串刺し公は勘違いされる様です(是非もないよネ!) 【完結】   作:カリーシュ

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第十二小節 ――月に祈りを

 

 

 

 

 

 ――整合騎士アリスが気がついた時、まず真っ先にやったことは、帯刀の有無だった。

 

「――ッ!」

 

 見慣れない意趣の、けれどセントラルカセドラルにある騎士たちの部屋と同等かそれ以上の金額がかけられていると直感させる寝室で目を覚ますと、即座に柄に手をかけて跳ね起き転がり出た。

 ――私は、今まで何を。確か、赤い大軍をあの老騎士に化けたバーサーカーが殲滅して、それで――

 

「おのれアドミニストレータ。一体何を考えて…… いえ、今はそれよりもサチを探さなくては」

 

 幸い鎧や剣は取り上げられていない。意識のみ奪って適当な屋敷の客間にでも放り込んだのだろう。嘗められているのだろうが、今ばかりは憤る時間すら惜しい。

 あの物憂げな女のことだ。拐った相手など雑に纏めておくだろうから、遠く離れていることはないはず。

 その予感は正しく的中し、隣の部屋に寝かされているのを見つけた。

 

「サチ、サチ。起きてください」

「うぅん。……アリス?」

 

 昏倒させた時の術式はあまり強力なものではなかったのか、揺さぶるだけでサチも目を覚ました。

 静かにするようにジェスチャーで示してから軽く診るが、精神汚染や記憶操作の跡は特に無し。受けた傷も、露出した背中に僅かに火傷の跡があるのみ。

 

「それで、これからどうする?」

「脱出し、部隊との合流を目指すべきでしょう。わざわざアドミニストレータ本人が出張った所を見るに、ただ偶然や酔狂で私たちを拐ったのではなく、何らかの明確な理由があるはず」

 

 窓の外から見える景色がサチたちが降りてきた場と似ていることから、おそらくそう遠くはないはず。飛竜があれば、数刻で大門まで戻れる。

 問題は、見張りだ。

 解散を命じられた人界軍の兵より数段整った装備の兵が、邸の周囲を見回っているのが窓から確認できた。正体はおそらく、人界東側の統治を任されているイスタバリエス帝の私兵。

 このまま窓から飛び出せば、確実に気取られる。無論雑兵の十や二十、非戦闘員を庇いながらであろうと遅れを取らないと断言出来るが、それは敵が彼らだけの場合。そして整合騎士を造った最高司祭が、その事実を知らないはずはない。

 

「……裏口からこっそりと脱出しましょう」

「う、うん」

 

 暫く扉に張り付き、邸内の警備は手薄なのを確認してから廊下に出る。いざ隠れながら進もうと思うと鎧が騒々しく、一旦部屋に未だ眠っている()()に詰めるのに戻ったこと以外は問題なく進めた。

 

「ところで、裏口が何処かって分かるの?」

「いえ。しかしこういった帝宅はセントリアのある方角へ正門を設けるものなので、逆へと進めば、おそらく」

 

 感心するサチを連れて奥へ奥へと歩む。

 ――確かに裏口はそちらにあるのだろう。しかし、奥に進むということは、同時にその屋敷の重要部に近付くということでもあった。

 

「――しっ。止まって、息を潜めて」

 

 両開きの扉の握り手に手をかける直前に、その部屋からアドミニストレータの声がする。薄く扉を開け、中を覗くと、その部屋は食堂なのか長いテーブルに椅子が幾つもならんでいた。

 当のアドミニストレータ本人は、扉に背を向ける位置に座して酒を酌んでいた。傍には、屋敷の管理人らしき男。

 

「……仕方ありません。別の道を探しましょう」

「いや、多分此処からしか出られないと思う」

 

 隙間に目を当てたサチが呟く。

 

「リアルだと裏口って、大抵台所にあるの。直ぐにゴミ出しに出れるし、換気する為にも一番外側に造られるし。それに……」

 

 耳を澄ませば、廊下の先からなにやら騒ぎが。どうやら部屋がもぬけの空である事がばれたのかもしれない。最早一刻の猶予もないだろう。

 

「しかし……」

 

 再び覗き込む。どうやら管理人が最高司祭を持て成しているようで、あれこれと喋る男の話を聴きながらグラスを傾けている。

 二人共、扉からも奥に見える台所からも背を向けている。男が機嫌を取ろうとのべつ幕無しに喋っているから、こっそりと背後を通る分には行けるだろうか……?

 

「……分かりました、いきましょう」

 

 人一人が通れるギリギリの隙間を擦り足で素早く通る。幸運にも気付かれることなく食堂に入り込むことには成功した。

 自分の心音すら煩く聴こえる緊張の中、こっちを向くなと祈りながらもじりじりと進む。

 ――あと十メル。……五メル ……二メル。

 

 口を片手で塞いだサチの手を引き、あと一メルの所まで来たところで、管理人のお喋りが止まった。数分にも及ぶ説明の果てに、最高司祭に酒の感想を訊いたのだ。

 そうね、と短く区切られた言葉。不自然に流れる沈黙。衣擦れの音すら耳元で剣を打ち鳴らす時並みの爆音に響く中、一歩たりとも進む事も引く事も出来なくなり、

 

「三百年前、私がまだ小娘だった頃に口にした果実の様な爽やかさと瑞々しさね。その時の事を思い起こさせるわ。

 ……ええ。兄の様に慕っていた人と共に、仲良く森で()()()()なんかした時のことなんか、とても懐かしいわ」

 

 ――即座に駆け出した。

 戸惑うサチの手を強く引いて横抱きに抱えると、背中を中心に風素を生成、炸裂させて走る。

 己の身体そのものを一個の制御端末とし、瞬間的に放出する事により能力を向上させる秘術――最高司祭によって考案され、ベルクーリによって伝えられた『魔力放出』と呼称される技すら使い熟し、サチの予想通りあった裏口を蹴り開けて転がり出る。

 

「な、なんでバレたんだろう!?」

「分かりません!が、今はそれどころではありません!」

 

 わらわらと集まってくる兵を薙ぎ倒しながら、細かな制御を放棄してひたすらに魔力放出を連発する。

 地面の上を飛竜に負けない程の速度で水平に飛び、しかし異様な濃霧に包まれたことで更に速度を上げる。

 

「この霧は、あの時と同じ――」

「――アリス!足元!前前!」

 

 東の大門を包んでいたのと同じ、嫌な感じのある霧に気を取られていると、若干顔を赤くしたサチが叫ぶ。

 言わんとする事を察して無理矢理立ち止まると、行手を阻むように杭が突き立つ。このまま突き進んでいれば串刺しになっていただろう。慌てて方向転換しようにも、直ぐ様杭が追加で生えてしまう。

 

「――脱出を目論むだろうとは思っていたけれど、まさか仲良く手を繋いで真後ろを通るなんてね。微笑ましくて、思わず見逃してあげたくなっちゃったじゃない」

 

 唯一杭の無い方向にも、バーサーカーに抱えられたアドミニストレータが着地する。

 

「でも残念。どっちか片方ならまだしも、『A.L.I.C.E』と『神稚児』の両方に逃げられるのは戴けないわ」

 

 アドミニストレータを降ろしたバーサーカーも、赤い靄に包まれる一行程を挟んで老騎士へと変容し、槍を構える。

 

「ヴラドさん……」

「……とはいえ、どうする。連れ戻したところで、焼き直しになるのは目に見えておる」

 

 悲しげな呟きから目を逸らしたバーサーカーの問いに、余裕の態度でいる最高司祭も首を傾げる。

 

「そうね……神稚児は早急にカセドラルへと連れて行きたいけれど、A.L.I.C.Eはそうでもないし。そもそもプランとしてサーヴァントらを殲滅する必要もある訳だし。悩ましいわね。

 念の為に聞いておくけれど、大人しく着いてきてくれたりしないかしら?」

「戯言を!」

 

 神器の鋒を向けるが、状況は最悪という他ない。

 到底一人で勝てるとは言えない最高司祭に、その彼女が全幅の信頼を置く、杭を自在に操る男。更に霧に隠れる少女の姿をしたナニカすらいる。

 

「サチ。創世神としての権能は?」

「……ごめん、レジストされてるみたい」

 

 短い詠唱の後でも何も起きず、謝られてしまう。

 唯一突破出来る可能性のあった方法すら塞がれてしまい、この瞬間、詰みが確定した。

 

「……エンハンス・アーマメント!」

「あら?」

 

 ――それでも。

 それでも、諦めることだけは出来ない。

 

「まだ抗うというの?状況が読めない貴女ではないでしょうに」

「整合騎士の勤めは、人界の者を、無辜の民を守護することにある。断じて神の遣いでも、最高司祭の私兵でもない!」

 

 神器の完全支配術を起動。幾千もの花弁が舞う。霧を払い、全方位に金色の奔流が流れる。

 

「――サチ。少しばかり無茶をしますが、私の事を信じてくれますか?」

「え?」

 

 アドミニストレータがバーサーカーに攻撃を指示し、「弱者を嬲る趣味はない」と断られている間に問い掛ける。

 

「一体何を、」

「時間がありません。信じて!」

 

 返事を行く前に再び横抱きにする。

 大気中の神聖力の量は十分。勝率は低い賭け。

 慎重に花弁の位置と流れを調整しながら、再び問い掛ける(請い願う)

 

「申し訳ありませんが、私は、貴女の英雄(キリト)ではありません。それでも、」

「――うん。分かった」

 

 ゆっくりと瞼を閉じたサチ。

 抱えた腕に体重がかかり、しっかりと固定された。

 

 

「私は、貴女を信じる」

 

 

 そして、開かれた瞳は。

 ――()()()をしていた。

 

「作戦会議は終わったかしら?じゃあ、大人しくしなさいな」

「断る!!」

 

 金木犀を焼き尽くさんと、百を超える熱素の剣が放たれる。

 それを無視し、真下に魔力放出を行う。

 

「自棄になったのかしら?だとしても――やりなさい、バーサーカー」

「まあ、よかろう」

 

 バーサーカーの指揮のもと、当然の様に杭が伸び、鎌首をもたげる。駄目押しに周囲の神聖力が不自然な暴走をし始め、制御を離れる。

 ()()()()のそれすらも尻目に、私は、()()()()()()()()()

 

「……よもや、貴様!?キャスター!」

「もう遅い!」

 

 縦向きの筒状に配置した花弁。人一人分の隙間を空けた中空の中を、暴走した神聖力が、熱素による気流が力強く荒狂う。

 より開けた方へ――上へ。上へ!

 

「「行っけぇぇぇぇぇぇえええ!!」」

 

 屋根を超え、霧を飛び越え、杭を乗り越え、遥かな空へと!

 ものの数瞬で大地を置き去りにする。最高司祭らが豆粒に見える。更に横方向へと風素を放出。

 よし、このまま飛べれば!

 

「――させるか!」

 

 しかし直線上に赤い霧が発生し、若い姿のバーサーカーが出現する。

 中途半端に()()()()からなのか頭部と右腕のみ実体化したそれを、強引に身体を捻って(バレルロールで)回避する。

 

「く、待て!」

 

 すれ違いざまに斬りつけるが、それでも殆ど怯む事なく追い縋るバーサーカー。無理な軌道を取ったせいで無様にも錐揉み回転してしまい、加速が遅れてしまう。

 伸び切った手は、真っ直ぐサチへと伸び――

 

 

 

「……いいや、君に次はない」

「――セイバーァァァァアアアア!!」

 

 少年の手首が凍りつき、バラバラに切断される。細いながらも安心感を感じる腕の主は、きっと今度こそ、『アリス』の危機に駆けつけられたのだ。

 

「――ユージオ!」

「アリス。

 僕は、今度は間に合ったのかな?」

 

 空中でアリスを抱き止めた『白』のセイバー(ユージオ)

 生み出した氷塊を足場に空を駆け降り終わる頃には、英霊の力を物にした五人が、十人ほどのリアルワールド人が、数人の整合騎士と共に最高司祭と狂気の怪物を相手に睨み合っていた。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「……随分と数が少ないのね。事実無限の兵力を前に、その程度で足りるのかしら」

「だからこそ、さね」

 

 ベルクーリら整合騎士二人にサーヴァント組、ドラクル騎士団+αと、馬車一台に収まるだけの人数しかいない此方を嗤った若作りの挑発を軽く流す。いくらいても肉壁にもならないのならとダークテリトリー側の救援に向かわせたわけだし。兵は神速を貴ぶってね。

 霊体化により上昇したセイバー少年が無事アリスとサチを回収出来たのを視界の端で確認しながら、拉致りやがったアドミニストレータなる若作りを睨む。

 その真隣に漂っていた赤い霧が纏まり、ヴラド(若)が出現する。無表情で此方を見遣るとまたまた赤い靄に包まれ、見慣れたオッサンへとフォルムチェンジ。

 

 

「さて、さて。私は自分が端役だなんて絶対に嫌だからね。役者が集まった所で、改めて宣言してあげよう」

 

 立ちはだかるその二人。道中サーヴァント組に諸々を説明するついでに軽く手合わせしてその理不尽を識っている、が、それでも大胆不敵に、いつも通りに嗤おう。

 

「――聖杯戦争とやらの、終幕を!」

「いいだろう。此処で終わらせてあげる!バーサーカー!」

 

 若作りの指示でヴラドが突進してくる。成る程、小賢しさもなにもない、正しく狂戦士(バーサーカー)らしいやり方だ。

 ――だけどそれは想定済み!何年テメェと一緒に戦ってきたと思ってる!

 

「OK!ユージーン!セイバー少年!手筈通りよろ!」

「邪悪なる竜は失墜し、世界は今落陽に至る」

「――ああ。僕に力を貸してくれ、青薔薇よ!」

 

 『宝具』――彼らサーヴァントの持つ最終武装。英霊が生前の偉業を元に形を為した『物質化した奇跡』が、その輝きが、戦場を照らす。

 その光景に若作りが眉を上げる。ベルクーリがランサーから聞いて知っていたのに、セイバーにその辺聞いたら急に喋れなくなった辺り、私たちが知らないと思っていたのだろう。

 

「ンなわきゃねーでしょ!いっけぇ開幕ブッパじゃあ!!」

「――撃ち落とす。『幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)』!」

「――『咲き誇れ、氷河の青薔薇よ(エンハンス・アーマメント)』!」

 

 真っ直ぐ突っ込んでくるヴラドを黄昏と氷河が呑み込む。剣気と冷気が激突し、更に水蒸気爆発すらトドメに発生し――

 

「――煩わしい!」

 

 それでも、あの化け物を止めるには足りない。ズタボロの満身創痍だったのが、数歩踏み出す間に完全回復する。

 うん、知ってた。完全に人間辞めてますわ。

 ……だから当然、対策も考えてある。

 

「――『幻想大剣・――《バル――》

「――『咲き誇れ――《エンハンス――》」

 

 再び立ち登る、二条の青色の剣気。

 流石にその光景は完全に予想外だったのか、今度は若作りの口がOの字に開いた。

 ――不死のカラクリが分からない?なら逆に考えるんだ。蘇るのなら、()()()()()()()()のさって。

 対不死身対策としては古典的な方法だが、想像以上に効果があったらしい。

 

「な、馬鹿な。連射ですって!?そもそも、どうやって宝具の真名を!?」

「知らん!だから推測した!」

 

 再び巻き起こる爆発。不死身の化け物のくせしてたった二人に完封されたヴラドにも聞こえるように、高らかに宣う。

 

「サーヴァントってのは、一行に纏めれば『神話や伝説に出てくる英雄をヒトガタに落とし込んだモノ』なんでしょう?しかもご丁寧に必殺技は基本一人一個ときた。オマケに今回こっちの面子は、『英雄の子孫』か『英雄と同じ武器』を持っている奴に憑いてる。

 だったら全員は無理でも、数人程度なら憑いてる英雄の伝承から必殺技(宝具)の中身だって割り出せらぁ!」

「む、無茶苦茶よ!?アサシン、手を貸しなさい!アサシン!?」

 

 若作りが叫ぶが、向こうのジャック嬢は応えない。応えられない。

 何しろ、戦場に薄く漂う霧は()()()()()()()()のだから。

 

「くっ、『ジャック・キルズ・ジャック』――ええい、余計な事ばかり!」

「ま、あの子の狙いは私にも分かんないけど、今はいいわ。

 で、いつまでも私と話していていいのかな、アドミニストレータちゃん?」

「ぁ、しまっ――」

 

 油断し切った若作りの顔面を怒りの7.62ミリ弾が馬鹿げたペースでブン殴る。

 

「おのれ、小娘が、」

「うっさい!あんた、おじ様に何吹き込んだらああなるのよ!」

 

 なにも言わせずフルオートでワンマガジン叩き込むと、そのまま銃身で横っ面を張る。途中からは剣で防がれてしまったが、問題なし。その背後から追走したエリスとアリシャ、フラン、それと実験も兼ねて参加させた、ランが遺してたエンキの片方を装備したユウキが、容赦なくスイッチを決めて連撃を叩き込む。戦いは数だという事を教えてくれるわ!一点集中、各個撃破ァ!

 周りに若干引かれているのを承知でふははははと馬鹿笑いを決めていると、背後の馬車の辺りでちょっとした騒ぎの気配。交互にビームブッパしてる右側と、一瞬剣の巨人がでて瞬殺されて以降色取り取りの弾幕飛び交う花火の爆心地染みてる左側から極力目を離さないようにして首を突っ込んでみれば、何故かサチが急に倒れてしまったと。

 

「サチが?心当たりは?」

「多分、ステイシアアカウントの権能、その反動でフラクトライトが消耗したからだと思うんだけど……アリスさんは、何か心当たりある?」

「特には……いえ、そういえば。脱出する途中でぶつけたわけでもないのに、瞳が赤くなっていました」

「瞳が?」

 

 その言葉を聞いて肩で息をしているサチの瞼を力尽くでこじ開けたくなったけれど、ついてきたノーチラスに「流石に止めとけ」と嗜められてしまった。何で連中がサチを狙ったのか、手掛かりが掴めるかと思ったんだけどな。

 

「と、ところで!アレって大丈夫なの?最高司祭がボッコボコにされてるのを見てるのって、一応気不味いんだけど……」

 

 「私は大丈夫だから」と全くそうは見えない状態のサチに対して不穏な事を考えているのに気付かれたのか、イーディスが話題を戻す様に咳払いをした。

 其方の方を見ると、フランの広範囲雷撃で吹き消された若作りの弾幕の隙間を駆け抜けたアリシャとユウキがソードスキルをぶちこんでいた。しかしあまり血が出てない辺り、ダメージはあんまりだろう。

 音の壁を超えかけている連中についていけているユウキのブッ壊れっぷりから目を逸らしながらも、熟考する。

 ――この調子だと、若作りを撃破するより先にビーム組が息切れするだろう。でもだからといって、アリスを連れてライダーなるサーヴァントが待ち構えているワールド・エンド・オールターを目指すのは論外。挟撃にしろ合流されるにしろ、此方が不利になるだけ。

 となると現状を維持しつつ各個撃破するしかないけど、ヴラドは時間制限付きの行動不能止まり。若作りの方は、刃は立てられないが衝撃なら多少なりとも通るからと撲殺する方向へシフトしたらしくエリス、アリシャがど突くのをエリザたちが援護している。ダメージは通ってこそいるが、まだ暫くはかかりそうだ。

 まったく、英霊ってのはホントに厄介な者ね。一回くたばったのなら、そのまま静かにしてくれればいいのに。

 

「……ん?あ、そっか。

 ねえアリス。あの若作りって、誰がどうやって斃したの?」

「アドミニストレータを、ですか?キリトが二刀流で相打ち同然に持ち込んだ後、その、彼女の側近の炎によって……」

「まさかの仲間割れ」

 

 英霊は生前の死因が最大の弱点になるそうだ。だったらあの若作りの死亡シーンの再現でもやってやろうかと思ったが、当の黒の剣士サマは未だ起きる気配ナシ。やるとしたら炎かしら。

 

「よし。アリスー、ちょっと熱線撃ってもらっていい?」

 

 いっちょ火矢の魔法でも撃ち込むかと整合騎士に頼んで。

 

 

 

 ……どうしようもなく、その判断が。いや、アンダーワールドにログインした時点で、何もかもが遅過ぎた事を痛感することとなった。

 

 

 

 

 









『サーヴァントプロフィールが公開されました』

『白』のキャスター
真名:クィネラ
性別:女性
属性:秩序・悪
身長・体重:可変
CV:坂本⬛︎綾

【ステータス】
筋力C 耐久E 敏捷D 魔力A 幸運A 宝具C

【クラススキル】
陣地作成:B
 魔術師として自らに有利な陣地を作り上げる。「工房」の形勢が可能。

道具作成:B++
 魔力を帯びた器具を作成することが出来る。アンダーワールド内であれば、人に扱える『神殺し』の宝具や不老不死すら叶えられる。

【保有スキル】
神聖術:EX
 アンダーワールド内の術式。通常の魔術が自身の肉体に在るオドを使い起こす超常現象であるならば、神聖術は大気に在る空間リソース(マナ)を使用して起こす超常現象。そのため魔力の枯渇がないという利点がある。
 クィネラの場合、無詠唱での術の行使等、設定された神聖術では本来不可能な現象すら現実とする。

防護壁(金属):C
 金属製の武器による攻撃をシャットアウトする防御壁。
 条件に当て嵌まるBランク以下の攻撃による損傷を拒絶する。

黄金率(体):A
 神聖術により、女神の如き完璧な肉体を有する。どれだけカロリーを摂取しても体型が変わらず、また生まれつき有しているものではないので多少であれば相手の好みに合わせて変更させることができる。
 カリスマ、魅了の効果を持つが、抵抗する意思を持つ者や精神汚染スキル、狂化スキルによって回避可能。また本人のやる気の有無も成功判定に大きく影響する。

心意:A
 魂の力による現実の書き換え。限定的な固有結界とも。強靭な意思によるイマジネーションによって、個と世界、空想と現実、内と外を入れ替え、現実世界を心の在り方で塗りつぶす。
 固有結界とは異なり、そちらほど強固でないが、その分応用が効く。

【宝具】
愛報われぬ剣の自動人形(ソードゴーレム)
ランク:C
種別:対人宝具
最大捕捉:三十
 奪った整合騎士達の記憶に刻まれた家族や友人、恋人達そのものを剣型オブジェクトに変換し、それを三十本組み合わせた宝具。一本一本が全て別種の宝具であり、分裂した三十本の剣群として意のままに操作することも可能。
 ――ソードゴーレムは礎になった人間の『相手を求める心』に呼応し暴れまわるが、その想いが果たされる時は永久に来ない。




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