても、妙な気配だ」

 

ドヴァキンはそう言うと、リズも起き出した。

 

「うーん・・・あ?お、おにいひゃん達・・・どしたの?」

 

「すまん。起こしてしまったか?ちょっとな・・・妙な気配を感じた」

 

「え、気配って・・・何?」

 

「さぁな・・・ただ、良い気配ではないのは確かだと言う事だ」

 

ドヴァキンの言葉にクロムは少し考えると、クロムは自分の剣であるファルシオンを手にした。

 

「少し、辺りの様子を見てくる」

 

「一人で?駄目、危ないよ。私も一緒に行く」

 

「そうだな。分かった、頼む」

 

「なら、俺はこの二人の面倒を見る。幾ら手練れとは言え、こんなにも無防備でいられたら対応できるとは思えんからな」

 

「分かった。なら、行ってくる」

 

クロムとリズは出発してしまい、残されたドヴァキンは火の番を再開する。

 

暫く、火の番をしていたドヴァキンは気配の事を気にしていた。

 

ドヴァキンの感じた気配は明らかに異質で、とても人の業で成せるような物でないのはドヴァキンは容易に理解できた。

 

パチパチと焚き火がなる中、ドヴァキンは深く考えるのを止めようとした時、地面が大きく揺れ始めた。

 

「何だ!?」

 

ドヴァキンは驚いて立ち上がると、ルフレとフレデリクも驚いて起き上がった。

 

「どうしたのですか!?」 

 

「分からん。ただ・・・上には気を付けろよ」

 

ドヴァキンはそう言うと、ルフレとフレデリクは上を見ると大きな火の塊が飛んできており、その一つがドヴァキン達の近くに落ちて爆発したのだ。

 

咄嗟に受け身を取った事でドヴァキン達は何を逃れるが、辺り一面が火の海になりつつあった。

 

「くッ・・・クロム様とリズ様は何処に!」

 

「不穏な気配を感じて辺りの様子を見に行った。まだ近くにいる筈だ・・・探すぞ」

 

ドヴァキン達は森の中に入り、クロムとリズを探した。

 

辺りの木々が燃えている中、ドヴァキン達は構わず走っていると、目の前に武装した何かが現れたのだ。

 

「な、何ですか・・・あれは・・・?」

 

ルフレは目の前の異形に動揺の声を挙げ、フレデリクも動揺を隠せずにいた。

 

ドヴァキンは多くの怪物を相手取っていた事で動揺せず、冷静にデイドラのグレートソードを抜いて身構えた。

 

「アンデットの類いか?何とも不気味だな・・・まるで死体をそのまま甦らせたようだ」

 

ドヴァキンはそう呟いた時、異形達は一斉にドヴァキン達に襲い掛かった。

 

ドヴァキンは異形の一人を斬り付けて一刀両断にすると、他に残った異形も倒していく。

 

ルフレとフレデリクも武器を手にして異形に交戦し、異形を押していくが異形の数は全く減る様子を見せない。

 

「ちッ、面倒だな」

 

ドヴァキンは舌打ちし、悪態をついた瞬間、異形の一体がルフレに向かって剣を振り下ろそうとしている姿をドヴァキンは見つけた。

 

ルフレは襲われている事に気付かず、戦いに夢中になっている。

 

「ルフレ!!!」

 

「え・・・?」

 

ドヴァキンは咄嗟に叫び、ルフレは振り返り異形に気付くも既に遅く、異形は剣を振り下ろした。

 

だが、異形の剣はルフレには届かず、横から割り込む様に鋼鉄の剣が異形の剣を受け止めており、鋼鉄の剣が割り込んだ方向を見ると、そこには黒檀の鎧兜を纏った戦士風で体格からして青年と思われる者がいた。

 

「その人を傷つけさせはしない・・・!」

 

青年はそう言って鋼鉄の剣を振るって異形を斬りつけると、異形は叫び声を挙げて倒れた。

 

「・・・大丈夫ですか?」

 

「は、はい・・・助け貰ってありがとうございます」

 

「いえ、当然の事をしただけです」

 

青年はそう言うと、ドヴァキンの方を見た。

 

青年の視線にドヴァキンは僅かに殺気を感じとり、ドヴァキンは軽く身構えつつ青年に問う。

 

「・・・何だ?何をそんなに警戒している?」

 

「いいえ・・・ただ、恐ろしい鎧を着ていると思いまして」

 

「まぁ、怖いよな・・・デイドラの鎧は無駄に威圧感があるしな」

 

ドヴァキンは納得げにそう言うも、内心では青年は明らかにドヴァキン本人に対して殺気を出していたのだ。

 

長年、人間や異形に挙げ句の果てには機械等と多くの冒険の果てにそれらを戦って打ち負かしたドヴァキンだからこそ、青年の殺気の向けられた先を知る事が出来た。

 

ドヴァキンは青年を見定める様に様子を見ていると、青年が動き出す。

 

「私は他に行かなければならない所があるので・・・お気をつけて」 

 

「あッ、待ってください!」

 

ルフレの制止も聞かずに青年は走り出して行き、いなくなる。

 

「行ってしまいましたね・・・」

 

「気にはなりますが、クロム様達と早く合流しましょう」

 

ルフレとフレデリクはクロム達と合流する為に動き出した。

 

ドヴァキンは先程の青年の事を考えていたが先にクロム達と合流する為に走った。


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