串刺し公は勘違いされる様です(是非もないよネ!) 【完結】   作:カリーシュ

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注意事項!
 ・激しいキャラ崩壊
 ・いろいろ酷い
 ・特殊タグ多用
 ・あとなんかいろいろ





【ワイルド・サーヴァント・スポーツ・デイ】

 

 

 

 

 

 

 ――聖杯戦争。

 

 それは、万能の願望機『聖杯』を巡る、魔術師たちの血塗られた戦い。

 

 セイバー

 ランサー

 アーチャー

 ライダー

 キャスター

 アサシン

 バーサーカー

 

 七人のサーヴァントと、それを使役するマスターたちは、最後の一人になるまで戦い続けなければならない。

 

 そして今また、聖杯を巡って熾烈な戦いが行われんとしていた……

 

 

 

 

 

 

 

 ぴーんぽーんぱーんぽーん

 

「――えー、突然ですが。聖杯戦争のルールが、ヘンコーになりましたっ!

 その名も!チキチキ!仮想聖杯戦争ーー!!」

「待って」

 

 央都セントリア。セントラル・カセドラル下層の広場。『特設会場』と手作り工作感万歳の看板が吊るされた舞台にて、愉快な動きで妄言を吐いたクィネラ(幼女フォルム)に対し、幸運Eのオッサンの命乞いが炸裂する。

「おい誰が幸運Eだ。ていうか不穏!?」

 あらゆる伏線、話の流れ、ツッコミを悉く一切合切無視し尽くし、狂演の宴が始まる――!

 

 

「はい皆様、おはこんばんちわー!司会兼選手のクィネラ・アドミニストレータと!」

「ガブリエル・ミラーだ」

「なんでお前此処にいんの??」

「いよいよ開演の時を迎えた聖杯大戦。今回はここ、央都セントリアの会場にて開催と相成りましたー!」

「(喀血)」

 

 既に胃SAN値がピンチ(最初からクライマックス)なゔらどを置いてけぼりに、テンション上がってきたロリコン人形クィネラが嬉々としてルール説明をおっ始めた。

 

「ルールは簡単!サイコロで決めた競技をサーヴァント七人に競い合ってもらいまーす!」

「本編と比べると平和だな」

「だってガチめの奴は設定考えるのメンドクサイもの」

「おいキャスター(術者)

「正直型月は設定細かすぎるのよ!並行世界云々だけで複数種類があるだの、セラフ以前の人類の作るバーチャル世界だと英霊形成のリソース不足だの、その他諸々!事前調査不足は認めるけれど、だとしてもINT3未満の頭でシナリオ組めばそりゃどっかの設定とは食い違うわよ!!」

「落ち着け中の人が漏れてるぞ。誰かそれを落ち着かせろ!」

 

 司会席の机をばしばし叩きながら憤慨する(うがる)クィネラ。暫くうがって気が晴れたのか、日本人を魅了する満面の笑み(某雪の妖精談)で続きを始めた。

 

「因みに優勝賞品は、整合騎士アリスちゃんと神稚児サチちゃんのお得なセットでーす!!」

 

 どデカい金色の杯の上から「騎士として云々」「正々堂々云々」「私は物扱いか!縛った上で杯の上に放置とは、それはそれで(ry」とびったんびったん鯉同然に跳ねてるアリスの声。なんか喉の妖精が同じ騎士の声が聞こえてきたのは総スルー。ガチ聖杯と一緒に転がってるもんだから、きっとどこかの別の自分と繋がっちゃったんでしょ。

 

「さあ、そんなヤバげベイベーな聖杯を狙う選手はこちらー!!」

 

 クィネラが七人分の席が用意された席を指し示す。無駄に豪華に飾られた席にスポットライトは、映えある栄光に彩られた一騎当千の英雄達を――

 

「……なあキャスター。席ガラッガラなんだが?

「仕様よ。なにせランサー、アーチャー、ライダーは出演拒否ったんだもの」

「帰っていいか?」

「ダメです♡ 」

 

 席に着いているのは、死んだ魚の様な目をしたセイバー(ユージオ)と幸運Eなランサー代理(ゔらど)、それとジャックのみ。一応キャスターの席には『くぃねら』という紙製の名札が置かれていた。

 

「――ん?待て、ランサー代理?バーサーカーではなくてか?」

「ええそうよ!当のランサー直々の御指名なんだから。あ、ちなみに伝言もあるわよ」

「ほう?」

 

 「えーっと、確か此処らに……」と、司会机を漁りだすクィネラ。未開封のポッ◯ー、ホイッスル、うま◯棒、土台付きの卵型の宝石、ハンカチにヘルシ◯グ単行本第九巻と、中学生の机の中身同然の代物がボロボロこぼれ落ちていく中、漸く引っ張り出したメモを精一杯の威厳を込めて読み上げる。

 

「『前略。祭に於けるランサーのクラスとは、ほぼほぼ素っ頓狂な絶叫と共に死する『でおち』なる役回りを押し付けられると聞く。故に、敢えて一言に要約するのであれば、うむ。

 後は任せた』」

「逃げた!?驚異度はオスマントルコ軍<ギャグ落ちなのか!?」

 

 頭を抱えて突っ伏すゔらど。「オノレオノレオノレオノレェ」と一頻り叫んだ後、キメ顔で溜息を吐いて一言。

 

「僕お腹痛いんで帰ります」

「却☆下」

「畜生めェ!」

 

 鉛筆(どっから出した)を机の上に投げつけての渾身の叫び。特に意味はない。

 

「というか、そうだライダー!何故奴は居ない!未だ姿を見せぬアーチャーはまだしも、奴は登場済みのキャラであろうが!?」

「ライダー?ああ、彼女なら、和風の二刀流の女と一緒に日本全国うどん巡りの旅にでたわ

「オーケー。即刻連れ戻せ

 

 イイ笑顔で道連れ競争相手を連れ戻そうと目論むゔらど。

 「あの子うどん好きみたいでねぇ」と宣うクィネラをあの手この手の口八丁で言いくるめようと四苦八苦し、終いにはレ◯プ目のセイバーすら説得に参加させようと話しかけて、

 

「……僕は、どうでもいいかな」

 

 速攻袖にされて轟沈した。

 

「いやいや待て待て。セイバー、貴公にも聖杯に乞う願いがあろう!?」

「いや別に。仮に聖杯を狙うとしても、競争相手がいないのはいいことだよ。それにバー……ランサー。頭数が必要なら、まず『黒』の面子を招いたら?」

「その手があったか!」

「しっかりしなよバーサーク・ランサー(頭狂化)

 

 しれっと吐かれた毒を無視したゔらどだったが、しかし話を聞いていたクィネラによってそれも却下される。

 

「何故だ!?」

「最初は白と黒に分けてのチーム戦のつもりだったのだけれど、途中からキャラ多過ぎて訳分かんなくなったのよ。既に一回ボツったわ。そういう訳で、参加は白陣営のみよ」

「お前今日ちょっとメタくない?」

「とはいえ四人だけじゃ味気ないのもまた事実。だから、アーチャー、ライダー、バーサーカーにはそれぞれ代理人を立てたわ」

「ステータス差は?」

気にするな!それでは選ばれし生贄選手はこちら!」

 

 華華しい(?)ファンファーレ。けれどセイバーは興味なさげに目を瞑る。

 

「……まあ、勝手にすればいいさ。僕はどうなろうと

「えっと、アーチャー代理?のキリトです」

 正々堂々精一杯頑張ろう!

「お前の相方だろう、何とかせよ」

「ちょっと無理」

 

 友人の参加への喜び――というにはなんかちょっとこう、不純物が混ざってるセイバーの覇気。チラッとクィネラに視線で問いただす。

 

(お前、心当たりは?)

(シンセサイズした(愛を教えてあげた)わ!)

(はいギルティ)

 

 密かにセイバー、ランサー間での同盟が締結される中、次いでバーサーカーとライダーが顔を出す。

 

「バーサーカー!ピトフーイでーす!」

『ライダー。ザザだ』

「こっふ」

待ってツッコミが追いつかない。

 クラスはいいとしておいザザァ!」

『なんだよ?』

「それだよ!?」

 

 プラカードで返事をするザザにツッコミを入れるキリト。どっから出したのかいつ書いたのかも分からぬ見覚え感満載満漢全席のそれに対し、ザザの返答は如何に。

 

『一々細かく句読点入れるのメンドクサイ』

「お前もかよぉぉぉぉぉお!?!」

「ねーねー私にはー?」

「残当だろバーカーサー」

「よろしいならば戦争だ」

 

 プラカードと吐血とピックとナイフと銃弾が飛び交う阿鼻叫喚の地獄絵図が選手席で繰り広げられる一方、アリシ編ラスボスズは『ンなの関係ねえ』とサイコロを振る。

 

「「最初の競技は、テニス!!」」

「普通!!」

 

 

 

 

 

「なんかびっくりするくらい普通で逆に気持ち悪くなってきたんだけど」

「お前それ本気で言ってる??」

 

 ザザとユージオの接戦を観戦しつつ、ラケットをガンスピン宜しくぶん回しているピトの一言。いやまあ確かに面子の大半はマトモにテニスしているが。

 

「お前そのセリフはせめて普通にテニスしてから言え」

「やったじゃん」

「お前らのはテニ()な。頼むからボールで敵を吹っ飛ばそうとするな

「テニスといえばそういうもんじゃん?」

「テニプリかスマブラに帰れ」

 

 あ、ユージオの打ったボールがゔらどの顔面に直撃した。

 

「ランサーが死んだ!?」

「勝手に殺すな!!」ガッツ

 

 

 

 

 

「続いての競技は、棒高跳びー!」

「そうか棒高、ん?棒高跳び?」

 

 カニファンにそんなエピソードあったかと首を傾げるゔらど。

(まあ高跳びそのものはFateとも関連あるし)と無理矢理納得するその目の前で、ルール説明の最後に事件は起こった。

 

「あ、因みに失敗してポールの下潜っちゃった場合、お仕置きがあります」

「へー。どんな」

「なんと浮遊感が与えられます」

「なんて??」

「百聞は一見にしかず。というわけで(?)トバルカイン改めモルテ(注:今作死銃の一人)を召喚して突っ込んでみましょう」

「返して来なさい」

 

 「HA☆NA☆SE」と抵抗するモルテをハードルの下にシュート。超☆エキサイ

 

「フワーーーーーー↑↑ッ!!」

「どこいくねーん!?!」

 

 フライイントゥザ・ムーン(意味深)するモルテ。事情を知ってるクィネラ以外唖然として見えなくなるまで見送った。

 

「……な、なあピト。なんかコレさ、」

「おっとその先はフラグだゾ」

 

 

 

 

 

「続いてはダーツ」

「合ってねえから役変えろ。ていうかホント何でお前なの?」

本編ギャグ落ち(第十一小節)後にガチャで来たからな」

「書いたら出たのか」

 

 進行役のガブリエルからダート(手投げ矢)を三本受け取りつつ、改めてツッコミを入れるキリト。想像以上にしょうもない理由での出演に目が虚になりかけるが、いかんいかんと頭を振って持ち直す。

 

「ところでガブリエル。この競技の選定理由なんだが」

「特に聞いていないな。仮に何らかの原形があったとして、私は何ら知る由もない」

「だよなあ」

 

 思わず溜息が出る。溜息をつくと幸運が逃げるとは聞くけれど、そもそも逃げるほどの幸運がない気がするんだよなあ。

 

「――そう、ましてやクソゲーに分類されるゲームについての知識など、尚更私が知る筈もないのだ」

「オッケーグー◯ル、コイツの殺し方ァ!!」

 

 

 

 

 

 ――こうして。仮想聖杯戦争は熾烈を極めた。

 

 

「次は、ダイビング」

『誰だプールにサメブッ放したヤツ!?』

「あそぼ。」

「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ‼︎⁈」

 

 

 血で血を洗う激闘の末、

 

 

「次はスキー」

「路面ガッチガチなんすけど!?」

『これ雪じゃなくて氷だろ?!』

「ふっふっふ。あらかじめ柔らかい道を知ってる私に死角はアバーーッ!?」

「おいキャスターが場外に突っ込んでったぞ?!」

 

 

 彼らが見たものとは――

 

 

 

 

 

 

 

「聖杯戦争って、こんなにも過酷だったのか……」

『過酷のベクトルが明々後日の方向にカッ飛んでる気はするがな』

 

 何故か途中から弾幕戦へと早変わりしたハードル走……の、残骸から這い出たキリトとザザ。順番的にラストだったらしく、満身創痍で立ち上がった二人を見とめたガブリエルが、最終競技を通達する。

 

「ラストは、ダイ・ローレライ シーズン3」

「1と2は!?」

 

 告げられた八種目目のタイトルを告げるやいなや、「ではクィネラ。後は頼む」とダッシュでその場を後にするガブリエル。

 

「なんでダッシュ……?おいロリコン人形、説明ハヨ」

「アリスたちを乗せてる大っきい金杯だけれど、あれって触媒、魔力抜きに神稚児の権能へと語りかける機能もあるのよ。そしてその為に必要なのが、大杯と同調させた小杯。それを奪い合う為の最終決戦を行うのよ」

「分かりにくい。三行で」

「アリスたちを

下ろすための

ハシゴ争奪戦」

『三行で納めんなよ。神秘もクソもない説明だし。で、その梯子ってあれか?』

 

 ザザがプラカードで示す先には、ちょうど人が抱えられる程度の大きさの杯が。

 そして全員の目の前で何やら沸き出る黒い泥

 

「……ふぁ?」

「あの、キャスター。何やら物凄く嫌な予感がするのですが?」

 

 唖然とする七人(含:クィネラ)の目の前で、溢れ出た泥は辺りに広がるでもなく高く高く沸き立つ。

 小柄な人ほどの高さに到達した影は、一際大きく泡立ったのを最後に逆に縮み始める。けれど杯に収まるでもなく、人の形に変形した泥。それと似た光景を嘗て見たことのある男は、腹の底から叫んだ。

 

「アイエエエエエ!?黒化☆シリカ!?黒化☆シリカ=サンナンデ!?ゴボボーッ!!」

「ランサーが死んだ!?」

「『「この人でなし!!」』」

 

 視覚に対する描写があるならモザイク案件レベルでキャラ崩壊を起こしたゔらど。その腹に見事なまでに突き刺さる触手。

 

「ああ……あんまりにもうるさかったから、ちょっと手が滑っちゃいました」

「シリカ……本当にシリカなのか?」

 

 身体のラインの出る黒いハイネックのワンピース風の格好のシリカに、恐る恐る話しかけるキリト。異変が服装だけで収まっていれば笑い話で済んだのだろうが、皮膚を走る黒い葉脈に、キリトの知る彼女らしからぬ程に撒き散らされる悪意が、それを否定する。

 

「はい、キリトさん。私()シリカです」

「私()?まるでそこに貴女以外の誰かがいるみたいな言い草ね?」

 

 表情だけはいつも通りの微笑み――けれど、一切笑っていない目のシリカ。能面染みた冷笑に震え上がるキリトの前に出たクィネラの問いを受け、さらに反転した少女の笑みは深くなる。

 

「ええ、そうですよ。私は私としてだけでは到底この域には辿り着けなかった。

 だから私は謳いましょう。今の今まで溜め込まれた()()()の慟哭を。聞かせましょう。理不尽な流刑に対する私たちの嘆きを」

 

 まるで夜空に羽ばたく鳥の様に両手を広げる。呼応して泥が広がり、次々と人影が出現する。

 

「そう、私たちは――『この世全ての出番を求める者(モア・デバン)!!』」

「締まんねぇ名前!?」

 

 何処かで見覚えのある、けれど台詞はおろか名前すら出ること無く原作活躍シーンが流れていったキャラたちがゾロゾロと列を成して出現する。

 

 

 

「くっ。可哀想だとは思うけれど、それでも僕は――」

「……先輩まで、そんなことを言うんですか?私を置いてった先輩?」

「ヒェ」

 

 ユージオの前には、片手剣に赤い長髪の少女、ティーゼが立ち塞がる。原形でもはっきり言って不憫枠な少女と、聞き慣れているはずの『先輩』という呼称に何故か背筋が凍りついた。

 

 

 

「あっはっは。流石にこれはマズイ、かしらん?」

「そうですね。明らかに異常事態ですもんね」

「「あっはっはっはっは」」

「――ゲッ、レンちゃん」

「ピトさんって、実は枯れ専だったんですねー。エムさん侍らせてるのに。私の初めてを奪ってったのに……」

「ノウ?!私のレンちゃんはこんな◯ピみたいな台詞を言わない!!去れマイ煩悩!!」

 

 コッソリ逃げようとしていたピトだったが、即回り込んだレンに行く手を阻まれる。

 

 

 

『一体全体なんだってんだ。うぉ!?』

「……構えなさい坊や。相手は貴方の師に匹敵するわ」

 

 飛来するナイフと炎の弾幕を、プラカードと氷結術式で叩き落とす即興術狂コンビ。

 クスクスと不気味な笑いが聞こえて来る相手に鋒を向けると、そこにいたのは。

 

「ねえねえお姉様。兄さまと知らない女の人が一緒にいるよ」

「ええ、由々しき事態ね。私たちを差し置いて大きな顔をするだなんて、許せないわ」

 

 赤い瞳に、そっくりな顔。けれどその髪色が、その違いを知らしめる。

 

『レミリア!フラン!』

「覚えていてくれたんだね!」

「ええ。流石は兄さま。フェアリィダンス編後に必ず出すと言われたきり、ずっとずぅーっと忘れ去られていた私たちの事を覚えていてくれたなんて」

『いやだって、まさかあのヴラドにこんな可愛らしい従姉妹がいるとは思わなかったし』

 

 ましてやヴラドがSAOで死んでいた場合『ヴラド』を継ぐのがレミリアだと聞いたのも一入だ、とは流石に書かなかったザザ。死銃事件後に一度会ったきりとはいえ、幼いながらにピトやエリザに並ぶバカ高いAPPは忘れようがない。それに、なによりも――

 

「だっていうのに、私たち姉妹の話は全カット」

「これはもう、暴れるしかないよね!」

 

 ――彼女らは、才能のみでSAO攻略組に匹敵する実力者なのだ。死銃事件後渡航したザザの経歴や武勇伝を聞いた姉妹と手合わせした彼をして、経験不足、システム面でのレベル差で圧勝できたが、プレイヤースキルのみをみれば殆ど差のない、まさしく『人外』としか言いようがなかった。

 トドメに突きつけられたグングニルとレーヴァティン。彼女らお気に入りのアルヴヘイムに似たゲームでの主武装の神秘的な輝きが、ザザたちを狙い澄ましていた。

 

『あ、これ詰んでるやつだ』

「諦めないでよ?!」

 

 

 

「シリカ……まて、話し合おう。話せば分かる!だから止めてくれ!?」

「ダメですよー。だってキリトさん、逃げちゃうでしょ?」

「逃げない!約束する!!」

 

 ヤベー笑顔のシリカの前に引き摺り出されたキリト。とっくの昔に武装解除は済んでおり、冷や汗と脂汗をダラッダラに垂らしまくっていた。ある意味年相応に悲鳴混じりの懇願が喉から出るが、特にキリトの肝を冷やすどころか冷凍しているのはシリカだけではない。

 

「うふふ……ダメじゃないかキリト。敵を前に剣を離しちゃ……これは私の傍付きとしてまた一年……いや、もっと長く鍛えなければいけないな……」

「剣二本ともブッ飛ばした張本人が言わないで下さいソルティリーナ先輩ぃ!?」

「私の先輩なんだもん……先輩は後輩のだって、泥の中の女の人も賛同してくれたもん……」

「アワレミヲクダサイ!?!」

 

 両腕をガッチリと抱え込んだソルティリーナとロニエ。家出しちゃってるハイライト、帰って来て下さい切実に!

 

 

 

 

「これはまるで、無限の残骸――いえ、格としてはそんな大層なものではないにしろ、だとしても彼らの根底にある『出番』への欲求が、そして活躍する隣人への嫉みが、まさかこんなトンチキ事態を引き起こすだなんて」

 

 油断なくナイフを構えるジャック。各々の前に出現する影が、各自にそれぞれ関連ある人物であると予測した時点で、警戒は最高潮に達していた。

 ――さあ、誰が来る。ゲーム版SAOの誰かか、それとも美鈴か。或いはまさか、バーサーカーの方の『ジャック』か――

 ジャックの前にも泥の影は到達し、人形を成す。顔を見た瞬間切ると、宝具の前兆を(瞳を赤く、紅く、)滲ませ……

 

「ふはははは!なんとも貧相な餓鬼だ!貴様の相手はこのライオス・アンティノスと!」

「ウンベール・ゼージックが処断して」

くたばれ女の敵ぃ(マリア・ザ・リッパー)!!」

「天命ぃぃぃぃぃい!?」

「禁忌ぃぃぃぃぃい!?」

 

 最後まで言わせず即宝具。コイツら相手に本気を出すのすら嫌と物理攻撃のみに収まる程度に加減したとはいえ、一瞬で首を落とした。

 

「……なんかもう、真面目に考えるのが馬鹿らしくなってきました。さっさとブライアン引き摺って帰りますか」

 

 

 

 

 

 ――悪性を色濃く表面化させた関係者に苦戦するサーヴァントたち(割り当てられた面子を瞬殺したジャックを除く)。

 しかし当然と云うべきか、初撃で吹き飛ばされたゔらどの元にも、悪意は忍び寄っていた。

 

「くっ、アポコラボが復刻していなければ(二重ガッツがなければ)即死だった」

 

 分類するなら反英霊に属する所為か、蝕まれることなく物理ダメージのみで済んだゔらど。

 参戦すべく槍を携え、最も近い殺気目掛けて振るわれら矛は、背後から突っ込んできたレイピアの刺突を受け止めきった。

 

「ほう。迷い出た生霊めが、余をアゾろうなど百年早い!」

「…………てけ」

 

 哄笑ついでに下手人の顔を拝んでやろうと、槍に力を込める。けれどサーヴァントの、それも筋力Aすら真正面から容易く力付くで捩じ伏せる豪腕が、押し返される。

 慌てて両手で槍を握る。必然的に、鍔迫り合いの距離で真っ向から睨み合う事になる。

 

「はは、いいだろう。余を上回るか、おもしろ」

「首置いてけぇぇぇえええ!!」

「生霊じゃなくて亡霊だコレーーっ!?」

 

 AGI型のクセしてゔらどとの力比べを成立させているアスナ。愛、怖いなあ!

 

「首置いてきなさいよ、ねえ。

 サーヴァントなんでしょ!サーヴァントなんでしょう!?ねえサーヴァントなんでしょう貴方!!」

「落ち着けアスナ!何故サーヴァントを狙う!?」

「聖杯以外理由なんてないでしょ!私は霊核を得て願いを叶えるのよ!もう誰にも敗北者だなんて煽らせない!!」

「無理がある!?」

 

 鋼同士が激しく削りあい、火花が飛び散る。そこに割り込む様に、シリカが影の触手を伸ばす。

 

「あれ、敗北者さんじゃないですか。どうしたんですか、こんな所で」

「取り消しなさい、今の言葉!」

「嫌ですよ。私だって、個人的理由でアスナさんを襲いたかったんですから。

 ……覚えてますか?いつだったかアスナさんが起こしたファミパン騒動。私のセリフって、あの時の素っ頓狂な悲鳴だけなんですよ。

 アスナさんはいいですよね。顔が出る度に敗北者構文こそ流れても、ちゃんとヒロインレースに名前が挙がる程度には出番があるんですから。私なんて、原作とアニメで全然キャラの違うゴリラ以下なんですよ?」

「……む、そういえばリズベットはどうした?」

「MOREさんは短編とはいえ一回メイン張ったので参加拒否しました」

「あー、うん。AMEN(南無)

 

 宗教的にどうかというツッコミが山ほど来そうなコメントを最後に、煽り合戦を繰り広げるヒロイン……ヒロイン?たちからそそくさと距離を取るゔらど。

 

「それって宗教的にどうなの?」

「わざわざ乗らんでもいいぞピト。お前、あのちっこいのはどうした」

「あはは。聞くな」

 

 「だってまさかレンちゃんにあんなアグレッシブな一面が……あったわねぇ」とぼやく若干やつれた様子のピトと、体力・精神力共に余裕のあるジャック。二人と合流したゔらどだったが、状況はあまりいいとは言えなかった。

 ――スカーレット姉妹に関してはある程度暴れさせれば満足して手を引いてくれるだろうが、問題はキリトだな。さて、どう撤退しようか?

 ティーゼを振り払える筈も無く呑まれたユージオは度外視して顎に手を当て呻るゔらどだったが、そんな彼の耳に悪魔(ピト)の囁きが届く。

 

 

「……アレ?面子のほぼ全員、フラグ建築士に依存してない?キリトを生贄にすれば逃げきれるじゃん」

 

 瞬間、凍りつく空気。

 さらに追加されたヒロインの爆弾処理に勤しんでいたキリトが、錆びついたブリキ人形染みた動きで振り返った。

 

「……冗談?」

「本気♡」

「そっかあ」

 

 満面の笑みのピト。吊られて(ヤケクソで)キリトも笑顔。みんなでニッコリ。

 

 

 

 

 

「――スタン弾!」

お前はそこで乾いてゆけ(鮮血の伝承→魔眼発動)

システムコール以下略(拘束術式)!」

『45口径スタン弾!』

「麻痺投げナイフ!」

「お前ら人間じゃねぇ‼︎!」

 

 容赦なくデバフ攻撃を降らせるだけ降らして逃げ出す外道共に渾身の叫びをあげるキリトだったが、誰も立ち止まらない。

 

『聖杯梯子はどうする?』

「脱出優先!」

「まってまって置いてかないでぇあはぁぁーーーっ!?」

「アーチャー(代理)が死んだ!?」

「『「この人でなしいぃ!!」』」

「だいぶ今更よね」

「やはりこうなりましたか」

「ガッツがあって本当にすまぬなあ!」

 

 

 

 

 

「よく戻った。払った犠牲は大きかったが、その魂を糧に生きていこう」

「貴様がほざくなサトライザー」

 

 最初の会場に駆け戻った五人を出迎えたのは、司会席に座るガブリエル、ティーゼを抱えたユージオ、それと真っ二つに割れた聖杯だったもの。

 

「ゑ?」

「ティーゼと『この世全ての出番を求める者(モア・デバン)』の繋がりを切ったら、あっさり上手くいったよ」

「流石セイバー(剣の英霊)

「てことは犠牲(キリトのみ)か。ところで聖杯は?」

「先程赤毛の青年が一刀両断し、二人を救出していった」

「骨折り損っ!?」

 

 

 ――戦いは終わった。作られた会場はやがて廃れ、泡沫の幻として誰の記憶からも忘れ去られていった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









「ねーねークィネラちゃん。一個聞いときたいことがあるんだけどいい?」
「何かしら、ピト?」
「結局これ元ネタって型月さん家のカニファンなの?U◯i◯yん所のクソゲーなの?」
「両方を悪魔合体させたのよ
「失敗作?!」




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