「なあ、どうすればいい?」
私は目の前で蹲っている彼らに声をかけた。その数は3人。各々のがまるで別の世界からやってきたかのような出で立ちだった。
一人は変身ヒーローのような出で立ちで、カラーリングはものの見事な真っ赤だ。多分だが、リーダーか何かにあこがれているんだろうか。最も、そのご自慢であろう変身スーツは、エネルギー切れなのか、ボロボロの生身で転がっている。
その近くには、これまたどこかで見たような出で立ちの『美』少女だ。右手には先端がへし折れたスッテキもどきを握っている。少女の格好は、この世界で放送されている魔法少女の格好のまんまだ。まあ残念なのか知らんが、今の姿は18禁アニメやエロゲーのような、衣類が破れて半裸、なんてことはない。
そして最後の一人は、まあ主人公のライバルみたいな、世界を斜に見ているような顔立ちをした、いけ好かない少年だった。こっちはまさか、いきなりロボットなんて呼び出すなんて思わなかったから驚いた。まあ、そのご自慢のロボットもうんともすんとも動かない鉄くずに変えてやったけどな。『操縦者を真っ先に狙ってはいけない』なんてのはお約束でも何でもないんでね。
「なあ、教えてくれよ。こっから私は、君たちをどうすればいいのか聞いているんだ」
私は近くに倒れていた、変身スーツを着ていた少年に近づき、その首元をひっつかんで無理やり立たせた。うめき声が聞こえるが、知ったことではない。
「もう一度聞くけどさ。私は君らをどう扱えばいいんだ?捕虜にする?ナンセンスだ、私の家にそんなスペースはない。じゃあ放置する?ダメダメ、君らが事情を説明すれば私が捕まってしまう。君たちが先に襲ってきて、私は正当防衛をしたのにね。理不尽だよねぇ?君らを送り出した元締めに会いに行く?いやいや、そんなことをしたら私が殺されてしまうから無し。それに面倒」
空の右手で指折り数えながら、彼の前でその処遇を語る。その表情は、まるでいじめられっ子のように怯えてしまっているではないか!ああ、なんて可哀そうなんだ!
「そんなに怯えた顔をしないでよ。まるで私が君たちを虐めている悪役じゃないか。これでも私、平穏な生活を望んでいる、ただの一般人だよ?まあ、君らと同じ転生者というご同類でもあるけどね」
ニッコリ笑って右目でウインクもする。
「うん、残しておくと怖いから、やっぱり君らを殺すことにしたよ。私って君たちからしたら悪役みたいだしね。悪役は悪役らしく、望んだとおりの振る舞いをすることにしたわ。ね、本望でしょ?」
「た、たす……」
「あ?」
目の前の少年が何かしゃべっている。腫れた唇が痛むのか、風が吹くような音しか聞こえない。だが、その言葉の意味は理解した。
「助けて……ください」
「は?」
蹲っていた美少女魔法少女が、まるで命乞いをするような……って、命乞いじゃん。
「俺たちを、殺したところで、何も解決、しないぞ。むしろ、おまえを危険存在として、それこそ全力で対処することになる」
「へー」
おいおい、とうとう逆に脅迫してきましたよ。これって何なんですか?こっちが襲われそうになって、正当防衛を行ったら、まるで私を悪人としてきた上に、力による脅迫ですよ。
あはははははははははは………
「マジで笑えないわ」
私は手に持っていた少年を地面に放り投げた。
「本当はさ、これでも穏便にしてあげようかなーって思ってたの。ほら、殺人事件なんて起きるとご近所さん迷惑なわけだし。脅しとけばいいかなーってさ。でもさ、いまので気が変わった、マジで殺すわ。その後はお前らの後ろにいる奴等も全員磨り潰す。大口叩いた正義の味方が、勝てないからって悪役の前で命乞いなんてしてんじゃねぇよ」
私は
『はいはい待ちなさい』
その声に私はため息を吐いた。
「なに?」
『脅すにしてもやり過ぎ…じゃないわね。本当に殺す気だったようね』
「悪い?」
『悪いに決まっているでしょ。余計にことの問題を拗らせる上に、悪化までするわ。1人で戦争をするならご勝手に。あと力を使ったせいで周りの被害が甚大なのよ。流石に私でも誤魔化しが効かないっての』
「はいはいすみませんですー」
『………………』
ため息を吐かれた。
「それでどうするのよこいつら」
『記憶を消す』
「安直」
『殺すよりもマシでしょ』
ちらりと3人の方を見れば、いつの間にいたのか彼らの傍に小型の機械がいくつか浮遊していた。3人は突如現れた謎の機械に驚くと同時に、それらから放たれた電撃を一斉に浴び、すぐに気を失った。
『それでどうするのよ。もう私たちの居場所がバレちゃったけどさ』
「……引っ越す」
『どこに?』
「どっかに」
またため息を吐かれた。
『短絡的』
「自覚はしてる」
『考えなし』
「考えた結論」
『バカ』
「悪かったと思っている」
くだらない会話の果ては、結局ため息になる。
『彼らの記憶、消すよりも弄ることに決めたわ。ちょっと記憶を見たけど、まだ上に報告してないみたいだし。だから私たちについては何もなかったという嘘を、真実として記憶するように弄るつもり』
「記憶を弄るって悪役みたいね」
『実際悪役でしょ、わたしたち』
「全くその通りで」
クスリと笑った。