職場ではパワハラ兄家には自称小悪魔な姉、しまいには世界が滅びてるってもう終わってるだろ 作:睡眠欲求
学校
第二渋谷高校
渋谷は日本帝鬼軍の本部があり防備も硬く、壁に寄って囲われている。そのため、渋谷は安全と渋谷の中で暮らす人間はそう思ってる。本当に愚かなことだ。
で、この高校で俺が何をしているのかと言うと、ある人間の監視の任務を与えられたシノアの付き添いだ。
名前は百夜優一郎。日本帝鬼軍のメンバーで、一瀬グレンが四年前拾った少年だ。現在は、命令違反の為一ヶ月の謹慎処分として、この高校にいる。
二年間でかなり功績をあげた俺は少将になった・・・が、相変わらず兄さんには無理難題を言われる。まあ、実際は吸血鬼化した俺からすれば無理難題ではないのだが、普通に考えれば無理難題を吹っ掛けられているように見えるだろうな。
いつものように兄さんに呼ばれ、話を聞きに行ったら
「緋色、お前は今日からグレンの補助をしてやれ」
「?」
「補助ってのは名目で実際には監視なんだがな」
「監視?一ノ瀬グレンを疑っているのか?」
「ああ、あいつは何かを隠している。探ってこい」
っとまあ、意味の分からない任務を与えられて、一時的に一ノ瀬グレンの部下であるシノアと一緒にいるわけだ。
「なんで軍人の俺がこんな所に・・・」
小さな声でぶつぶつと文句を言う百夜。
教師はそんな百夜に気付き、注意する。
「おい!百夜優一郎!授業中だぞ!」
「フン」
だが、優一郎はそっぽを向き、反抗的な態度を取る。
「なんだその態度は!転校してきたばっかで緊張してるのかなって大目に見てやってるのに、あんま態度悪いと停学にするぞ!」
教師の言った停学という言葉に反応した百夜は机をバンッと叩いて喜ぶ
「マジで!停学にしてくれんの!お願いします!」
「喜ぶな!」
教師と言い合ってる百夜の背中をシノアが指で突っつく。
「あ?」
シノアはノートに何かを書くとそれを百夜に見せる。
『私は柊シノア。軍からの監視役です』
シノアはまたノートに何かを書き見せる。
『もしあなたが協調性の無さそうな行動をしたら軍に報告をして謹慎を延長することになってます』
「はぁ!?延長!?どういうことだよ!」
その文面を読み、百夜は声を上げて叫ぶ。シノアは面白そうに笑うと「協調性」とだけ言った。
すると彼は面白いぐらいに大人しくなり、席に座る。彼も大変だな・・・こんな平和ボケしたバカしかいない空間にいるのは苦痛だろう。
ちょっと彼に同情しながら俺は視線を外に向け、雲の数を数えながら退屈を紛らわせる。しかし、放課後までそうする気はなく、教科書を枕に寝ることにした。
目を覚ますと、放課後になっていて教室には誰もいなかった。
「マジか、誰も起こさないとか・・・どんだけ影薄いんだろ」
『緊急警報 緊急警報 全生徒及び職員にお知らせします 隣接している生体実験施設から吸血鬼が二匹脱走しました 吸血鬼は血を吸うと力を取り戻します 見つけても決して近寄らぬように』
けたたましい警報音と共に警告が流れる。どんだけずさんな警備網だよ。武装してない弱った吸血鬼が脱走できる環境ってヤバ過ぎるでしょ。
そんなことを考えていたら、窓が割れ何かが入ってきた。
「吸血鬼か・・・」
赤い瞳に白い髪。パッと見は人間と変わらない。
「お前の血をもらうぞ人間!!!」
「うるさい」
俺は今、鬼呪装備を持っていない。本来は戦うべきではないのだが、俺に関しては問題ない。この二年間吸血鬼の血だけをのんでいたおかげで、俺はまだ人間をやめてはいない。しかし、吸血鬼の恩恵を受けている。鬼呪装備がなくても貴族でない吸血鬼の攻撃など止まって見える。
「なッ!?」
「この程度か吸血鬼」
しかも俺はこの二年吸血鬼と戦い続けてきた。比べてこの吸血鬼は人体実験を受けてきた。経験の差は歴然だ。
「悪いけど、俺はお前を綺麗に殺す武器を持ち合わせてないからさ・・・ちょっと乱暴になるよ」
俺に攻撃をかわされ、動揺しているのを視界にいれ、呪符を取り出した。
「動くな」
呪符を張り付け、金縛りを発動させる。瞬時に吸血鬼は動きを止める。
「この程度の呪符で止められるということはやっぱり、かなり弱っているみたいだな」
そのまま、動けない吸血鬼に蹴りを放つ。まともに食らった吸血鬼は壁に激突した。俺が吸血鬼の血を取り込んでいることを悟らせないためにかなり手加減したが、それでも相手が人間ならば今ので終わっていただろう。しかし、腐っても吸血鬼。気絶することなく、数舜怯んだだけで再度向かってくる。
回し蹴りを顔に向かって放ったが、案の定腕を使って防御された。しかし、それで視界は遮られる。額に呪符を張り付け
「硬直しろ」
発動させる。
そして、さっきよりも高威力の正拳突きを叩きこんだ。
「吹っ飛べ!」
俺は、窓ガラスを割りそのまま外にはじき出された吸血鬼を視界に入れながら、後悔する。
やっちまった、下には一般人がいるんだった。
急いで、俺も飛び降り吸血鬼にとどめを刺そうとしたところでグレンの姿を視界に入れた。一ノ瀬グレンがいるなら心配の必要はなかったな。
「キーキーうるせぇんだよ、ヴァンパイア」
刀を抜き、吸血鬼を殺し百夜を助けた瞬間に着地する。もう一方の吸血鬼は花依 小百合がとどめを刺した。
「なんだその姿、お前アホか?抗吸血呪も掛かってない一般兵器で吸血鬼を殺せるわけねぇだろ」
「邪魔すんじゃねぇ。もうちょっとで殺せた」
「へー」
「本当だぞ!!」
「でもまぁ、今回はガキの割によくやった。お陰で犠牲は少なくすんだ。学校の友達を守ったな」
「・・・は?友達?興味ねぇよ。てか、俺の実力見ただろ!俺を月鬼ノ組に入れろよ!」
「やだね。俺、チームワーク出来ない奴嫌いだし」
俺のことは後回しなのか先に百夜とコントみたいな会話をしだした。百夜に至っては俺に気づいていないだろう。まあ、音もなく着地したのは俺だし、吸血鬼相手に戦闘していたのだから気づかないのも無理はない。
「そう言う中佐が一番チームワーク出来てませんよ」
「あ?なにか言ったか?」
「いいえ」
「とにかくシノアに伝言させた通り、お前は学校で友達作んなきゃ」
「友達友達ってうっせんだよ!んなもん吸血鬼殺すためにいら「百夜君無事だったんだ!」
百夜の言葉を遮り、気弱そうな男子生徒が彼に抱き付く。
「死んだかと思ったよおおおおおおおおお!!」
「ちょ、お前なんだよ!?痛い痛い痛いっ!そっちの肩脱臼してる・・・!?」
「・・・誰だ?」
彼らも見比べて、グレンが呟く。
「一応友達みたいですよ」
「えー、嘘だろぉ?」
百夜も気絶したし、そろそろいいか。
「一ノ瀬グレン中佐。久しぶりですね」
「これはこれは、柊少将。丸腰で吸血鬼を制圧とは流石ですね」
わざとらしく、称賛の声を上げる一ノ瀬。
「ハハハハ、お世辞はいいです。それより、しゃべり方を直してくれません?かなり、寒気がします」
「ハハ、相変わらず可愛げがねえガキだな」
「そうそう、そっちのほうがしっくりくるよ。グレン中佐」
「敬語が抜けてるぞ」
「アハハハハハハハ、俺のほうが上官なんで」
「生意気なやつだな。年上を敬えよ」
「やだな~、親しみを込めてタメ口なんですよ~」
「弟のヒーちゃんが中佐にタメ口ということは、私もため口でいいですよね~」
シノアは突然会話に乱入してくる。
「「何で?(だ)?」」
「え~、だって~、姉より偉い弟なんていませんしね~」
「・・・・・・・・」
どんな理屈だよ・・・。
「確認だけど、本当に百夜を入れるんだな?」
「ああ、非常に遺憾だがな」
そう言っているグレンの顔は、少し笑っているように見えた。