串刺し公は勘違いされる様です(是非もないよネ!) 【完結】 作:カリーシュ
すまない。 今日ハロウィンだからイベ回にしようと思ったけど、ストーリーが全然進んでなくて、書けなくてすまない。
取り敢えず、本編、どうぞ。
始まりの町を出て早十分。
現実とリンクでもしているのか、やけに早い日没に焦りながら、もう飽きる程見たフレンジーボア……長いな。 猪でいいや。 猪の鼻面に槍を刺し、怯んだ所で蹴り上げ→振り下ろしで叩き潰す。
あっさり吹っ飛んだゲージを眺めながら、内心深々と溜息を吐いた。
――ヤベェ、極振りし過ぎた。
だからアルゴとは真逆、
うん。 あれだ。
致命的に足が遅い。
両手槍をモンスター刺さったままブン回せた時はちょっと心躍ったが、穂先を
これならちょっとは
そいえばヴラド三世はウロブチランサーだったネ! ちくしょう
パッキーン言って中身が地面に沁みてった時のなんとも言えない虚無感が、貴様らに分かるかぁぁぁぁぁ!
気がついたら奥の方に
ハッハー! 一瞬実付き花付きがどーのこーのって記憶が戻った気がしなくもないけどワンパン出来るならカンケーないな! うん! 決してコペナントカサンのこととか思い出して罪悪感マッハだとか、そんなことは――
…………ちゃんと
というか言い訳みたいになるが、なんでわざわざ敏捷値を上げないと素早さが上がらないんだ? 『そういうシステムだから』と言われればそれまでだが、現実では速く走るには当然相当な筋力が必要だ。体力にしろ筋力にしろ敏捷にしろ、それぞれは密接に関わっている。 何かしら、例えば一定値ごとに全ステ数値上昇とかのボーナスでもあったりするのか?
……ここで考えても仕方ないな。 まずは自分たちがこの状況を生き残らなければ。
さっきのキモ植物は森以外ではレア敵扱いなのか、視界に映るのは猪と狼だけ。
いつの間にか赤一歩手前まで減ってたHPゲージに軽くビビりポーションを取り出すも、さっきのパッキーン事件(今命名)のトラウマが蘇る。
でも狼も飛び掛かりの溜めに入ってるし………えぇい! まず貴様から片してくれるわぁ!
飛び掛かりをパリィするのにと、両手をフリーにする為に手に持ってたポーションを咥えるべく口元に放r
パキッ
イテェェェェェェェエエエエエ?!? 何事?! 敵襲!? てか敵前前前!!
完全にパニックになりながらも石突きで跳ね狼の顎を打ち上げ、ついでに後ろで順番待ちしてた猪の両目を
鏡代わりに槍の穂先に写し――
耐久値がもう無いのか曇ってたから『目がぁぁ』してる猪のドタマにブチ込んで、新しいのをストレージから引っ張り出して確認。
うわダメージエフェクトで真っ赤やん。 また瓶割れたんか。
でも結果論だけど、回復ポーションは中身さえ摂取しとけば方法問わずみたいだな。 それが知れたのはラッキーだ。 いざって時は味方の顔面にポーション投げつければそれだけで援護になるってことだからな。
――さてと。 なんやかんや精神的に非常に疲れたが、ホルンカの町はもう見えている。
敵も槍ブンブンしてる間にパッと数えられる程度しかいなくなってるし、とっとと片付けるか。
猪の突進を極振りSTR値に任せて足で止め、槍で一閃、現実なら延髄を垂直に切断してポリゴンに還し、噛み付いてくる狼は右袈裟斬りにして怯んだ所に踏み込み、左袈裟斬りで心臓部斬って始末。
背後の面子にグロ植物(本日二体目)が溶解液吹いてるのを投擲で撃墜、そのまま奴に刺さったから掌底で深く突っ込んでやってトドメ。
さて次はと振り返れば、残りはクライン達が十数人掛かりでボコったらしく、全滅してた。
……一人くらいこっちの援護にまわしてくれてもよかったんだぞ?
内心ちょっとショックを受けながら、ホルンカの門を潜ると、「疲れた」等の呻き声を上げながら座り込むメンバーたち。
すまない。 敏捷値がクソで本当にすまない。 アレ多分普通に振ってれば三十分ちょいで着く距離だったね。
……ま、メンバーから死人は出てないし、その分モンスと戦えて経験値やアイテムが手に入ったんだから、よしとしとくか。
「……皆、よくやってくれた。 汝らの奮闘が、この結果をもたらした」
「あー、それはいいんだけどよ。
その、口元……」
あ、忘れてた。
さっきと同じように穂先を鏡代わりにぷっちぷっちとガラス片を引き抜くと、圏内なのもあって直ぐに元通りになる。 あってよかったペインアブソーバー。 無ければ拷問だった。 つか継続ダメージ扱いだったんだ
微妙に締まらない空気の中、目的を達成したのと、普通に遅い時間帯なのもあって、自然解散となった。 クラインとフレ登録出来たのが今日一番の収穫だな。
取り敢えず今日は俺も休むとするか。 試してみたいこともあるし、泥素材の換金やステ振りはその後でもいいだろ。
それでも一応流しでは見るかと、ストレージを開くために右腕を上げかけた所で、声をかけられた。
「すぃまっせ〜ん。 アンタが『ヴラド』ですかぁ?」
………誰? この
後ろの奴は兎も角、手前のフリード君(仮)は性格ブッ飛びキャラに似てるのもあって、念には念をで槍を握る手に僅かに力を加えながら応対する。
「………貴様らは?」
「オレは『ジョニーブラック』。
んでコイツが『ザザ』。 なんでも、オタクの演説が効いたらしくてよぉ」
「…………………」
「ぁ? もしもーし?」
……あぁ、フリード君(仮)じゃなくて、(オブラートに包んで)フリード君だったか。
こりゃ失敬、HA☆HA☆HA!
………………………………………
なんで貴様らやねん。
思わず思考が止まっちまったじゃんか。 どうやら神サンだかアラヤだかはよっっぽど俺が嫌いらしい。
つかなにこの急展開。 ここでこいつらコロコロしろって啓示なの? 殺っちゃうよ? 色々連チャンで来すぎてテンションがハイになってる今のオジサンならつい殺っちゃうよ??
待て待て待て待て。 ヘタにコロコロすると後の展開が読めなくなる。 特にGGOとUW編はコイツらが原因で物語が始まる訳だし、それに確かメイビーコイツらの殺害人数は足しても50前後程度だったハズ。 後を考えればワンチャンもっと死者が出てもおかしくぬぇ。 超アバウトケリィ式天秤でコイツらは見逃しケッテー!
よしとりまラフコフに目つけられることだけは何がなんでも避けねば! 幸いボスのPoHはまだログインすらしてないハズ! まだ逃げ切るチャンスはある!
「ちょっとー、オッサン聞いてるかー?」
「あ、あぁ。 どうやら余も疲れているようだな、少々惚けていたようだ。
して、何用だ?」
「それはな――」
場合によっちゃ圏内でも衝撃は通るのを利用して距離を稼ぐのに、薙ぎ払いが打てるようにさり気なく槍を長く持って肩に乗せる。
さぁ、どう出る?
「――どうやったらあんな風にバッサバッサ敵吹っとばせるんだよ?! オッサン戦国バ○ラの人?! なあオレにもやり方教えてくれよぉ〜」
…………………は? なんか違く――
あ、そうか。 『PoHはまだログインすらしてない』んだ。
元々サイコっぽい感じはあるようだが、まだ彼らはただの一般人、それも見たところ中高生くらい。 いきなり他人を殺しにかかるようなレッドプレイヤーじゃない。
警戒するのが馬鹿らしくなってきたから、全身から力を抜く。
「……
言っておくがお勧めは出来んぞ。 力だけあっても相手に追いつくことが出来ん。 回避もままならない。
後は、そうだな。 実戦だけでなく素振り等、基本的な修練を積むがよい。 人間の骨格や筋肉の位置や付き方を考慮すれば、力の入る動きは必然的に絞られる」
「おぉ〜?」
「………素振りや、効果的な武器の扱いを考えよ」
「オッケェィッ!」
グッ! じゃねぇよグッ! じゃ。 親指ヘシ折ったろかコノヤロウ。
「じゃ〜な〜」と元気よく村を飛び出していくジョニー。 ……俺の言ったこと分かってんのかな、なぜ圏外へ行く? まあどうでもいいか。
今度こそ宿を探そうと、特に当てもなく村を歩く。 あぁ〜寝床が俺を呼んでるんじゃ〜。
「……………」
「……………」
あ、クラインsみっけ。 これからクエ? そっか片手剣クエの民家はあれかぁ。
「……………」
「……………」
今度は黄色フキダシのNPCか。 なになに、『逆襲の雌牛』……あぁ、バター入手クエか。 今度受けよう。
「……………」
「……………」
お、やっと宿屋見っけ。
………ところでさぁ、
「何故付いてくる?」
何時からザザはRPGの仲間NPCにジョブチェンジしたんだ? 無言で後ろを付いて回るから気になってしょうがない。 ついでに言えば、こいつGGOで出た弟に似て女顔だから目立つし。
「……………」
「………黙りか」
案内してとか言われても俺だって分からんし、パーティー組んでとか言われようもんなら拒否がメンドイ。 とっとと退散するか。
「――どうやったら……………」
ん? やべ、遅かったか?
……いや、違うな。 どうやら、別ベクトルの面倒事みたいだ。
「……どうやったら、アンタ、みたいに、堂々と、していられるんだ?」
「………堂々と、か」
自分で言うのも何だが、今の俺は結構美形だと思う。 腐っても貴族階級の人間だし、しかもウチの家の現当主だから、ナヨナヨしてられなかった。 何より、死亡フラグがそこらへん散歩してるFateの世界だと思ってたから、デッドエンドを避ける為に積極的に動き回っていたら自然とこうなっていた。
………よく思い返せば
……もしかしたら、
後の事を考えてとか言い訳しつつ、コイツらに殺される人を見殺しにするも同然の判断をしておいてこの掌返しはないだろと、自分でもツッコミたいが、まぁ、
――さっきまで死んだ魚の目をしてた子供が、大人を頼ってきたんだ。
突っ撥ねるのも大人気ないだろ。
「……お前がどんな答えを求めているのかは知らぬ。
だが、一つだけ言うならば、自信を持て。
であれば希望せよ。
己が求める
要約すれば、『ここって所謂異世界だし、一旦現実のこと忘れて行こうぜ!』である。 無責任甚だしいなオイ。 しかもスタートライン云々は対象年齢無視したチビッ子やVR不適合者をガン無視してるし。 ナイワー、我ながらそれナイワー。
が、こんなんでもザザにとっては聞く所があったらしい。 オジサン君が騙されないか心配になってきたよ。 あ、騙された結果が
頭の中で某ポンチョをギッタギタに処してると、何を決意したのか、「……分かった。 やって、みる」と返事があった。
何が分かって如何するのかは非常に気になるが、この意味不テンションで聞いても余計拗れるだけだろう。
……続きは今度にしよう。
心のなかでそう締めくくると、NPCのスタッフに話しかけるのだった。