二人の魔王の異世界無双記   作:リョウ77

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俺は悪くねぇ!

10分後、訓練場に向かうと、そこには総勢100名近くの女性が整列して待っていた。

顔ぶれからして、おそらくメイド会のメンバーだろう。

俺の言った通り、動くのに問題ない服装になっているが・・・さすがに、多すぎやしないか?

 

「・・・ねぇ、ツルギ。どうなっているの?」

「・・・んなもん、俺が聞きたい」

 

その増殖力、義妹に勝るとも劣らない。

まさか、義妹共とは違う意味で頭を抱えることになるとは・・・。

しかも、すでに全員分の得意武器の情報をまとめていて、それをレポートにわかりやすくまとめていた。

一応、そのレポートに沿って、ハジメの方に追加の装備の製作を依頼しておいたが、後で何を言われるか・・・。

ただでさえ、連絡入れた時に訝し気にしていたのに、この現状を見たらどうなることやら。

だが、俺から鍛えると言った以上、投げ出すことはできない。

俺は意を決して、咳払いしてから口を開いた。

 

「ゴホンッ・・・どうやら、全員集まったようだな」

「はい。“ツルギ様専属メイド会”、総員103名、全員集まりました」

 

103人・・・いったい、どこからそんな人数が集まったのか。

 

「さて、まずは念のために、現状の説明から入る」

 

始めに、まずは現状の説明を行うことにした。

内容は、ほぼ謁見の間で言ったことと変わらない。

やはり、俺が1回死んだということは、少なからず動揺があったが、ここで俺がこうして話していることと、体は必ず取り返すという説明ですぐに立て直した。

もうね、すごい優秀。

 

「以上が、この世界の現状だ。質問がある者は?」

「はい。私たちはどこに配属されることになるのでしょうか」

 

俺の問い掛けに、ためらいなく1人のメイドさんが挙手して質問してくる。

わからないこと、気になることがあれば、迷わずに質問する。簡単そうに聞こえて、実はなかなかできないものだが、逆にメイドさんがそんなんでいいのか?余計な口答えは場合によっては主を不快にさせることもあるから、基本的に主に対して身の回りの世話以外の質問などをすることはないと聞いた気がするが・・・。

まあ、今はこういう胆力も悪くないから、べつにいいか。

 

「お前たちには、遊撃を担当してもらう。少数部隊として動き回って、窮地に立っているところを助けるんだ」

 

最終的に、連合軍の戦力は数十万に及ぶだろうと聞いている。その中で103人というのは、1部隊にするとしても少ない。

だが、人数が少ないということは、他と比べて自由に動き回れるということでもある。

それに、各人の状況判断能力も高い。

であれば、1か所に集中させるよりかは、あえて分散させて遊撃部隊にして、自由に動き回って使徒や魔物を討ってもらう方がいいだろう。

幸い、実力も相応にある。ハジメのアーティファクトも追加すれば、使徒相手でも十分立ち回れるだろう。

 

「前は基礎トレだけだったが、今日から3日間は徹底的に実戦的な技術を叩き込んでいく。それと並行して、連携の訓練も追加するからな。始めに、10グループに分かれてくれ」

「「「はい!」」」

 

俺がそう言うと、まるですでに決められているかのようによどみなく動き、あっという間に10個のグループに分かれた。

 

「分かれたな?今のメンバーで迎撃に参加してもらうから、しっかり覚えておけよ」

「「「はい!」」」

「それじゃあ、これから指導を始める。しっかりついてこいよ!」

「「「はいっ!!」」」

 

威勢のいい返事とともに、俺はメイドたちへの指導を始めた。

その最中、ティアからの視線がかなり痛かったが、何とかしてスルーした。

 

 

* * *

 

 

昼頃に始めた指導も、気が付けば夕暮れまで続けていた。

 

「・・・止めっ!」

「「「は、はいっ!」」」

 

始めてからみっちり体を動かしただけあって、さすがに全員疲労の色が濃い。

だが、ほぼ全員が荒くなった息を整えていても、その場に座り込む者は誰もいない。基礎がしっかりしている証拠だ。

 

「よし、今日はここまでだ。各自、しっかり休息をとるように」

「「「はい!」」」

「それと、明日からは俺はハジメの武器のレクチャーに回る。続きはこの八咫烏越しで指導をするから、そのつもりで」

「「「はい!」」」

 

つい先ほど香織からハジメが本格的にアーティファクトの製作に入ったと連絡があった。明日からは、そのレクチャーもしなければならない。

幸い、明日教える人数はそこまで多くないから、できるだけ早めに使える人間を増やして、大勢で教えれるようにしていこう。

 

「連絡事項は以上だ。それじゃあ、解散!」

「「「はい!ありがとうございました!!」」」

 

元気のいい返事とともに、メイドさんたちは解散した。

ようやく、肩の荷が下りた気分だ。

なにせ、

 

「・・・終わった?」

「終わった。終わったから、そろそろ、その目をやめてくれ」

 

指導を始めてから、ずっとティアが俺のことをジト目で見てきたからな。

一応、邪魔にならないところにいたとはいえ、存在しないはずの俺の胃がキリキリと悲鳴を上げていて、そろそろ限界が近かった。

 

「言っとくが、あくまで必要だからやっているだけだからな」

「・・・本当に?」

「当たり前だろ?」

「・・・実は、ちょっとノリノリでやってるんじゃないの?」

「・・・気のせいじゃないか?」

 

実はちょっとだけ、指導に熱が入ってたりするのは事実だ。だって、全員教え甲斐があるし。

だからといって、ノリノリで指導しているわけでは断じてない。

だが、ティアはまだ疑っているようで、疑念の眼差しを俺に向け続ける。

うーむ、どうしたものか・・・。

悩んでいると、救いの念話がはいってきた。

 

『ツルギ、ちょっといいかしら』

「雫か、どうした?まさか、ガハルドとなんかあったか?」

 

内心で「助かった!」と思いながら、あくまでいつも通りに会話する。

 

『いえ、協力も無事得られたし、ツルギの名前を出したら少しは大人しくなったのだけど、その皇帝陛下が、ツルギに会わせろって言ってきたのよ』

「はぁ?」

 

ガハルドが、俺に?心当たりはなくもない・・・いや、結構あるが、この期に及んでなんか文句でもあんのか?

 

「・・・わかった。すぐに行くと伝えておいてくれ。今はどこにいる?」

『すでに王城の中よ。謁見の間にいるわ』

「あいよ」

 

それだけ言って、俺は念話を切った。

 

「話は聞こえてたと思うが・・・なんだろうな?」

「さぁ・・・ツルギの場合、呼ばれそうな理由の方が多いと思うけど・・・」

 

おいおい、随分な言い草だな。俺も似たようなことは考えたけど。

さて、皇帝自らが用があるとは、いったいどういうことなのか・・・。

 

 

* * *

 

 

謁見の間に入ると、そこにはすでに何人かの重役が揃っていた。その中には、ガハルドの姿もある。

 

「来たか、峯坂ツルギ」

「おう、来てやったぞ、ガハルド」

 

特に敬うでも遠慮するでもなく、タメでガハルドに話しかける。

このことを知らない人なんかは軽くギョッとしてたが、ガハルド本人が気にしていないのだから別に問題ない。

 

「んで?話ってなんだ?」

「あぁ。まずはこいつを見てくれ」

 

そう言ってガハルドは、1枚の紙を取り出して俺に渡してきた。

パッと見は、署名書みたいに名前が40個ほど並んでいるだけのものだ。

 

「そこに書いてある名前に、心当たりはないか?」

「心当たりって言ってもな、そもそも帝国の知り合いなんてほとんどいないぞ?」

 

それに、見た感じはほとんど女性の名前だ。帝国で会った女なんて、冒険者ギルドのやる気のない受付嬢と帝城で世話になった数人しかいない。

少なくとも、帝国でこんな大勢の女性と関わったことはないんだが・・・。

首をひねっていると、ガハルドの方から答えが出された。

 

「そこに書いてある名前は、俺の城の中で、お前に仕えたいと志願している若手メイドのリストだ」

「アウチッ!!!!」

 

ガハルドからのカミングアウトに、俺は思わず額を思い切りテーブルにたたきつけた。

え?なに?そっちでも増殖してんの!?

 

「もう一度聞くぞ、峯坂ツルギ。お前に、心当たりは、ないか?」

「あるわけねぇだろ!っつーか、そっちもかよ!!」

「あ?そっち()?」

 

俺の言い方に引っかかったのか、そこを尋ねてきたガハルドに例のメイド会のことを話した。

終始、ティアから発せられる、もはや殺気一歩手前の気迫と、雫から向けられる名状しがたい視線を背中に感じながら。

説明を終えると、ガハルドはそう言えばと手を額に当てた。

 

「そういやぁ、奴隷解放の救援を王国に頼んだ時、帝城の足りない防衛の穴埋めとして、何人かそっちのメイドがあてがわれたな。ずいぶんと高い戦闘技術を持っていると思っていたら、てめぇの仕込みだったのかよ・・・」

「たぶん、それを見て憧れた向こうのメイドが話を聞いて、参加を志願したってことだろうな・・・」

 

2人揃って、思わず頭を抱えてうなだれる。

いや、俺だってね?そんなつもりで指導したわけじゃねえんだよ。結果的に、こうなっちゃったってだけで。

 

「・・・で?どうするつもりだ?」

「・・・んなもん、俺が知るかよ・・・」

 

別に、問答無用で断るとは言わないが、だからといって、これ以上増やすのもな・・・。

それに帝国としても、今の人手不足の状態で、メイドとはいえ、さらに人員を減らすわけにもいかないだろう。

だが、それでこのまま帝城の方にいさせると、さらに増殖する可能性が0じゃないってのがまた・・・。

とりあえず、今のところは今回の迎撃に限ってこっちで戦闘の指導を行い、終わったらガハルドの方に戻すことを決めた。

メイド会のメンバーの増殖については、もういいやってことになった。どうせ何をしても増えるだろうし、俺がいなくても、ある程度の練度までは鍛えることができるみたいだし。少なくとも、ちゃんと自分の仕事をしてくれる分には、ガハルドも文句はないとのことだった。

どちらかと言えば、そう言わざるを得ないって言う方が正しいんだろうけど。

さて、

 

「「・・・・・・・・・」」

「オーケー、ちゃんと話は聞く。聞くから、ちょっと力を弱めてくれ。マジで壊れそう」

 

俺はこれから、黒いオーラを駄々洩れにしながら俺の肩をがっちりと掴むティアと、顔を伏せながら腕をへし折らんとばかりにしがみついてくる雫、この2人ときちんとOHANASHIをしなければならない。

覚悟を決めなきゃな・・・。

あと、ハジメに装備の追加を頼まないと・・・。

 

 

* * *

 

 

あの後、俺とティア、雫は王宮にあてがわれた自室に移動し、2人の心が済むまで話をすることになった。

話というか、愚痴と文句と注意とその他諸々を一方的にまくし立てられるだけだが。

結局、2人が落ち着いたのは深夜になってからで、最終的に俺を抱き枕にして眠ってしまった。

半ば自業自得な部分があるとはいえ、大変な目にあったな。

 

「やれやれ・・・さて、そろそろいいかな」

 

2人が完全に眠りについたのを確認した俺は、少し離れたところに新しい魔力体を生成し、本体の意識を移した。

こうすれば、ティアにバレず、様子を把握したまま離れたところで活動できる。

ほぼ全員が寝静まっている中、俺はそっと王城の外に出て、中庭へと向かった。

動くのにちょうどいい広さの場所まで移動した俺は、両手に双剣を持って素振りを始めた。

ここに来たのは、今の身体の感覚をより掴むためだ。

できるだけ動く分には生身と変わらないよう、最初に調整したが、やはり少なからず意識と動作の間にわずかにラグがあった。

最終的には前の体よりも動けるようにするためにも、空いた時間でできるだけ感覚をつかんで調整していきたい。

俺は目を閉じて意識を自分の内側に向けながら、ひたすら双剣を振るう。

そこで今の魔力体と俺の魂魄のズレを探し、見つけた端から修正・最適化していく。

即興で用意したこともあって、思った以上に誤差が見つかったが、1時間ほどで見つけた誤差はあらかた修正した。

その辺りで、俺はいったん動きを止めた。

 

「ふぅ。さて、ここからさらに動きをよくするには・・・」

 

先ほど修正した点を念頭に置きながら、さらに動きをよくするために必要な修正箇所を考える。

幸い、今の身体なら肉体的な疲労はほとんど考えなくていいから、存分に徹夜ができる。

動作と意識のリンクはしっかりしたから、今度は魔力の回路を重点的に確認するか・・・。

 

「ツルギ様、少しよろしいですか?」

 

物思いにふけっていると、後ろから声をかけられた。

そこには、タオルと軽食を両手に持ったアンナが立っていた。

 

「アンナか。きちんと休んでおけって言っただろ?」

「それはそうなのですが、偶然、外に向かうツルギ様を見かけたので、タオルと軽食を持ってきたのですが・・・」

「悪いが、今の俺は汗をかかなければ、食事も必要ない状態だからな。用意してもらってなんだが、自分で食べてもらっていいか?」

「はい。このまま捨ててしまうのももったいないですしね」

 

そう言って、アンナはその場に女の子座りをした。

 

「戻らないのか?」

「準備をしている間に、少し目が覚めてしまいましたから。なので、もう少しここにいようかと思います」

「別に見てて面白いものはないが、わかった。だが、早めに寝るようにしておけよ。明日も早いからな」

「はい」

 

そう言いながら、アンナは持ってきたサンドウィッチを食べ始めた。

 

「・・・自分から言っといてなんだが、夜中の食事は太るぞ?」

「女の子にその話題はマナー違反ですよ。それに、どうせ太る暇もないでしょうから」

 

たしかに、俺のスパルタ成分多めの指導をしていたら、不要な脂肪は燃焼されることだろう。

一応、健康に害がでないレベルの体脂肪率に抑えるつもりではあるが。

だから、アンナももしゃもしゃとサンドウィッチをほおばっていく。

その光景を見て、俺は思わず笑みを浮かべた。

 

「? どうかしたのですか?」

「いや、俺が王都から出る前のことを思い出してな。召喚されたばかりの頃も、こうして夜や早朝に俺が鍛錬をしていたら、アンナが軽食やタオルを持ってきてくれただろ?」

「言われてみれば、たしかにそうですね」

 

俺たちが召喚されたばかりの頃、俺はこうして1人で素振りをしていたが、その時はいつもアンナが軽食やタオルを持ってきてくれた。

就寝前とはいえ、体を動かした後は少なからず汗をかくし腹も減るから、何気にありがたかったりした。

まぁ、その時はまさか、他のメイドさんからもその様子を見られているとは思わなかったが・・・。

そこでふと、俺はあることが気になった。

 

「なぁ、ふと思ったんだが・・・」

「はい、なんでしょうか?」

「どうしてアンナは、あんな風に俺を慕ったんだ?少なくとも、初対面の時はそこまでだったと思うが・・・」

 

もちろん、初対面の時にアンナが俺のことを疎ましく思っていたというわけではないが、他のメイドさんたちと同じ、神の使徒であるからという側面が強かったように見えた。

少なくとも、今のように俺のことを信奉しているということは、なかったように思える。

こうなったのは、具体的には何とも言えないが、召喚されて少ししてからか。最初の時も、アンナが俺の朝と夜の鍛錬に軽食とタオルを用意してくれたのが発端だった。そのときを皮切りに、積極的に世話を焼いてくるようになったのだ。

そう尋ねると、アンナも上を見上げながら答えてくれた。

 

「そうですね・・・やはり、他の使徒様方と違ったから、でしょうか」

 

そう言って、アンナはぽつぽつと語り始めた。

 

「最初の頃は、ほとんどの方が自らが力を持っているということに浮ついているご様子でした。それは、勇者様も同じでしたよね?」

「あぁ、たしかにそうだな」

 

なにせ、自分には力があるから世界を救えるなどと、本気で思い込んでいたくらいだし。今となっては、むしろこの世界に対して牙を剥いているというのに、そのことに気づいてすらいないが。

そして、他のクラスメイトも、日本ではまずありえないだろう超常の力を使うということで、少なからず高揚していた。

 

「ですが、ツルギ様だけは違いました。自らの力に浮つくこともなく、ただ真摯に向き合って、ご自身を鍛えることにわずかな妥協もしませんでした。それに、この世界のことを知るために、空いた時間で図書館に赴き、様々な本を読んで知識を蓄えておりました」

 

・・・あれ?そのことも知ってたのか?

誰かに見られてた気はしなかったんだが・・・いや、そもそも香織にも気づいていなかったけど。

 

「そのどこまでも妥協しない姿勢を見て、私は、この方を支えたいと思ったのです」

「そうか・・・いや、だが、それだけというわけでもないと思うが」

 

話を聞いた限りだと、それだとあくまで“憧れ”の範疇にとどまる気もする。

それはアンナも分かっていたのか、さらに言葉をつづけた。

 

「はい。私は、その妥協しない姿勢を見た上で・・・とても必死なのだと思ったのです」

「あ?」

「自らを鍛える時、ツルギ様はいつも必死で、何かに怯えているように見えました。それが、自身の死が恐ろしかったのか、何かを失うのが恐ろしかったのか、その理由までは察することができませんでしたが・・・それを見て、このお方はとても強くて、弱い人なのだと思ったのです。だから、私はツルギ様を支えたいと、心から思ったのです」

「・・・なぁ、俺ってそんなにわかりやすいのか?」

「人によるのでしょうが、私以外にも気づいた方もいらっしゃいますよね?」

「・・・あぁ、そういやぁそうだったな」

 

ティアもそうだし、イズモも然り、愛ちゃん先生も然り。なんなら、ユエたちにもティアに暴露する前からバレていたっぽいし。

やっぱ俺って、わかりやすい人間なのか・・・。

弱い自分なんて見せていないと思っていたのは、自分だけだったのか・・・。

そんな俺の内心すらも見透かしたのか、アンナは苦笑を浮かべた。

 

「ツルギ様の内心を理解しているお方は、そう多くはないと思いますよ。事実、他の使徒様方は気づいておられないでしょう?」

「まぁ、そうだな」

「ですから、私が支えようと決心したのですが・・・次に会ったときには、すでに恋人ができていらして、さらにイズモ様や八重樫様とも関係を進めていらっしゃる様子で」

「いや、イズモはともかく雫はそんな、まだ・・・」

「なるほど、イズモ様と深い関係になったのは否定せず、八重樫様がまだということは、まだ一方的に思いを寄せられているということなのですね?」

「・・・反論のしようもございません・・・」

 

やっぱ、俺ってわかりやすい人間なんじゃないか。

ごくごく少数なんだろうとはいえ、こうまで内心を見透かされてしまうというのも、かなりはずい。

思わず頭を抱えていると、不意にアンナが立ち上がって俺に近づき、

 

 

 

「ですから、私がこのようなことをしても構いませんよね?」

 

 

ふわりと、俺の額にそっと口づけをした。

 

 

 

「・・・は?」

「では、これで失礼しますね」

 

そう言うと、アンナは空になったバスケットを持ち、さっさと城の中へと戻っていってしまった。

わずかに、頬と耳を赤くしながら。

・・・とりあえず、

 

「・・・俺もハジメのことを言えないな」

 

主従関係の間とか、それこそ生徒と教師の間と変わらないレベルの禁断の恋愛じゃんか。

ていうか、また断ってもしつこく来るパターンだな?

・・・ティアとイズモになんて説明しよう。あと、雫にも。




「・・・あれは、どう思う?」
「・・・ギリセーフ、ってところかしら」
「・・・下手したら、ティアよりも長い間、ツルギのことを好きでいたってことになるのよね」
「・・・今後のことは、イズモとも要相談ね」

実は、こっそり覗いていたティアと雫の図。

~~~~~~~~~~~

ツルギの指導の仕方が、どことなく自動車免許の教習にみたいに見えました。
最初は敷地内で教官が一緒に乗って、慣れたら今度は無線越しで1人で乗ってみよう、みたいな。
それで、最後は実際に路上(戦場)でやってみようかー、って感じ。

メイド会の増殖は収まることを知りません。
たぶん、数だけなら後にハジメが設立したメイドさんたちよりも多くなるかも。
ていうか、ツルギ派閥とハジメ派閥に二分しそう。若手組と熟年組で。

書いていて思ったのが、ツルギってある程度距離が近い人間にはとことん自分を隠すことができないっていうか、見透かされやすい人間なんだって感じですよね。
こういう人が、将来的にたらしになるんだなって。
とはいえ、ここまで内心を見透かす人物は限られてきそうですが。
ある程度区別するなら、ファンと親友または恋人で、剣の理解度に大きな差が現れるといったところでしょうか。
かっこいいところしか見ていない人物と、かっこいいところもかっこわるいところも両方見ている人物とでは、受け取り方が違ってきますからね。
そして、ツルギは心の底では理解者を求めているため、ティアたちのような女の子に対して、強く断ることができないといったところでしょうか。
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