二人の魔王の異世界無双記   作:リョウ77

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今回はくっそ短いです。過去一レベルで短いです。
キリの良い繋ぎってのもありますが、大学が忙しすぎてめちゃくちゃ疲れてたんで許して・・・。


為さねばならぬこと

ツルギとバーナードらの助けもあってヴァイスを追うために先行していた浩介たちは、地下駐車場兼貨物置場の広大な空間で足止めを喰らっていた。

その原因は、ヴァイスたちが繰り返してきた実験の副産物にして、超常の力を持つ浩介を足止めするための切り札。

ベルセルクを投与し続けると同時に若くて健康な肉体も与え続け、再生に巻き込む形で元の身体と別の肉体との融合を繰り返した結果生まれた、全身が巨大な肉塊の醜悪な怪物、ベルセルク・キメラによって。

さらに、人質として被検体として連れてこられた3人の子供もケージごと取り込まれようとしているため、その子供たちも助ける必要がある。

だが、ベルセルク・キメラは触手による連撃を繰り出しているため、エミリーたちを守るためにも容易に動けない。

そんな状況の中で、浩介は焦るでも思案するでもなく、表情が抜け落ちるほどにキレていた。

それは、ベルセルク・キメラが生み出された背景を正確に理解したからだ。

この化物を生み出すために、いったいどれほどの命が、尊厳が、欲望や悪意によって踏みにじられたか。

だからこそ、遠藤は目の前の化物を滅することを決めた。

だが、結果的にそれは叶わなかった。

 

「おいおい、ずいぶんと愉快なことになってんな」

 

無数の斬閃と共に現れたのは、目の前の化物とも、憤怒に燃える浩介とも比較にならない、理不尽の権化だった。

 

 

* * *

 

 

「峯坂!どうしてここに・・・」

「向こうはバーナードに任してきた。わりかし急いできたが・・・連中、こんなもんまで作ってたのか」

 

遠藤たちによって掃討された廊下を走っていると、謎の衝撃が断続的に響いてきたから、少し急いでここまでやってきたら、地下駐車場と思しき空間にいたのは醜悪の肉塊の怪物だった。

どことなくエヒトの最終形態を思わせるそれは、肌色の触手を伸ばしながら俺たちに襲い掛かってくる。

できれば使わないでおきたかったが、相手が相手なだけに“聖絶”を展開した。直後、僅かだが衝撃が“聖絶”を突き抜けた。

“聖絶”を展開しているから万一にも突破されることはないが、地球由来のものでここまで俺の障壁を揺らしてくるような存在は、吸血鬼くらいしかない。科学由来なら皆無だ。

まさか、魔法に頼らず、欲望と執念でここまでの物を作り上げるとは、現代の科学もバカにならないものだ。

 

「大方、こいつに足止めさせられてるってところか?なら、こいつの相手は俺がやる。お前らは先に行け」

「峯坂っ、こいつは・・・」

「遠藤」

 

何かを言い募ろうとする遠藤を、強めに制した。

見た限り、今の遠藤は俺の記憶にないレベルでブチ切れている。おそらくは、目の前の怪物がどのような存在なのか、それを察してしまったからだろう。

だが、今回ばかりは遠藤の希望を叶えるつもりはない。

 

「まさかお前が、本当に正義のヒーローを気取ってここに来たわけじゃないだろう」

「っ・・・」

「ここに来た目的を履き違えるな。お前はそいつを達成することだけを考えろ。どうしても納得いかないってんなら・・・」

 

言いながら、俺はパチンッと指を鳴らして空間転移を発動させた。

結界内に転移させたのは、3人の子供だ。あの化け物の中に化け物のものとは違う魂魄があるのは確認していたから、この子供らを人質代わりにとって足止めしたのだろう。

 

「こいつらを安全な場所に避難させておけ。中はともかく、外に出て控えている特殊部隊に預ければマシだろう。それと、こいつを持っておけ」

 

そう言って、俺は剣製魔法で指輪を作り出し、遠藤とエミリー博士に渡した。

 

「これを使えば、すぐに博士のところに転移できる。さっさと子供を逃がしてこい。道は俺が作る」

 

“過去視”で逃走経路を把握した扉に向けて、“聖絶”を引き延ばしてアーチ状の通路を生み出す。

 

「行くなら早く行け。俺の気はそう長くないぞ」

「わ、わかりました!コウスケ!その子たちをお願い!」

 

エミリー博士の心の距離が遠藤よりも遠く感じた。

いやまぁ、俺からすればそれくらいの方がちょうどいいんだが、こうも露骨になると複雑な気持ちになる。

そんな心境になっている中、全員を送り出した俺は改めて目の前の化物と向き合う。

 

「さて・・・アルカードに続き、まさか地球で2度もこんなファンタジーな奴とやり合うとはな」

 

さすがにトータス原産でここまでsan値が削れるような奴はいなかったが、やはりエヒトの最終形態とダブる。

あんな醜悪極まりない存在と2度も対面することになろうとは、いったい誰が予想できただろうか。

とはいえ、あの時はハジメに譲ったが、今回は俺がやることになる。

 

「触手を出してくる肉塊とやり合う機会なんて、そうそうない。せっかくだし、存分に楽しませてもらうとするか」

 

遠藤には悪いが、俺は目の前の化物に対して思うところはそんなにない。

たしかに狂気の産物であることに変わりないが、俺は同じようなことをしないかと言われると、正直ちょっと自信がない。

この場にはティアや雫もいないし、多少開き直ってでもこの戦いを楽しんでも罰は当たらない・・・はずだ。

まぁ、あいつらの同類になるくらいなら、多少は遠藤の意思を汲んでやってもいいか。

 

「こい、化け物。せめてもの手向けだ。殺すときはせめて苦しませずに殺してやる」




今年の夏アニメでやるRWBY見る人います?
ちなみに自分は見たいです(見るとは言ってない)。

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