二人の魔王の異世界無双記   作:リョウ77

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どうも。
この前の活動報告の宣言通り、新作です。
最近になって読んだのですが、けっこうハマりまして。
なので、書こうと思いました。



本編
プロローグ


「はよーっす」

「おはよう、ツルギ」

 

とある朝、とある通学路、俺は友人に声をかけた。

っと、その前に自己紹介。俺の名前は峯坂(みねさか)ツルギ。警察官の親を持つ、高校生だ。なぜ「普通の」を付けないかと言われれば、「普通じゃない」理由があるからだけど、それはまたの機会に。

そして、今話しかけたのは親友である南雲(なぐも)ハジメ。父親がゲーム制作会社、母親が漫画家の、わりと筋金入りのオタクだったりする。俺と仲良くなったのも、たまたま同じゲームをやっていたら仲良くなった、というくらいだ。ていうか、俺の父親が南雲父の会社のゲームにはまっていた時期があったりもしたけど。

 

「まったく、今日もぎりぎりだな。そろそろ、徹夜でゲームの癖を治したらどうだ?」

「いや、それはそうなのかもしれないけどさ、なかなかやめられなくて・・・」

 

そんなこんなで、俺たちはけっこう仲がいい。

ちなみに、こいつの家庭環境は割と「普通」だが、こいつのクラス内での立場は「普通じゃなかったり」する。

その理由が、

 

「よぉ、キモオタ!また徹夜でゲームか?どうせエロゲでもしてたんだろ?」

「うわっ、キモ~。エロゲで徹夜とかマジキモイじゃん~」

ゲラゲラ

 

こんな風に、割と嫌われ者だ。いま声をかけたのは檜山大介(ひやまだいすけ)といい、毎日ハジメに絡んでくる生徒の筆頭だ。その近くでゲラゲラ笑っているのが、斎藤良樹(さいとうよしき)近藤礼一(こんどうれいいち)中野真治(なかのしんじ)の三人で、檜山とセットでよく絡んでくる。

そして、

 

「ったく、すぐにそういうのに考えを持っていく方が、よっぽどキモオタの素質があると思うけどな」

「「「「あ?」」」」

 

俺ともだいぶ仲が悪い。

なぜなら、ハジメとなにかがあるたびに俺がつっかかってくるから。ケンカになりかけたことも、ちらほらある。そのたびにハジメに止められるけども。

ちなみに、ハジメは檜山たちが言うほどキモオタではない。健全なオタクだ。服装や言動も、そんな見苦しいものではないし(たまに痛かったりするが)、コミュ障でもない。ただ純粋にアニメや漫画、ゲームが好きなだけだ。

そんなハジメが、たとえ世間一般のオタクに対する風当たりが強いといっても、ここまで敵愾心を持たれることはない。それに、檜山たちと仲が悪いといっても、気持ちがわからないわけではない。

その理由というのが、

 

「南雲君、おはよう!今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ」

 

たった今話しかけてきた女子生徒だ。

名前は白崎香織(しらさきかおり)。クラスどころか、学校全体で有名で、人気のある少女だ。

人気の理由は、容姿もさることながら、面倒見の良さや責任感の強さもある、ハイスペックな人物だから。頼まれごとも嫌な顔をせずにやるのだから、非の打ちどころがない。

そんな彼女は、学校でも数少ない、ハジメにフレンドリーに声をかける人物の一人でもある。もっと言えば、学校の女子で、ほぼ唯一、いい意味でハジメに構ってくる人物でもある。

周りからは、もっぱら不真面目なハジメに生来の気質から声をかけていると思われている。が、そうではないと俺はわかっている。

そもそもを言えば、たしかにハジメは授業中の居眠りは多いが、成績はちゃんと平均を保っている。白崎も、あそこまで構ってくるならそれくらいはわかっているだろう。

なら、なぜ白崎はハジメに構ってくるのか。それはつまり、白崎がハジメのことが好きだからだ。

他のやつらはもちろん、彼女の幼馴染もほとんど気づいていない。俺だって、最初はまさかと思っていた。なぜなら、理由がわからないから。

「白崎はハジメのことが好きなのではないか?」と思ったのは、白崎と同じクラスになってハジメと話しているのを見ていたとき。ハジメと話しているときの白崎の態度から、なんとなく予想がついた。だが、その俺の予想が正しければ、白崎がハジメを好きになったのは高校入学のとき、あるいはそれよりも前かもしれない。その間、二人に接点なんてなかったはずだ。だからこそ、どうして白崎がハジメを好きなのかがわからない。

ただ、わかっていることは、

 

「おいおい、白崎。俺も隣にいるんだけど」

「あ、ごめんごめん。おはよう、峯坂君」

 

白崎は、ハジメが視界に入ると、それ以外のものが見えなくなる。隣にいる俺に、うっかり挨拶を忘れるくらいに。

そのせいか、白崎は自分のせいでハジメが嫌われていると気づいておらず、余計に事態がこじれている。

まぁ、ハジメが一向に生活態度を改めないのも問題ではあるわけだが。

ともかく、そんな平々凡々なハジメと人気者の白崎が仲良くしているというだけで男子生徒からの嫉妬の対象になるし、何度白崎に言われても生活態度を改めようとしないから女子からも不快に思われる。

そんな物思いにふけっている間にも、白崎はハジメにむかってほほ笑んで、そのたびに男子からの殺気がハジメに向けられ、ハジメはビクッ!となって冷や汗を流している。これもまた、檜山たちの件と同じくらいにはいつものことだ。

 

「南雲君、峯坂君、おはよう。毎日大変ね」

「まったく、そんなやる気のない奴に何を言っても無駄だと思うけどな」

「香織、また彼の世話を焼いているのか?まったく、香織は本当にやさしいな」

 

 

そんな中、俺たちに声をかけてきた白崎の幼馴染が三人。

苦笑しながら挨拶をしてくる女子が八重樫雫(やえがししずく)。実家が剣道の道場で、八重樫も女子にしては高い身長としっかりと引き締まった体つきをしている、ポニーテールが特徴の女子だ。おそらく、白崎と最も仲がいい。

ちなみに、凛とした雰囲気とこちらも面倒見の良さから熱狂的なファンも多く、後輩の女子から「お姉さま」などと熱い瞳で見られたりもする、この中では一番の苦労人だ。

投げやりな調子で話しかけた男が坂上龍太郎(さかがみりゅうたろう)。身長が190cmの熊のような体つきで、絵にかいたような脳筋でもある。基本的にやる気のない人間が嫌いなようで、ハジメを無視することもわりと多い。

最後にキザっぽい台詞を放ったのが天之河光輝(あまのがわこうき)。容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の完璧超人で、白崎と同じような立場だ。

そして、俺の()()()()()人間でもある。ある意味、仲が悪いだけの檜山たちとは違う。

その理由が、

 

「おはよう、八重樫さん、坂上君、天之河君。まぁ、自業自得とも言えるから仕方ないよ」

「それがわかっているなら直すべきじゃないか?いつまでも香織のやさしさに甘えるのはどうかと思うよ。香織だって、君に構ってばかりはいられないんだから」

 

彼は、自分が正しいと思うことを押し付けるのだ。

思い込みが激しいだけなら、まだいい。だが、あいつの場合、それが正しくてすべてだと、本気で思っているのだ。多数の意見を絶対の基準にし、少数のことなど気にもしない。そんな彼の態度は、俺にとって到底許せるものではなかった。

だが、俺は表向きにそんなことは言うことはない。なぜなら、あいつの場合、それがまかり通ってしまっているから。あいつの持つカリスマ力が、あいつの正しさを強引に押し通してしまっている。そして、他の人物も、それに賛同し、従ってしまっている。仮にあいつの正しさにほころびがあっても、ご都合主義で勝手に捻じ曲げて解釈されてしまい、それもまた周りに賛同される。

そんな中で、俺が天之河に異を唱えることは、到底できるはずもない。そんなことをしたら俺だけならともかく、ハジメまで更なる被害が及ぶ可能性だって0じゃない。

もちろん、そんな奴だからこそ、白崎の気持ちに気づかないわけで、

 

「? 光輝君、何を言ってるの?私は、私が南雲君と話したいから話してるだけだよ?」

 

きょとんとしながら、白崎が天之河の言ったことを訂正する。

教室がざわっ!となるが、白崎はそれに気づいていないようだ。

 

「え?あ、あぁ、ホント、香織は優しいな」

 

一方、天之河は白崎がハジメに気を遣ったと解釈した。

あーもう、ほんとうにこいつといるだけでイライラしてきた・・・

 

「・・・ごめんなさいね?二人とも、悪気はないのだけど・・・」

 

そこに、八重樫がこっそり謝罪をいれてくる。

この中ではもっとも人間関係や各人の心情に敏感なため、こういった細かい気遣いを入れてくれる。これが、ものすごくありがたい。

 

「まぁ、わかってるけどさ・・・」

 

とりあえず、俺たちの心情を理解してくれる八重樫に感謝しつつも、ため息を吐きながら肩をすくめる。

これも、いつものことだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼放課、俺たちの担任の愛ちゃん先生こと畑山愛子(はたやまあいこ)先生の授業が終わり、生徒たちは昼飯の時間。俺は弁当箱を取り出した。

ちなみに、隣の席に座っている俺の親友さんは、エネルギーを10秒でチャージできるあれを摂取して再び寝ようとしていた。

のだが、

 

「南雲君、珍しいね。教室にいるの。お弁当?よかったら一緒にどうかな?」

 

そうは問屋が卸さないといわんばかりに声をかけてきたのは、白崎だ。

白崎の言う通り、ハジメは普段なら静寂を得るためにさっさと教室を出るのだが、今日は夜更かしが過ぎたのか教室で寝ようとしてしまい、それを白崎につかまった、というところだ。

もちろん、平穏を望むハジメのこと、

 

「あー、誘ってくれてありがとう、白崎さん。でも、もう食べ終わったから天之河君たちと食べたらどうかな?」

 

なるべくやんわりと断る。

それはそれでクラスから「何様だテメェ!!」みたいな感じになるが、針の筵よりかはずっとマシなのだろう。

ただ、それを裏切るのが白崎クオリティなわけで、

 

「えっ!お昼それだけなの?だめだよ、ちゃんと食べないと!私のお弁当、分けてあげるね!」

 

瞬間、クラスの殺気がたった一人の男子に集約された。何人かは、目線だけで人を殺せそうなレベルだ。

こりゃあ、放っておけないな。

 

「なら、俺のも食べるか?今日のは自信があるんだ」

「ツルギ・・・うん、ありがとう」

 

とりあえず、俺も輪に加わる。そうすれば、多少はましになる、と思いたい。正直、これをすると俺にも被害が出かねないから、白崎には少し自重してほしい。

 

「香織。こっちでいっしょに食べよう。南雲はまだ寝足りないみたいだしさ。せっかくの香織のおいしい手料理を寝ぼけたまま食べるなんて俺が許さないよ?」

 

そこに、天之河たち幼馴染ィズがやってきた。また学校の有名人が勢ぞろいになったということだ。

ただ、天之河の言ったことはちょっとずれていて。それでもって、白崎には天然属性が入っているわけで。

 

「え?なんで光輝君の許しがいるの?」

「バフッ」

 

素で聞き返す白崎に、俺は思わず吹き出してしまった。ちらりと視線を向ければ、八重樫も同じように吹き出している。

これがあるから、面白い。

ただ、もうちょっと変わったことが起きてほしいと思っているのも、事実ではある。

 

(ハジメなら、異世界召喚とかされないかなぁ~、とか思ってそうだな)

 

オタクのハジメなら、本気であり得る。

 

 

 

 

 

 

 

そう思った次の瞬間、教室の中が輝いた。

それは比喩ではなく、本当に光っているのだ。

足元を見ると、光り輝く円環と、幾何学的な紋様が目に入る。

 

(これは、まさか・・・)

 

ハジメとともにゲームをしたりアニメや漫画をみた俺はわかった。わかってしまった。

これは、魔法陣だ。

 

「っ、お前ら!すぐに教室から出ろ!」

 

俺はすぐに我を取り戻して叫ぶ。非日常を望むとはいえ、本当に異世界召喚されたいなんて願望は持ち合わせていない。

だけど、それは一歩遅かった。

俺が叫んだ直後に光は膨れ上がり、その光は教室を埋め尽くした。




*ハジメと香織の出会いの部分をちょいと書き直しました。
ここで困ったのが、次話のステータスプレートには原作通り17歳と書いてありますが、アフターストーリーの「ありふれた学生生活①」では異世界召喚が一年中頃になっているんですよね。
僕は「あれ?16じゃないの?」と思いましたが。
その辻褄あわせをどうしようかと悩みましたが、とりあえずこのままごり押していくことにしました。
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