英雄の卵たち   作:ペーダソス

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1話

 

 

 ヘラクレス───今はアルケイデスになっている───との殴り合いからそれなりの月日が経った。

 

 孤児院にアルケイデスが加わって一緒に武を競いあったり、下の子どもたちの面倒を見たり充実していたが……。

 

 

 ある日、魔剣と龍の神器を持った少年と聖剣の神器を持った少女と癒しの神器を持った少女が孤児院に来たことで自身がやりたい事が見つかった。

 

 悪魔、天使、堕天使の三勢力に虐げられた人を……仲間、家族を護る槍となる事だ。

 

 

 やりたい事が見つかって直ぐに孤児院の同年代の奴らと話し合った結果、ヘスティア義母さんと他神話から数名の神々に後ろ楯になってもらい、聖書の三勢力によって家族を喪った子ども又は神器持ち、無理矢理転生させられて逃げてきた悪魔の保護、後ろ楯になってもらった神から無理のない範囲の依頼を受けたりする組織が出来た。

 

 

 

 組織の名は『英雄の卵(ヒーロー・エッグ)』。アキレウス(オレ)やアルケイデスは確かに英雄の魂を受け継いでいるが、本人ではない。英雄と呼ばれたのは前世であって、現在()のオレたちではないからだ。

 

 『英雄の卵』のリーダーは三国志の英雄曹操の子孫である《曹操》だ。

 曹操とは、仲間探しをしていたときに会ってからの付き合いだ。ぶっちゃけるとテロリストか、て言いたくなるくらいの考えを持っていたが、伝家宝刀『殴り合い(話し合い)』で説得して仲間になった。

 

 組織の一部の者───英雄の魂を受け継ぐ者と英雄の血を受け継ぐ者───は英雄の名前をそのままコードネームとしている。

 

 そして組織と協力関係になった神話から本()たち曰く面白そう(ボランティア)でやって来た暇をもて余していた武闘派たち───斉天大聖、アーレス、テュール、カーリー、スサノヲ───によるスパルタ修業が所属神話の若い衆も巻き込んで盛大に行われた。

 

 

 

 そんな阿鼻叫喚に巻き込まれた縁で仲良くなった者が『英雄の卵』に所属していたりする。後、定期的にスパルタ修業は行われており非戦闘員以外はボロボロにされている。

 

 

 

 

 

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 ────『英雄の卵』本部会議室。

 

 

 

 備え付けられた円卓を囲む数は五。

 

 リーダー(代表)兼事務の曹操。

 幹部兼近距離戦闘班部隊長兼運搬班のアキレウス。

 幹部兼中距離戦闘班部隊長兼保父のアルケイデス。

 支援救護班部隊長兼調理班のアーシア・アルジェント。

 冥府から『英雄の卵』所属になった近距離戦闘員兼掃除班庭師のベンニーアだ。

 

 

「今回は少数精鋭って事か…それで今回受けた依頼はあの骸骨(ハーデス)様からだったけか?」

 

「その通りだよ、アルケイデス。堕天使の幹部であるコカビエルに盗まれたケルベロスの回収が仕事だよ、一応ね」

 

 アルケイデスの言葉に答える曹操。

 冥府の神ハーデスからの依頼ではあるが、ハーデスは偏屈と呼ばれている事から何かしらの思惑があると分かっている為か最後に『一応』が付いている。

 

 

「骸骨様の事だから聖書の三勢力、今回の場合ならケルベロスの強奪と殺しで堕天使と悪魔を強請(ゆす)るネタにするんじゃねぇ?その辺どうなん、ベンニーア」

 

《う~ん、たぶんでやんすがアキレウスが思った通りだと思うっすよ?ケルベロスが生きていればそれで良いでやんすが…まあ、ハーデス様ですし…嫌がらせできればそれはそれでって感じでやんしょ?》

 

「それじゃあ私が今回行くのは傷ついたケルベロスを治療するためですか?」

 

「そういう事。今回、俺はあの書類の山を減らさないとヴァルトラウテから催促が来ちまうからよろしく頼むよ。ま、アキレウスとアルケイデスがいればコカビエルなんて瞬殺出来ると思うから心配なんかしないけど気をつけて………ああ、後、アーシアは頑なに携帯を持たんあのゲオルク(霧メガネ)に連絡して、コカビエルが向かった駒王町に跳んでくれ。……何か質問は?」

 

「フリードはどうすんだ?」

 

 

 北欧から来てくれた戦乙女のヴァルトラウテはアドバイザー兼曹操の秘書として組織に在籍しており、生真面目秘書による書類地獄に眼から光が消えかけている曹操に質問をする。

 

 《ジークフリード》の片割れフリードは、『英雄の卵』の中でも特殊な仕事、潜入・諜報の仕事をしている。今は堕天使組織に潜入調査を行い、情報を此方に流している。

 コカビエルが駒王町に行った情報があるのはフリードのお陰だ。

 

 

「ああ、フリードは逃がしてくれ。フリードにはそのまま『禍の団(カオス・ブリゲード)』の潜入調査をしてもらうつもりだ」

 

「うわぁ~……続投かよ。フリードの奴大丈夫か?」

 

 

 アルケイデスに心配されるフリード。………まあ、他人から観たらほぼブラック企業と感じるだろう。まだまだ組織の人数が少ない為に兼任ばかりだし、素人集団と然程変わり無い。

 

 次の潜入先の『禍の団』は聖書の三勢力に対する反対勢力で組織されているとのこと。どんだけ不満が溜まってたんだろうか。

 

 

 

「一応休暇は上げてるから大丈夫のはずだ。念のためにジークにジャンヌ、リナルド、コンラ、ルフェイ、黒歌、風魔、張飛、モードレッドも潜入させるからフリードの肩の荷は軽くなるさ」

 

「ぅおいぃ、待てや曹操ォ!それだと組織の幹部と部隊長がごっそり居なくなってんじゃねぇかッ!!」

 

《そうでやんすよ!それってあっしらに絶対皺寄せが来るパターンでやんすよ!》

 

「そうだぜ、曹操!後、二、三人減らすか人選変えろよ!ただでさえガキ共の世話してんのに仕事増やす気か!」

 

「うぅ…掃除班に洗濯班、買い物班、教育班。教育班以外はフォロー出来ますけど……」

 

 

 それぞれの言いたい事を言ったが、アーシアが言う通り教育班以外はフォロー出来る。そもそもオレたちの大半は学校にまともに行った事がないから教える物がないからフォロー出来ないのである。

 

 

 

 そして会議室にため息の音だけが木霊(こだま)した。

 

 

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