串刺し公は勘違いされる様です(是非もないよネ!) 【完結】   作:カリーシュ

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40話 (吸血鬼)(殺人鬼)

 

 

 

 

 

「つ、疲れた……」

 

 ――随分と神経を酷使したBoB初戦を終え、待機エリアへと戻される。

 圧倒的な弾幕を剣と体捌きだけで対処するのはランとの戦闘で経験があるとはいえ、彼女にエンキ(最強の双剣)を抜かせたジャックとユウキが第二位と第三位を独占している以上、そちらの結果はお察し下さいだ。ライフルの弾幕があれに比べれば遥かに薄いのがせめてもの救いか。

 二回戦までに少しでも休むべく、転送前のボックス席に座りこむ。なんとなく上を見上げれば、予選開始前にはカウントダウンの表示しかなかった巨大ホログラムが多種多様な戦場を映していた。同時進行している他の試合を映しているのか、画面上部には対戦中のプレイヤー名も表示されている。

 ふと、あの何処となく猫っぽい水色の髪の少女の姿か名前を探していると――

 

 

 ――『Jack VS Vlad』とかいう恐ろしいホログラムが浮いていた。

 

 

「……………は?」

 

 画面は直ぐに次の戦場に移ったからプレイヤーの外見までは確認出来なかったが、手元のウィンドウで特定の試合が見れるという説明を思い出し、慌てて確認する。

 はたしてそこに映ったのは、見覚えのある名前。見覚えのある顔。そして、余りにも掛け離れた外見。いやいやまさかと思うも、画面に映る少女たち(?)の黄緑と朱の瞳に爛々と灯る覇気は、ディスプレイ越しでも背筋が震える程の殺気は、見間違えようがない。付け加えれば、外見云々に関して俺は他人の事を言えない。

 それは、つまり――

 

 

 

 ――この戦いは、事実上の最終決戦と言っていいだろう。

 

 

「最初からクライマックスっていうレベルじゃねぇぞ……!?」

 

 思わず頭を抱える。依頼内容を考えるに、出来ることならジャックに勝って欲しいところだけれど、二人の実力はほぼ互角。銃器という未知の要素が混ざれば、オレにはどっちが勝つかなんて予想出来ない。出来るとすれば、あの二人を同時に相手取れるランレベルの人間辞め人間か、極々稀にヴラドの話に出る二人に格闘を仕込んだ人くらいだろう。

 

 

 ――二人は戦うこともせず、大陸間高速道なるフィールドの上で、ゆっくりと歩み寄る。その仕草に攻撃の前振りはないけれど、その一歩一歩が嵐の前触れとしか思えない。

 煙を噴き出すバスの横を通り、二人は更に近付く。

 五メートル――三メートル――一メートル。

 そして――擦れ違い、背を向け合ったタイミングで足が止まる。

 

 

 

 

 

 ……動きはない。だというのに、目が離せない。

 装備もステ振りも全く違う。似た所なんて身長と髪色くらいしかない二人は互いに背中を向けたまま、辛うじて画面で確認出来る程度に小さく微笑い、そのまま前に踏み出した。

 

 一歩進む。ヴラドらしき長髪――よく見ると赤目や髪色とかの特徴が近いイリヤに似てる?――が、コート裏から馬鹿デカイリボルバーを引き抜く。

 一歩進む。ジャックがヴラドのとは別種のリボルバーを二丁、腰のホルスターから抜く。

 

 一歩進む。

 振り返ると同時に銃声が鳴り響き、

 

 ――嵐が、吹き荒れ始めた。

 

 

 

 ――ヴラドはリボルバーを一発ブッ放すと同時に左腕を上げて顔を庇い、バックステップで距離を取る。

 一方ジャックはといえば、初弾をバク転で回避しながら両手のリボルバーを発砲。着地と同時に左の銃の残弾をバラ撒きつつ一息に距離を詰める。

 ほぼゼロ距離で右の銃で撃ちながらも左手は銃をホルスターにぶち込んでナイフを逆手に引き抜き、居合の流れで切り上げる。その動きを予想していたのかヴラドは首を傾けて斬撃を躱すけれど、銃撃は腹部に直撃――

 

「なっ!?」

 

 ――した筈なのだが、全く食らった様子がない。堪えているのかと思ったけれど、衝撃で後退させられたヴラドにはダメージエフェクトが発生していない。

 右のリボルバーをシリンダーごと取り替える事でリロードを済ませたジャックだが、それを撃つ事なく走り出す。直後ヴラドのリボルバーが火を吹き、ジャックの背後にあった廃車に命中。車のフレームに大穴を空けつつ吹き飛ばす(・・・・・)

 

 過剰演出なアクション映画ばりの光景に頬が引き攣るも、STR極が撃ってなお反動で腕が上がる拳銃という事で自分を納得させる。

 場合によってはこの何方かと戦う事になる可能性がある以上、手加減抜きの二人の実力や手の内を把握しておくべく画面に集中する。

 

 銃口から散弾を吐き出すリボルバー……リボルバーってなんだっけ? を連射しつつ、右手で四本の投げナイフをカーブをかけて投げつけるジャック。対するヴラドは、手近に転がっていた軽自動車のフロントバンパーに抜手を放ち、車体ごと振り回してその全てを薙ぎ払う。ター◯ネー◯ーでもそこまで人間離れしてねぇよというツッコミすらも未来の彼方までフルスイングして攻撃を防いだヴラドは、続けざまに車体をジャックに向けて振り下ろす。

 ただ、AGI極のジャックに対する攻撃としては大振り過ぎであり、余裕を保って回避しただけでなく車体に向けて発砲。給油口に命中した弾丸は爆発を引き起こし、車がヴラドごと炎上する。

 黒煙を吐き出しながら燃える車。これは流石のヴラドも一溜りもなかったかと短息しかけるが、そこへ両方の銃口を突き付けたジャックは――そのまま上空に向けて撃ち始める。何事かと思ったけれど、ベストアングルで試合を中継するカメラが、その場面を映してしまう。

 

 ――コートを所々煤けさせただけで大きなダメージを受けた様子の無いヴラドが、悪辣な笑みを浮かべながら例の化物拳銃片手に上から降ってくるというシーンを。

 

 

「は、え?待って。こいつ防御力おかしくないか?!」

 

 SAOで数少ない、本気のヴラドと互角の戦いに持ち込めたヒースクリフを想起する程の防御力に白目を剥きそうになるが、状況は待ってくれない。

 ジャックの撃った弾が腹や胸に当たるのも無視して着地したヴラドは、拳銃を持った手で殴りかかる。そこから始まるのは出る作品を間違えているとしか思えないガンカタ。一撃どころかその余波さえもが必殺技と化している打撃と銃撃を、ジャックが技術と素早さで以って弾き、逸らし、避け、時には反撃の弾丸を放つ。

 

 三発分の爆音と、六、七発分の破裂音の果て、付近のバスとトラックと乗用車数台を原型留めぬ鉄屑にするという被害を叩き出した二人の激戦は、引金を引いたヴラドのリボルバーから弾が出なかった事で収束を迎える。

 ヴラドの朱い目が見開かれるが、弾数を正確に把握していたジャックは平然と銃口を無視していた。再度二丁の銃から散弾を弾き出してノックバックさせると、拳銃をその場に捨て二振りのナイフを逆手に抜く。

 

 距離が空いた事で、(ジャックの銃を除けば)装填に時間が掛かるリボルバーよりも新しい銃を引っ張った方が早いと判断したヴラドが、ストックの無いショットガンを居合宜しく引き抜きながら撃つ。しかしそれは悪手でしかなく、テンポをズラしたジャックに全弾回避されたばかりか、ノーガードの左肩にナイフが食い込んだ。

 漸くヴラドからも鮮血の様なダメージエフェクトが漏れ出る。それを視認したヴラドは左肩を動かす事はせず、リボルバーを放った右手で対処しようと手を伸ばす。

 

 ……SAOの頃から言えた事だが、関節部に異物が挟まっている状況ではその部位は上手く動かす事が出来ない。貫通ダメージ系の攻撃を受けたMobはそれを抜く事を優先するから、その隙すらも利用したシステム外スキルとして多くの戦闘でDKメンバーが披露したものだったが――

 

 皮肉な事に、そのシステム外スキルを最も活用したヴラドが、同じ技術で斃れる直前まで追い込まれていた。

 肩に得物を突き立てたジャックは、その後も次々と関節部にナイフを突き立ててまわる。首筋、右肩、肘、手首、膝、脇――

 次々と突き立て、切り裂き、その瞬間の僅かな取っ掛かりのみでヴラドの全身を転げ回り、刻んでいく。AGI極のその動きは最早黒い鎌鼬にしか見えず、爆発が直撃しても傷一つなかった白コートが、遂に血の様な赤いエフェクトで染まっていく。

 

 普通に見れば、ジャックが圧倒的に有利と言える状況だろう。掠めた時のダメージが蓄積しているとは言え彼女のHPにはまだ余裕があるし、一方ヴラドの体力は最早ドット単位だろう。ヴラドの鈍い攻撃はジャックを捉えきれず、前半猛威を奮った鉄壁の防御は、今や見る影もない。

 

 ――けれどジャックは、未だ笑う。

 

 間違いなく、最大の山場はもう直ぐだ。

 なぜなら、ヴラドは。SAOでも五十層以降は、その猟奇的なユニークスキルのインパクトと圧倒的な筋力値の影響でヒースクリフに並ぶ強者として、あまりイメージはないとはいえ――

 

 

 

 ――遂に片膝を着いたヴラド。ゆっくりと、降伏でもするかの様に当の昔に武器を落とした両手を上げる。しかしその瞳からは闘志は消えておらず、――

 

 

 

 ――ヴラドは、その実何度も体力をレッドゾーンまで落としていた。幾度となく窮地に追い込まれ、そんな絶望的な状況を打破してきたのだ。

 人物像が改悪して書かれていたSAO事件記録全集ですら、『あの程度で死んでいるようであれば、あの怪物は英雄などと呼ばれなかっただろう』と記す程、あの人は最後まで足掻く。

 それが、『ドラキュラ(SAO最強)』。

 

 

 

 ――その両拳を地面へと思い切り叩きつける。トン単位の重量物を片手で振り回せるパワーは、一瞬だろうと極狭い範囲の大地を揺らすことすら実現させる。ましてや今彼らが戦っている場所は大陸間高速道(橋の上)。クォーターボスと真っ向から力比べをして勝てる、パワーだけなら実質ラスボスクラスの英雄が暴れるには寧ろ脆いくらいかもしれない。

 ……なにしろ――

 

 

「そ、そんな突破法ありかよ?!?」

 

 

 ――橋板を破壊(・・)したのだから。

 正確には巨大なクレーターを生成。亀裂が橋の幅両端まで広がり、今まさにガラガラと逝ってる状況だ。流石のジャックもこれは予想外だったのか、攻撃を中止して範囲外まで下がる。

 その一瞬の間があれば、ヴラドが状態を立て直すには充分過ぎる。AGIの低さを補う大股な歩法でジャックとは反対方向へ逃れると同時に橋桁も完全に崩壊。橋ぐいの間の道路が丸々消失し、ヴラドとジャックは分断された。

 

 

 

「……滅茶苦茶だ。知ってたけど滅茶苦茶だ。フィールド破壊って、アイツの拳は斬◯剣で出来てるのかよ」

 

 気が付けば詰まっていた息を意図して吐き出す。そういえばオレは休憩しようとしていたんだっけか。

 ……逆にさっきより疲れた気がするのは何故だろうか。

 

 周囲の「プファイファー・ツェリスカだとぉ!?」「レミントンニューモデルアーミーの二丁拳銃とか映画『ペイ◯ライダー』かよ。あの嬢ちゃん渋いな……」とかいうどの試合に対するコメントか分からない声を聞き流し、軽く肩を鳴らしてから改めて画面を見入る。

 

 あの二人が、どこかのマンガのラスボスと主人公を張れそうな二人が、たかが(・・・)足場が無くなった程度で戦いを止めるとは思えない。ジャックのアバターがALOからコンバートしたものであれば、筋力値からして恐らく武器はナイフと拳銃だけという予想も正しいはず。必ず何らかの方法で崩壊した橋を渡るだろう。

 

 

 

 堂々と橋の縁の真ん中に立つヴラド。偶然崩落を免れたのか、拾い直した大型リボルバーの弾丸を一発ずつ籠めているところが映る。

 五発分のリロードが終わったタイミングで、コート裏のホルスターに銃身を収める。比較的平和なシーンが十数秒続き、そろそろジャックの方もどうしているか気になり始めた頃になって――

 

 突然ヴラドが横っ飛びに駆け、その先にあったワンボックスカーを蹴り上げる(・・・・・)

 くの字に折れ曲がったまま斜め上の宙を舞う車体。浅い放物線を描くステンレスのフレームとエンジンという鉄塊の加工物は、橋の崩落部を数秒で飛び越え、――

 

 今まさに助走を付けようとクラウチングスタートで駆け出したジャックの目の前に落下しようとした(・・)

 した、というのも、ただ落下させるだけでは足りないと判断したヴラドと、降ってくる金属塊に対応しようとしたジャック。どちらも車、それも丁寧にエンジンブロックとガソリンタンクをそれぞれ撃ち抜いただけに飽き足らず、ジャックの弾丸は何を仕込んでいたのか大爆発を引き起こす。

 もう何度目か分からない真っ赤な花火が膨れ上がる中、撃って直ぐに走り出していたジャックが爆風を背に加速する。ヴラドが一発銃撃するも、右手で引き抜いたナイフであっさりと弾を切り伏せたジャックは一飛びで地表の見えない谷を超える。

 十数メートルを軽々と越え、危なげなく着地したジャック。確実に渡るだろうと信頼していたヴラドは、今度はバスの底を両手で掴んで槍投げ宜しく投げ飛ばす。

 今度はジャックが左右へと逃げる前に、轟音と共に路面を削る長方形の車体。だがまだ足りぬと言わんばかりにヴラドが駆け、右の拳を振りかぶる。事実ジャックはフロントガラスからバスの車内へと転がり込んでいたようで、ヒビ割れていた後部ガラスを体当たりで粉砕しながら飛び出してくる。けれど逃げ道が大幅に制限された事で、ヴラドの拳撃を回避する事は不可能。直ぐさま先制で一撃入れるべくナイフを左手に構え直す。

 

 ――一発でもモロに喰らえば斃れるヴラドと、一発擦りでもしたら斃れるジャック。

 真逆の構成でありながら、ほぼ互角の戦闘力を持つ二人の短い戦いは、次の一撃で決まる。そんな気迫が、二人から放たれる必殺の殺気から感じられる。

 

 

 ――拳とナイフの切先。ポリゴン片に変換されつつあるガラスの欠片が煌めく最中、それぞれが絶対の自信を寄せる攻撃が空中で交差して――

 

 

 

 

 

 ――ナイフが髪を、拳圧がバスを縁から突き落とした。

 

 

「く、クロスカウンター……っ!?」

 

 直ぐさま次の一手が動くのかと食い入るように見る……が。

 ジャックのナイフが閃くことも、ヴラドが拳を振るう事もなく。

 

 二人して仲良く『やれやれ』とでも言いたげに苦笑してから、その体勢のまま、結果の分かりきっている早撃ち勝負が始まり、そして一発で終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……結局なんだったんだ、一体」

 

 決着が付いたからか、おすすめと称して他の試合を映し始めるウィンドウ。ピンクブロンドの少女が銃口が三つあるライフルをクルクル振り回して相手を泣かせながら退場させている映像を閉じ、目を閉じて息を長く吐く。

 それとほぼ同時に、二回目の浮遊感が身体を包む。どうやら今から二回戦が始まるらしい。

 

「……よし。取り敢えず、アレよりマシだと思うことにしよう」

 

 結局全く休めなかった休憩時間だったが、どうにか気持ちを切り替えていく事を決心する。今からそんな本戦の事を心配しても仕方がない。いざとなればヴラドを呼んだ張本人らしいピトも巻き込んでやる。

 

 

 

 

 

 ――尚、翌日知った事だが、当のピトフーイはシノンにヘッドショットされてあっさり予選落ちしていた事実が判明した。何がしたいんだよお前は!?

 最終兵器(ラスボス)を解き放つだけ放っといてあっさりフェードアウトしやがった鬼畜ロリに対し、もう何度目か分からない怨嗟の呻きをサチに聞かれてあれこれ心配されてしまうまで、後三時間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――一方その頃。予選会場の薄暗いドームの端で、男は笑いを噛み殺していた。

 

 

 

「――く、は、」

 

 

 ――間違いない。

 

 

「―――はは、は、」

 

 

 ――姿は全く違うけれど、間違いない。

 

 

「――――は、フハははははは!」

 

 

 

 ――あの技術。あの覇気。あの殺気。

 間違いない。間違えようがない。

 オレの憧れ。オレの目標。オレの、オレたちの黒い月。

 

 確かにこうなるよう望んだのはオレだ。でも不安だった。

 あまりにも狭いコミュニティで。あまりにも違う、今までの人生で一番充実していた、あの時とは違う空間で。

 

 ――オレは、変わる事を決心した。

 知った時には全てが終わっていたと知ったあの日。漸く仮想空間に戻れた、戻れてしまったあの日。

 

 

「……『己が求める己自身を目指すことに、一体何の異議がある?』、か」

 

 

 ――ならば目指そう。

 例えそれが、どうしようもなく猿真似でしかないとしても。

 例えそれが、唯々憧れを穢す行為でしかないのだとしても。

 

 

「――さぁ。愉しい、舞踏会、と、洒落込もうか」

 

 

 丁度よく始まる二回戦。オレのいるブロックの連中の戦いは一通り観たが、全員話にならない。唯一面白そうなのは、旧ソの狂気をバレエ宜しく振り回す『Eliza』という少女だろうか。まあ何にせよ、当たるとしても決勝戦だ。

 

 

 転送された待機エリアで。大型ライフルの銃身とストックをギリギリまで切り落とし、強引な改造で何丁もの銃を駄目にしながらも、やっとの思いで作り上げた銃器――最早真っ当な『人』には扱えない代物になったハンドガン(ライフル)のグリップを握る。

 

 

 予選の目標はただ一つ。パーフェクトゲーム(完全なる勝利)

 数十もの敵を相手を踏み潰してみせたあの人の戦果に比べれば、この程度、造作も無い。

 

 

 

「――では、鏖殺する、と、しよう」

 

 

 

 

 

 ――新たなる世界で、新たな顔を手に入れた男は戦場へと向かう。

 

 

 ――赤いコートを翻し、異形の拳銃を手に、吸血鬼(・・・)と嘯かれた男が、その殺意を剥き出しにする。

 

 

 

 

 

 

 








次回予告――代わりのミニコーナー
銃器紹介編

レミントンニューモデルアーミー・ジャックカスタム
全長:300mm
重量:1100g
口径:44
装弾数:6

 ジャックがGGOに参戦する折に注文したカスタム拳銃。
 ベースとなった銃は、アメリカのレミントン社が1860年代に発表したパーカッションリボルバー。けれど先込め式(パーカッション)と侮ることなかれ。この銃の強みは、シリンダー(回転弾倉)を簡単に丸ごと取り外せるソリッドフレームのリボルバーという点である。
 今日のリボルバーでもシリンダーを取り外すのは難しく、戦闘中に試みるなど持っての他である。が、このニューモデルアーミーの場合は、モデルにもよるが、最短ワンタッチで取り付け取り外しが効く。これにより、予め弾を込めたシリンダーを用意しておく事で現代の最新リボルバーにも負けない程素早いリロードが可能である。
 更にこの銃は、前述の通り『先込め式』――つまり、後に発売されたコンバージョンモデルでもない限り、薬室にそれぞれ雷管、火薬、弾頭を一発ずつ装填しなければならないという宿命を背負っているが、逆に言えば、銃身さえ通れば(ついでにライフリングが傷付く事も無視すれば)、通常弾から散弾、果ては釘といった代物まで撃ち出す事が可能
 弱点らしい弱点といえば、古い銃である以上、素材や製造法は当時の技術で作られたものなので、当時のものとしては強固なソリッドフレームだとしても耐久性に難がある――あったのだ。
 肝心のジャックが依頼した改造内容とは、銃そのものの強度増加。ぶっちゃけ大まかなパーツが銃身とグリップしかないなのをいいことに銃の素材を丸ごと変更した。これにより、多少無茶な量の火薬を詰め込んでも問題なく作動するようになった。最早カスタムと言うより新造品と言えるレベルである。


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