職場ではパワハラ兄家には自称小悪魔な姉、しまいには世界が滅びてるってもう終わってるだろ 作:睡眠欲求
「シノア。どれ位成功すると思う?」
百夜たちが契約を始めてから数分が経ち、そんな問をシノアに投げたその問にシノアは頬に指を当てながら答えた。
「うーん、三分の二でしょうか」
「早乙女か・・・」
百夜たちの方に目を向けたちょうどその時、君月は目が覚めたみたいだ。その手には二つの剣があった。しばらくして百夜も目が覚める。その隣には一本の刀がある
「ッチ、お前も成功したのかよ」
百夜は君月に向けていつもと同じように悪態をつく。
「当然だ。お前とは違うんだよ」
「んだとコラァ」
喧嘩が始まった瞬間、ドンッと早乙女が挑戦していた所の鬼の像が爆発する。
「あーあ、まじぃな。与一はやっぱちょい力が足りなかったか。でもま、《黒鬼》に挑戦して三分の二が成功は上々だろう」
「いったいどういうことだよ!!」
落ち着いた様子のグレン、その真逆の百夜。シノアのほうを見ると少し焦っていた。本人は否定するだろうが、俺にはちょっとした表情の変化でわかる。
「よし鬼呪装備も手に入れたことだし吸血鬼殲滅部隊月鬼ノ組での初任務をおまえらにやろう。優、君月。天井を見ろ人喰いの鬼が出たおまえら二人で始末しろ」
グレンの指の方向をに言われるまま見る。そこには早乙女を乗っ取った鬼が弓を持って座っていた。
「危険な人間は、皆殺しにしよう」
結界を張ろうとしたその瞬間鬼が弓を引く。そして一気に四発此方に向かって打ってくる。そのうちの一発がこっちに来る未来が見える。俺は実際に来たその矢を刀で打ち落とす。
「あーお前ら、追加の命令だ。おまえら鬼呪装備は手に入れたが契約したてじゃ使いこなせないだろ。だから鬼は呼びだすな鬼呪装備の基礎能力だけであの鬼を始末して見せろ」
「ってか殺せってどういうことだよグレン!与一は仲間だぞ!」
「はぁ〜?仲間?ありゃどう見ても鬼だろうが早く殺して楽にしてやれ」
「ざっけんな!!仲間殺せるわきゃねぇだろうが!!」
「生言ってんじゃねえ!!ここを何処だと思ってる?月鬼ノ組だぞ。あるのは修羅の道だけだ。それともてめぇは復讐ごっこでもしに来たのか!!」
らしくないことをするなと思う。情に厚いあの男が部下になk魔殺しを矯正させるとは・・・それだけ期待しているのか・・・それとも。
「・・・ぐ」
「殺されたきゃ好きにしろ止めねぇよ。だが与一はもう戻らない。てめぇが軍人だって胸張ってんならやるべきことをさっさとやれ」
百夜はくそがぁと叫ぶと鬼呪装備を手に取る。そして百夜たち二人は鬼に向かって攻撃を仕掛けた。
「グレン、俺が手を出すのは・・・アリかな?」
「なしだ。当たり前だろ」
鬼呪装備を使っている二人は身体能力が上がり動きがいつもと違って速い。だが、鬼は欲望を食ってなくてもそこそこ出来る。それに甘いあの二人では無理だろう。
優と君月は鬼を相手に押していた。が・・・やはり、二人は与一を殺す事が出来ない。
「与一正気になれ!鬼になんか負けてんじゃねーよ!」
百夜は必死に鬼の中にいる早乙女に向かって叫ぶ。だが鬼は矢を約10本以上同時に放ってくる。必死の呼びかけにも答えない彼の意識はもう鬼に食われかけているのだろうか・・・。
「俺はもう二度と仲間は見捨てねぇって決めたんだ!だから与一正気に戻れ!」
それは百夜の心の叫びだったように感じた。だけど、それでは足りないだろう。・・・何を言えば、彼の心に届くのか未来視で見ることは可能だ。でも・・・俺はそれをやりたくなかった。
心に届かなくても百夜はずっと叫び続ける。早乙女が帰ってくることを祈って、それでもその願いは届かない。
「うるさい、死ね」
早乙女はなお百夜を攻撃する。
その様子にとうとうシノアが口を出した。
「グレン中佐、状況と意図が見えません。これは少しやり過ぎじゃないでしょうか?」
「ああ?」
「彼等に与一さんを殺させるのを止めさせてください」
「ふぅん、いつもクールな割にあいつらには優しいんだな。ならお前が与一をやれよ。それであいつらを罪悪感から守ってやれ」
シノアはグレンの物言いに答えない。グレンはその様子を見て言う。
「なんだよ、お前も手を汚したくないのか?初めて可愛いとこ見せたじゃねぇか」
俺は溜息を吐き、刀に手を掛ける。
「・・・シノアがよくて俺はダメなのか?グレン中佐。鬼を始末したいのなら俺がやるよ」
「・・・チッ。お前は部外者だ。これは俺らの問題だ」
「苦しいね。本当は早乙女を諦めきれないんだろ?黒鬼シリーズに挑める人材だからか?それともこれまでのかかったコストに見合わなくなるからか」
「緋色・・・少し黙れ。お前こそなぜそこまで頑なに介入しようとする、そんなにシノアが大事か?」
「論点をすり替えるなよ」
「お前らも皆殺しだ!」
俺らが話しているうちに、その言葉とともに鬼は弓を構える。百夜は何か決意した顔で剣を捨てた。
「やれよ。俺は仲間は殺せない。そして与一も・・・おまえも俺を殺せない!おまえが俺と一緒なら目の前で家族を喪ったんなら仲間を殺せるわけないんだ‼︎だから早く目を覚ませよ!!馬鹿与一っ!!」
早乙女が弓をギリギリまで引く。矢を放つその瞬間グレンは叫んでいた。
「おい!与一!てめぇはまたベッドの下で家族が死ぬのを見てるつもりか!いいからさっさと出てきて仲間を守れ!!」
早乙女は弓を引き矢を放つが、それは優の顔の横を通り過ぎる。そして与一は泣きながら優に抱きついた。
「・・・驚いた、あの状態から戻ってこれるんだな」
「・・・」
「やっぱり、甘いね。グレン」
「うるさい黙れ。俺は別にガキがどうなろうがどうでもいい」
ここぞとばかりにシノアがグレンを揶揄う。
「その割には大声で叫んでましたよね~。さっさと出てこいとか仲間を守れとか言って」
「死ね」
「でもその甘さが嫌いじゃないよ」
「・・・クソガキ」
グレンは俺の横を通り過ぎ、早乙女に話しかける。
「お前には才能がある。なのに姉貴を助けられなかったことに負い目を感じて生きる欲望が足りてない。だが今日それを見つけられたろ?おまえが生きる理由は今日おまえを助けてくれた仲間を守ることだ。復讐?んな小さいもんにとらわれんな」
「・・・」
「ここにも家族はいる」
グレンがそう言うと、百夜は全員の顔を見渡す。
「復讐なんかに命賭けるぐらいなら、今の家族を守ることに命賭けろよ」
「・・・うるせぇよ」
百夜が小さくそう言う。
「さて、鬼呪装備も手に入れたことだし、チームワークっぽいこともできたし、一回前線に出てみっか」
「前線!?」
「関西方面の吸血鬼が新宿奪還を計画してることがわかった。それの調査にな」
「じゃあ吸血鬼狩れるのかよ!」
「い、いきなり!?」
「ちょっとは休みとか無いのかよ」
「・・・アハハ」
四人はそれぞれの反応を示す。俺はそれを見ながら、暮人兄さんの報告を思い出していた。
新宿に吸血鬼の貴族らしき人物を見つけたっという監視からの調査報告。少し探ってみるか。
告知
近々、この小説のifルートを掲載します。たぶん。気力があれば・・・。
3話目で、緋色が日本帝鬼軍に帰らずそのまま吸血鬼陣営で戦っていく話です。