“グリューエン大火山”。
それはアンカジから北に100㎞ほど進んだ先にあり、直径はおよそ5㎞、高さは3000mほどで、見た目は日本の富士山よりもハワイのマウナ・ロア山に近い。
一応、このグリューエン大火山も七大迷宮の一つとして数えられているが、冒険者はほとんど訪れない。
内部の危険性や魔石の旨みが少ないからという理由もあるが、それ以前の問題がある。
「・・・まるでラ〇ュタだな」
「あぁ、〇の巣か」
「・・・ラピュ〇?」
「竜の〇ってなに?」
そう、日本の国民的アニメのワンシーンのように、グリューエン大火山の周りを巨大な砂嵐が渦巻いているのだ。その様子は、むしろ壁と言っても大差ないほどだ。
さらに、この砂嵐の中にはサンドワームや他の魔物も多数潜んでおり、視界の確保すら難しい状況で好き放題奇襲されるという、かなり鬼畜な仕様になっている。
まぁ、俺たちには関係ないが。
「つくづく、徒歩でなくて良かったですぅ」
「流石の妾も、生身でここは入りたくないのぉ」
ハジメのブリーゼは、この程度の砂嵐ではびくともしない。シアとティオが、窓の外を見ながらそう呟いているのを横目に、俺も窓の外を覗く。
俺の“天眼”でも、50m先を見るのが精いっぱいだ。おそらく、巨大な岩石をここに放り込んだら、1日ともたずにすべて削られてしまうだろう。それほどに、すさまじい勢いだ。
本当に、ブリーゼがあってよかった。
それに、この砂嵐も悪いことばかりではない。
途中でサンドワームやらが襲ってくるが、この砂嵐を利用することで普通に使うよりも少ない魔力消費で風魔法を行使することができる。
ユエとティオがサンドワームを蹴散らしながら、倒し損ねた魔物は俺とハジメが分担でブリーゼの機能を使って倒していく。
たった今も、手榴弾を転がしてサンドワームを爆殺したところだ。
「うひゃあー、すごいですぅ。ハジメさん、この四輪って一体いくつの機能が搭載されているんですか?」
このシアの質問に、ハジメがニヤッと笑って答える。
「最終的に変形して人型汎用兵器・・・巨大ゴーレムになる」
「「「「・・・・・・」」」」
このハジメの回答に、シアだけでなく俺以外の他の全員も微妙な表情になり、きょろきょろとブリーゼの中を見回す。
ありえないと思うが、ハジメならまさか、といったところか。
「ハジメ、微妙に笑えない冗談を言うな。その案は、結局物理的な問題でボツになっただろうが」
「あぁ、わかってるよ・・・憧れるけどな」
「「「「ほっ・・・」」」」
とりあえず、今は実現不可能と言い切ったことでユエたちは胸をなでおろすが、逆に言えば、今後習得した神代魔法によっては実現可能ということでもある。
そして、このことをハジメに言ったら、なにやらハジメが大迷宮攻略にさらにやる気を出した・・・気がする。態度には出していないが、目の奥に炎が灯ったのを、一瞬だがたしかに見た。
やはり、オタクと中二病の性は変えられないということか・・・。
その後も襲い掛かってくる魔物を蹴散らしながら、俺たちは砂嵐を抜けた。
そこには、エアーズロックの何倍もの大きさがありそうな岩が立ちはだかっていた。
これが、グリューエン大火山か。
グリューエン大火山の入り口は頂上にあるという話だったので、ブリーゼで行けるところまで登る。
しばらくブリーゼを走らせて、傾斜がきつくなってきたところで俺たちはブリーゼから降りた。
次の瞬間、ブワッと熱気が俺たちに襲い掛かってきた。
「うわぅ・・・あ、あついですぅ」
「ん~・・・」
「確かにな・・・砂漠の日照りによる暑さとはまた違う暑さだ・・・こりゃあ、タイムリミットに関係なく、さっさと攻略しちまうに限るな」
「考えてみれば、活火山なのだから、暑いのもあたりまえよね・・・」
「ふむ、妾は、むしろ適温なのじゃが・・・暑さに身悶えることが出来んとは・・・もったいないのじゃ」
「・・・あとでマグマにでも落としてやるよ」
どうやらティオは、竜人族なだけあって暑さにはめっぽう強いらしい。後半の台詞はまったくいらなかったが。
「ていうか、ツルギはどうしてそんなに平気そうなんだよ・・・」
「たしかに、ティオさんみたいにケロッとしてますよね・・・」
ハジメとシアが、そんなことを言いながら俺をジト目で見つめてくる。ユエとティアも、言葉には出さなかったものの思うところは同じようで、俺の方とジッと見てくる。
「別に大したことじゃない。この程度で音を上げるような、やわな鍛え方はしていないってだけだ」
俺が武術を習ったのは、主に精神修行のためだ。だからこそ、気温の違い程度ではとくに俺の気を削ぐほどではない。
むしろ、普段から冷房の効いたところでだらだらしていた現代っ子なハジメたちの方がやわなだけだ。
まぁ、俺だって何もしていないわけじゃないが。
「あと、魔法で外部の空気をシャットアウトしているんだ。酸素とかは別でな」
外部から入ってくる熱気を魔法で遮ることで、それ以上気温が上がらないようにしている。冷房を使うほどではないが、それなりに快適な環境を保てているし、魔力効率も悪くない。これなら、かなりの間は展開できる。
「言っておくが、お前たちもその範囲内に入っているからな。ったく、暑さで音を上げるようなやわな奴らだったか、お前らは?」
「「「うっ・・・」」」
俺の正論に、ハジメたちは口をつぐむ。
俺はそれをさくっと無視して、さっさと頂上の入り口を目指す。
この快適空間は、もちろんそこまで広範囲に展開できない。よって、出遅れようものなら、外の熱気にさらされることになる。
それに気づいたハジメたちは、慌てるようにして俺の後ろをついてきた。
そんなこんなで岩場を登ることおよそ一時間、とうとう頂上の入り口にたどり着いた。
そこはオルクス大迷宮のようなきちっとしたものでなければ、ライセン大迷宮のようにおちゃらけているわけでもなく、岩石群が歪なアーチをかたどっているだけだった。
これで物足りなく感じてしまうのは、ミレディに毒されてしまったからなのか・・・。
まぁ、それはさておき、ここからがスタートだ。
「んじゃ、始めるか」
「えぇ、そうね」
「うし、やるぞ!」
「んっ!」
「はいです!」
「うむ!」
気合を入れなおした俺たちは、グリューエン大火山の中へと足を踏み入れた。
* * *
「・・・あっつ」
これが、俺のグリューエン大火山の感想だ。
グリューエン大火山の中は、オルクス大迷宮やライセン大迷宮と比べても、段違いにやばい場所だ。
難易度ではなく、内部の構造的に。
まず、マグマが流れている。それも、空中に。
フェアベルゲンのように空中に水路があって、そこを水が流れているのではない。正真正銘、マグマがそのまま空中を流れているのだ。
当然、広場や通路にもマグマが流れており、頭上と足元のマグマの両方に注意しなければならない。
さらに、
「シア、壁から離れとけ」
「え?うきゃ!?」
「おっと、大丈夫か?」
「はう、ありがとうございます、ハジメさん。いきなりマグマが噴き出してくるなんて・・・察知できませんでした」
このように、壁からいきなりマグマが噴き出してくることもあるのだ。
幸い、俺とハジメが“熱源探知”を持っているから問題なく対処でいているが、事前の予兆がないため、俺たち以外では察知が厳しいという難点もある。
本当に、厄介な迷宮だ。
一応、熱気遮断のフィールドは今も展開しているが、本当に焼け石に水程度しか効果がない。
いや、どちらかといえば、水の中に焼け石をぶちこんだような感じなのか・・・いや、考えたところでどうしようもないな。
それと、イズモはアンカジに置いてきて正解だったな。イズモがここに来たら、あの尻尾はどうなっていたことか。
そんなことを考えながら進んでいくと、なにやら広場にたどり着いた。
そこには、なにかを採掘した跡と、薄い桃色の鉱石が確認できた。
「あれは、静因石か?」
「あぁ、間違いないな」
どうやら、あれが俺たちが探していた静因石のようだ。おそらく、ここがあの砂嵐を突破した冒険者が採掘を行っていた場所ということだろう。
ただ、
「・・・小さい」
「ほかの場所も小石サイズばかりですね・・・」
そのどれもが小さい。これだと、アンカジの患者全員分集めるのに、どれだけ時間がかかることか・・・。
やはり、深部に行かなければ量は取れないということか。
一応、ハジメの“鉱物系探査”で簡単に取れるものを採取しながら下に降りること七階層。八階層からは過去の冒険者でも探索した者がいない未知の領域。気を引き締めていく。
すると、八階層への階段を降り切った次の瞬間、
ゴォオオオオ!!!
目の前から、巨大な火炎が俺たちに迫ってきた。
「“絶禍”」
そこで、ユエが重力魔法“絶禍”を使用し、迫ってきた火炎をすべて飲み込んだ。
“絶禍”は、いわゆる小規模なブラックホールを生み出す魔法で、あらゆるものを引き寄せて、飲み込む絶対の盾になる。
俺たちの目の前に現れたのは、雄牛の魔物だ。ただ、全身にマグマを纏わせており、立っている場所もマグマの中だ。見ているだけで暑いというか、どういう耐熱性なんだよ。まさか、リアルモ〇ハンみたいなことになるとは。
一方、固有魔法らしき火炎放射を防がれた雄牛の魔物は、マグマを飛び散らしながら俺たちに向かって突進をしてきた。
そこに、ユエが“絶禍”の重力場から火炎放射を吐き出す。“絶禍”は、内に飲み込んだものを吐き出すこともできる。まさに、攻防一体の盾だ。
だが、やはり火耐性はかなり高いようで、砲撃の直撃を受けて吹き飛びはしたが、これと言ったダメージはなさそうだ。
「むぅ、やっぱり炎系は効かないみたい・・・」
「まぁ、マグマを纏っている時点でなぁ・・・仕方ないだろ」
「マグマを纏っているなら、水や氷結系も効果は薄いだろうなぁ。すぐに蒸発しちまいそうだ」
これだと、魔法で対抗できる手段が少ない。俺の剣製魔法も、マグマ相手に溶けないか心配だ。
それに、マグマを纏っているということは、それだけで膨大な熱量を放っているということになる。近づいて攻撃と言うのも、不安が残るが・・・
「ハジメさん!ツルギさん!私にやらせてください!」
そこに、シアが元気よく立候補してきた。
どうやら、ドリュッケンの魔力の周り方からして、新機能を試したいようだ。ようやく活躍できるという興奮もあるのだろうが。
「一応、気を付けろよ。危なくなったら、すぐに退避しろ」
「わかったですぅ!」
俺が了承の意を伝えると、シアが「よっしゃーですぅ!殺ったるですぅ!」と鼻息を荒くして雄牛に飛び掛かった。
そして、体を回転させながら遠心力を加えて、狙いたがわずに雄牛の頭部に直撃した。すると、雄牛の頭部がはじけ飛んだかのようにして爆発四散した。
シアはそのまま雄牛を飛び越えて着地すると、ちょっと引き気味に感想を言ってきた。
「お、おうぅ。ハジメさん、やった本人である私が引くくらいすごい威力ですよ、この新機能」
「ああ、みたいだな・・・“衝撃変換”、どんなもんかと思ったが、なかなか・・・」
「これは、ちょっと予想以上だな・・・」
この新機能は、ハジメの新たな固有魔法による“衝撃変換”をドリュッケンに組み込んだものだ。
どこで手に入れたかといえば、オルクス大迷宮で香織や八重樫たちを助けたときだ。
魔人族の女を殺したあと、ハジメはあのときミンチにした馬頭の魔物の肉を、杭を回収するとともにちょろっと食べたらしい。それで、ステータスは伸びなかったものの、固有魔法は身に付けたという。まぁ、仮にもあの勇者一行を追い詰めたんだ。それなりに強力だろうとは思っていたが、ここまでとは。
そんなことを考えていると、ハジメが話しかけてきた。
「だが、よかったのか?ツルギは使わなくて」
一応、俺にも“衝撃変換”を付与されたアーティファクトを勧められた。俺はハジメと違って、魔物の肉を食べて固有魔法を得るなんて芸当はできない。だから、剣製魔法で付与できるようなアーティファクトを作らないかとハジメから提案されたが、俺はそれを断った。
理由としては、俺の戦い方との相性があまり良くないというのがあるが、それ以前の問題として、
「別に、んな固有魔法がなくても似たようなことはできるからな」
そう言うと、俺の真後ろから突然マグマが噴き出てきた。
「グオオォォォ!!」
振り向くと、もう一体の雄牛の魔物が俺に狙いをつけて突進しようとしている。
俺は、即座に物干し竿を生成し、雄牛の魔物に斬りかかる。
そして、刃が雄牛の魔物に触れたところで、俺は全身の筋肉を連動させた。
すると、雄牛の魔物は全身から血を噴き出して倒れた。
「・・・今の、なに?」
「浸透勁ってやつだ」
浸透勁とは、振動を相手の体内に送り込むことで、内臓やらを破壊する技術のことだ。本来は徒手格闘で使われることが多いが、俺は刀で放つことができる。
刃が触れさえすれば、相手の防御力に関係なく体内を破壊できる。
“衝撃変換”のような派手さや破壊力はないが、相手の防御を無視して攻撃できる。
身体能力に差が出始めたティアに対抗するためにも磨いてきた技だ。
他にも、徒手格闘でも衝撃波を飛ばしたりなど、対ティアのために新技を開発中だったりする。
「・・・やっぱ、お前もチートっていうか、もはやバグスペックだろ」
「・・・ん、固有魔法に頼らずに再現できるのは、反則」
「私、ツルギさんについて行けるか、不安ですぅ・・・」
「いったい、いつ、どこで身に付けたのか・・・呆れるしかないのう」
「さすがツルギね」
褒めてくれる人が1人しかいない。
別に貶しているわけではないとわかってはいるが、ほとんどから呆れられるとはどういうことか。
まぁ、それはともかく、そんなやり取りをしつつ俺たちは魔物を蹴散らしながら先に進んでいく。
・・・のだが、ストレスが半端じゃない。
まず、暑い。いや、熱い。
すぐそばにマグマが流れているという環境が、グリューエン大砂漠なんて目じゃないくらいの温度を生み出している。
あと、魔物がめんどくさい。
どの魔物もマグマを纏っているというのもあるが、それ以上に魔物がすぐにマグマの中に逃げていくせいで、手の出しようがない。マグマを纏っていることで魔法が無効化されるのも、地味にフラストレーションがたまる。特に、俺とユエは。
ティオを除けば俺が一番我慢強いと思っているが、それでもだいぶきつくなってきた。
そんな俺でさえきついのだ。火山に入る前から愚痴っていたハジメたちは、さらにやばいことになっている。
「はぁはぁ・・・暑いですぅ」
「・・・シア、暑いと思うから暑い。流れているのはただの水・・・ほら、涼しい、ふふ」
「むっ、ご主人様よ!ユエが壊れかけておるのじゃ!目が虚ろになっておる!」
とうとう、ユエが故障寸前にまで追いやられた。
一応、途中からハジメも冷房アーティファクトを出したが、あまり効果は感じられない。
「・・・一度、適当な場所で休むか」
さすがにこれ以上は放置できないと考え、休息をとることにした。
広場に出た俺たちは、なるべくマグマから離れたところの壁にハジメが錬成で穴をあけ、俺たちが入った後にできるだけ入り口を小さく閉じた。魔物に襲われても大丈夫なように表面を諸々の鉱石でコーティングするのも忘れない。
俺はその間に、氷塊を生成し、横穴の中を循環するように風を吹かせた。
「はぅあ~~、涼しいですぅ~、生き返りますぅ~」
「・・・ふみゅ~」
「ごくらく・・・」
女の子座りで崩れ落ちたユエ、シア、ティアが、目を細めてふにゃりとする。見事にタレてるな。
そこにハジメが、宝物庫からタオルを取り出して俺たちに投げ渡してくれた。
「お前ら、だれるのはいいけど、汗くらいは拭いておけよ。冷えすぎると動きが鈍るからな」
「・・・ん~」
「了解ですぅ~」
「わかったわ・・・」
「ありがとうな、ハジメ」
ユエとシアが間延びした声で、ティアが気を抜いた声で、のろのろとタオルを広げるのを横目に、ハジメが俺に話しかけてきた。
「ていうか、ツルギ、どうしてそんなに余裕なんだよ。俺でもきついっつーのに・・・」
「前も言っただろ。鍛え方が違うんだよ」
現代っ子の弊害がここまででかいと、やっぱりハジメも俺が手ずから鍛え上げた方がいいのか。
こいつ、すぐに物騒な考えをするからな。それを治すにはちょうどいいか。
「ふむ、ご主人様でも参る程ということは・・・おそらく、それがこの大迷宮のコンセプトなのじゃろうな」
そこに、そこまで参ってはいないがそれなりに汗をかいているティオがそんなことを言ってきた。
ハジメがこの言葉に首をかしげる。
「コンセプト?」
「うむ。ご主人様から色々話を聞いて思ったのじゃが、大迷宮は試練なんじゃろ?神に挑むための・・・・・なら、それぞれに何らかのコンセプトでもあるのかと思ったのじゃよ。例えば、ご主人様が話してくれた“オルクス大迷宮”は、数多の魔物とのバリエーション豊かな戦闘を経て経験を積むこと。“ライセン大迷宮”は、魔法という強力な力を抜きに、あらゆる攻撃への対応力を磨くこと。この“グリューエン大火山”は、暑さによる集中力の阻害と、その状況下での奇襲への対応といったところではないかのぉ?」
「・・・なるほどな・・・攻略することに変わりはないから特に考えたことなかったが・・・試練そのものが解放者達の“教え”になっているってことか」
ティオの解説に、ハジメがなるほどとうなずく。ティオは基本的にドMの変態だが、やはり知識深く、思慮も深い。やっぱ、腐っても竜人族か。
ただ、オルクス大迷宮に関しては、俺は違う見解を持っている。
「だが、オルクス大迷宮に関しては、ちょっと違うと思うけどな」
「というと?」
「俺もハジメから聞いた話でしかないが、難易度の桁が違う。今ほどではないとはいえ、ハジメとユエが死にかけたっていう魔物がいるとするなら、階層の数も考えてはるかに難易度が高い。ライセン大迷宮も広かったが、せいぜいオルクス大迷宮でいうと100階層くらいだからな。表と裏を合わせて、計200階層ってのは多すぎる。それに、難易度と比較して得られる神代魔法の恩恵が、普通の冒険者なら少ない。おそらくだが、他の神代魔法を手に入れたことが前提なんじゃないか?腕試し的な感じでな」
おそらく、ハジメのように錬成師があの迷宮を踏破することは、あまり想定されていないだろう。あの迷宮で得られた神代魔法がハジメにドンピシャなものだったことが、奇跡だといってもいいくらいだ。
「ふぅむ、そのような発想はなかったのう。ツルギ殿は、ずいぶんと柔らかい頭を持っているのう」
「まぁ、あくまで仮説でしかないけどな」
・・・無視してはいたが、汗がティオの谷間をつたっていくのが、そこはかとなくエロい。
なんとなく目を逸らすと、そこには同じように汗をかいているティアが・・・
「・・・ツルギ?どうしたの?」
「いや、なんでもない」
俺は再びサッと目を逸らして、自分の汗を拭くことに集中する。
が、ティアにはバレバレだったらしい。意地悪な笑みを浮かべたティアが、俺の腕に絡みながら抱きついてくる。
「ティ、ティア?」
「ツルギ、我慢しなくていいのよ?」
ティアが、いたずらっぽい笑みを浮かべながら誘惑してくる。
俺は一瞬流されそうになるが、なんとか踏みとどまる。
ティアに俺の過去を話して以降、ティアがずいぶんと積極的になっている。俺としても、ティアとの距離がさらに縮まったことはうれしいし、そんなティアを愛おしく思う。
だが、仮にもここは大迷宮だ。羽目を外しすぎるわけにはいかない。
隣のハジメのように、我を忘れてがっつくようなことはしてはいけない!
・・・いや、ちょっとだけならいいかな?
そんな理性と欲望の狭間に揺れながら、俺たちはしばらくの間、休息を続けた。
「ティア・・・」
「んっ、ツルギィ・・・」
「ふあああぁぁぁ・・・」
「これは、ご主人様とユエにも引けをとらぬのう・・・ぬ!?」
「きゃっ!またですか!?」
シアとティオはしょっちゅうツルギとティアのやり取りを観察する。そして、いつも鎖でぐるぐる巻きにされる。
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今日のweb版ありふれの更新で、「ほああぁぁ!!」みたいな感じでテンションが上がるのは、僕だけではないはず。
個人的には、トータス旅行記の続編を期待しているんですけどね。
それと、ありふれのアニメが非常に楽しみです!
はやく7月になってほしいですね。