暑すぎていい感じの文章が思い浮かばなくて・・・。
マジで下手したら暑さで死にそう。
「・・・なるほど。俺だけを見るか。そんななりでも本能は残っているようだな」
先ほどまでは手当たり次第に生き物を襲っていた肉塊だったが、遠藤たちを送り出してもその通路を追撃しようとはせずに、あくまで俺のみを警戒していた。
あんな見た目になっても、目の前にいるのがどのような存在なのか、ある程度理解できるらしい。
踵に装着したマグナムをタナトスに戻し、銃口を肉塊に向ける。
「さて、何もしないんなら、俺の方から仕掛けさせてもらおう」
俺が引き金を引くのと、肉塊から触手が飛び出してきたのはほぼ同時だった。
引き金を引く瞬間、俺は跳び上がって反動を利用して後ろに飛んで触手を躱し、放たれた銃弾は正確に肉塊の頭部を消し飛ばした。
だが、
「まぁ、この程度で終わっても拍子抜けか」
肉塊は白煙を上げながら一瞬で頭頂部を再生させ、新たな触手を生やして襲い掛かってきた。
触手を斬り飛ばしながら、俺は“天眼”で肉塊の弱点を捜索する。
(ふむ、熱源、電磁波共に脳らしき組織は見当たらない。心臓も同じ・・・というか、そもそも普通の臓器があるかどうかも怪しいな。魂魄は・・・めちゃくちゃだな。“悪食”の時と似たようなものか)
驚くことに、肉塊に魂魄らしきものは確認できなかった。
いや、肉体すべてに魂魄が宿っており、全てが核、と言った方が正しいか。
まさに、メルジーネで遭遇した“悪食”と同じだ。
(そう言えば、ハジメが神域にも似たような魔物がいたって言ってたな。まさか、そんなものが科学的に生み出されるとはな・・・いや、魔法が絡まないからこそ、か?なんにせよ、殺しきるのは骨・・・待て。ってことは・・・ッ)
嫌な予感を感じた直後、警鐘に身を任せて思い切りしゃがむと、その上を無数の親指大の触手が通り過ぎた。
発射元は、さっきから俺が斬り飛ばした触手の肉片だ。
「本体から離れても動き続ける、か。んでもって、無尽蔵に触手を伸ばし続ける・・・いや、
肉塊の正体に気付くのと、四方八方に飛び散り付着した肉片から触手が襲い掛かってきたのは、ほとんど同時だった。
放たれる触手は転移で回避した。そして、転移先は肉塊の真正面だ。
「少し確かめてみるか。“千断・斬”」
タナトスを高速で振るい、空間ごと肉塊を細切れに斬り裂いた。
空間に干渉できない限り防御不可の斬撃を肉塊がどうにかできるはずもなく、肉塊は無数の肉片になり果て、だが、その肉片の全てから触手が俺に向かって飛んできた。
「なるほどな」
それを再び転移で躱し、同時に目の前の肉塊の正体も判明した。
「プラナリア、だったか。体のどこを切っても再生する万能細胞を持ってるって話だったな。元となった個体に実験材料を手当たり次第に取り込ませた後に、大量のプラナリアを投入したってところか」
よくもまぁ、こんなものを生み出そうと考えたものだ。俺でも思わず呆れてしまった。
だが、そうなるとこいつは一片の肉片でさえも残すわけにはいかない。
もし一片の肉片が世に放たれようものなら、次々に兵士や一般人に限らず、あらゆる生物を取り込み肥大化する、B級映画の如きパンデミックが起こるだろう。
まさか、ここに来て世界の命運を分けるような戦いに身を投じることになろうとは、夢にも思わなかった。
だが、俺ならできる。
とはいえ、さすがに少し時間はかかるが。
「3分、ってところか。その間は遊んでやる」
そう言って俺はタナトスを大きく振りかぶり、思い切りぶん回した。
同時に、タナトスの刃の接続を外すことで、刃を射出する。
さらに、柄からマグナムを射出して手に取り、即座に踵に装着、残った柄は宝物庫に収納し、射出した刃を基点に転移して刃を手に取る。
「こりゃ、遠藤に任せなくて正解だったな。あいつだったらもっとてこずってたか」
俺は空間魔法や再生魔法、変成魔法でどうにでもなるが、遠藤だったら触手はもちろん、体液や傷口から噴き出す血すらもすべて回避しないといけない鬼畜ゲーを強いられるところだった。
それでも無理ゲーにはならないだろうが。
「まぁ、俺は楽させてもらうが。“絶界・鎧”」
俺の身に鎧をまとうように“絶界”を展開し、肉塊の中へと突っ込んだ。
同時に刃に炎を纏わせ、抉るように回転しながら肉塊を内部から斬り裂いていく。
当然、そんな突っ込み方をすればもろに体液を浴びることになるが、“絶界・鎧”によって俺が体液に晒されることはない。
さらに、斬った場所から炎で焼いていき、再生を阻害する。
内部から焼かれる苦痛に耐えかねてか、肉塊は無理やり肉体を再生させて俺を押し潰そうとしてくる。
「なるほど、こんな形になっても痛覚はあるのか。それは悪いことをしたな」
この肉塊をこれ以上暴れさせるわけにもいかないため、外へと向かって斬り進んでいく。
外に躍り出ると、すでに地下駐車場の大部分は肉塊で埋め尽くされようとしていた。
「なるほど。俺が逃げられないほど体をでかくして飲み込むつもりか。獣の癖によく頭が回る」
あんな姿になっては、残っているのは原始的な本能だけだろうに。あるいは、あらゆる生物を取り込んでいるからこそ、か。
「だがまぁ、肥大化
細胞の分裂による肉体の肥大化を最優先にしているのか、触手による攻撃が止んだ。
おかげで、俺も仕掛けの準備に集中できる。
魔法陣を生成し、一気に魔法を作り上げた。
「概念以外の魔法を新しく作るだなんて、久方ぶりだな・・・“界牢”」
魔法を唱えた次の瞬間、地下駐車場一帯に広がっていた肉塊や触手片が、見えない壁に張り付く。そして、建物やは巻き込まず、
空間・魂魄・昇華複合魔法“界牢”。魂魄・昇華魔法によって決められたものだけを空間の牢獄に閉じ込める、捕縛に特化した魔法。
一片の肉片すら残さないために、この地下駐車場よりも広い範囲で構築していたから、攻撃しながらというのも相まって3分も時間を使う必要があったが、対象が動かなくなったからこそ手早く構築できた。
とはいえ、この魔法の効果はあくまで捕縛のみ。これそのものに攻撃力はない。
だが、こういう類の相手を格段に仕留めやすくすることはできる。
「楽しませてくれた礼だ。特別に、世界の果てに連れて行ってやる。“黒天窮・絶”」
発動する魔法は、神話大戦の開幕に使用したブラックホールを生み出す重力魔法。
肉塊の中心あたりで発動させると、肉塊の中央部分の空間がぐにゃりと歪み、肉塊と周囲の構造物を巻き込んでいく。
肉塊は必死に逃げようとするが、空間によってできた牢獄を突破できるはずもなく、ズルズルと引きずり込まれていく。
このままでもいずれ終わるだろうが、あまりダラダラとしてるのも良くない。
だから、最終宣告を告げた。
「じゃあな」
そう言って、“黒天窮・絶”の出力を一気に上げ、同時に“界牢”の範囲を一気に狭めた。
そうすれば、肉塊は一気に飲み込まれていき、断末魔を上げる暇もなく消滅した。
“黒天窮・絶”を解除すれば、そこには超重力によって抉られた床以外、肉塊が存在した痕跡はどこにも残ってなかった。
「異形と化した奴の魂がどうなるかなんて知らんが・・・ま、せめて安らかに眠れることを願おう。さて、向こうはどうなっていることやら」
俺がここですべきことは終わった。あとは、俺が手を出さなくてもいい、あるいは出さない方がいい案件だけだ。
いっそ、ここで待っててもバチは当たらんかもしれないが、ここには仕事で来ている身だ。せめて現場には向かった方がいいだろう。
博士の方は、どうせ遠藤が向かうだろうから、行くとしたらヴァイスが逃げた方か、いっそ地上に戻って特殊部隊の増援に向かうか。
少し悩むが・・・
「・・・ヴァイスの方に行くか。特殊部隊にも遠藤の分身がついてるしな」
アレンも優秀な殺し屋なのは間違いないが、ヴァイスがどんな奥の手を隠しているかわからない以上、そっちに行った方がいいか。
「そっちは頼んだぞ、遠藤」
曲がりなりにも、ハジメの右腕を名乗ってるんだ。つまらないへまを犯すなよ。
新RWBYがやばすぎる・・・。
いやもうめっちゃ感動しました。
Web版の方の一昔前のmmdみたいな3D映像ももちろん嫌いじゃないんですけど、こっちもこっちでなんというか、もう、マジでやばい(語彙力消失)。