二人の魔王の異世界無双記   作:リョウ77

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メルジーネの決戦

魔法陣の中に足を踏み入れ、光に飲まれた後、俺たちが出たのは神殿のようなところだった。祭壇のところには、転移とは違う魔法陣がある。どうやら、もう攻略したようだ。

そこには、すでに俺たち以外のみんなが集まっていた。

 

「あらら、俺たちが最後だったか」

「そうみたいね」

「まぁ、そこまで待たせているわけではないだろう。それに・・・香織殿はもう大丈夫のようだな」

 

イズモの言う通り、香織の表情にはメルジーネ攻略前のような焦燥はなく、どこか吹っ切れた様子だ。どうやら、自分なりに折り合いをつけたらしい。

一応、その解決のためにあえてハジメと2人になるように仕組んだが、上手くいってなによりだ。

そう思っていると、不意にティアが俺にもたれかかってきた。

 

「ティア?」

「ごめん、ツルギ、少しこうさせて」

 

どうやら、今までは何とか気を強く持てたが、やはり同族のあのような姿はきつかったらしい。

ティアを慰めるためにも、俺はティアを優しく抱きしめる。イズモも、気づかわし気にティアの頭を撫でる。

すると、ハジメが俺たちに気づいて声をかけてきた。

 

「お、ツルギたちが最後か」

「悪いな。待たせたか?」

「いや、俺たちもついさっき来たばかりだ。思ったより遅かったようだが、苦労したのか?」

「別に苦労ってほどじゃないが、やたらと広かったからな。別に、難易度としてはそこまで難しいわけじゃなかったし」

 

今回のメルジーネ海底遺跡攻略、思っていたよりかは簡単だった。今回の場合、難易度の問題と言うよりかは相性の問題だろうが。

このメルジーネ海底遺跡のコンセプトは、おそらく“神によってもたらされた悲惨さを知る”こと。だいたいの情報として知っていたこととそもそもエヒトを信仰していない俺たちにとっては、たいして苦にならない内容だ。まぁ、気持ち悪いと言えば気持ち悪かったが。

それに、普通の冒険者なら海底遺跡の中に入る時点でかなりの鬼門だが、俺たちには潜水艇があったおかげで、こちらもかなり楽に攻略できたし、魔力も温存できた。

・・・思い返してみれば、グリューエン大火山もリヒトとフリードの襲撃がなければ無傷で攻略できたよな。今さらだけど。

 

「・・・ツルギ」

 

そこに、ティアが俺から離れたタイミングでユエが間に入ってきた。

なにやら、俺にジト目を向けて。

 

「なんだ、ユエ?」

「・・・私とハジメを離れ離れにしたの・・・わざと?」

 

おっふ。そういえば、忘れていた。

ハジメと香織を二人きりにするために、あえてユエをハジメから引き離したこと。

そのことをユエがただで済ませるはずもなかった。

でも、ユエなら余裕の態度を崩さないと思うが。

 

「余計だったか?」

「・・・香織が、どさくさにまぎれてハジメにキスをしたらしい」

「すんませんっした」

 

すみません、そこまで予想できませんでした。俺は即座にユエに頭を下げる。

いや、でも、それを言ったらシアも同じようなことしてるわけだし、今さら、だよな?

ていうか、八重樫になんて報告すればいいんだよ。

お宅の親友はどさくさに紛れてキスするような肉食系になりました?言えるわけがない。

いや、まぁ、どのみち言わなきゃいけないんだろうけど。

ユエの方はと言うと、頭を下げた俺を見てくすくすと笑い、

 

「・・・でも、悪くはない。おかげで、やりがいが増えた」

「・・・それはなによりで」

 

やっぱり、仲良しじゃないか。

互いに気を遣わないのが親友だというなら、ある意味では香織と八重樫、ユエとシアのペアよりも親友らしいと言えばらしい。

 

「・・・それと、何かあった?」

「何かって、どういうことだ?」

「・・・ツルギの表情が、どこか柔らかく見える」

「・・・俺って、そこまでわかりやすいか?」

「・・・ん」

 

どうやら、俺は顔に出やすいタイプらしい。治せるなら治しておこうか。

まぁ、ユエの質問に答えるとするなら、

 

「別に、たいしたことはない」

「・・・そう」

 

俺はそう言ったが、ティアのジト目でなにやら察したらしく、なにやら含み笑いを浮かべながらハジメたちの方へと戻った。

そうして、ようやく俺たちは祭壇にある魔法陣へと足を踏み入れた。

そこで、ライセンやグリューエンの時と同じように記憶が読み取られたが、今回はそれだけでなくハジメやユエたちの方でも何があったのかが頭の中に入りこんできた。

具体的には、ハジメと香織がとある船内で人間族の王が和平を結んだ国の重鎮をまとめて殺したこと。ユエたちが王国の重鎮が魔人族との戦争を引き起こしたが返り討ちにされてしまい、王都に攻め込まれたところで困ったときの神頼みといわんばかりに女子供100人ほどを生贄として虐殺したというものだ。

ユエたちもそのことを思い出したようで、顔を青ざめている。

そして、俺たちは攻略を認められたようで、新たな神代魔法が刻み込まれた。

その魔法は、

 

「ここでこの魔法か・・・大陸の端と端じゃねぇか。解放者め」

「見つけたな、“再生魔法”」

 

ハルツィナ樹海の大樹で必要とされた“再生の力”である“再生魔法”だ。

ハジメの言う通り、大陸の端から端であるから、面倒なことこの上ない。

すると、床から小さめの祭壇がせり上がってきて、そこに人型の光が浮かび上がった。どうやら、メッセージを残していたようだ。

その人物は、シルエットで見た限りは海人族のようで、メイル・メルジーネと名乗った。

そして、神に縋らずに生き、自由な意思の元に生きれることを祈るみたいなことを言って消えた。

そして、彼女がいた場所に攻略の証であるコインが魔法陣から現れた。

 

「これで、攻略の証も4つだな。ようやく、ハルツィナ大迷宮に挑める」

「そうですね~。そういえば、父様達はどうしてるでしょう~」

 

シアに言われて思い出したが、ハルツィナ樹海はシアの家族であるハウリア族がいる場所でもある。あれからしばらく経ったが、いったいどう過ごしているのか。

・・・頼むから、悪化していないでほしいと願う。ただでさえ、頭の中に思い浮かぶのが武器を持って「ヒャッハー!!」する兎なのだから。

と、ハジメが証をしまった瞬間、周囲の海水がいきなり水位を上げ始めた。

 

「これって、また強制排出みたいな流れか?!」

「ちっ、全員、掴みあえ!」

「・・・んっ」

「わわっ、乱暴すぎるよ!」

「ライセン大迷宮みたいなのは、もういやですよぉ~」

「解放者っていうのは、強制排出が好きなのかしら?」

「水責めとは・・・やりおるのぉ」

「ティオ様、その言い方はやめてくれませんか」

 

わいのわいの言いながらも、潜水艇を出して乗り込む暇はないと判断し、お互いの服をつかみ合ってハジメから酸素ボンベを受け取って装着した。空間魔法によって“宝物庫”と同じ原理で作られたこの酸素ボンベなら、およそ30分は持つ。それくらいなら、なんとか水面まではもつだろう。

酸素ボンベを装着した次の瞬間、天井部分がショートカットのように開き、そこに海水が流れ込んで急な流れを生んで引きずりこまれた。

ていうかさぁ、ミレディもそうだったけど、なんで解放者は男連中よりも女連中のほうがガサツなんだよ。オルクス大迷宮はライセン大峡谷に転移されるって話だし、グリューエン大火山も普通に天井のショートカットが開くだけだったし。

それにさ、さっきの映像のメイル・メルジーネって、おっとりな優しいお姉さんみたいな感じだったけど、実はガサツなのか?

そんなことを考えているうちに、流されるまま天井が開いて海中に放り出された。あぁ、絶対に大雑把な人だ、これ。

だが、うだうだしている場合ではない、早くハジメが取り出した潜水艇に乗らなければ・・・

ん?この感じ、まさか。

 

 

ズバァアアアアアアッ!!!

 

 

嫌な予感がした直後、半透明の触手によって潜水艇が吹き飛ばされてしまった。

下を見れば、あのときのクリオネもどきがいた。

 

(くそったれ!!)

 

迷宮攻略直後という、一番でてほしくないタイミングで出てきやがったな、こいつ。

だが、悪態をついている暇はない。俺は即座に空間魔法による空間遮断結界“絶界”を展開し、ついでに中の海水も排出した。

 

 

「ユエ!“界穿”で上空に転移するぞ!時間は俺が稼ぐ!ティオは竜化の準備をして、上空に出たらすぐに飛べるようにしてくれ!」

「んっ!」

「わかったのじゃ!」

 

俺の手早く出した指示に、ユエとティオは力強くうなずき、それぞれ集中し始める。

空間魔法は重力魔法と比べてもはるかに使い勝手が悪い。“界穿”は簡単に言えばワープゲートを作る魔法なのだが、日の浅いユエでは発動までにおよそ40秒かかるし、魔力もごっそり削られる。もちろん、移動距離によって消費する魔力は増大する。

俺が今展開している“絶界”も、“聖絶”以上の強度を持つ絶対不可侵の強力な障壁だが、魔力の消費量がバカにならないせいで継続して張り続けるのは2,3分が限界だ。

それに、クリオネもどきが放つ触手の威力はかなりのもので、一発当たるたびに中を揺らすし、魔力を溶かす能力のせいで展開時間がさらに削られていく。

だが、ちゃんと必要な時間は稼げた。

 

「“界穿”!!」

 

ユエが“界穿”を発動させ、光る楕円形の膜が出来上がった。これが、空間転移のゲートだ。

 

「今だ、飛び込め!!」

 

ハジメの号令の下、俺たちは即座に膜の中へと飛び込み、上空へと転移した。すぐにティオが竜化し、全員がティオの背中に乗った。

空間魔法を行使した俺とユエは、あまりの疲労でぶっ倒れそうになったが、俺はティアとイズモに、ユエはシアと香織にそれぞれ支えられ、魔晶石から魔力を取り出して魔力を補充していった。

 

「ぅぁ、あだまが・・・」

「大丈夫、ツルギ?」

「あんまり、大丈夫、じゃない・・・空間魔法、まだ習得して日が浅いとはいえ、使い勝手悪すぎだろ・・・」

 

なにせ、今の段階ではユエも“想像構成”による魔法陣の構築に時間がかかっているし、“空間把握”によって発動時間の問題は解決している俺も、魔法の発動に脳を使い過ぎて頭がギンギン痛む。空間魔法と水魔法の複合である"水蜘蛛"も、範囲を最小限にしているからこそ楽に発動できているだけだ。

ユエが“界穿”を発動したタイミングも、正直に言えばギリギリだった。あと少し遅かったら、あのまま触手に貫かれていたかもしれない。

ユエの方も、周りから賞賛を送られて照れている。

とりあえず、これで難所は乗り切った・・・

 

ザバァアアアアアア!!!

 

次の瞬間、背後からやたらとでかい音が響いた。

振り返ってみれば、そこには巨大な津波、いや、もはや水の壁が襲い掛かってきた。

俺たちは今、上空100mほどの場所にいるが、それよりもはるかに高い。目算だと、おそらく500mほどはある。直径で言えば1㎞くらいか。

こんなことができるやつなんて、あれしかいない。

 

「ッ、ティオ!」

『承知っ!』

 

咄嗟に正気を取り戻したハジメが叫び、ティオがそれに応えて全速力で前へと急加速した。

 

「・・・“縛印”、“聖絶”!」

「“聖絶”」

 

そこに香織が落ちた時のための光のロープを生成し、ユエとともに“聖絶”を展開した。

 

「ティオさん、気をつけて!津波の中にアレがいます!触手、来ます!」

 

続いて、シアが“仮定未来”を使い、ティオに警告した。ティオもその警告に従い回避行動をとった。その直後、さっきまで俺たちがいたところを無数の触手が襲い掛かってきた。

なんとか回避することはできたが、その間に津波との差が詰まってしまった。

なんとか俺のゲイボルグとハジメの火炎放射器で迎撃するが、さすがに無理があった。

 

「ちくしょう!全員掴まれ!」

 

ハジメがそう叫ぶとともにユエとシア、香織を抱きしめるようにかばい、俺も同じようにしてティアとイズモをかばった。

直後、俺たちに向かって津波が襲い掛かってきた。

ユエと香織による“聖絶”の二重展開のおかげでなんとか防ぐことができたが、1枚目はこの一撃で破壊され、2枚目にもひびが入っている。さらに、津波に飲み込まれてそのまま凄まじい衝撃と共に海中へと引き戻されてしまった。

振り回された衝撃からなんとか回復して前を向くと、やっぱり奴がいた。

 

「狙った獲物は逃がさないってか?」

「なんか、バイ〇ハザードみたいだな」

 

実際に、こんな感じのシーンがあった気がする。

目の前にいるクリオネモドキは、いまや全長が20mほどになっており、今も巨大化を続けている。

この現実に香織とシア、ティオはもう終わりだと絶望しかけたが、ハジメの顔を見て体を震わせた。

なぜなら、ハジメの眼が爛々と輝いていたから。その眼には、これでもかというくらいに殺意を宿している。

かという俺も、まだあきらめてはいない。冗談を言えるくらいには余裕がある。あいつが魔物で生きている以上、必ず殺せるはずだ。

ユエ、ティア、イズモも必死に考えを巡らせながら攻撃と防御をこなし、それを見てシアとティオと香織もそれぞれできることをし始めた。

さて、あいつの弱点になりうるものは・・・

そういえば、メルジーネ海底遺跡の中で会ったときは、あいつは深追いはしてこなかった。

あのときに多用していた攻撃は・・・

 

「ハジメ!ありったけの熱量を広範囲に放てるか!?」

「っ、そういうことか!なら、今作る!」

 

あの時は、水からでていたこともあって火を多用していたが、今は海中とあってあまり使っておらず、使用しても威力が大幅に減衰してしまう。

それでも、俺がゲイボルグで炎を圧縮して放ったところは避けるようにしている。

それなら、ありったけの熱量であいつを焼き尽くせばいい。

だが、魔法ではそれは厳しい。

だから、俺はハジメに頼んだ。ハジメの作り出した兵器の中には、焼夷弾もある。それの原料を使えば海中でも広範囲に焼き尽くせるはずだ。

ハジメは宝物庫から次々に魚雷や鉱石を取り出し、何かを作り始めた。

だが、完成するには時間がかかりそうだ。

なら、俺もできる限りのことをする。

 

「少々きついが、やってやるよ!」

 

俺は魔法陣を8つ展開し、ユエの展開している"聖絶”の周りで不規則に回転させる。そこから、狙いなんてつけずにカラドボルグを乱射した。不規則に回転する魔法陣から放たれたカラドボルグは、圧倒的物量による弾幕を作り出してクリオネモドキを寄せ付けない。

だが、物量を優先して一発の威力を低くしたカラドボルグではクリオネモドキを押しとどめることはできず、徐々に触手が近づいてくる。それ以前に、俺の魔力がまた枯渇しそうだ。俺が攻撃を中断したと同時にユエたちが攻撃に入れば大丈夫だろうが・・・いつまでもたせることができるか。

ハジメも“限界突破”を使って作業スピードを上げているが、それでも一発あたりの時間はそれなりにかかっている。

 

「ハジメ、あとどれくらいだ!?」

「あと3分だ!」

 

3分か。正直、今の俺たちではきつい。

最悪、不完全な状態でなんとかするか・・・。

 

『よぉ、ハー坊。ヤバそうじゃねぇか。おっちゃんが手助けしてやるぜ』

 

次の瞬間、肉声ではなく念話で誰かが話しかけてきた。

その正体は、人面魚、この世界ではリーマンという魔物だ。たしか、念話の固有魔法を持っていたか。

だけど、こいつ誰だ?ていうか、ハー坊って・・・。

 

『ッ!?こ、この声は、まさかリーさん!?』

『おうよ。ハー坊の友、リーさんだ』

 

だが、このやり取りで俺は思い出した。

そういえば、フューレンで水族館で飼育していたリーマンが脱走したという話があり、その犯人がハジメだったはずだ。

ということは、そのときの知り合いか。

とりあえず、どうやって時間稼ぎをするつもりだと疑問に思ったが、攻撃を中断してから外を見ると、巨大な銀色の影がクリオネモドキに突撃した。よく見ると、それは魚群だった。

どうやら、リーマンは魚も操れるらしい。

それから、リーマンもといリーさんから軽く話を聞いた。

ここに来たのは、覚えのある魔力を感じて来てみたら、その正体がハジメだったこと。

あの魔物は"悪食”といい、太古から存在する魔物の祖先とでもいうべき化け物、いや天災らしい。

それで、その“悪食”に襲われているハジメを見つけ、助太刀に入った、ということのようだ。

その話が終わったタイミングで、数十万はいたと思われる魚群はほぼ壊滅した。

同時に、ハジメの準備も整った。

準備を終えたハジメは、まず手始めに魚雷群を“悪食”に放った。“悪食”はこれを避けずに受け止め、中に取り込んだ。魚雷は爆発せずに、中を漂っている。

続いて、ハジメはゲートを展開した円環を周りに配置し、その中に焼夷弾に使われている液状化させたフラム鉱石のタールを流し込んだ。すると、"悪食”の中にある魚雷からタールが流し込まれて“悪食”を黒く染めていく。

そして、“悪食”の全身をくまなく黒色に染めたところで、

 

「身の内から業火に焼かれて果てろ」

 

ハジメが、円環の中に小さな火種を放り込んだ。

次の瞬間、“悪食”を真っ赤な炎で染め上げた。

そして、炎の勢いは収まることなく“悪食”の体内から飛び出して体外からも燃やし尽くしていき、

 

ゴォバァアアアアア!!!

 

凄まじい水蒸気爆発を引き起こした。

俺たちは“聖絶”でなんとかやり過ごし、障壁越しに俺とハジメで“悪食”を探す。

そして、"遠見”や“魔眼”を駆使してくまなく探し・・・“悪食”は見つからなかった。

 

「ぐっ・・・何とか、終わったか・・・」

 

限界突破を切らしたハジメは、満足げな表情を浮かべながら倒れこんだ。

 

「ぶっちゃけ、完全に殺しきれてはいないだろうが・・・少なくとも、今は襲ってこないな」

 

あの“悪食”を本格的に殺そうと思ったら、あのゼリー状の体をくまなくすべて消滅させる必要があるだろう。

大規模とはいえ、大雑把な爆発ですべてを蒸発させたと考えるのは楽観的だが・・・この窮地を乗り越えれただけいいだろう。

それだけ確認してから、俺も背中から倒れこんだ。

だが、障壁にぶつかる直前にティアとイズモに抱きとめられる。

 

「ツルギ、お疲れ様」

「結局、ほとんど1人で足止めをしたな。お疲れ様だ」

 

“限界突破”を使ったハジメよりかは消耗が少ない俺は、イズモから回復魔法をかけてもらう。

単純な回復魔法の腕なら香織の方が上だが、尻尾も込みのイズモの回復は精神的にも安らぐ。

だから、ティアが俺の右手をギリギリと握りつぶすのはやめてほしい。痛いから。

そうこうしている間にも、ハジメはなにやら先ほどのリーマンと気安い会話をしていた。

なにか通じるものがあるんだろうが、あいにく俺には理解できないし、ハジメ側の女性陣もなにやらひそひそと話している。あまりいい内容でないのは、困惑とも戦慄ともとれない複雑な表情から読み取れる。

 

『じゃあ、おっちゃんはもう行くぜ。ハー坊。縁があればまた会おう』

 

そうこうしている間にも、リーマンが去ろうとする。

恩人、いや、恩魚?まぁ、世話になったんだから礼の一つでも言った方がいいんだろうが、かける言葉が見つからない。

そして、リーマンは最後にシアの方に振り向いて、

 

『嬢ちゃん、ライバルは多そうだが頑張れよ。子供が出来たら、いつか家の子と遊ばせよう。カミさんも紹介するぜ。じゃあな』

 

そう言って、今度こそ去っていった。

とりあえず、

 

「「「「「「「「結婚してたんかーーい!」」」」」」」」

 

魔物にも結婚の概念があったのか。初めて知った。




「さて、それじゃあエリセンに戻るとするか」
「あぁ、そうだな。まずは、飯食うか。腹減ったし」
「そうだな。何を作ってくれるんだ?」
「さっき獲った魚でなんか作るか」
「お前功労者たちになんてことを!!」

しれっと先ほどの魚群から魚をゲットしたツルギの図。


~~~~~~~~~~~


最近、湯冷めからの腹痛と花粉症の肌荒れに悩まされています。
これを書いている間も、けっこう胃が痛かったり・・・。
花粉症の方は、そろそろシーズンは過ぎると思いますが、痒くて痒くて・・・。
そんな苦労と大学の課題にも負けず、頑張って執筆していきます。

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