二人の魔王の異世界無双記   作:リョウ77

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今回は、募集したリクエスト回です。
内容としては、『見た目は子供、素顔は厨二』様と『逢人』様のリクエストを足したような形にしました。
とはいえ、『逢人』様と『kou』様のリクエストは感想欄に書いた都合上、運営側から警告・削除されてしまったので、そこは反省ですね。
感想のガイドラインに、感想欄でのアンケートは禁止されていたので。
これなら、たぶんリクエスト回は今回限りになるかもしれませんね。
感想を書いていただいている方は非ログインの方が多いので。
こういうときに、非ログインの方に選択以外のアンケートができないのが不便に思えてしまいますね。


特別話
お気に入り500突破記念:イズモさんの弱点


「・・・全員に話がある」

 

とある闇に包まれた部屋の中、ぼぅと人影が現れた。

その正体は、テーブルに両肘をついて手を組み、口元を隠すような恰好・・・いわゆるゲンド〇ポーズをとっているユエだった。

そして、

 

「何をやっているんですか、ユエさん」

「また変なことを考えておるのかのう」

「とりあえず、暗いからカーテン開けちゃうね」

「まったく、いったい何の用なのよ」

 

口々に放たれるのは、ユエに対する呆れやら不審感やらがごっちゃまぜになった言葉だ。香織も、呆れを隠そうとしないまま部屋を覆っているカーテンを開けた。窓から光が差し込み、部屋が明るくなる。

この場にいるのは、ユエの他にはシア、ティオ、香織、ティアの、イズモを除いた女性陣だった。

今いる街はエリセン。ハジメの優柔不断によって長めに滞在している最中だ。

そして、今はレミアの家の一室に集まっている、というよりは、ユエに無理やり集められた。

ちなみに、ハジメはミュウと共に買い物に出かけており、ツルギは宿の部屋でイズモと一緒にいる。

 

「それで、どういうつもりなの?くだらないことなら早く戻りたいのだけど」

 

強制的に集められたメンバーの中で、ティアが全員の気持ちを代弁して尋ねると、ユエはよくぞ聞いてくれたと言わんばかりに頷いた。

そして、満を持して口を開く。

 

「・・・イズモの弱点を」

「じゃあ、私はツルギのところに戻るわ」

「あ、私はミュウちゃんのところに行きますぅ!」

「そうだね、ハジメ君とも一緒に買い物しようか」

「さて、何を買おうかのう」

 

言い切る前に、ティアたちはさっさと部屋から出ようとした。

だが、

 

「・・・行かせない!」

「あだっ。ちょっと!これって空間魔法の障壁じゃない!」

 

ティアたちが部屋から出る前に、周囲を空間魔法で遮断し、逃がさないようにした。

神代魔法の高速展開をすぐに物にするあたり、さすが天才という言うべきだろう。やってることの内容はしょうもないが。

 

「はぁ。で?イズモの弱点がなんなの?」

「・・・イズモと一緒にいて思ったけど、イズモが完璧すぎる」

「・・・あぁ、言われてみれば、たしかにそうね」

 

イズモ・クレハ。立場としてはティオの側近、あるいは従者だが、どちらかといえば対等な友人に近い。

そんなイズモは、実はけっこう多才だ。

 

「そういえば、よく私やツルギさんの料理を手伝ってくれますけど、すごい手際がいいんですよね」

 

その手際の良さは、皮むきなどを頼めば1分で終わらせるほど。

 

「よく相談も聞いてくれるよね」

 

相談をすれば、まじめに聞いていろいろと案を出してくれる。相談をする人物が人物なので内容もきわどいことが多々あるのだが、それでも表面上は嫌な顔をしない。

そして、なにより、

 

「頼んだら、子キツネ状態で撫でさせてくれるのよね」

 

頼めば、時と場合にもよるが、たいていは少し困った表情をしながらも子キツネ状態になって頭や背中を撫でさせてくれる。

つまり、一言で言えば、

 

「・・・イズモは、まさに完璧なお姉さんキャラ」

 

そういうことだ。

どこぞの他称“お姉さま”と違うのは、これらの世話焼きは基本的に身内に限っているということか。

それにくらべて、他のメンバーはどうか。

例えばユエは、

 

「ユエって、ハジメ君と思考回路が似てるせいでちょいちょい問題起こしてるよね」

「そうですねぇ、ツルギさんもよくそのフォローに回って大変そうですぅ」

「あのご主人様にしてこの吸血姫あり、ということじゃな」

「少しも反省していないっていうのが、手に負えないわよね」

「うっ・・・」

 

ついでに言えば、この中でも特にハジメに対してむっつりだろう。隙あらば色気を振りまき、ハジメの理性を削りにかかる。

例えばシアは、

 

「・・・残念ウサギ」

「最近はそうでもないけど、今でもたまにドジを踏むわよね」

「その時のシアって可愛いよねぇ」

「顔を真っ赤にするからのう」

「そ、それは言わないでほしいですぅ!」

 

ついでに言えば、ユエに続くむっつりでもある。最初に出会った頃なんて、よくハジメに「私の初めてをもらってください!」とか言っていたものだ。幸い、最近はそれほどだが、それでもユエとハジメの営みに自慢のウサ耳で聞き耳を立てることを忘れない。

例えばティオは、

 

「・・・変態」

「変態よね」

「変態ですね」

「変態だね」

「んんっ、はぁはぁ・・・」

 

ついでに言えば、イズモもティオの変態から元に戻す努力をやめている。イズモからも見放されているあたり、ティオの業の深さが垣間見える。

例えば香織は、

 

「・・・むっつりスケベ」

「隙あらばハジメさんの服の匂いを嗅ごうとしていますよね」

「気持ちはわからないでもないがの」

「私はべつにしないわよ」

「べ、べつにむっつりじゃないもん!」

 

ひどいのは、どちらかと言えば以前までのストーカー癖だろう。

ついでに言えば、ハジメの服の匂いをかぐときは、たいていシアとティオも一緒にいるので、あまり人のことは言えない。

例えばティアは、

 

「・・・メシマズ」

「あれはひどかったですぅ・・・」

「まさに未知の物質Xって感じだったよね」

「この世界にはまだ知らないことが数多くあるという良い例じゃったの」

「し、仕方ないじゃない!なんでか、あぁなっちゃうのよ!」

 

ついでに言えば、ツルギと2人きりの時は、よくツルギを誘惑している。要するに、隠れむっつりである。

そういうわけで、ユエやティアたちにはそれぞれ目立った欠点、短所があるのだが、

 

「・・・あれ?言われてみれば、イズモの弱点ってなんだろう?」

「というか、そもそもあるんですかね?」

「今まで見て来ても、なんでもそつなくこなしているわよね」

「たしかに、イズモは昔から万能じゃったのう」

 

つまり、イズモはこのパーティーの中では数少ない、というより女性陣ではほぼ唯一の完璧お姉さんなのだ。

それに対して、他の女性陣のなんと残念なことか。

 

「だから、イズモの弱点を探そうってわけね」

「・・・ん。このまま負けっぱなしなのは、なんか嫌だ」

「って言っても、本当に弱点なんてあるんですかねぇ?」

「そもそも、どうしてイズモってあんなに万能なのかな?」

「妖狐族は、竜人族の側近として、また諜報員としても訓練、教育されておる。じゃから、家事から戦闘、社交のルールまであらゆる分野を叩き込まれるのじゃ。さらに言えば、イズモはその中でも特に才能に秀でていたからのう」

 

諜報員とは、場合によって様々な場所、状況に潜伏する。ある時は料亭の厨房に料理人として、またある時は貴族や王族のパーティーにゲストとして。そのため、あらゆる分野すべてに精通する必要があった。

それはもちろんイズモも同じで、さらにイズモは一族きっての天才として生まれたことから、教えたすべてを余すことなく吸収した。

また、教育内容には竜人族の側近としての教えも含まれており、竜人族の心構えは妖狐族にも通じている。そのため、ハジメのせいで変態と化してしまったティオと違い、イズモは常時その気高い在り方を忘れないようにしているのだ。

 

「それに比べて、ティオさんはどうしてこうなってしまったんでしょうか・・・」

「・・・それに関しては、ハジメのせい」

「ねぇ、ハジメ君ってティオさんに何したの?」

「竜化したティオのお尻にパイルバンカーを刺しこんだわ」

「うわぁ・・・でも、普通それで目覚めたりはしないんじゃない?」

「お、お主ら、妾がいる前で・・・んっ」

 

自然な流れでティオへ変態を見る視線が集まるが、ティオはそれすらも快感に変換してしまっている。

これに「あぁ、もう駄目だ」と思いながらも、本題に戻った。

 

「それで、イズモの弱点だっけ?・・・案外、お化けとか苦手だったり?」

「でも、メルジーネではけっこう平気そうだったわよ」

「・・・運動とか?」

「いや、イズモは運動神経もよいぞ。ステータスで言えば妾の方が上じゃが、それでも里では1,2を争うほどじゃった」

 

あれだこれだと案をだすが、なかなか弱点と呼べるべきものが見つからない。というより、イズモのスペックの高さを再確認する内容の方が多かった。

だが、

 

「案外、ツルギさんが弱点だったり?」

 

このシアの言葉に、その場がビシリ!と凍り付いたようにティアたちは動きを止めた。

 

「・・・そういえば、ツルギに撫でられているときが、一番気持ちよさそうにしている」

「お料理の手伝いも、ツルギさんのときの方がはずんでいる気がしますぅ」

「妾達と比べて、ツルギ殿をよく甘やかしているようにも見えるのう」

「そういえば、メルジーネでツルギ君のことを抱きしめてたって言ってたよね」

「あと、夜の時にツルギがイズモの部屋の方をちらちら見ているわね」

 

ここまで情報が揃えば、もはや疑いの余地はない。何気に、最後のティアの発言が場合によっては衝撃的でもある。

 

「「「「・・・・・・」」」」

 

全員の視線が、自然とティアに向けられる。

何せ、自分の恋人のことだ。どう思っているのか気になるのだろう。

それを察したティアは、ため息を吐きながら答えた。

 

「・・・べつに、イズモがどう思っているかに関しては、私からどうこう言うつもりはないわ」

「・・・ほう?」

「そうなんですか?」

 

ティアの言葉に、ユエとシアが意外そうに目を見開く。

これにティアは、肩を竦めながら理由を話す。

 

「だって、ツルギもイズモのことを頼りにしてるし、私も同じだから」

「あぁ・・・言われてみれば、私たちって結構イズモさんのことを頼りにしていますよねぇ」

「たしかに、そうだね。頼れるお姉さんって感じで、ついつい頼りにしたくなっちゃうっていうか」

「ん・・・」

「・・・そう考えると、イズモの弱点を探そうとしたことが恥ずかしく思えるのう」

 

ティオの言葉に、その場の全員がうんうんとうなずく。

ある意味、パーティーのほぼ全員がイズモを頼りにしているのだ。その恩を仇で返すようなことはすべきでないだろう。

それに、ティアはわかっている。

 

「イズモは、ツルギのことが本気で好きみたいだし」

「そうなんですか?」

「えぇ。なんやかんや言って、イズモもツルギに甘えることが多いし、表情を見ればわかるわ」

 

ティアの言葉に、これまたその場の全員がうんうんとうなずく。

ツルギと一緒にいるときのイズモは、頬を紅潮させながらすり寄るようにしている。

それを見れば、イズモがツルギのことをどう思っているかなどすぐにわかるだろう。

 

「・・・やっぱり、弱点探しはやめよう」

「むしろ、ツルギさんと2人きりにさせた方がいいんじゃないですか?」

「たしかに、たまにはイズモにも2人きりの時間があってもいいじゃろう」

「なら、私たちはどうする?」

「やっぱり、買い物に行きましょうか。せっかくだから、イズモにプレゼントでも選ぼうかしら」

 

最終的には、ティアの案が採用され、今までイズモに世話になっているお礼のプレゼントを選ぶことになった。

イズモに何がいいのかを話し合いながら、ティアたちは商店街に向かった。

 

 

* * *

 

 

「はっくし!」

『む?ツルギ殿よ、風邪か?』

「いや、誰かが噂でもしてるのかもな」

 

実際、日本にいた頃から風邪とは縁のない暮らしだったから、日本よりも丈夫になった今の身体で風邪なんてひかないだろう。

とはいえ、俺の噂の内容なんてどうせろくでもないものだろうから、それはそれで嫌だが。

ちなみに、今は子狐状態になったイズモが俺の膝の上に乗り、俺が頭や背中を撫でている状態だ。最近のイズモはこれがお気に入りなようで、よくこうしている。

 

『案外、ユエたちが何か話しているのかもしれないぞ?』

「あぁ、そういえばティアが連れていかれたよな。いったい何だったんだろうな、あれ。まぁ、ユエの雰囲気から察するに、くだらないことだろうが」

 

ティアの攫い際のユエの空気は、どことなくめんどくさそうな感じがした。ああいうときのユエは、決まってくだらないことを考えている。放っておいた方が吉だろう。

 

『・・・本当に、たまに迷惑な吸血姫様だな』

「まぁ、ハジメの影響がでかいだろうけどな。っと、この辺りか?」

『うむ、そこだ』

 

他愛ない話をしながらも、俺はイズモを撫でる手を止めない。イズモがこれを気に入っているように、俺もまたこの行為を気に入っていたりする。だからこそ、イズモが気持ちよくなるように微妙に場所を変えたりしているのだが・・・

 

「・・・」

『? ツルギ殿よ、どうかしたか?』

「いや、なんでもない」

 

ここまで無防備な姿を見せられると、ついいたずら心が湧いてくる。今まではしたことはないが、メルジーネではつい情けない姿を見せてしまったばかりだ。ここでちょいと仕返しするのもいいだろう。

シアもハジメに撫でられるのを気に入っているが、特に耳や尻尾を撫でられると恍惚とした表情になる。

・・・試してみる価値はあるだろう。

そう考えた俺は、さりげなく手の位置をずらす。

すなわち、イズモのキツネ耳にだ。

 

『ひゃっ』

「ん?どうかしたか?」

『い、いや、なんでもない』

 

イズモは何やら誤魔化そうとしているが、俺は聞き逃さなかった。嬌声とも受け取れるような、イズモの声を。

つい面白くなってきた俺は、さらに耳を刺激する。

 

『んっ、や、つ、ツルギ殿よ!わざとやってないか?!』

「ん?なにがだ?」

『くっ、うぅ、やっぱりわかってやっているな、ひゃあ!くっ、んぅ』

 

今度は同時に尻尾のつけ根あたりもいじってやると、声がさらに大きくなり、出てくる嬌声を噛み殺すようになった。

・・・やばい、思った以上にイズモの反応が敏感だ。なんだか、そうでもないのにイケナイことをしている気分になりそうになってくる。まぁ、実際にはならないが。

そして、そのまま手を止めずに刺激を送り続けていると、

 

『くっ、ん、んんぅっ!!』

 

イズモはひときわ声を噛み殺しながら体をこわばらせ、くてんと体を横たわらせた。

これはもしかして・・・達してしまったってやつなのか?

どうやら、やりすぎてしまったらしい。

 

「おーい、イズモ・・・イズモ?」

『・・・』

 

さすがに罪悪感が湧いてきた俺はイズモに声をかけるが、返事がない。

ちょっと不安になってイズモの横顔を覗いてみると、

 

『すぅ・・・』

 

どうやら、そのまま眠りについてしまったらしい。

・・・イズモの弱点は耳と尻尾、と。

ここにティアがいなくてよかった。もしこの現場を見られていようものなら、なんて言われるかわかったものじゃない。

さすがに反省した俺は、今度は安心させるように優しい手つきでイズモを撫で始めた。

心なしか、イズモの表情も和らいでいる。寝ているのだろうが、なんとなく感触はわかっているのか。

これにどことなくほっこりした俺は、ティアたちが戻ってくるまでイズモを撫で続けた。




「・・・」(ちらちら)
「? イズモ、どうかしたの?」
「・・・いや、なんでもない」
(う~ん、まじでやり過ぎたか?)

ちらちらと見てくるイズモに、さらに反省すべきかどうか悩む剣の図。

~~~~~~~~~~~

というわけで、イズモの尻尾と耳をひときわ敏感にさせてみました。
たぶん、この設定は本編でも生きそうな気がします。
ちなみに、自分はSAOでキリトに尻尾を思い切り掴まれたシノンの表情も好物です。
あれこそ、獣人系で可愛い反応をするいい例だと思います。
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