英雄の卵たち   作:ペーダソス

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小説タイトルを変更しました。


2話

 

 

 

 ブゥー…ブゥー…ブゥー…。

 

 ため息をした後で静かになっていた会議室に携帯のバイブ音が響いた。自分の携帯だと気づき直ぐに確認する。

 

 

「あれ、アキレウス。もしかしてその携帯…プライベート用のを買ったのかい?」

 

「まぁなぁ。仕事とプライベートは分けたくてなぁ……曹操はプライベートの時間をもう少し増やした方が良いんじゃねぇかぁ?……その内過労死するぞぉ」

 

「……ああ、そうするよ。ヴァルトラウテに相談しないとな……あの書類地獄を抜けれるか分からないが……。おっと、俺の携帯にもメールが……」

 

 

 曹操の社畜具合いを確認しながら携帯を操作する。

 

 メールの相手は……どうやら少し前に出会ったメル友からだった。メル友だけど喫茶店でお茶をしたり、相談事や愚痴を言い合ったり、情報交換するぐらいの仲だ。

 

 メールの内容を確認して勢いよく立ち上がってしまった。同じく曹操も立ち上がっていた。

 曹操の顔を見たが少し険しい表情になっていた。どちらかと言うと常に笑みを浮かべたポーカーフェイスなので表情が変わるのは珍しいと言える。

 

 

「曹操さん、アキレウスさん、どうしたんですか!?」

 

《もしかして…コカビエルが動いたんでやんすか?》

 

「ああ、フリードからコカビエルが魔王の妹とその眷属たちと駒王学園で戦いをおっ始めるらしい。アーシアは直ぐにゲオルクに連絡を、アキレウスのメールも同じか?」

 

「おう、ほぼ同じ内容だ。メール相手はオレの事をフリーのはぐれ狩りだと思ってるからな。コカビエルを倒すのを手伝ってほしいっていう連絡だ」

 

 

 メール相手には、オレは駒王町の近くに住んでるって言ったから即戦力として来て欲しいのだろう。オレに連絡を送るってことは援軍が来るのが遅い、若しくは来れない可能性があるからか……。

 

 

「おい、アキレウス。そいつに組織(俺ら)の事言ってねぇのか?……て言うかどんな感じで出会ったんだよ」

 

「まぁ、初めて会った時はまだ組織は枠組みしか出来てなかったし…あの娘を暴漢から助けたっていうありふれた理由だよぉ。……それよりも中庭に移動して霧メガネを待とうぜぇ」

 

《結構露骨に話しを切ったでやんすね~》

 

「あのコって事は女の子か…アキレウスにも春が来たのかぁ」

 

 

 

 

 …………うっさいっての。

 

 

 

 

 

 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■

 

 

 

 

 

 

「仕事だ。出てこい、ゲイル」

 

 

 中庭に着いて直ぐに自身の神器を呼び出す。

 

 オレに宿ったのは独立具現型神器で名称は『蒼嵐の蛟(サファイア・スネイク)』。能力はいたってシンプルで水と風を操れる事。後、二十メートルぐらいの長さまで大きくなれる。鱗が蒼玉(サファイア)の様に煌めいているのが特徴的だ。

 

 (みずち)と呼ばれる蛇の化け物で龍の様な見た目だが、蛇だ。そう、龍ではなく蛇である為に龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)の効果の対象外なので初見殺しを狙える。脚が無くて腕だけは生えているから普通に見たら高確率で誤解するだろう。

 

 

 関係無い話だが、アポプスと八岐大蛇とヴリトラ、グレンデルは何で龍に分類されているのだろうか……。伝承の通りなら蛇のはずだ。アポプスとヴリトラは百歩譲って龍で良いけど、八岐大蛇……名前に大蛇ってなってんのに何でだ?それにグレンデルって巨人の類いだと思ってたんだがなぁ……。伝承と実際の乖離が大きい事に驚いたのが懐かしい。

 

 

 

 

「ほら、みんなゲイルの背中に乗れよ。転移して直ぐに戦闘になるだろうからなぁ。しっかりと掴まっておけよ」

 

「おう」

「はい!」

《はいっす》

 

 ゲイルの背中に乗り別空間に容れているメイン武器である槍の中で最も攻撃性能が高い槍を取り出しメンバーが後ろに乗ったかを確認する。

 木製の弓と矢筒、片手斧を持つアルケイデス、シスター服の上にガントレットを装備したアーシア、死神(グリム・リーパー)の正装と鎌を持つベンニーアがゲイルの背中に乗り背中に生えている毛を掴んでゲオルクが来るのを待つ。

 

 

 ────が、一分も経たずに紫の霧が現れ眼鏡の下に見える隈と無精髭を生やした男がやって来た。

 

 幹部兼後方魔法支援部隊長兼研究班兼運搬班のゲオルクだ。『英雄の卵』内で最も多く兼任している者の一人であり、上位神滅具(ロンギヌス)の一つ『絶霧(ディメンション・ロスト)』の所有者だったりする。

 

 運搬班である理由は、所有している『絶霧』には転移能力が備わっているからという分かりやすい理由だ。

 

 今回の様な任務が無ければ一日の大半を研究室で過ごしており、身だしなみを気にしないほど魔導具などの研究に没頭している。兼任の意味がほぼ無いと言っても過言ではない。

 

 

「全く、任務があるならとっとと連絡を寄越せ。研究に費やす時間が減るだろ」

 

「だったら携帯持てよ。魔法使える奴じゃねぇと連絡取れない取らないって舐めてんのかぁ?いや、舐めてやがるな。よし、取りあえず…この槍をお前の研究室に投げてやろうかぁ?」

 

 

 そう言って槍の力を少しだけ解放すると、先端から紫電が発生する。

 それを見たゲオルクは顔をしかめて渋々携帯を持つことを了承する。

 

 

「はぁ、分かった。携帯を持つからその槍の解放は止めろ。アキレウス(お前)の持つ槍の中でも数少ない本物(・・)だろそれは……。被害想定をもっと考えろ明らかに俺の研究室以外も吹っ飛ぶ」

 

 

 一応言質を取ったので槍の解放を取り止め紫電を消す。

 

「では、今からお前たちを駒王学園の上空……グラウンドの上辺りに転移させるから後は自分らで対処してくれ」

 

 

 ゲオルクの言葉に耳を傾けながらゲイルの身体に触れ力を込めて、転移して直ぐに攻撃されてもダメージが少ない様にしておいた。

 

 

 紫の霧に包まれ、包まれた霧が消えて眼に映ったのは、倒れ伏しているケルベロスを背に聖剣らしきを持っているフリードが金髪の悪魔と戦っている所だった。

 

 

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