二人の魔王の異世界無双記   作:リョウ77

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オアシス救済計画

しばらくブリーゼを走らせると、アンカジの外壁が見えてきた。見た感じは、中立商業都市のフューレンよりも大きい。それに、外壁や街並みが乳白色で、見栄えもなかなかのものだ。

ただ、フューレンと違い、なにやら外壁の各所から光の柱が不規則な形で街を覆っていて、光のドームを形成していた。ビィズによると、あの結界によって魔物や砂の侵入を防いでいるらしい。また、この結界にそのような働きを持たせているため、門も魔法によるバリア式とのことだ。

解説を受けながら街の中に入ると、そこはたしかに美しい街だった。入場門が高台にあることもあって、街を一望することができる。オアシスは太陽の光を反射してキラキラ輝いており、オアシスの水が小川として流れていることもあって、街の中なのにちらほらと小舟が浮かんでいるのが見える。

街の北側は農園になっており、多種多様な果物が実っているのが見える。西側には領主の館であるらしい大きな建物があり、他の乳白色の建物と違って、純白と言っていい白さだ。

ぱっと見ただけでも、この街の良さがうかがえる。観光街として栄えているという話も納得できるほどだ。

だが、街には異様なほどに活気がない。ところどころに人が歩いているのが見えるが、誰もが俯き気味で、陰気な空気に覆われている。

先ほどの門番も、次期領主であるビィズに気が付くまでは投げやりな様子だった。どうやら、街の誰もが、未知の病に心を砕かれたらしい。活気をまるで感じることができない。

 

「・・・使徒様やツルギ殿、ハジメ殿にも、活気に満ちた我が国をお見せしたかった。すまないが、今は時間がない。都の案内は全てが解決した後にでも私自らさせていただこう。ひとまずは、父上のもとへ」

 

いろいろと思うところはあるが、俺たちはビィズの言葉に頷き、アンカジの領主の下に向かった。

 

 

* * *

 

 

「父上!」

「ビィズ!お前、どうしっ・・・いや、待て、それは何だ!?」

 

ビィズの顔パスで屋敷の中に入り、領主であるランズィに会ったときの最初の一言が、それだった。

まぁ、驚くのも無理はない。今のビィズは、宙に浮いた十字架にしがみついている状態だからな。

なぜこうなったかと言えば、最初は香織が肩を貸そうとしたのだが、その時にビィズが「ああ、使徒様自ら私を・・・」などと瞳を潤ませて呟いたため、ハジメがクロスビットを取り出して無理やり乗せたのだ。

まぁ、第2第3の檜山や天之河を生み出すよりかははるかにマシだろう。もちろん、ハジメに限って『嫉妬から』なんてことはないだろうが。

とりあえず、クロスビットにしがみついたままビィズが事情を説明して、使用人が静因石をビィズに服用させ、香織が回復魔法をかけた。そのおかげで、全快までとはいかなくても、動く分には支障がない程度には回復した。

とはいえ、体内の毒素が消えたわけではない。あくまで、静因石によって効果が発揮できなくなったというだけだ。だが、毒素が体内の水分に溶け込んでいるというなら、時間経過によって排出されるだろう。今のところは、様子見するしかない。

 

「さてと、それじゃあ、それぞれ動くか。ユエたちは魔法で水を確保してくれ。香織は引き続き医療院に行って患者の魔力を抜き出して、抜き出した魔力は魔晶石に貯蔵してくれ。シアは香織について行って、魔晶石の魔力が満タンになったら、ユエのところに持って行ってくれ。領主、近くに最低でも200m四方は確保できるところはあるか?」

「む?うむ、農地に行けばいくらでもあるが・・・」

「なら、ユエたちをそこに案内してくれ。俺たちは、オアシス汚染の原因の調査、可能なら排除をやっておく」

 

ということで、医療院に香織とシアが、農地にユエ、ハジメ、ティオ、ミュウが、原因調査に俺、ティア、イズモが動くことになった。

そして、俺の指示に全員が頷き、それぞれ動いていった。

 

 

* * *

 

 

領主の案内で、俺たちはオアシスへと向かう。

一応、途中の小川で“看破”を使って検分してみるが、やはり俺の知らない毒素だった。

王都から出る前まで、俺は図書館でできるかぎり情報を集めた。毒素に関しても治療のためにそれなりに調べたはずだが、それでも俺の知りうる毒素の中にはこのオアシスを汚染しているものに心当たりはない。おそらく、新種の毒と考えてもいいだろう。

そして、俺たちはオアシスにたどりついた。相変わらず、見た目は太陽の光を反射してキラキラと光っており、汚染されているとは思えない。

 

「・・・ん?」

 

が、そこでふと、妙なものを“魔眼”で一瞬だけ捉えた。

 

「・・・ツルギ?」

「なにか見えたのか?」

「いや、一瞬だけ魔力の流れが見えたんだが・・・領主、調査チームはどこまで調べたんだ?」

「・・・確か、資料ではオアシスとそこから流れる川、各所井戸の水質調査と地下水脈の調査を行ったようだ。水質は息子から聞いての通り、地下水脈は特に異常は見つからなかった。もっとも、調べられたのは、このオアシスから数十メートルが限度だが。オアシスの底まではまだ手が回っていない」

「オアシスの底には、なにかアーティファクトでも沈めてあるのか?」

「? いや。オアシスの警備と管理に、とあるアーティファクトが使われているが、それは地上に設置してある・・・結界系のアーティファクトでな、オアシス全体を汚染されるなどありえん事だ。事実、今までオアシスが汚染されたことなど一度もなかったのだ」

 

どうやら、この街を覆っているドームが“真意の裁断”という結界型アーティファクトで、何を通すかは設定者側、つまり領主が決めることができ、さらに探知もできるのだという。もちろん、探知の設定も設定者側で決められる。この探知設定はかなりの汎用性があって、闇魔法を使って精神作用も探知できるらしい。

例えば、“オアシスに対して悪意のあるもの”と設定すれば、条件に当てはまるものが中に入ると、設定者であるランズィに伝わるという。

 

「・・・へぇ、となると、あれは何だろうな」

 

そう言いながら、俺はオアシスから距離をとり、右手を上空にかざす。

領主たちは俺の突然の行動に首をかしげているが、オアシスに覆いかぶさるように魔法陣が出現したのを見てギョッとする。

そして、俺は魔法を使う。

 

「刺し穿て、“ゲイボルグ”」

 

俺が魔法を唱えると、魔法陣が強く発光し、そこから無数の赤い槍がオアシスに降り注いだ。次の瞬間、オアシスから巨大な水柱が吹きあがり、雷が迸る。

オルクス大迷宮で階層をぶち抜くのに使用した“ゲイボルグ”だが、もともとは水中兵器、要は魚雷として使うことを前提として作ったもので、カラドボルグと同じ原理で撃ちだすことでも地上で使えるというだけだ。

この“ゲイボルグ”は魔法陣から槍を射出し、仮によけられても槍から雷撃を放ったり火魔法で爆発させることで半径最大10mほどを殲滅できるという優れものだ。仕組みも簡単にしてあるので、見た目よりも魔力効率はいい。

そのゲイボルグを乱れ撃ちに放っているのだが、なかなか魔力の正体が姿を見せない。水に邪魔されて、俺の予想よりも威力が減衰されているのか?また後で改良しておくか。

 

「んー、なかなか出てこないな。すばしっこくて当たらないのか、当たっても防御力が高くてさほど効いていないのか・・・もっと数を増やすか」

 

そう言いながら、俺は魔法陣をちょっといじって射出する“ゲイボルグ”を増やした。

そこで、口をあんぐりさせていた領主が、正気を取り戻して悲鳴をあげる。

 

「おいおいおい!ツルギ殿!一体何をやっているんだ!あぁ!桟橋が吹き飛んだぞ!魚達の肉片がぁ!オアシスが赤く染まっていくぅ!」

「ちっ、まだ出てこないな。広範囲殲滅とはいえ、もうちょっと狙いをつけれるようにした方がいいか?」

 

これだけの攻撃を放っているというのに、一向に姿を現さない。狙いが大雑把すぎたのか?照準調整も要改良だな。

後ろで領主がなにやら叫んでいるが、爆音のせいで上手く聞き取れない。悲鳴っぽいのはたしかだが、わからないから深くは考えないようにしよう。

後ろでなにやらティアとイズモが領主たちを取り押さえているようにも見えるが、今は手が離せない。無視しておこう。

とりあえず、“魔眼”で魔力源を探し当てて・・・

 

シュバッ!!

 

突然、オアシスの中から無数の触手が風を切り裂いて俺たちに殺到してきた。俺は瞬時にマスケット銃と物干し竿をを生成して、触手のすべてを撃ち落とすか斬り伏せる。

すると、オアシスの水面が突如盛り上がったと思ったら、重力を無視してそのまませり上がり、10mほどの小山になった。

 

「なんだ・・・この魔物は一体何なんだ?バチュラム・・・なのか?」

 

バチュラムとは、トータスにおけるスライム型の魔物の総称だ。

だが、水を自分の体のように操る能力を持ったバチュラムは聞いた事がない。

だとすれば、やっぱりそういうことか。

 

「なんにせよ、こいつがオアシスを汚染した元凶だな。大方、毒素を吐き出す固有魔法でも持っているんだろう」

「・・・確かに、そう考えるのが妥当か。だが倒せるのか?」

 

そんなことを話している最中にもバチュラムは無数の触手を飛ばしてくるが、俺が片手間にすべてを撃ち落とす。一応、何度か体内にある赤い魔石も狙って撃っているが、まるで意思を持っているように体内で動き回ってなかなか当たらない。

とりあえず領主は落ち着いてくれたようで、冷静に勝算を聞いてきた。

この答えは、決まっている。

 

「大丈夫だ、問題ない。ティア、イズモ、少しの間頼む」

「わかったわ」

「任せろ」

 

そう言って俺はいったんマスケット銃と物干し竿を消し、弓矢を生成する。

その隙を狙って俺の方に触手が殺到してきたが、ティアが拳で触手を叩き落し、イズモが火魔法で蒸発させる。

ティアが放っているのは、普通の拳ではない。固有魔法である“魔狼”を纏わせた拳だ。これのおかげで、多少狙いがずれても、拳の周りに展開した魔力場がバチュラムの触手に込められている魔力を食い破り、霧散させる。

フューレンで“魔狼”の存在を認識してから、俺とティアはこの魔法の鍛錬を続けているが、これはなかなかにチートな魔法だった。

この魔力場に触れた魔力は、体の内外を問わず魔力をくらいつくし、己の力へと変える。そのため、実質魔力面ではほぼ永続で戦うことができ、さらに相手の消費魔力は格段に上昇する。長期戦になればなるほど相手が不利になるという、対人・対魔物問わずに強力な魔法だ。その分、射程距離は短く、一歩間違えれば至近距離でダメージをくらうことになるが、その点はティアのステータスの高さと俺が叩き込んだ駆け引きである程度解決している。本格的に、ティアが俺やハジメを超える日が近づいている気がする。

そんなティアとイズモに守られながら、俺は弓を引き絞り、狙いを魔石に定める。

 

「すぅ・・・」

 

俺は軽く息を吸い込んで息を止め、矢を放つ。

放たれた矢は、クッと進路を変えた魔石に吸い込まれるように向かい、寸分たがわずに撃ちぬいた。

魔石を破壊されたバチュラムは、ただの水へと変わり、ドザァー!と音をたてながらただのオアシスへと戻った。

 

「・・・戻ったのかね?」

「少なくとも、毒素はなくなっていない。だが、元凶は排除したから、汚染が進むことはないだろう。上手く汚染水を排出してやれば、いつかは元のオアシスに戻るんじゃないか?」

「・・・そうだな。改めて、感謝する、ツルギ殿」

 

毒素がなくなっていないことにランズィたちはわずかに落胆するが、その分復興に向けての意欲を見せ始めた。どうやら、今後は大丈夫そうだ。

 

「・・・しかし、あのバチュラムらしき魔物は一体なんだったのか・・・新種の魔物が地下水脈から流れ込みでもしたのだろうか?」

 

気を取り直したランズィは、今度は突然現れたバチュラムに首をかしげる。

ただ、それに関しては簡単に想像がつく。

 

「おそらくだが、魔人族の仕業じゃないか?」

「!? 魔人族だと?ツルギ殿、貴殿がそう言うからには、思い当たる事があるのだな?」

 

ランズィは俺の言葉に驚き、だがすぐに冷静さを取り戻して続きを促してきた。

幸い、ランズィの目には俺たちへの疑惑はほぼ含まれていない。話しても問題はないだろう。

そう考えて、俺はウルの町やオルクス大迷宮での出来事を話した。

それに、アンカジはエリセンからの海産系食料供給の中継地点であり、果物やその他食料の供給も多大であることから、食料関係においては間違いなく要所だと言える。しかも、襲撃した場合、大砂漠のど真ん中という地理から、救援も呼びにくい。

これだけ条件がそろっていれば、魔人族が狙っても、なんら不思議はない。

 

「魔物のことは聞き及んでいる。こちらでも独自に調査はしていたが・・・よもや、あんなものまで使役できるようになっているとは・・・見通しが甘かったか」

「それは仕方ないと思うぞ。王都でもその時まで確認されていなかったからな。今頃、勇者一行が手も足もでなかったってことで、上層部は大騒ぎになっているはずだ」

「いよいよ、本格的に動き出したということか・・・ツルギ殿・・・貴殿は冒険者と名乗っていたが・・・その魔法といい、強さといい、やはり香織殿と同じ・・・」

 

ランズィの言葉に、俺は肩を軽くすくめるにとどめる。

それを言えばハジメだって同じだし、そもそも俺は教会に喧嘩を売った身だ。いちがいに香織たちと同じとは言えない。

そこに、農地にいたビィズがハジメたちを引き連れてやってきた。どうやら、水の問題も解決できたらしい。

 

「・・・ツルギ殿、ハジメ殿、アンカジ公国領主ランズィ・フォウワード・ゼンゲンは、国を代表して礼をいう。この国は貴殿等に救われた」

 

そう言うと、ランズィとビィズ、彼らの部下が俺たちに深々と頭を下げた。

一国の領主が、“金”ランクとはいえ一介の冒険者に頭を下げるなど、なかなかできることではない。

どうやら彼らは非常に()()()人間のようだ。それだけ、愛国心が強かったというのもあるんだろうが。

そして、礼を受けた俺は、

 

「気にするな、とは言わないぞ。いざって時には頼りにさせてもらうから、そのときはよろしく」

 

思いっきり恩に着せた。

別に、俺たちも聖人君子のつもりでやったわけではない。

ミュウや香織の頼み、グリューエン大火山へ道中、後ろ盾の追加、そんな諸々の事情が絡み合ってやっただけだ。

俺の言葉を受けたランズィは、最初はきょとんとするが、次いで苦笑いを浮かべる。

 

「あ、ああ。もちろんだ。末代まで覚えているとも・・・だが、アンカジには未だ苦しんでいる患者達が大勢いる・・・それも、頼めるかね?」

「問題ない。もともと、グリューエン大火山に用があって来たからな。それくらいはかまわない。どれくらい採ってくればいい?」

 

ランズィはホッとした表情を浮かべながら、今の患者数と必要な静因石の量をつげた。

持ち運びに関しては、宝物庫があるから問題ない。

必要な話し合いをした俺たちは、香織たちのところに向かった。

そこでは、一度に複数の患者の魔力を抜き出し、同時に衰弱から回復させる魔法も行使する香織と、治療された患者を馬車ごと持ち上げて、他の施設を行ったり来たりしていた。

そこに、ランズィが水の確保と元凶が排除されたことを大声で叫ぶと、一斉に歓声が上がった。その知らせは、すぐに各所に伝えられていき、病に倒れ伏す人々も、もう少し耐えれば助かるはずだと気力を奮い立たせていく。

その様子を確認してから、俺は香織に話しかける。

 

「香織、あとどれくらい持ちそうだ?」

「ツルギ君、ちょっと待ってね・・・・・・・・・2日かな」

 

俺の質問に、香織が虚空を見つめながら計算を始め、そう答えた。それが、魔力的にも患者の体力的にも、持たせられる限界だと判断したのだろう。

それだけ答えると、香織はさっさとハジメの方に視線を向ける。

 

「ハジメくん。私は、ここに残って患者さん達の治療をするね。静因石をお願い。貴重な鉱物らしいけど・・・大量に必要だからハジメくんじゃなきゃだめなの。ごめんね・・・ハジメくんがこの世界の事に関心がないのは分かっているけど・・・」

「それだけ集めようってんなら、どちらにしろ深部まで行かなきゃならないだろ。浅い場所でちんたら探しても仕方ないしな。・・・要は、ちょっと急ぎで攻略する必要があるってだけの話だ。序でなんだから謝んな。俺が自分で決めたことだ。・・・それに、ミュウを人がバッタバッタと倒れて逝く場所に置いて行くわけにも行かないだろ?」

「ふふ・・・そうだね、頼りにしてる。ミュウちゃんは私がしっかり見てるから」

「・・・あれ?俺、邪魔だった?」

「そ、そんなことないわよ、ツルギ」

 

ちょっと、目頭が熱くなる。さすがに、俺への関心が薄すぎやしませんかね。

ティアのフォローが、逆にむなしくなる。

とりあえず、気を取り直してさっと指示を送る。

 

「じゃあ、香織とミュウはここに残るとして、一応、イズモも残ってくれ。さすがにないとは思うが、万が一魔人族か魔物が襲ってきたら、今のアンカジじゃきついからな。香織も後衛職だし、いざというときは頼む」

「あぁ、任せてくれ」

 

イズモも、俺の指示にすぐに納得して頷く。

これで、万が一があっても大丈夫だろう。

 

「私も頑張るから・・・無事に帰ってきてね。待ってるから・・・」

「・・・あ、ああ」

 

ただ、隣で香織が死亡フラグと受け取れなくもない台詞を言っているのは、ちょっとどうなんだろ。表情も、まるで戦地に行く夫を送り出す妻のそれだし。

しかも、それにあの人物が対抗しないわけがない。

それとなしにユエの方を見ると、それはもう無機質な視線をハジメに向けていた。ハジメも、思わず冷や汗をかいている。

しかも、ここで特大の爆弾が放り込まれた。

 

「香織お姉ちゃん、さっきのユエお姉ちゃん見たいなの~。香織お姉ちゃんもパパとチュウするの~?」

「おや?見えておったのか、ミュウよ?」

「う~?指の隙間から見えてたの~。ユエお姉ちゃん、とっても可愛かったの~。ミュウもパパとチュウしたいの~」

「う~む。妾ですらまだなのじゃぞ?ミュウは、もっと大きくなってからじゃな」

「うぅ~」

 

・・・どこからツッコめばいいんだよ。

ハジメとユエがキスをしていたというのは、おそらく吸血の延長線だろう。魔力補給のためにユエがハジメに吸血を行い、そのままの流れで・・・ということか。

たぶん、他にも大勢の人がいただろうに、なにやってるんだよ。

ティオはといえば、ハジメに強烈な視線をぶつけられて興奮している。この変態も末期だな、ホント。

そして、このミュウの爆弾に反応する者が1人。

香織だ。

香織が、背後に大太刀を持った般若さんのス〇ンドを出現させた。

 

「・・・どういうことかな、かな?ハジメくん達は、お仕事に行ってたんだよね?なのに、どうしてユエとキスしているのかな?どうして、そんなことになるのかな?そんな必要があったのかな?私が、必死に患者さん達に応急処置している間に、二人は、楽しんでたんだ?私のことなんて忘れてたんだ?むしろ、二人っきりになるために別れたんじゃあないよね?」

 

・・・どうしよう、香織のヤンデレ化が止まらないかもしれない。

一応、八重樫とも香織が堕ちないように注意しておくとは約束したが、注意してもどうしようもないじゃないか。だって、ユエとハジメがいちゃつくのは、とても自然なことだから。注意してとめられるはずもない。

そう思っていると、冷や汗をかいているハジメに代わり、ユエが前にでてきた。

あ、もしかして、弁解をしてくれるのか・・・

 

「・・・美味だった」

 

ですよね、そんなわけないですよね、挑発するに決まってますよね。

ユエの方も、背後に雷龍のス〇ンドを出現させて香織に相対する。

医療院の職員や患者さんたちは、そろって目を逸らしている。

俺だって目を逸らしたくなるんだ、仕方ない。

とりあえず、ハジメが2人にデコピンをして黙らせ、一応は事態を収束させた。香織とユエは納得していないが。

香織は「だって、これは理屈じゃないから・・・」などと言い訳し、ユエに至っては「・・・これは女の戦い、邪魔しないで」と言う始末。

なんだ、やっぱ仲良しじゃねえか、この2人。

その後も、香織がほっぺでもいいからとハジメにキスを催促し、それを見たミュウも同じようにキスを催促し、シアもその場の流れで催促し、ティオの催促は鼻息が荒いからとつっぱねられ、最終的にシア、香織、ミュウに互いの頬にキスをするという謎の展開になった。

ちなみに、俺とティアもブリーゼに乗り込んで2人になったタイミングでキスをした。

それはもう濃いやつを。




今回は小話は無しで。
ネタが思い浮かばなかったというのと、バイトで疲れたので。
あくまで派遣会社のやつなんですが、普段運動しないのに重労働を強いられて体がボロボロになったので。
それとですね、小話のネタがちょっと厳しくなってしまったので、もしリクエストがあれば、それを参考に作ってみようと思います。

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