二人の魔王の異世界無双記   作:リョウ77

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“帰還者”騒動

俺たちが日本に帰還してからしばらく、それからは怒涛の勢いで状況が進んでいった。

俺たちが帰還したことはご近所ネットワークで一気に広がっていき、警察はもちろん、マスコミ関連もかなり早い段階で俺たちに関する特集を報道した。

当然、俺たちの集団失踪に関する報道は数か月ほどで消滅していったらしいが、戻って来たとなれば再加熱するのもまた当然だった。

ちなみに、異世界転移を経てファンタジーな力を身に着けた俺たちだったが、幸いかかった時間に差はあれど異世界に関する話は全員に信じてもらうことができ、家族から拒絶されたクラスメイトは1人としていなかったようだ。

というか、集団失踪の件でクラスメイトの家族で家族会を形成していたようで、他のクラスメイトも同じようなことになっているという情報がすぐに知れ渡ったことで信じざるを得なくなった、という方が正しいかもしれないが。

そういうこともあって、家族ぐるみのマスコミ対策も円滑に進んだ。

あとは実行に移すだけなのだが、問題なのは誰が表舞台に立つか、ということ。

まず、愛ちゃん先生は唯一の大人ということで確定。生徒代表は、主に俺が受け持つことになった。というか、公の場に出る際は親父の代理って形になった。

そして、ハジメには裏でのあれこれを一任した。

「親父の言質も取ったから、殺さない程度に好きにしろ」と言伝も添えて。

まぁ、俺の場合は他にも目的があるんだが。

そうしていろいろと準備しながら、初めて記者会見が行われることになった。

 

「はぁ、めんどくせー」

「み、峯坂君は、どうしてそんなに堂々としてるんですか・・・?」

 

早く終わらせてーなーとため息をついている傍らで、愛ちゃん先生が控室の隅でガクブルしていた。

なんでって言われても、めんどくさいとしか思ってないから、としか。

インタビュー自体は、すでに何度も行われている。

ただ、その中でちょくちょく問題が起こったため、こうして記者会見を開くことになった、というわけだ。

そして、

 

「あのさぁ・・・なんでボクまでここにいるの?」

 

テーブルを挟んだ向かい側には、ふくれっ面の中村が座っていた。

どうしてここに中村を呼んだかだって?

 

「根無し草になったお前を馬車馬のごとく働かせるために決まってるだろ」

「チッ」

 

そう、実は中村の母親はすでに逮捕されて塀の中にぶち込まれていた。

というのも、中村が失踪したことで変な箍が外れたのか、再び男にべったりするようになった。

なったのだが、その相手の男がヤのつく職業の人だったらしい。

それでも中村母はわかっていた上で付き合っていたようなのだが、その世界にどっぷり浸かった挙句、近所の人と喧嘩になった際に組の名前を出して脅したため暴対法でしょっぴかれ、余罪もいろいろと追加されて刑務所にぶち込まれたとのことだった。

うーん、まじで救いようがないな。

ちなみに、中村母の実家はだいぶ前に縁を切っていたためダメージは最小限で済んだらしい。『娘が危ない人と関係を持った』というレッテルは貼られてしまったが、すでに引っ越しているためあまり関係ないとのこと。

そういうわけで、みごとに天涯孤独の身になった中村は一時的にうちで預かることになり、こうして俺の都合に連れまわしている、ということだ。

ティアたちも中村がこの期に及んで変な気を起こすことはないとわかっているからか、中村に対してそこまで嫌な顔はしなかった。

俺にはだいぶ厳しめの視線が注がれたけど。

ちなみに、中村は記者会見に参加するわけじゃない。俺たちの荷物持ちだ。

愛ちゃん先生は終始申し訳なさそうにしてたけど、今までのことを考えたらこれくらいの扱いは当然だろうに。

すると、コンコンと控室の扉がノックされた。

 

「峯坂さん、畑山さん。もうすぐ会見が始まります」

 

あ~、もうそんな時間か。

 

「わっ、わかりました!」

 

ガチガチに緊張した愛ちゃん先生が若干噛みながら立ち上がった。

ん~、この人に任せて本当に大丈夫かね。

 

「ねぇ、あの人に任せていいの?」

「言ってやるな。俺も同じことを考えてたところだが」

 

中村から心配されるあたり、愛ちゃん先生の緊張は限界突破してそうだ。

後ろから手を叩いて驚かせてやれば緊張がほぐれるかもしれんが、涙目で睨まれる未来が見えるからやめとこう。

まぁ、俺の方でフォローしてやるか。

・・・あれ?記者から俺が保護者だと思われたりしないよな?

いや、さすがに資料くらいは配られてるだろうから、さすがにないか。

さて、ある意味では神の使徒よりも厄介かつ面倒な輩の相手をしに行くとするか。

 

 

* * *

 

 

会場に着くと、そこには多くの記者がメモやカメラを持って待機していた。テレビ局のカメラもざっと10台くらいまわっている。

あまりの記者とカメラの数に、愛ちゃん先生は完全にガチガチになっていた。

あ~、これは完全に頼りにならないやつだな、うん。

 

「それでは、これより“帰還者”への記者会見を始めます」

 

司会の人の言葉と同時に、愛ちゃん先生の身体がビクンッ!と震えた。

 

「今回の会見は、記者からの質疑応答を主に進めていきます。それでよろしいでしょうか?」

「はい、問題ありません」

「は、はひっ!」

 

先生、もうちょい落ち着こうや。

たぶん、これから先も同じような場面は多いだろうから、今のうちに慣れておかないと。

ちなみに、質疑応答の順番はある程度決まっており、先に各社1人1回ずつ質問してから後で追加の時間をとる、という形になっている。

まぁ、俺たちに聞きたいことなんていくらでもあるだろうからな。

司会の人に指名された記者が立ち上がり、俺と先生に質問を投げかけていく。

 

「あなたたちは失踪していた1年間、異世界にいたと言っていますが、それは事実ですか?」

「はい、事実です」

 

俺が真面目な表情で頷くと、記者たちに憐憫の表情が浮かんだ。

まぁ、普通はそうだろうな。俺だって同じ立場ならそうなる。

 

「もし本当に異世界にいたと言うのなら、それを証明することはできますか?」

「証拠となるものを出すことはできません。ですが、私たちが言っていることは事実です。また、それに類する技術を提供することもありません」

 

トータスの存在は、世間には知らせないということですでに決まっている。

仮にその存在を証明したら、まず間違いなく姫さんたちを始めとしたトータスの住人に迷惑をかけることになってしまう。

それに、魔法の技術なんてこっちじゃ劇薬もいいところだ。

だから、基本的には異世界と魔法の存在は隠すことに決まっており、もし知られてしまった場合は記憶処置も辞さない。

まぁ、このあたりの質問はどうってことない。

問題なのは、次からか。

 

「君たち“帰還者”の中には3名ほど帰還していない生徒がいますが、その生徒たちについてはどう考えていますか?」

 

・・・来るとは思っていたが、いきなりか。

会場も、ざわざわとにわかに騒がしくなった。

それくらい、この記者がした質問はタブーと言ってもいい内容だ。

まぁ、想定の範囲内ではあるが。

 

「それは、我々で帰還できなかった3名の命に責任を持つべきだ、と言うことですか?」

「そ、そうです」

 

まさか堂々と問い返されるとは思わなかったのか、わずかに狼狽しながらも頷いた。

 

「ならば、その答えはNoです。少なくとも、自分はその命に責任を持ちません」

 

会場内に、どよめきが走った。

愛ちゃん先生も意外だったのか、目を白黒させている。

 

「これを無責任だと言うのであれば、それは傲慢、あるいは偽善というものです。そうですね、たとえ話をしましょう。災害が起きた時、我先にと逃げようとする一般人がいたとき、あなた方はそれを“悪”だと言いますか?」

 

俺の問い掛けに、誰一人として言葉を発しなかった。

 

「たしかに警察官や消防官であれば避難誘導を行うでしょう。ですが、それはあくまで最低限の安全が保障されている場合に限った話です。危険がまさに目の前に迫れば、避難誘導をやめてでも逃げるでしょう。自分たちがいた場所は、そういった“死”が近くに存在するところです。であれば、救えなかったからといって一方的に非難するのは、それこそお門違いではないですか?」

 

まぁ、死んだ奴3人ともクラスメイトに殺されてるんだけどな。わざわざ言うことではない。

ただ、彼らの中では俺たちは「妄想を現実だと信じ込んでいる哀れな子供たち」という印象が強かったんだろう。

大半の記者は俺の態度に気圧されたのか、消極的な質問が続いた。

中には明らかにビビり散らしている愛ちゃん先生に狙いを絞って攻撃しようとした記者もいたが、そこは俺が親父の代理で来ている立場と愛ちゃん先生は緊張で体調が優れないということでごり押しして無理やり俺が答えた。

質疑応答は1時間ほど続き、俺が主導で流れを作って“帰還者”にできるだけ悪感情を抱かせないように正論を交えて反論しつつ、俺たちにちょっかいをかけないように牽制して記者会見は終わりを迎えた。

控室に入ると、中では中村がスマホをいじりながら待っていた。

 

「あ。お疲れ様」

「反応はどうだ?」

「まちまちってところじゃない?肯定派と否定派、両方ともいるって感じ。ただ、気持ち否定派が多いかも。主に、先生じゃなくてあんたがずっと喋ってたってことで」

 

べつに中村は本当に荷物持ちのためだけに呼んだわけではなく、今回の記者会見の反応をリアルタイムで確認してもらっていた。

ちなみに、中村の報告を聞いた先生は部屋の隅で丸まって「教職なのに、説明を生徒に丸投げする役立たずですみません・・・」と小さい声で謝り続けている。

 

「なるほどな・・・まぁ、それくらいは想定の範囲内だ。あとはしばらく様子見と、ハジメの対応次第か」

 

これでマスコミの方が落ち着くならそれでよし。行政とかがちょっかいを出して来たら相応の対応をする。これが長続きするようなら、ハジメが言ってた最終手段をとる。

とりあえず、数か月くらいは受け身の姿勢でいこうか。

 

「それで?何を企んでんの?」

 

今後の方針を考えていると、中村からそんなことを言われた。

 

「企んでいるとは、どういうことだ?」

「とぼけなくてもいいっての。あんたがこんな目立つ役回りをするとか、絶対にありえないでしょ」

 

まぁ、自分でもそう思う。

 

「まさか、お前に俺を理解されるときがくるとはなぁ」

「そういうのはいいっての。ていうか、ティアとか南雲も不思議がってたけど?」

「マジで?」

 

なんか、やたらと知り合いにバレバレになってる。

俺、いつの間に隠し事が下手になったんだ?

というか、理解度がカンストされてるだけなのか?

なんだかなぁ。

 

「・・・まぁ、別に隠してるわけじゃないんだけどな。ちょいと個人的にちょっかいをかけてくるのを待ってる輩がいるだけだ」

「はぁ?誰それ」

「は?なんでお前にまで言わなきゃいけないんだよ」

「チッ」

 

舌打ちされたが、そこまで話してやる義理はないもんね。

さて、向こうがどう動くか、どっしり構えて待つとしようか。

 

 

* * *

 

 

「・・・彼がそうなのですか?」

「あぁ、そうだ。戸籍等も調査させたが、間違いない」

「では・・・」

「あぁ。悲願のためにも、峯坂ツルギを我々の下に迎え入れる。どのような手段を用いてもだ」




はい、ジャブです。
いや、最近マジで頭痛がひどくて、まともに書けない・・・。
とりあえず、最低限の部分は書きました。
最低限すぎて、字数が少なくなっちゃってますけど。
たぶん、次こそはもうちょっとまともになるはず。
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