職場ではパワハラ兄家には自称小悪魔な姉、しまいには世界が滅びてるってもう終わってるだろ   作:睡眠欲求

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嵐の前の静けさ

「あ?なんて言った?」

 

「そう怖い顔をするなよ。入れ違いでシノアたちを原宿の任務に出したんだよ」

 

「・・・」

 

「お前の報告は聞いた。確かに、予想以上に吸血鬼の動きが速い。だが、危険かもしれないがシノアたちには比較的楽な区域を」

 

「そういう問題じゃない」

 

「いや、そういいう問題だ。いつまで過保護やってんだ?そんなに大事なら、箱の中にでも入れておけよガキ。それができな「・・・もういい」」

 

「分かったよ、確かにこの程度で心配していたら持たない・・・分かってるさ」

 

グレンの言うことは一理ある。この世界じゃあ、生き残るのには力がいる。シノアを守る人間が増えるのはある意味都合がいい。

 

「分かったら、もう休め。どうせ、数日後には新宿防衛には駆り出されるんだ。しっかり休んでおけよ」

 

「・・・今更なんだけどさ、一応俺上官だよ?」

 

「俺はお前より年上だ」

 

「・・・最後にシノアの部隊の人間の情報くれないかな」

 

「ああ、言うと思ってまとめてある。ほらよ」

 

そう言ってグレンは俺に一枚の紙を手渡す。そこには名前と簡単な情報が書いてあった。

 

「詳細な情報は自分で調べろ」

 

なんともグレンらしい、投げやりな資料だ。

 

「・・・ハァ~、帰る」

 

 

 

 

 

 

資料室にて

 

「大将、ここにいたのか」

 

調べ物をしていると連司の声がして、目線を上げた。案の定そこには軍服を着崩した連司がおり、横には深夜兄さんが笑ってこちらに手を振っている。

 

「連司、よくここに入ってこれたな」

 

「俺も一応、大佐なんでね」

 

そうは言いつつ、恐らく入ってこれたのは深夜兄さんがいたからだ。

 

「で?何の用?」

 

「おいおい、無視しないでよ~」

 

「・・・深夜兄さん、暇なんですか?」

 

「ひどい言い草だな~、もうそろそろお昼時だろ?久しぶりに弟と食事でもと思ってさ」

 

軽薄な笑顔は、裏表のない連司の笑顔と並ぶと実に対照的だ。

 

「胡散臭い」

 

「冷たいなー」

 

「大将もそんなに邪険にせずに・・・いいじゃなねえか飯位」

 

「・・・ハァ~、分かったよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「明日か明後日だってさ」

 

深夜兄さんがいきなり切り出す。

 

「何が?」

 

「新宿防衛作戦」

 

俺はうどんをすする手を止め、深夜兄さんのほうを見る。恐らくこれが目的だったのだろう。何が久しぶりに弟と食事でもっだ。やっぱり要件があるじゃないか。

 

「暮人兄さんから伝言でもあるの?」

 

「うん、今回はグレンの部隊と一緒に本隊の合流まで囮になれってさ」

 

「あっそ」

 

「また、貧乏くじですね、大将?」

 

「いつものことだ。連司、詩織と京時には伝えておいてくれ」

 

「了解ですよ」

 

「ところで、深夜兄さん。この俺の横にあるカレーは誰の昼食なのかな?」

 

「ん~それはね、グレンと小百合ちゃんの昼食だよ」

 

「グレン中佐と小百合少尉の?」

 

連司が不思議そうに首を傾げ、問い返す。確かにグレン本人がここにいないのに何故、グレンのカレーがあるのか?

 

「グレンは仕事で疲れたままこの時間に食べに来るから、小百合ちゃんに先に頼んでおいてくださいって頼まれちゃってさ。本当は自分で頼んで、用意してあげたいらしいんだけど忙しくてグレンと同じ時間にしか来れないらしくて」

 

「ふ~ん」

 

「ちょッ、大将?何やってるんですか?その右手に取ったタバスコは!?ま、まさかかける気じゃあ」

 

「隠し味だよ」

 

日頃の恨みも込めて、ビンいっぱいを丸々使う。

 

「うわぁ~、真っ赤なカレー」

 

引いているようで、実は声が弾んでいる深夜兄さん。実に楽しそうだ。俺もちょっと楽しい。

 

「さてこのままじゃバレるから、幻術で偽装しないとね。連司、やってくれない?」

 

「え゛?」

 

心底嫌そうに、否、面倒くさそうに眼を見開く。

 

「拒否権とかは・・・」

 

「「ない」」

 

「ハァ~」

 

連司は幻術で、真っ赤になったカレーを元の色に見せかける。凄まじい幻術の無駄遣いである。お偉いさんが見たら卒倒しそうである。

 

「俺はもう行くから、どんな反応だったか聞かせてね」

 

「任せといて~」

 

「行くよ、連司。ごちそうさまでしたっと」

 

 

「何で俺に幻術駆けさせたんですか?」

 

「共犯者にして、一緒に怒られるため」

 

「うわぁ」

 

 

数分後、悲鳴が食堂に響いたという噂を聞いた。グレンから俺が逃げ纏う日々が続いたのは語るまでもないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

東京 表参道

 

「おい、まじでおまえこの車動かせるのかよ?まじのまじ?おまえすげぇな」

 

「・・・うるさいぞ、おまえ」

 

与一さんが車を見つけたため移動手段として車を使おうとなったのですが・・・壊れていたため、今は君月さんが直している最中です。それを見てか、あの優さんが君月に対して称賛の声を送っています。いや~、珍しいこともある物ですね。私?優雅にお茶してますけど何か?いやほらこうゆうのは適任者がやるべきですし。

 

「いや、でも俺・・・子供の頃しか車乗ったことがねぇからさぁ。吸血鬼の都市は車なかったし、渋谷じゃガソリンが貴重だって車なんかほとんど・・・」

 

優さんが言っている間も君月さんは黙々と作業を進めていく。丁度その時車が動く。どうやら直ったみたいですね。

 

「お、直ったか。いけそうか?」

 

「ああ、問題ない」

 

優さんはどことなくワクワクした顔をしている。私もなんだかんだ言ってワクワクしている。

 

「ってか、あれかな?あの、俺もちょっと運転していいのかな?」

 

「はあ?その様子じゃおまえ運転出来ないだろ」

 

「いやでもさ、ちょっとだけならさ・・・」

 

「とにかく触るな。あとでちょっとなら運転教えてやるから」

 

その言葉にさらに優さんは目を輝かせる。

 

「お前、運転も出来んのかよ!まじですげぇな!!」

 

いや~、本当にこういう時だけ素直ですね優さんは。

 

ふと君月さんの方を見てみると・・・やっぱり照れてる。顔を少しばかり赤くしていた。本人もまさかこんなにも褒められるとは思ってなかったんだしょうね。

 

「い・・・いいからガキは後部座席に乗ってろ」

 

君月さんはお茶している私達に近づく。

 

「動いたぞ。これで新宿はすぐだ」

 

「あ、後ろ」

 

与一さんが君月さんの後ろを指さして言う。

 

後ろを見てみると車が大きな電柱にぶつかっているところだった。そしてその車はバックしてまた反対側にあった瓦礫にぶつかる。

 

「おまえ、何やっ・・・て!」

 

「うおぉ!!」

 

その車はこっちに向って走ってきたためそれには流石に驚き逃げる君月さん。

 

「てめぇ、ぶっ殺すぞ‼︎」

 

優さんは車から降りて自信満々な顔をして言ってくる

 

「いや、もう慣れてきた。乗れよ!俺が新宿連れてってやる!」

 

そして二人は喧嘩を始める。それを止めにみっちゃん。

 

「馬鹿やってないで、行くぞ。原宿での任務が終わったらすぐに新宿に来いと言われてるんだ。さっさと行かないと・・・」

 

「じゃー、シノア号かな乗ってさっさと新宿へ行きますか〜」

 

いや~、一回私も運転してみたかったんですよねー。ヒーちゃんは絶対に私を乗せてくれませんでしたし。

 

「みなさん、早く乗ってください。・・・・・・あれ?」

 

前が見えない・・・。

 

 

そんな私の様子に優さん、君月さんは喧嘩をやめてハハハハハ!と爆笑し始める。

 

 

「おまえの身長じゃ、無理だろ!」

 

「シノア、背小っちゃ!」

 

「あっはぁ、なるほど・・・とりあえず今笑った人は死刑にしましょう」

 

「「え」」

 

「「「うわぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ、結局緋色ってどんな奴なんだ?なんかすげーのは分かったんだけどよ」

 

車の中で不規則に揺られながら、優さんが唐突に質問してきました。

 

「ヒーちゃんですか?う~ん」

 

「バカ優、ちゃんと柊少将と呼べ。柊少将は最年少で少将になり、帝鬼軍の最高戦力と謳われているんだ。結構信者もいる。変なことを言えば消されるぞ」

 

「アハハハハ、ヒーちゃんに限ってそんなこと気にしないと思いますけどね~」

 

「シノアの弟なんだろ?実際どのぐらい強いんだ?」

 

「そうですね。少なくとも帝鬼軍でヒーちゃんに勝てる人間はいないんじゃないですかね?なんせ吸血鬼の貴族を唯一、単独で仕留めてますから」

 

「じゃあ、その緋色を倒したらグレンも俺をもっと前線に・・・吸血鬼を殺すのを止められなくなるってことだな」

 

「・・・バカ優」

 

「アホ」

 

「アハハハハ」

 

「何だと!?」

 

優さんの発言に、皆さん一様にあきれた反応をしていますね。まあ、分かりますけど

 

「あー、あとヒーちゃんはシスコンなんですよ~。それはもうお姉ちゃんが大好きで、夜も一緒に寝ようとするぐらいには」

 

「嘘だろ」

 

「アハ~、ホントなんですって」

 

信じようとしない優さん。まあ、嘘はついてないですよ。誇張はしましたが。ヒーちゃんは私に執着している。依存と言い換えてもいい。私にはあまりわからない感情だけど、初めて心の底から必要とされたのは少しうれしかった。

 

「最近は反抗期で、家に帰ってこないんですけどね~。何やら隠し事もあるみたいで、ハッ、まさか女ができたのでは!?」

 

「柊少将に限ってあり得ないだろ」

 

「まあ、童貞ですしね」

 

「・・・なんか、シノアの弟ってだけで可哀そうになってきた」

 

「優さん~、また痛い目見たいんですか?」

 

「・・・何でもない」

 

まあ、でも、何かとんでもないことを隠している気はするんですけどね~。

 

 




ifの話は、こちらが一段落してから投稿します。
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