英雄の卵たち   作:ペーダソス

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3話

 

 『絶霧』の転移で駒王学園に到着して直ぐに行動を開始する。グラウンドには悪魔数人と教会の戦士とフリードが金髪の剣士と対峙しているのを見てメンバーに指示を出す。

 

 

「アーシアとベンニーアは降りてケルベロスの治療とその護衛、アルケイデスは弓矢で敵への攻撃と牽制、オレはケルベロスを移動させる!異論はっ!」

 

「ねぇよっ!」

「ありませんっ!」

《無いでやんす!》

 

 

 アキレウスが指示(命令)を出しているが本来は曹操が指示をする事になっている。その曹操は書類地獄で滅多に現場には出向けない。その為、スパルタ修業の時ぐらいにしか今の所は生かされていない。……事務仕事の指示は充分生かされている。

 

 現場に来れない曹操に変わって現場に向かう部隊長は部隊を動かす為に自然とその指示能力が上がる事になっている。一部当てはまらない者も若干名いたりするが……。

 

 

 アキレウスはそのままゲイルに乗ったままグラウンドを横断していく。光の槍が上空から放たれていたが、アルケイデスの持つ弓の力で増えた矢がアルケイデスの神器の能力の爆発を付与され、矢が爆破し槍を砕いていく。

 

 

「ゲイル、ケルベロスを尻尾で持つか口に咥えて運べ。まだ、辛うじて生きてるからなぁ。……ってかさっきから光の槍ウゼェ……な、とっ!」

 

 

 矢の爆発を逃れた光の槍を持っていた槍で砕く。武神のスパルタ修業に付いていっているアキレウスらにとってはこれぐらいは軽いジャブ程度にしか感じない。武神が槍を投げる速さは修業時は亜音速がデフォルトである為か、アキレウスはしっかりと視認して対処できる。

 アキレウスはゲイルから降り、アルケイデスの方に向かって声をあげる。

 

 

「おい、コラァ、アルケイデス(偽筋野郎)!なに撃ち漏らしてんだよ。その弓使ってて外すって下手くそかっ!『剛爆(ごうばく)』の二つ名が泣くぞぉ!」

 

「うるせぇんだよ、アキレウス(鈍足野郎)!あんな()っせぇ槍程度でガタガタ言うんじゃねぇ!んなこと言う暇があんならとっととケルベロス運べ!テメーこそその槍と『穿蛟(せんこう)』の二つ名返上しろやっ!」

 

 

 売り言葉に買い言葉。組織結成前からの仲による気安さからか分からないが、アキレウスとアルケイデスが争うのは然程珍しい事ではない。二つ名は小さい子どもたちが日本文化を齧った結果、厨二病っぽくなった子が言っていたのを使っているだけだ。決して自分たちから言ったわけではない。

 

 

 

「盗っ人烏よりも先にオメェーからぶっ倒すぞ!」

 

「面白れぇ、だったら盗っ人烏よりも先にテメーを月までぶっ飛ばしてやる!」

 

 

《いや、何で戦場のど真ん中であんたらが喧嘩するでやんすか!?》

 

 

 組織に入って日が浅いベンニーアからの当たり前なツッコミがグラウンドに響いた。因みにアーシアは苦笑いを浮かべながらゲイルが持ってきたケルベロスの治療をしている。

 

 

 

「………貴様ら、今何て言った」

 

 

 上空で偉そうにふんぞり返っていた堕天使のコカビエルがこめかみに青筋を浮かばせて苛立ちながら問いを投げる。

 

 

「ああ?ああ……おいアキレウス(鈍足野郎)面倒だからお前が何とかしろよ。今のメンバーのリーダーはテメーだろ」

 

「……チッ、わぁーったよ。おい、そこの盗っ人烏。何で盗っ人烏かって言ったら…冥府からケルベロス、教会から聖剣を盗んだからに決まってんだろ?依頼人もお前らの事は烏って言ってるしな」

 

「何だと……そうか、貴様らの依頼人はハーデスか!あの骸骨風情が……」

 

 

 一人でぶつぶつ言っているコカビエルを一瞥した後、アキレウスはアルケイデスとの会話を続ける。

 

 

「どうすんだ?別段、アレを倒せとか言われてないしよぉ……おっと」

 

「そうなんだよなぁ……ケルベロスの回収しか言われてないし……ほいっと」

 

 

 アルケイデスは当たる前に神器『巨人の悪戯(バリアント・デトネイション)』の爆破で光の槍を破壊し、アキレウスは手に持つ魔槍で破壊する。

 

 そして、攻撃相手に向かって────

 

 

「人が喋ってんのに攻撃か……てかアキレウスもう良いよな?」

 

「おうよ。今のはオレもイラッてきたからよぉ……ゲイル」

 

 

 ケルベロスを運び終えたゲイルが所有者の意図を汲んで近づく。

 

 

「ふん、神器を持った人間風情が調子に乗るとは愚かだな。このまま俺が貴様らを殺して───」

 

 

「「禁手化(バランス・ブレイク)!!」」

 

 

 コカビエルが言葉を言い切る前に二人は禁手(バランス・ブレイカー)を発動させる。

 

 

禁手(バランス・ブレイカー)深淵に哭き回帰する蛟龍人(アビス・レヴォリューション・ドラグーン)』!」

 

禁手(バランス・ブレイカー)超人による星砕く一撃(デトネイション・マイティ・メテオ)』!」

 

 

 

 アキレウスの禁手は、アキレウスの身体と独立具現型神器の蛟が一体化した姿だが、蒼玉に輝くその鱗は黒が混じり不気味な色合いになっている。これは神器の深奥でゲイルと魂を合わせた結果であり、辛うじて人の形をしているが表面上は全て蛟に置き換わっており、既に本来の身体の四分の一は蛟の身体に変異している。

 本来の禁手は黒くなかったが深奥で魂を合わせた事で後天的に亜種化し、新たに〈回帰〉の能力を行使出来る様になった。

 この状態だと空中を足で駆ける事が可能になり、北欧の神から預かった魔槍『ブリューナク』の投擲したら雷になる特性を生かして、大気中の水分と風を操り確実に敵を貫く一撃に変貌した。

 

 

 

 アルケイデスはその禁手に至る前に考えた。武神に修業を見てもらっているが、奴等でさえ防御しなければ命を落とすかもしれない一撃がどうすれば出来るかを色々調べ見つけた〈圧縮〉という文字。そこからヒントを得たアルケイデスは至った 。

 爆発の力を高密度に圧縮させた一撃を矢の形にする事で、北欧の神から預かった弓『イチイバル』の放った矢は十倍になる特性によって龍王、魔王クラスでも掠っただけで重症になるかもしれないモノとなった。

 弓が無くても禁手化する前の状態のように身体から放つ事も可能。

 

 

「ほう……既に禁手に至っていたか。悪魔の赤龍帝や聖魔剣、デュランダル使いよりも楽しめそうだ。さあ、来い人間ども俺を楽しませろ!」

 

 

「楽しませろ?(わり)ぃが今からやんのは……一方的で理不尽な蹂躙だ」

 

 

 アキレウスとアルケイデスはそれぞれの得物(武器)を構え、力を解き放った。

 

 

「ブリューナク!」

「イチイバル!」

 

 

 勝負は一瞬で、一方的に、理不尽に決まった。

 

 解き放たれた雷の魔槍は堕天使の左肘から下とその後ろにあった黒翼を焼滅させ、投擲者の手元に回帰し収まった。

 

 魔弓から解き放たれた爆発を圧縮させた矢は堕天使の右肩から下とその後ろにあった黒翼を消滅させ、張られていた結界を破壊し夜の闇に消えていった。

 

 

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