ナザリック地下大墳墓第六層はジャングルだ。
巨大樹と呼べるような木々や幾種類もの草花が生い茂る広大な森には高レベルの昆虫や魔獣たちが無数に配置されており、踏み込んだ哀れな侵入者を食い殺す。
森以外にも湖やいくつかの建築物などが配置されており、第六階層は他の階層よりも多様性に富む自然的な階層と言えるだろう。
ヴェルフェニアを腕にしがみつけたままフォーマルハウトが降り立ったのは、第六階層にいくつか存在する建築物の一つ、
中世ローマのコロッセオを参考に作られたそこは巨大な円形闘技場であり、無数のゴーレム達が居並ぶ観客席に囲まれた処刑場。
上を見上げればそこに天井は無く、地下であるにも関わらず無数の星々が煌めく美しい夜空が広がっていた。
これもまた、ギルドメンバーであるブルー・プラネットが心血を注いで創り出したものであり、その気合の入りようには圧倒されつつも懐かしさを覚える。
ヴェルフェニアもその素晴らしさには驚きの表情を浮かべていた。
(流石はブルー・プラネットさんだ……
空を見上げていた視線を落とすと、少し先にはモモンガが立っている。そしてモモンガの前には二つの小さな影が並んでいた。
彼らはモモンガが招集したナザリックの各階層を管理、防衛する階層守護者の内の二人。第六階層を守護するダークエルフの双子姉弟だ。
「そろそろ行くぞ、フェニア」
ヴェルフェニアは腕を絡めたまま興味深そうに空を眺めていた。青と金の瞳が夜空に浮かぶ星々を映し、煌いている。
ヴェルフェニアは生み出されてからずっと、第八階層から出たことがなかった。虚無の湖岸から出ることすら少なかった。フォーマルハウトは追従させて連れ回すよりも虚無の湖岸でのんびり過ごすことを好んでいたからだ。ゲームのNPCであった彼女が自発的に設定された行動範囲を逸脱するような行動をすることは無い。
だから彼女にとって、この階層の全てが新鮮なものだった。
生まれて初めて見る景色に感動し、同時に僅かだがフォーマルハウトを恨めしく思った。なぜ自分をもっと連れ回してくれなかったのか。デートの一つくらい誘ってくれてもいいではないか、と。
「……あぁ、そうだったな。しかし、この階層は凄いな」
「そうだな。俺も久しぶりに見たけど、やっぱり凄いと思ったよ。他の階層もかなり造り込まれてるんだぞ?」
「今度はデートで訪れたいものだな。誘ってくれてもいいのだぞ?」
催促したヴェルフェニアは悪戯っぽい笑みを浮かべながら、横目でフォーマルハウトの様子を窺った。
フォーマルハウトは少しだけ面喰ったような表情を浮かべた後に、頬を赤く染める。そして少しだけ考えて、はにかみながら口を開く。
「……そうだな。今度ナザリックデートでもしようか」
思っていたよりも早く帰って来た返事に、今度はヴェルフェニアが面喰う。そして内容にも。第八階層でのやり取りからもっと焦ると思っていたヴェルフェニアにとっては肩透かしを食らったような感覚だ。
しかし、悪い気分にはならなかった。むしろ歩き出したヴェルフェニアは上機嫌であり、歩幅も自然と広くなる。それに釣られたようにフォーマルハウトの歩幅も広くなり、やがて数分もしないうちにモモンガの下に辿り着く。
「いらっしゃいませ、フォーマルハウト様! あたしたちの守護階層へようこそ!」
「よ、ようこそお越し下さいました、フォーマルハウト様」
二人を初めに迎えたのは健康的な褐色肌のダークエルフの双子だ。
対照的な性格を見せる双子の姉弟に笑顔を向けながら挨拶を交わす。
「アウラにマーレか。久しぶりだな、元気にしていたか?」
「はい!」
天真爛漫という言葉が似合いそうな元気な笑顔を見せる少女はアウラ・ベラ・フィオーラだ。金色の絹のような髪を肩口で切り揃えた活発な雰囲気の少女であり、緑と青のくりっとした大きなオッドアイが煌いている。赤い竜鱗で出来たぴっちりとした軽装鎧を身に着け、上下共にその上から白色のベストと長ズボンを着用している少年的な出で立ちだ。
ベストの胸の部分にはアインズ・ウール・ゴウンの紋章が刺繍され、首には大きな黄金色のドングリをあしらったネックレスを身に着けている。
「は、はい。元気です!」
アウラの弟であるマーレ・ベロ・フィオーレはアウラに良く似ているが、その髪型はおかっぱであり活発な印象のアウラとは正反対の大人しそうな雰囲気だ。おっとりとした顔立ちであり、瞳はアウラと同色だが左右逆のオッドアイ。藍色の竜鱗で出来た胴鎧にアウラ同様白色が主の服に、森の葉を編んで作ったような短いマントを背負っている。ただし下半身はズボンでは無く短めのスカートであり、褐色の地肌が僅かに覗き見える。
胸元にはアウラのものに酷似した銀色のドングリネックレスを身に着け、小さな手で黒い木で出来た杖を大切そうに抱えていた。
「そうか、なら良かった」
「はい! あの、ところで、そっちの腕に引っ付いてる子は……」
アウラの視線を受け、ヴェルフェニアが絡めていた腕をするりと放して一歩前に出る。
「私は第八階層虚無の湖岸領域守護者、ヴェルフェニア・セレンルーナだ。よろしく頼む」
「あたしは第六階層守護者、アウラ・ベラ・フィオーラ。虚無の湖岸ってことは、フォーマルハウト様が創造なさったってことだよね。よろしく!」
「ぼ、ぼくも第六階層守護者、マーレ・ベロ・フィオーレです。よ、よろしくお願いします」
特にトラブルも無く溶け込めたらしいヴェルフェニアを見て、フォーマルハウトは胸を撫で下ろした。言ってしまえばヴェルフェニアはつい先ほどまで引きこもり生活をして来た少女だ。彼女を生み出した親でもある身としてきちんと友人が出来るかどうかが心配だった。
仲間たちが創り出したNPCたちが動き、楽しそうに会話をしている光景を見ながらモモンガとフォーマルハウトは破顔する。
「おや、私が一番……というわけでは無いようでありんすね?」
口調の割りには若々しい声が聞こえると同時、大地から黒い影が噴き上がる。やがて影は人一人を包み込めるほどの大きさになると、扉の様に形を変えた。そして影の中から小さな人影が姿を現す。
表れたのはスカート部分が大きく膨らんだ漆黒のボールガウンを身に纏い、深い愉悦の笑みを浮かべる
可愛らしいフリルとリボンがついたボレロカーディガンを羽織り、レースが付いたフィンガーレスグローブを付けているため、殆ど肌が見えない。
唯一布に覆われていない顔は絶世という言葉が相応しい美しい顔立ちであり、白蝋染みた白い肌を晒している。銀色の髪は持ち上げてから流しているため、顔には一切かかっておらず、怪しく光る真紅の瞳はどんな宝石よりも美しい。
年の頃は十四か、それ以下だろうか。まだ幼さが抜けきっていない、可憐さと美しさを併せ持つ美の結晶。
ただし、小柄な体躯に反して胸の部分だけは不自然なほど大きく膨らんでいた。
「転移が阻害されてるナザリックで<
アウラが呆れたように指摘する。その凍りつくような声音には先ほどまでの子犬のような雰囲気は無く、そこにあるのは明確な敵意だ。
その横ではマーレとヴェルフェニアがゆっくりとアウラから距離を取っていた。マーレに至っては震えながらだ。
最高位の転移魔法を使って現れた少女の名はシャルティア・ブラッドフォールン。このナザリック地下大墳墓において、第一、第二、第三階層と複数の階層を守護する唯一の階層守護者だ。
シャルティアはモモンガとフォーマルハウトの側で顔を歪めているアウラには一瞥もくれずに、二人の前に立つ。
ふわりと香水の良い香りがシャルティアの体から立ち上る。
「お久しぶりでありんす、フォーマルハウト様。そして――」
フォーマルハウトへ向けてスカートの端を詰まんで貴族の令嬢がするような礼をした後、シャルティアはモモンガの首へと両手を回してぶら下がるように抱きついた。
「あぁ、我が君。私が唯一支配出来ぬ愛しの君」
妖艶な美女がやれば絵にもなっただろうが、シャルティアでは身長が足りず、子供がじゃれついてぶら下がっているようにしか見えない。
それでも女性慣れしていないモモンガにとっては十分な妖艶さだ。気恥ずかしさに一歩後退しそうになるが、気を振り絞って何ともない風を装ってその場に踏みとどまる。
「どうした? そんなにモモンガを見て、羨ましいのか? 安心しろフォーマルハウト、お前には私がいるのだからな」
突然のことに言葉を失い、呆然とモモンガを見ていたフォーマルハウトへ飛びついたのはヴェルフェニアだ。第八階層でそうしたように、そしてシャルティアのようにフォーマルハウトの首へと手を伸ばして正面からその胸に飛び込む。
そして、同時に凄まじい敵意と殺意がヴェルフェニアへと叩きつけられた。それは密着していたフォーマルハウトにも感じ取れるほど濃密なものであり、思わず身を固めてその発生源を探る。
発生源は三つ。アウラ、マーレ、シャルティアだ。
アウラから発せられる敵意は先ほどシャルティアに向けられていた物とは比べ物にならないものだ。マーレも表情こそ変わらないが、いつもと変わらない表情で大人でも逃げ出したくなるような殺意を出している事がより恐ろしさを強くしていた。シャルティアに至ってはどす黒いオーラを撒き散らし、凄まじい形相でヴェルフェニアを睨んでいる。
シャルティアはモモンガを解放し、鋭い瞳のままヴェルフェニアへと口を開く。
「どこの誰かは知りんせんが、同じ至高の御方々に仕えるシモベとして今のぬしの言葉……至高の御方々を呼び捨てにするなど許せるものではありんせんでありんすねぇ……」
放たれた言葉の端々からは怒りに漏れ出していた。。
その言葉を受けたヴェルフェニアもそれまで浮かべていた微笑みを消してフォーマルハウトから離れ、いつ襲われても応戦出来るよう戦闘態勢を取る。
それを囲むようにアウラとマーレが移動する。敬愛する主たちに不敬な態度を取る輩を決して逃がさないための包囲だ。これには包囲の中にいるフォーマルハウトとヴェルフェニアも肝を冷やす。
周囲を囲むのは全員が最高の百レベルに到達している階層守護者三人。それぞれの役割や戦闘スタイルなどは違うが、戦闘能力はナザリックにおける最大戦力の一角だ。ヴェルフェニアも百レベルだが、一対三では敗北は免れない。
だが、守護者たちが浮かべている怒りはヴェルフェニアからすればまったくの見当違いだ。フォーマルハウトにそうあれと生み出され、それに従った言動をしただけなのだから。
ちらりとヴェルフェニアから向けられた助けを求める視線を受けて、フォーマルハウトは助け船を出す。
「……待て、シャルティア」
「フォーマルハウト様?」
なぜ止められたのか分からないといった表情で、シャルティアは可愛らしく小首を傾げた。アウラとマーレも同様に困惑した表情を浮かべているが、漏れ出していた怒りとヴェルフェニアへ向けていた敵意はひとまず収めたようだ。
「あー……お前たちの気持ちは嬉しいが、フェニアは俺がそういう風に設定したんだ。モモンガさんや他のギルドメンバーもそういう設定だって知っているから、大丈夫だ」
フォーマルハウトの言葉を聞いたシャルティアたちは一瞬だけ驚いたような表情を浮かべ、一斉にモモンガへと視線を向ける。そして、こくりと頷いたモモンガを見て納得したのかシャルティアたちの敵意は完全に収まったようだった。
「かしこまりんした。そういうことならば……えぇと、フェニアと言う事はフォーマルハウト様が御創造なされたヴェルフェニア・セレンルーナでありんすか? 確か第八階層の領域守護者と聞いているでありんすが」
「あぁ、そうだ。第八階層虚無の湖岸の領域守護者、ヴェルフェニアだ。お前たちを怒らせるのは本意ではないのでフォーマルハウト以外には敬語を使うとしよう」
「確かに、わたしたちだけでなく他のシモベたちも怒るでありんしょうから、その方が良いとは思いんすが……フォーマルハウト様はそれでいいのでありんすか?」
「どうなんだ、フォーマルハウト」
「別に構わない。ナザリック内に不和を齎すことが目的じゃないからな。シャルティア、アウラ、マーレ、お前たちが不快な思いをしたのならそれは俺のせいだ。すまなかった」
会釈程度に頭を下げて謝罪する。
「フォ、フォーマルハウト様が謝られることではありんせん!」
「そ、そうですよ! あたしたちが知らずに勝手に怒ったのが悪いんですから!」
「わっ、わっ、あ、頭をお上げ下さい!」
異様なほど慌てていたので頭を上げると、三人が心底ほっとした表情を浮かべていた。
軽く頭を下げただけでこれなら土下座でもしようものならどうなるのだろうか。そんな疑問がフォーマルハウトの頭を過ぎる。
「ほら、あんたのせいでしょシャルティア。ちゃんとヴェルフェニアに謝んなさいよ」
「はぁあ? あんただって殺気飛ばして囲んでたでしょうが!」
「いや、別に私は気にしていないが……」
当事者であるはずのヴェルフェニアを放置したまま徐々に口論がヒートアップする。チビすけや偽乳や男胸など子供の悪口のようなものが飛び交い始めた辺りで、モモンガとフォーマルハウトは懐かしさを感じていた。
アウラを設定したギルドメンバー、ぶくぶく茶釜とシャルティアを設定したペロロンチーノは姉弟だ。その二人はこうしてよく喧嘩をしていた。最も、今のように言い合いが発生するわけではなくペロロンチーノが一方的にやられているだけだったが。
「騒ガシイナ、御方々ノ前デ遊ビスギダ」
不意に聞こえた声は音を無理矢理人間の声に聞こえるように発生させたような、歪んで聞き取り辛い硬質なものだ。
現れたのはライトブルーの鎧のような外骨格を持つ、
しっかりとした力強さを感じさせる巨躯は二・五メートルほどもあり、さらにその身長の倍はある長さのたくましい尾や全身からは氷柱のような鋭いスパイクが無数に飛び出している。
四本ある丸太のように太い腕のうちの二本は巨大なハルバードを持ち、残った二本の腕はそれぞれどす黒いオーラを撒き散らすメイスと歪んだ形状のブロードソードを持っている。
左右に開閉する大きく頑丈な下顎は人の腕を容易に噛み千切ることが出来るほど鋭く、その奥にある口腔からは空気を凍てつかせる極寒の冷気が噴出していた。
「この小娘がわたしに無礼を――」
「事実を――」
「あわわわわ……」
「……はぁ」
互いの言葉を聞いて再びシャルティアとアウラが睨み合い、それを見たマーレが慌てる。ヴェルフェニアは呆れて溜息を吐いていた。
未だ続こうとしている二人の諍いにモモンガも流石に呆れ、意図的に低い声を作って二人に警告を発する。
「シャルティア、アウラ、じゃれ合いはその辺りにしておけ」
底冷えするようなモモンガの低く威厳ある声に、フォーマルハウトは驚きながらも懐かしさを感じた。
モモンガは悪名高きアインズ・ウール・ゴウンの長として悪の大魔王のロールプレイをしていた。死の超越者としての恐ろしい骸骨の姿とその身から発せられる黒いオーラを撒き散らす課金エフェクト、そして聞く者を震え上がらせるような低く恐ろしい声はまさに悪の大魔王として相応しいものだった。
(凄いな、モモンガさん)
警告を受けた二人の少女はびくりと体を震わせ、モモンガへと頭を下げる。
『申し訳ありません!』
モモンガは鷹揚に頷き謝罪を受け入れると、現れた者へと向き直った。
「良く来たな、コキュートス」
「御呼ビトアラバ即座ニ、モモンガ様」
ナザリック地下大墳墓第五階層守護者、コキュートス。凍河の支配者の異名に相応しい極寒の冷気を操る力を持つ
言葉と共にコキュートスの口から冷気が漏れる。漏れ出した冷気はパキパキと音を立てて空気中の水分を凍らせ、ダイヤモンドダストのようにキラキラと煌かせた。
傍に立っているだけでダメージを受けそうなほどに強力な冷気であるが、最も近くに立つモモンガはそれを意にも介さない。そもそもこの場に冷気や炎、酸や電撃などに対する耐性を持たぬものなどいないのだ。
「ム、ソノ者ハ……」
六つあるコキュートスの深い青色をした複眼がヴェルフェニアを捉える。
初対面の相手に興味を示しているといったところで、その声音に警戒の色は無い。
「フォーマルハウトさんが生み出した者だ。何度も紹介するのは面倒だろうから、紹介はまだ来ていない者が揃ってからにするとしよう」
「ハ、畏マリマシタ。オヤ、デミウルゴス、ソシテアルベドモ来タヨウデスナ」
コキュートスの視線を追いかけると、その先には闘技場の入り口から歩いてくる影が二つ。前を歩くのはアルベドだ。その後ろに付き従うように一人の男が歩く。十分に距離が近づくと、アルベドは微笑みながら敬意を感じさせる優雅なお辞儀を見せた。
男もまた優雅なお辞儀を見せ、口を開く。
「皆さん、お待たせして申し訳ありませんねぇ」
涼し気な声を発したのは赤い三つ揃えにネクタイまでしっかりと着用した浅黒い肌の
身長は一・八メートルはある長身であり、東洋系の顔立ちは深い笑みを浮かべている。漆黒の髪をオールバックで固め、かけた丸眼鏡の奥には細めというよりは閉じられた瞳があった。
やり手のビジネスマンか弁護士かといった出で立ちではあるが、腰の辺りからは銀のプレートで包まれた尻尾が伸び、その先端からは六本の棘が生えている。
ナザリック地下大墳墓第七階層守護者、デミウルゴスだ。
「これで皆、集まったか」
「モモンガ様、まだ二名ほど来ていないようですが? それにそちらの娘は……」
「その必要はない。残りの二人はどちらも特定状況下での働きを優先して配属された守護者。今回のような場合に呼ぶ必要はない。それと、あの娘だが後ほど紹介しよう」
「左様でしたか、畏まりました」
モモンガの言葉を受け、各階層守護者が了解の意を示すと、アルベドが口を開く。
「では皆、忠誠の儀を」
(忠誠の儀……? え、何それ?)
アルベドから放たれた聞き覚えの無い言葉にフォーマルハウトは動揺しながら、何か知っていないかとモモンガへ視線で問い掛ける。しかし、モモンガは首を横に振った。
そうこうしているうちに一斉に守護者たちが頷き、二人が口を挟めぬうちに隊列を整える。アルベドを一歩前に立て、少し下がった位置に階層守護者たちが一列になって並ぶ。ヴェルフェニアのみが移動せずにフォーマルハウトから斜め後ろに一歩下がった位置にいるが、いつの間にかその姿勢は跪き、頭を垂れたものに変わっていた。
守護者たちの真剣な雰囲気に呑まれ呆然としている二人から見て、一番右端にいるシャルティアが一歩前に進み出る。
「第一、第二、第三階層守護者、シャルティア・ブラッドフォールン。御身の前に」
胸元に手を当て、深く頭を下げて跪く。臣下の礼を取ったシャルティアに続き一歩前に出たのはコキュートスだ。
「第五階層守護者、コキュートス。御身ノ前ニ」
シャルティアと同じように臣下の礼を取ってモモンガとフォーマルハウトに対して頭を下げる。
「第六階層守護者、アウラ・ベラ・フィオーラ。御身の前に」
「お、同じく、第六階層守護者、マーレ・ベロ・フィオーレ。御身の前に」
次に踏み出したのはアウラとマーレだ。二人は名乗りを上げ、綺麗に声を揃えて前の二人と同じように頭を垂れて跪く。続いてデミウルゴスが前に進み出る。
「第七階層守護者、デミウルゴス。御身の前に」
優雅な姿勢を崩さずにしつつ、非常に心のこもった礼を見せた。
「守護者統括、アルベド。御身の前に」
微かな笑顔をモモンガたちへと向けつつ最後に名乗り跪いたのはアルベドだ。ただ、アルベドだけはそれだけでは終わらない。頭を下げたまま良く通る声で目の前に立つモモンガとフォーマルハウトへ最後の報告を行う。
「第四階層守護者ガルガンチュア及び第八階層守護者ヴィクティムを除き、各階層守護者並びに領域守護者ヴェルフェニア、御身の前に平伏し奉る。……ご命令を、至高なる御方々よ。我らの忠義全てを御方々に捧げます」
六つの下げられた頭を前に、モモンガとフォーマルハウトからは緊張感が高まっていた。
元々しがない一般人である彼らがこんな場面を経験したことなどあるはずもなく、特にモモンガは混乱から誤って一部のスキルを発動してしまう。
(モモンガさん混乱しすぎだ!? 気持ちはわかるけど絶望のオーラなんて出してどうするんだ!)
心の中で抗議するも、それを解除させる手段をフォーマルハウトは持ち合わせていなかった。必死に視線を送るがモモンガはそれに気付かず、さらにロールプレイ向けの特別な効果も無い後光を背負ったりもしてしまう。
モモンガもスキルを解除するという選択肢を思い浮かべる余裕すら無く、
「面を上げよ」
必死に絞り出したモモンガの台詞に、守護者たちは一糸乱れぬ動きで応える。
フォーマルハウトは、混乱しつつも魔王としてのロールプレイを崩さず取り繕うモモンガを素直に称賛した。
(モモンガさん本当に凄いな! 俺じゃあんなところから持ち直せないぞ!)
「まずは良く集まってくれた、感謝しよう」
「感謝なぞお止め下さい。我らは造物主たる至高の四十一人の御方々――アインズ・ウール・ゴウンの忠実なるシモベ。御方々よりご下命いただければ我ら一同、いかなる難行といえども全身全霊を以て遂行いたします」
『誓います!』
アルベドの声にあわせて、守護者全員の声が唱和する。
綺麗に揃えられて放たれた声にはNPCが敵対する可能性を考えていた二人を嘲笑する、金剛石が如き忠誠心が込められていた。
その光景を目にしたモモンガとフォーマルハウトは感動に打ち震える。かつての仲間たちが生み出したNPCたちが、これほど素晴らしいと知って。
そして、その感動に後押しされるように不安は消え、モモンガの口からはギルドマスターとしての言葉が簡単に滑り落ちた。
「素晴らしいぞ、守護者たちよ。お前たちならば私たちの目的を理解し、失態なくことを運べると今この瞬間、強く確信した」
モモンガの称賛を受けた守護者たちの表情が喜びに染まる。
「さて、お前たちも気になっているであろう者の紹介をしよう。ヴェルフェニア・セレンルーナよ、前へ」
「はい」
モモンガに促され、フォーマルハウトの横をすり抜けてヴェルフェニアは前に出る。正体を知るシャルティア、アウラ、マーレ以外の守護者たちからの訝し気な視線が一斉に突き刺さるが、ヴェルフェニアは毅然とした姿勢で胸を張っている。
「フォーマルハウトさん、彼女の紹介を」
「ぇ? あ、あぁ」
流れ的にモモンガが紹介すると考えていたフォーマルハウトは虚を突かれる。守護者たちの視線が一斉にこちらへ向いてたじろぐが、何とか平静を取り繕うことに成功して口を開く。
「この子はヴェルフェニア・セレンルーナ、俺が設定したNPCだ。まず最初に言っておくが、フェニアは俺たちアインズ・ウール・ゴウンのメンバーに対しても敬語では無く普通に喋ることになっている。お前たちもそれでは多少不快に思うだろうから今後、俺以外には敬語を使わせるようにする。万が一言葉遣いを間違えても大目に見てやって欲しい」
軽い紹介を終わらせ、ヴェルフェニアの背中を押す。その行動を合図にしたかのようにヴェルフェニアは口を開く。
「第八階層虚無の湖岸の領域守護者、ヴェルフェニア・セレンルーナだ。フォーマルハウトの嫁として創造された。だからと言って特別扱いする必要はないのでよろしく頼む」
爆弾が投下された。
「なっ!」
「嫁ぇ!?」
「えぇえええええっ!?」
「え、あ、あの、えっと、その……」
驚愕の声を上げたのはアルベド、シャルティア、アウラの三人だ。マーレは混乱しているのか前後不覚状態に陥っている。冷静に見えるコキュートスとデミウルゴスもその表情は驚きの色に染められていた。
モモンガもバッという擬音が聞こえてきそうなほどの勢いでフォーマルハウトを見る。
フォーマルハウトは頭を抱えた。どう説明しようか、と。嘘では無く事実であるというのが猶更問題を難しくしていた。何よりかつての仲間たちの子供とも言えるような存在に対して、自分の娘と言える存在を嫁扱いしていると知られるのが恥ずかしすぎた。
羞恥に染まった顔を両手で覆ってどうしようかと考えていると、頭の中に電子音が響く。
《ちょっと、フォーマルハウトさん! どういうことです!?》
モモンガは<
《……いや……その、まぁそういう設定をしまして》
《あれ脳内設定じゃなかったんですか!?》
《何だ、それの何が悪いんだ》
《急に開き直ったなこの男……》
「フォーマルハウト様! ヴェルフェニアの話は本当なのですか!」
アルベドが詰め寄るような勢いで他の守護者たちの疑問を代弁する。その表情は真剣そのものだったが、何か期待が込められた表情にも見える。
「あ、あぁ、その、本当だ」
肯定の言葉に短い感嘆の言葉が守護者たちから漏れた。
浮かべられている表情はみな一様に明るいものであり、未来への希望を感じさせるようなものでもあった。
苦虫を噛み潰したような顔を向けられると思っていたフォーマルハウトは、返って来た反応が肯定的なものだったことに安堵する。ただしその後に続けられたアルベドの言葉には流石に驚かされた。
「では、結婚式などは如何いたしましょうか!」
「は?」
「お許しいただけるのでしたら、このアルベドが取り仕切らせて頂きます! 至高の御方の御結婚なのですから、ナザリックの総力をあげて盛大に――」
「アルベドよ、守護者たちもみな落ち着くのだ」
場を収めるために放たれたモモンガの諫める声に反応し、守護者たちは口を噤んだ。そしてアルベドが守護者たちを代表し、頭を深くさげて心の底から悔いるような声音で謝罪する。
「も、申し訳ありませんでした、モモンガ様。この失態の罰は如何様にも……」
「良い、お前たちの気持ちも分かる。私もたった今知ったことだからな」
「モモンガ様も御存知ではなかったのですか?」
「うむ。まったく、我が友ながら驚かせてくれる。しかし、残念ながら今はそれを祝ってやっている暇はないのだ。ヴェルフェニアよ、ひとまず守護者たちの列に加わるが良い」「畏まりました」
ヴェルフェニアは優雅にお辞儀をして、階層守護者たちが並ぶ列の一歩後ろへ移動して跪いた。
それを確認したモモンガは満足そうに頷き、守護者たちを呼び出した本題に入る。
「現在、ナザリック地下大墳墓は原因不明かつ不測の事態に巻き込まれている。最低でもナザリックがかつてあった沼地ではなく、山岳地帯に転移していることが判明している」
守護者たちはモモンガの言葉から事態を察し、真剣な表情を見せる。
ナザリックがかつて存在していたのはユグドラシルのワールドの一つであるヘルヘイムであり、猛毒の沼地が点在する大湿地帯、紫毒の沼地の中の一つ、グレンデラ沼地の奥地だ。
そこにはツヴェークと言う蛙が直立したような八十レベル程度のモンスターが大量に棲息していた。ツヴェークたちは敵を発見すると次々と仲間を呼んで襲い掛かってくるので上級者でも探索には苦労する地獄のようなマップだ。
それが今では山岳地帯に転移していると言う。
「待って下さい、山岳地帯? モモンガさん、それ本当ですか?」
「えぇ、地表へと偵察に出したセバスからの情報により判明しました」
フォーマルハウトとモモンガのやり取りを耳にした守護者たちの表情がより一層引き締まる。
セバスもまたこの場に集まる者たちと同等の力を持つ百レベルNPCであり、特に搦め手無しの真っ向勝負でならばセバスは最強格とさえ言える戦闘能力を有している。そんな存在を偵察などという末端に行わせる簡単な任務に送り出したモモンガの判断に驚愕し、この事態をそれほど重く見ているということを感じ取ったのだ。
「もうすぐ戻ってくると思うんですが……」
辺りを見渡したモモンガは小走りに走ってくるセバスを発見する。
佇むモモンガとフォーマルハウトの下まで辿り着いたセバスは、他の者たちがそうしているように跪いた。
「遅くなってしまい申し訳ございません」
「良い。それよりも、偵察の結果を報告せよ」
指示を受けたセバスは一瞬だけ守護者たちへと視線を送る。
「構わん。今は非常事態だ。この場にいる皆が知る資格を持っている」
「はっ、畏まりました。まず周囲一キロは草木の少ない峻厳な山岳です。また、人口建築物は確認出来ず、小動物は何匹か確認しましたが、人型生物や大型の生物は一切確認出来ませんでした」
「その小動物というのはモンスターか?」
「いえ、戦闘能力が皆無と思われる単なる小動物です」
「ふむ……ご苦労だった、セバス」
セバスを労いながら、モモンガは暗澹たる気持ちとなった。
それはフォーマルハウトも同様であり、大した情報が手に入らなかったことによるものだ。沼地から山岳へと転移したという情報自体は大きなものだったが、発生した異常に大して手に入った情報が余りにも少なすぎる。
ただ、もはやここはユグドラシルですら無い、どこか別の世界だと言うことは何となく理解していた。それほどに今の状況は
なぜユグドラシルの魔法やアイテムが使え、どのような理由でどこに転移したのかという肝心な答えはまったく分からなかったが。
「モモンガさん、ナザリックの警備レベルを引き上げましょう。ここがどこかは分かりませんが、どんな危険があるかわかりません」
「そうしましょう。では各守護者よ、まずは各階層の巡回と確認を行い、異常を発見した場合は即座に報告せよ。同時に警備レベルを一段階引き上げろ。何が起こるか不明な段階のため、決して油断はするな。侵入者が居た場合は殺さずに捕えろ。出来れば危害を加えずにというのが望ましい」
守護者たちが一斉に了解の意を示し、頭を下げる。
「次にナザリックの運営システムに関して聞きたい。アルベドよ、各階層守護者間の警備情報などのやり取りはどうなっている?」
命令を出しているのはモモンガだが、これはフォーマルハウトも気になっていたことだ。
どれだけ警備を厚くしても情報が速やかに全体へ行き渡らないならば適切な対処を取ることは極めて難しい。
ユグドラシルではNPCというのは単なる拠点防衛のために用意された存在であり、設定されたプログラムに従って行動するだけだ。モンスターや守護者間での情報のやり取りなどあるはずもない。
「はい。既にデミウルゴスを総責任者とした情報共有システムは出来上がっております」
二人は良い意味で予想を裏切ったアルベドの言葉に喜色を浮かべ、安堵に胸を撫で下ろした。
これで最低限、何か異常が発生してもその情報が上がってこないなどという事態には陥らないと判明して。
「それは重畳。では守護者統括アルベド、並びに防衛戦の責任者であるデミウルゴス。両者の責任の下、より完璧な情報共有システムを作り出せ。次に――」
守護者たちとのやり取りを繰り返し、次々とやるべきことを決めて指示してゆくモモンガを見て、フォーマルハウトはほうと感嘆の息を吐いた。
(やっぱりモモンガさんはこういう時頼りになるなぁ……俺って戦うことしか出来ないし、みんなが引退した後も事務的なことは全部モモンガさんがやってくれてたし)
だからこそ、自らも最後の日までユグドラシルを楽しめていたのだろうと確信する。
ユグドラシルにいた頃からモモンガの状況対応能力は群を抜いていた。
アインズ・ウール・ゴウンに居たメンバーは一芸に秀でた者たちが多かったが、同時に癖が強い者たちばかりだった。それら四十一人を長い間まとめて来た実績は伊達ではない。
「最後にこの場にいる者たちに聞きたいことがある。まずはシャルティア、お前にとって私たち二人は一体どのような人物だ?」
「モモンガ様は美の結晶。その白きお体と比べればどのような宝石でも見劣りしてしまうでしょう。フォーマルハウト様は力の結晶。その内に恐るべき力を秘めた暴虐の王でございます」
打てば響くように応えたシャルティアの評価に、二人は内心で愕然として横目で互いに視線を交わした。
「――コキュートス」
「モモンガ様ハナザリック地下大墳墓ノ絶対ナル支配者ニ相応シキ力ト智謀ヲ併セ持ツ御方。フォーマルハウト様ハ一個ノ武人トシテ類稀ナ才覚ヲ持ツ御方デアルカト」
「―――アウラ」
「モモンガ様は慈悲深く、深い配慮に優れた御方です。フォーマルハウト様は多くの敵にも怯まない勇気溢れる御方です」
「――――マーレ」
「モ、モモンガ様は凄く優しい方だと思います。フォーマルハウト様は、と、とってもお強い方だと思います」
「―――――デミウルゴス」
「モモンガ様は深謀遠慮に優れ、即座に実行に移す行動力を有した御方。まさに端倪すべからざるという言葉が相応しき御方かと。フォーマルハウト様はまさしく一騎当千の力をお持ちであり、策を弄されてもそれを力で粉砕することが出来る恐るべき御方です」
「――――――セバス」
「モモンガ様は至高の御方々の総括に就任されていた御方。フォーマルハウト様は何よりも圧倒的な力と戦闘技術をお持ちの御方です」
「―――――――ヴェルフェニア」
「モモンガ様は我らがナザリック地下大墳墓の主にしてフォーマルハウトの無二の友。フォーマルハウトは私の愛しい夫です」
ヴェルフェニアの言葉にセバスがぴくりと反応を示す。
「――――――――最後になったが、アルベド」
「モモンガ様は至高の御方々の最高責任者であり、私の愛しい御方です。フォーマルハウト様はいかなる危険にも真っ先に切り込み、敵対者を容赦無く叩き伏せる烈火の如き御方です」
「……なるほど。各員の考えは十分に理解した。今後とも、忠義に励め」
守護者たちが大きく頭を下げたのを確認し、モモンガの言葉を最後に二人は指輪で転移する。
瞬時に視界が変化し、第六階層の闘技場から第十階層の玉座の間への入り口――悪魔を象った幾多のゴーレムたちが鎮座する
ここへ転移すると示し合わせたわけでもないのに二人同時に同じ場所へ転移出来たのは、長年培ってきた連携能力によるものだろうか。
周囲を見回して誰もいないことを確認した二人は大きな溜息を吐く。
そして――
「何ですかモモンガさん、あのNPCたちの高評価は!」
「だから忠誠心がかなり高いって言ったじゃないですか!」
「カンスト通り越してバグってる領域ですよ! 全員忠誠心バグの領域守護者ですか!? 何ですかシャルティアの暴虐の王って、初めて言われましたよ!」
「私だって端倪すべからざるなんて言葉使う人初めて見ましたよ! 人じゃないけど!」
「「あれ絶対別人の話してますよね!?」」
二人同時に叫ぶ。守護者たちの過剰評価に笑いながらそう突っ込んでやりたかったが、そう考えても冗談で言っている雰囲気ではなかった。考えを述べる者たちの表情は大真面目であり、答えに窮する様子もなかったことからその言葉が偽りではないということが分かる。
つまりは、
二人があの評価を崩してしまえば失望される可能性がある。ここに来て裏切りの心配などはしていないが、かつての友人たちの子供とも言えるNPCたちに失望されるようなことは出来ればあって欲しくない。
先行きに不安を覚えて冷静になったためか、フォーマルハウトは気になる言葉を思い出した。
「モモンガさん、アルベドの愛しい御方ってどういうことなんです? タブラさん、そんな設定してたんですか?」
「……あぁ、どうしよう……タブラさんに何て謝れば……」
頭を抱えて崩れ落ちるように膝をついたモモンガから語られた内容はこうだ。
玉座の間で終わりを迎える直前、隣に立つアルベドがどういう設定だったかを思い出せず、確認したこと。
表示された驚くほど長い設定に苦笑しながら斜め読みをしていたら、最後に『ちなみにビッチである』という設定を発見してしまったこと。
これはあんまりな設定だと思って、戯れに『モモンガを愛している』という設定に変更してしまったことを。
聞かされた話の内容に、フォーマルハウトは少しだけ呆れたがそれ以上に喜んだ。
これでヴェルフェニアの設定に『フォーマルハウトの嫁』と書き込んでいたことで、自分だけ精神的ダメージを受けることはないと。
「大丈夫です、モモンガさん。分かりますよ。アルベド綺麗ですもんね。俺もヴェルフェニアの設定に書き込んでますから、俺の嫁だって。だから、応援しますよ」
「何も分かってないじゃないですか!」
「はっはっはっ、まぁともかくやってしまったものは仕方ないでしょう。誰もこうなるなんて思ってなかったんですし、仕方ないです」
ユグドラシルの世界から異世界へ転移するなどということを予測出来るものなど存在するはずもない。
モモンガがやってしまったのも仕方が無いことではあるのだが、納得出来ない様子で慙愧の念に駆られていた。
「うぅ……タブラさん、本当にすみません……」
「ま、まぁタブラさんなら案外許してくれると思いますよ。モモンガさん仲良かったでしょ?」
「仲は良かったと思いますけど、流石に……はぁ」
モモンガは後悔で頭を抱えているが、フォーマルハウトはアルベドの生みの親と言えるタブラ・スマラグディナの姿を思い出して、むしろ喜んでそうだなと思った。親指をグッと立てて笑顔を浮かべている姿を夢想する。
そして、しばらくこのネタで弄れそうだなとも思った。
語彙力が無くて執筆に時間がかかる……でもヴィクティムはしばらく出てこないので楽になった。
タブラさんはたぶんモモンガさんがアルベドの設定を書き換えたことは怒らず、むしろ喜びそう。いつかどこかで書き換えることすら予想してたかもしれないと思ってます。