「殺ルですよぉ・・・絶対、住処を見つけてめちゃくちゃに荒らして殺ルですよぉ」
「・・・ねぇ、なんか、シアが怖いのだけど」
「・・・いや、ティアもさっきは似たようなもんだったぞ?」
あの後、シアとティアの暴走が収まって先に進んでいるのだが、シアは完全にブチ切れたままで、言葉のイントネーションがどこかおかしかった。
それに怯えているティアも、ついさっきまで表情を隠しながら壁を殴りつけていたし、情緒不安定と言えなくもない。
一応、ライセン大迷宮の攻略にあたって一番戦力になるのが身体能力特化のシアで、その次に近接戦闘が主の俺とティアになっている。
魔術師であるユエは言わずもがな、ハジメも体外に魔力を形成・放出するタイプの固有魔法はすべて使用不可になっており、ドンナーなども出力が半分以下にまで落ちている。
そんな俺たちの中で一番頼りになるシアがこの状態なので、俺がいろいろとなんとかしなければいけない。主に、煽りに耐えるという意味で。
とりあえず、俺は周囲を見渡す。
「にしても、オルクスと比べて、いかにも『人が作った大迷宮』って感じだな」
「たしかに、ある意味迷宮らしいって言えば迷宮らしいな」
「・・・ん、道に迷いそう」
「しっかりマッピングしないとね」
今俺たちがいる広大な空間は、階段や通路、奥へと続く入口が何の規則性もなくごちゃごちゃにつながり合っており、まるでレゴブロックを無造作に組み合わせてできたような場所だった。1階から伸びる階段が3階の通路に繋がっているかと思えば、その3階の通路は緩やかなスロープとなって1階の通路に繋がっていたり、2階から伸びる階段の先が何もないただの壁だったり、本当にめちゃくちゃだった
「ふん、流石は腹の奥底まで腐ったヤツの迷宮ですぅ。このめちゃくちゃ具合がヤツの心を表しているんですよぉ!」
「・・・シア、気持ちはわかるから落ち着け」
シアの機嫌は傾いたままだが、一応気を引き締めた俺たち。
「俺がマーキングとマッピングをする。“追跡”の固有魔法があるからな」
「わかった。こういう時はハジメがいると便利だな」
“追跡”とは、自分の触れた場所に魔力で“マーキング”することで、その痕跡を追う事ができるというものだ。また、周りの者に可視化にすることもでき、魔力を直接塗布するため分解作用も効きづらい。
ハジメはさっそく入り口に近い通路の壁にマーキングをしながら、先に進んだ。
ここから、俺たちの地獄の探索が始まった。
* * *
一番最初にやらかしたのは、意外にもハジメだった。
周囲を見ながら進んでいると、いきなりハジメの足元の床がガコンッと音を立てて沈み込んだ。
その瞬間、左右の壁のブロックの間からシャァアアア!!と円形のノコギリのようなものが回転しながら飛び出てきた。嫌らしいことにそれぞれ高さが違っており、右の壁からは首の高さで、左の壁からは腰の高さで前方から薙ぐように迫ってくる。
「回避!」
ハジメがとっさに叫び、ハジメはマトリクスさながらに、ユエは普通にしゃがんで、シアもなんとかギリギリで、俺はティアを抱えて床に伏せた。
なんとかノコギリを回避してホッとするが、俺は天井を見て冷や汗が噴き出た。
「ハジメ!前に跳べ!」
「っ!?」
ハジメは即座にユエとシアを回収して俺の言ったとおりに前に跳び、俺もティアを抱えてハジメと同じ場所まで退避した。
すると、天井からギロチンな刃が無数に射出され、まるでバターを切るかのようにスーと床に入りこんだ。
「・・・どうやら、完全な物理トラップみたいだな。よく考えてみれば、こんなところで魔法を使ったトラップなんてでるはずもないか」
「・・・道理で、魔眼石に反応しないわけだ。助かった、ツルギ」
ハジメがまんまとトラップに引っかかったのは、おそらく魔法系のトラップだけを注意していたからだろう。その結果、足元の仕掛けに気付かなかったのだ。
とりあえず回避に成功したシアが自分より義手を優先したことに抗議を入れるが、とくにけがもないみたいだ。
「はぁ~、こりゃ気が抜けないな。っと、ティア、大丈夫か?」
ふと、とっさに抱えたティアの様子を見てみると、
「~・・・」
なぜか顔を赤くしていた。俺の胸に顔をうずめて。
「おーい、ティアー?」
「え!?な、なに!?」
「いや、大丈夫か?なんか顔赤いけど」
「な、なんでもないから!!」
なんか慌てながら、ババッと俺から離れる。
いったいなんなんだろうと首をひねると、不意に視線を感じた。
「「「・・・」」」
見てみると、なにやらハジメとユエ、シアが俺にジト目を向けている。
「・・・なんだ?」
「いや、なんで大迷宮でいちゃついてるんだよ」
「いちゃついてねえよ。ていうか、お前も人のこと言えないだろうが。いつでもどこでもユエと二人の世界を作ってるくせに」
「・・・女たらし?」
「おい、ユエ。んな根も葉もない言い方はやめろ」
「う~、ティアさんがうらやましいですぅ」
「悪いが、俺はおもらしウサギを抱こうとは思わないからな」
「ちょっ、その言い方はあんまりですぅ!!ていうか、ツルギさんもユエさんと同じこと言うんですかぁ!!」
結局、気を引き締めるどころか緩みに緩んでしまった。
* * *
その後も俺たちは、トラップに気を付けつつ、マーキングしながら先を進んでいる。
今は、下につながる階段を進んでいた。
「うぅ~、何だか嫌な予感がしますぅ。こう、私のウサミミにビンビンと来るんですよぉ」
階段の半ばまで進むと、シアがそんなことを言い出した。シアの言う通り、ウサ耳がせわしなく動いている。
そんなシアに、ハジメが嫌そうな顔をしながら注意するが、
「お前、変なフラグ立てるなよ。そういうこと言うと、大抵、直後に何か・・・」
ガコンッ
「・・・ほら見ろ!」
「わ、私のせいじゃないすぅッ!?」
「くっそ、このフラグウサギ!」
話している最中に嫌な音が響いたと思うと、いきなり階段から段差が消えてスロープのようになった。丁寧なことに、スロープには細かい穴が空いていてそこから油のようなよくすべる液体が出ていた。
「ぬおっ!?」
「きゃっ!」
バランスを崩した俺たちだったが、俺は再びティアを抱え、素早く黒刀を抜刀して逆手に持ち、スロープに突き刺した。
ハジメの方も、ユエを抱えて靴の底の鉱石と義手にスパイク作り出してなんとか掴まった。
だが、またしてもここであのウサギがやらかす。
「うきゃぁあ!?」
「ぶっ!?」
バランスを崩したシアが後頭部を強打し、悶絶して流されたと思ったらM字開脚のままハジメの顔面に突っ込んだのだ。
その衝撃でスパイクが外れ、ハジメとユエ共々流されてしまう。
「ハジメ!?くっそ、しゃあねぇ!」
「え、ちょっと!?」
俺は仕方なしに黒刀を引き抜き、ハジメたちの後を追った。
ハジメたちの方は、速度のせいもあってなかなか止まれないようでいる。
そこでふと前を見ると、その先が途切れていた。
「ハジメ!前!」
「っ、ユエ!」
「んっ!」
俺の呼びかけにハジメが反応し、ユエもその意図を正確に読み取る。そして、シアにもしっかりと掴まるように言った。
「ティアも、ちゃんとしがみついておけよ」
「わ、わかったわ!」
ティアの方も、若干顔を赤くしつつ俺の首に手をまわしてひしっとしがみついた。
そして、俺たちは勢いのまま放り出され、浮遊感を襲う。
「“来翔”!」
その間に、ユエは風初級魔法の“来翔”を発動し、数秒の間だけハジメを浮かばせる。その間に、ハジメは義手からアンカーを射出して天井にぶら下がった。
「よ、っと!!」
俺の方も、数瞬の間だけ魔法陣に実体を持たせて発現させ、それを足場にして跳び上がり、放り出された真上の部分に黒刀を突き立てた。
なんとかなったことに息を吐きつつ、なんとなく下の方を見てみると、
カサカサカサ、ワシャワシャワシャ、キィキィ、カサカサカサ
「「「「「・・・・・・」」」」」
体調10cmくらいのサソリが、隙間なくびっしりとうごめいていた。
目のいい俺は、その様子がより鮮明に映ってしまい、一瞬黒刀から手を離しそうになるがなんとか持ちこたえる。
そこで、サソリから目をそらすために上を見上げてみれば、
『彼等に致死性の毒はありません』
『でも麻痺はします』
『存分に可愛いこの子達との添い寝を堪能して下さい、プギャー!!』
リン鉱石(この迷宮に使われている、発光する鉱石)によって、そんな風に書かれていた。わざわざ、リン鉱石の比重を高くしているのか、暗闇の中でもはっきりと見える。
俺たちは揃って「相手にするな、相手にするな・・・」と心の中で唱えたあと、見つけた横穴に飛び移ってさらに先へと進んだ。
* * *
「・・・ん?」
サソリ部屋から抜け出してさまよってい、とある部屋の中に入ると、なにやら物音がした、気がした。
「どうした?」
「いや、なんか物音が聞こえた気が・・・シアは?」
「はい、なんか、ガコンって感じの音が・・・」
シアもばっちり聞こえていたらしく、俺よりもはるかに耳がいいためどのような音かも説明した。
そして、まさかと思いつつ上を見上げてみると、
ゴゴォォーー!!
天井が上から落ちてきた。
「うおい!?」
「くっそ、シア、ティア!!」
「はいですぅ!?」
「わかったわ!」
とっさの判断でハジメとシアがそれぞれの膂力で上から落ちてくる天井を下から支えた。
そのおかげで、落下が止まる。だが、いつまでもはもたないだろう。
「ユエ、シア、ティア!ハジメの近くに寄れ!そこを動くなよ!」
「ん!」
「こ、こっちですか!?」
「来たけど、どうするの!?」
シアとティアが俺の言う通りにハジメの方に近寄り、余裕のない声で俺に尋ねてくる中、俺は黒刀に手をかけた。
「こうするんだ、よっ!!」
そして俺は、居合抜きの要領で黒刀を抜き放ち、天井を斬った。
すると、天井はハジメを中心として半径1mほどで斬られ、俺たちの外側が重力に従ってそのまま落下した。
だが、俺たちのいるところはハジメたちが持ち上げてくれているおかげで無事だ。
「ふぅ、なんとかなったか・・・これなら、ティアとシアだけでもなんとかなるだろ」
「え、えぇ、そうね」
「なんか、ツルギさんも十分ハジメさんの同類だと思いますぅ・・・」
ティアとシアは、なんだか引き気味だが、無事なんだから別にいいだろう。
「それで、ハジメ。錬成を使って穴を掘れそうか?」
「できるにはできるが、時間がかかるな。今もやってるが、やりにくいったらありゃしねぇ」
実際ハジメの言う通り、見た限り錬成できる範囲は1m強、速度も4分の1程度と、普段と比べてかなり規模が小さくなっている。おそらく、消費魔力も半端でないことになっているだろう。
それでもハジメは頑張り、なんとか部屋から抜け出し、魔晶石の魔力を節約するために回復薬を飲む。
ここでは高速魔力回復はほとんど役に立たず、回復薬も焼け石に水でしかないが、気分的には楽になったようだ。
いざ再開だと気合を入れなおすと、またいつもの文を見つけた。
『ぷぷー、焦ってやんの~、ダサ~い』
「あ、焦ってませんよ!断じて焦ってなどいません!ダサくないですぅ!」
おそらく、トラップのある部屋にはほぼすべてあるのだろう。
そして、シアはそのすべてに反応している。
もしミレディが見ていれば、「いいカモが来た!」と喜んでいることだろう。
「・・・落ち着いて、落ち着くのよ、私」
「・・・えっと、ティア?本当に落ち着いてるのか?」
隣のティアを見てみると、わずかに顔を伏せて、なにやらぶつぶつと呟いている。
正直、かなり怖い。
とりあえず、シアとティアを落ち着かせて俺たちは先に進んだ。
* * *
その後も様々なトラップ(毒矢、硫酸入り落とし穴、ワーム型魔物etc)とうざい文を乗り越えながら進むと、今度は広い通路に出た。急な坂と緩やかなカーブで下るスロープになっており、おそらく螺旋状になっているんだろうな、と考えていると、ガコンッという音が鳴った。
だが、ここまで来てもう慣れたし、むしろ俺はどのようなトラップがくるかもある程度予想がつくようになってしまった。
そして、このスロープのような場所に仕掛けられるトラップと言えば、某考古学者の映画に出てくるあれに間違いない。
ゴロゴロと重たい音が上の方から響いてくる。
その方を振り向くと、通路の幅いっぱいの大きさの岩の大玉が転がってくるのが見えた。
まったくもって、定番のトラップだな。
ユエとシア、ティアが踵を返して逃げようとするが、俺とハジメは逆に岩玉の前に立ちはだかった。
「・・・ん、ハジメ?ツルギ?」
「ちょっと、なにやってるの、二人とも!?」
「ハジメさん、ツルギさん!?早くしないと潰されますよ!」
後ろでユエたちが叫んでいるが俺とハジメはそれに答えず、俺は再び黒刀を構え、ハジメも左手を正拳突きの要領で引き絞る。ハジメの義手からは、明らかな機械音が響いている。
「いつもやられっぱなしっていうのはなぁ・・・!」
「性に合わねえんだよぉ!」
ハジメは思い切り左腕を振りぬき、岩玉にたたきつける。すさまじい破壊音を響かせながら、ハジメは靴裏にスパイクを錬成して踏みとどまる。
そこから、俺が黒刀を一閃させ、岩玉を細切れに切り裂いた。
俺は黒刀を納刀し、ハジメも義手の動作を確認して振り返る。
実に晴れやかな気分だ。
ユエたちも、ずいぶんとはしゃぎながら俺たちを出迎えた。
「ハジメさ~ん!ツルギさ~ん!流石ですぅ!カッコイイですぅ!すっごくスッキリしましたぁ!」
「・・・ん、すっきり」
「ずいぶんなことをしたわね」
「さすがにこれ以上やられっぱなしなのはストレスがたまるからな」
「なんにしろ、これでゆっくりこの道を・・・」
ハジメの言葉が途中で遮られた。
なぜか?再びゴロゴロと重い音が鳴り響いてきたからだ。
ハジメとシアは笑顔のまま固まり、俺とユエ、ティアが頬を引きつらせて背後を振り返ると、
「うそん」
今度は黒い金属の球が転がってきた。
しかも、今回はそれだけではない。
「ハジメ。あれ、なんか変な液体ばらまいてるぞ。しかも、通路とか溶けてるし」
そう、金属球には細かい穴が空いており、そこからなにやらヤバめな液体が噴出されていた。しかも、液体が付着したところからシュ~と音を立てて煙をあげている。
「「ふぅ~・・・」」
俺とハジメはため息をつき、笑顔でユエたちの方を向いて、
「「逃げるぞ!ちくしょう!」」
全速力でスロープを下っていった。
ユエたちも慌ててそれについていく。
「いやぁあああ!!轢かれた上に溶けるなんて絶対に嫌ですぅ~!」
「本当になんなのよ!もぉ~~!!」
「・・・ん、とにかく走って」
通路の中をシアとティアの悲鳴がこだまする。
同時に、俺とハジメに向けて抗議の声を入れる。
「っていうか、ハジメさん!ツルギさん!先に逃げるなんてヒドイですよぉ!」
「この薄情者!鬼!」
「やかましいわ!誤差だ誤差!黙って走れ!」
「それだけ叫べるなら問題ないな。このまま走るぞ」
「置いていったくせに何ですかその言い草!私たちの事なんてどうでもいいんですね!?うわぁ~ん、死んだら化けて出てやるぅ!」
「ツルギ!!後で覚えてなさいよ!!」
「・・・2人とも、意外に余裕?」
必死に逃げながらも文句を言うシアとティアに、ユエが呆れた視線を向ける。そういうユエもなんだかんだ言って余裕なようだ。
そうこうしているうちに、スロープの終わりが見えてきた。だが、その先は途切れている。
だいたいの予想がついた。
「ハジメ!出たら思い切り上に跳ぶぞ!」
「了解!」
ハジメも俺の言葉にうなずき、ユエとシアを抱える。俺も、ティアを抱きかかえた。
「しっかり掴まってろよ!」
「きゃあっ!?」
そして、俺とハジメは思い切り跳び上がった。ハジメはシアを思い切り放り投げてナイフを射出し、すぐにアンカーを射出して壁に撃ちこむ。俺も、先ほどと同じように魔法陣を展開して足場にし、ハジメの隣くらいに黒刀を壁に突き立てる。
下を覗いてみれば、やはり底は溶解液で満たされており、金属球も音を立てて溶けていった。
「“風壁”」
ユエは風魔法の“風壁”を展開して飛び散る溶解液を防いだ。
俺とハジメは辺りを警戒するが、とりあえずは落ち着いたようで一息つく。
一応、ハジメによって壁に磔にされたシアはすすり泣いていたが、すぐにラブコメを始めたから余裕はあるようだ。
とりあえず、俺たちは溶解液のプールを飛び越えて部屋の地面に着地した。
その部屋は長方形型の奥行きがある大きな部屋だった。壁の両サイドには無数の窪みがあり騎士甲冑を纏い大剣と盾を装備した身長二メートルほど像が並び立っている。部屋の一番奥には大きな階段があり、その先には祭壇のような場所と奥の壁に荘厳な扉があった。祭壇の上には菱形の黄色い水晶のようなものが設置されている。
「・・・なーんか、それっぽいところに出たな」
「いよいよミレディの住処に到着か?それならそれで万々歳なんだが・・・」
「いやぁ、そうはならんだろ。見てみろよ、周りの騎士甲冑。嫌な予感しかしないぞ?」
「・・・大丈夫、お約束は守られる」
「それって、襲われるってことですよね?」
「全然大丈夫じゃないじゃない・・・」
そんなことを話しながら進むが、やはり約束は守られた。
もはやおなじみとなったガコンッという音が鳴ると、ガシャガシャと金属音をたてながら、壁の窪みから騎士たちが出てきた。
その数、およそ50体くらいか。
「ははっ、ホントにお約束だな。動く前に壊しておけばよかったか?」
「いや、今さらだろ。ともかく、やるしかなさそうだな」
「んっ」
「さ、さすがに数が多すぎませんか?いや、やるしかないんですけども」
「これは、骨が折れそうね・・・」
俺とハジメ、ユエはやる気満々だが、シアとティアは少々腰が引き気味のようだ。
そんな2人に、ハジメと俺が声をかける。
「大丈夫だ、2人とも。お前たちは強い。それは、俺たちが保証してやる」
「だから、下手なことは考えずに好きなだけ暴れろ。やばい時は必ず助けてやるさ」
「・・・ん、弟子と仲間の面倒は見る」
これに、シアとティアは自信がついたようで、それぞれドリュッケンとフェンリルを構える。
「ふふ、ハジメさんが少しデレてくれました。やる気が湧いてきましたよ!ユエさん、下克上する日も近いかもしれません」
「「調子に乗るな」」
ハジメとユエはシアに呆れた眼差しを向けるが、テンションが上がっているシアは気づいていない。
「ありがとうね、ツルギ」
「気にするな。自分で言ったことくらいは守るさ。それじゃあ、行くぞ!」
そうして、俺たちは騎士たちに向かって突撃した。
今回は前後編に分けます。
と言っても、比重的には前編がかなり長くなってますが。