職場ではパワハラ兄家には自称小悪魔な姉、しまいには世界が滅びてるってもう終わってるだろ   作:睡眠欲求

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これからの方針

「で、俺はお前が死んだと聞かされていたんだが?」

 

そういうことになっているらしい。基地に帰ってきて、最初に連司たちに会い化けて出たーと叫ばれたし。詩織には泣かれたし。まあ、無理もないか。普通に考えれば生きては帰れない。

 

「あははは、酷いですね。兄さん。命からがら逃げかえってきた弟にそんなセリフを吐くなんて」

 

「貴族二人相手に人間一人。普通に考えれば、考えるまでもなく人間のほうが死ぬ。だが、こうしてお前は生きている。何をした?」

 

「天見童子の力をフル活用して、狸寝入りしていただけですよ」

 

「・・・そういうことにしておいてやる」

 

「俺が死んだって話、どこまで伝わってるの?」

 

出来れば、姉さんには伝わっていてほしくない。シノアはあれで結構繊細な普通の少女だ。ただただ、心の壁が高いだけ。不感症の振りで、心を守っているだけ。作り笑いを張り付けて、意地を張っているだけだ。だから、俺が死にましたなんて話を聞いたら、きっと表に出さなくても傷つく。それは鬼を・・・四鎌童子を侵入させる要因になりかねない。

 

「安心しろ、今日中にお前が帰ってこなければ正式に発表するところだった」

 

「じゃあ、あいつらと兄さん以外は知らないわけですね」

 

「そういうことになるな。よかったな。シノアには知られなくて」

 

暮人兄さんは、俺の心情を見透かしたかのように笑う。

 

「・・・じゃあ、俺は帰るんで」

 

 

 

 

 

 

「行かせて良かったのですか?」

 

「ああ、問題ない。たとえあいつに何かが起こっていたとしても、シノアがいる限り俺に逆らうことはない」

 

「・・・もしもの時は?」

 

「もちろん殺すさ。裏切りは許さない。身内であろうと関係がない」

 

柊暮人は、部屋を出て行った弟を思い浮かべながら暗い笑みを浮かべて野望に向かって歩いていく。

 

 

帰り道、あの吸血鬼に言われた言葉が頭の中を滑っている。

 

 

「君は僕らの 同胞仲間だ」「君はまだ人間の血を吸ってないから完全には吸血鬼になっていない。まあ、でも渇きに君が絶えられるとは思わないけどね」

 

・・・あの吸血鬼の言うことを信じるなら、任務で吸血鬼を殺してその血を吸って置けば俺は人間のままで居られる。だけど、もし衝動に耐えきれなかったら・・・。

 

頭の中を不安が駆け巡る。

 

吸血鬼に協力して、貴族を殺す?命令もなしに外に出れば、怪しまれる。それも何度も何度も続ければ監視が着くだろう。

 

重圧に押しつぶされそうだ。どうすればいい?もういっそ吸血鬼にでもなってしまおうか・・・。

 

 

 

 

「あ、ヒーちゃん。おかえりなさい~!」

 

 

 

扉を開けると、珍しくシノアが待っていた。ただいま・・・本当はそういうはずだったけどそんな言葉は出てこずに俺はシノアに抱き着いていた。

 

「え、え!?ちょ・・・どうしたんですか?ヒーちゃんらしくないですよ?」

 

「・・・・・・・」

 

何も答える気力もなかった俺をシノアは腕を背中に回し、優しく抱きしめ返した。本当はダメだった。ここでシノアの体温を鼓動を温もりを感じて、安心してはいけなかった。シノアに勘づかせるようなことはあってはならなった。でも・・・仲間にも兄さんにも隠し、取り繕っても、シノアには・・・姉さんには無理だった。

 

ここで全部吐き出さずに済んだだけマシだったっよ。

 

「何があったのかは聞きません。ヒーちゃんが答えてくれると思いませんし。私がヒーちゃんにしてあげられることなんてこれぐらいしかないですから、つらいのならこのままでいいですよ」

 

何時になく優しいセリフだ。本当なら、甘えてこのままでいたい。暖かくて、甘い熱に身をゆだねていたが・・・これ以上はダメだ。

 

「・・・いや、ごめん。ちょっと疲れちゃってさ。ご飯は適当に済ませておいて。俺は寝てくるから」

 

ゆっくりとシノアの手を振りほどいて、俺は寝室に歩き出した。

 

シノアは追ってはこなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋の扉を開けえて、ベットに潜った瞬間白い空間に来ていた。

 

「随分と大変なことになったね」

 

「他人ごとだな。天」

 

「いやいや、一大事だよ。僕の宿主が人間をやめようとしてる」

 

「やめるつもりはない」

 

「どうかな。ただでさえ純粋な人間じゃない君に吸血鬼の血が混じった。もうどうなるか僕にもわからないよ」

 

いつもの含み笑いとは違う。真剣な表情だ。

 

「どうするのさ?はっきり言って吸血鬼の吸血衝動は尋常じゃない。幾ら君でも耐えきれるとは思えないよ」

 

「まるで昔吸血鬼だったみたいな言い分だな」

 

「・・・・・・・」

 

天の顔が苦虫を噛み潰したように歪む。

 

「この際、天の話は良い。吸血鬼に血を吸えば人間でいられるってのは事実かどうか・・・答えろ」

 

「事実さ。まあ、純粋な人間とは言えないけどね。吸血鬼ともいえない。ってとこかな」

 

「なら基本は変わらない。吸血鬼狩りをして、襲った吸血鬼の血を吸って取り合えず時間を稼ぐ。その間に俺が元に戻せる方法を探すって感じだ」

 

「・・・暮人を欺けるかな?」

 

「欺くさ」

 

「シノアのために?でも彼女、君の異変に気づいたようだけど?」

 

「何とかする」

 

そう言いながらも俺にはなんとかできる自信はなかった。

 

 

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