二人の魔王の異世界無双記   作:リョウ77

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合法だ、合法

「うし、集まったな」

 

あの話し合いのあと、俺は屋外訓練場に行った。ここもまだそこまで復旧が進んでいるわけではないが、十分使える範囲内だ。

今ここに集まっているのは、俺、ティア、イズモ、八重樫、天之河、坂上、谷口、そして、

 

「・・・う~ん、圧巻というか、なんというか、すごい光景だな」

 

アンナ他、“ツルギ様専属メイド会”総勢42人。もちろん、全員メイド服だ。

42人のメイドたちが、整列して並んでいる・・・うん、日本じゃ考えられない光景だな。

そして、ティアとイズモから、ものすごいジト目を向けられている。それがなかなかつらい。俺の胃にダイレクトアタックしてくる。

ちなみに、今は2人とも人間族の姿にしてある。

ティアとイズモも魔人族侵攻の際に前線で軍勢を屠った、いわば英雄的な立場にいるが、その場にいた者はともかく、その場にいなかった兵士や市民たちにはあまり浸透していないし、今はいろいろとデリケートなのだ。魔人族であるティアはもちろん、亜人族であるイズモやシアたちが民衆の前にでただけでも、混乱が起こりかねない。

というわけで、今は人間族の姿になっている。

なぜ2人がここにいるのかは、イズモは俺の手伝いが、ティアはイズモとは違う用事があるからだ。

それはあとで説明するとして、

 

「んじゃ、まずは天之河、坂上、谷口の指導だな。とはいえ、今日は時間がないから最低限の指摘で済ませるぞ」

 

とりあえず、この3人に今日の最低限のことを叩き込む。

すると、呼ばれなかった八重樫が手を挙げて尋ねてきた。

 

「えっと、私は?」

「八重樫は別だ。それで八重樫がよければでいいんだが、ティアに体術を教えてくれないか?」

 

これが、ティアに今日来てもらった理由だ。

俺の返答に、八重樫は眉を顰めるが、もちろん理由があってのことだ。

 

「私には、なにも教えてくれないのかしら?」

「教えないっていうよりは、俺が八重樫に教えることがないって方が正しいな」

「・・・そうなの?むしろ、教えてもらうことの方が多いと思うのだけど・・・」

 

たしかに、八重樫からすればそう考えるのも当然だろうが、今回ばかりは本当に俺ではどうしようもない。

 

「結論から言うけどな、剣術だけで見れば、俺と八重樫にそこまで差はない」

「そんなことは・・・」

「もちろん、全くないわけではないが、それでも八重樫が思っているほど劇的なものではない。お前が感じている差も、結局のところ神代魔法の有無とか根本的なステータスが原因だからな。今、どうこうってのはできない。技術ってのは、極めれば極めるほど、伸びしろが小さくなるからな。それに、今のお前の八重樫流は、八重樫自身の剣術として成熟しつつある。そこに俺があれこれ言ったところで、むしろ逆効果になる可能性の方が大きいんだよ。まぁ、そもそもを言えば、俺の剣は我流だから、基礎より上のことを教えられないってのが一番なんだが。俺に八重樫流なんてわからないし」

「そう、それならわかったけど、どうしてティアに教えることにつながるのかしら?」

「言っただろ、俺は基礎より上のことは教えられないって。それは、ティアに対しても同じなんだ。八重樫なら、八重樫流の体術も習得してるだろ?だから、ティアに本格的に指導してもらいたくてな。それに、この機会に八重樫流と向き合うことも、今後の向上につながる。だから、ティアに体術を教えて損はないはずだ」

 

まぁ、今言ったことの他にも、1回ティアと八重樫にコミュニケーションをとらせる目的もある、というかそっちの方がわりと大きい。

八重樫の話題が出るたびにティアがジト目になるせいでちょっと胃が痛くなるし、今も先ほどよりかはマシだが、八重樫にジト目を向けている。どう考えても「こいつ気に入らない」みたいな視線だ。

だから、これを機にティアと八重樫には仲良くなってもらうか、それが出来なくてもティアの八重樫に対する印象を変えてもらいたい。

幸い、2人にはかわいいものが好きという共通の趣味があるから、なんとかなるだろう・・・多分。

 

「そういうわけなんだが、どうだ?」

「・・・わかったわ。たしかに、そっちの方がよさそうだし」

「・・・ツルギがそう言うなら」

 

とりあえず、不承不承ながらも2人は了承してくれて、揃って訓練場の隅の方に移動した。

あとは、2人に任せよう。

 

「よし、それじゃあ、こっちも始めるか。まずは谷口からだな」

「ひゃ、ひゃい!!」

 

谷口はなにやら緊張しているのか舌を噛んでしまい、恥ずかしそうに顔を赤くしてうつむいている。

 

「・・・そう警戒するなよ」

「いや、だって、これから何をされるのかと思うと・・・」

「言っておくが、俺はハジメとは違うからな。スパルタはスパルタだが、んな鬼教官みたいなことはしねえよ」

 

まぁ、それはあくまで谷口と坂上の話だが。

 

「んじゃ、気を取り直して、谷口の天職は結界師だったな」

「う、うん、そうだよ」

 

結界師は、その名前の通り、障壁や結界系の魔法に天賦の才を持つ天職だ。

 

「それじゃあ、一回障壁を展開してくれ」

「う、うん、わかったよ・・・“聖絶”!」

 

谷口は詠唱を唱えて、“聖絶”を展開した。

俺はそれに近づいてコツコツとたたきながら確認するが、たしかに、これなら並みの攻撃は通らないだろう。

だが、

 

「なるほどな、だが・・・ふっ!」

「きゃあ!?」

 

俺は拳を腰だめに構えて、谷口の“聖絶”にたたきつける。それだけで、谷口の“聖絶”は破壊された。

 

「大迷宮に挑むには、これだけじゃあ足りないな」

「うぅ、どうして・・・」

「“聖絶”全体に衝撃が通るように拳をたたきつけた。他にも、障壁破りの手段はいろいろと持っている。大迷宮じゃ、ただ固い障壁だけじゃあ足りないな」

「じゃあ、どうすればいいの?」

「そうだな、これはあくまで一例だが・・・」

 

そう言いながら、俺は“天絶”を30枚同時展開した。

 

「谷口は、これくらいならできるか?」

「う、うん、できるけど」

「こっから、さらに一工夫加える」

 

そう言いながら、俺は障壁の外側の部分、およそ5,6枚を爆発させた。

 

「今のって、バリアバースト?」

「そうだな。基本的には攻撃に使われるが、これは防御にも使える。これを相手の攻撃を防ぐと同時に行うことで、相手の攻撃を相殺して威力を殺すことができる。そして、威力を殺したうえで残りの障壁で防ぐんだ。これなら、貫通力のある攻撃にもある程度通用する」

 

これは、地球の装甲車両にも使われているシステムだから、効果は折り紙付きだ。

 

「ただし、爆発させるときの威力や枚数を間違えると、自分たちにもダメージが入るから、そこは注意するように。つっても、これはあくまで一例だから、あとは自分で考えてくれ」

「へ?鈴が?」

「当たり前だろ?これは他にも言えることだが、大迷宮攻略のときには、少なからず自分たちだけで考えて行動する必要がでてくる。必ずしも仲間がいて、チームで行動できるとは限らないからな。だから、今のうちに自分で考える力をつけておけ。これからの鍛錬も、基本的にはお前たちに考えさせて、その成果を俺との実戦で試すことにするから、そのつもりでいるように」

「わ、わかった!」

「おうよ!」

「あぁ」

 

俺の言葉に、3人は力強くうなずく。とりあえず、今後の把握はできたようだ。

 

「さて、次は坂上だな。1回、俺と手合わせするぞ。もちろん、素手でな。俺が攻撃するから、坂上はそれをしのいでくれ」

「おう、わかったぜ」

 

そう言って、坂上は拳を構えた。これは、空手の構えにも通じているな。

それを確認してから、俺は坂上に突撃した。

とはいえ、本気で突っ込んだわけではなく、一歩手前で立ち止まって拳を放つ。速度や威力も、だいぶ落としてある。

とはいえ、初速を最高速にして放っているから、簡単に見切れるものでもない。

 

「よっ、うおっ、とっ」

 

だが、ギリギリだが坂上はよく防いでいる。なんとか見切れているようだ。

それでも、これはいわばジャブ、牽制の攻撃だ。本命は、

 

「ふっ!」

「ぐえっ!?」

 

坂上が顔面に向けられた拳を防ごうと両手でカバーし、その隙に俺は拳を引っ込めてがら空きになった胴体を蹴りぬいた。加減はしたが、もろに受けた坂上は吹っ飛んでいく。

 

「いつつ・・・」

「今のが、坂上の欠点だな」

「どういうことだ?」

「今のお前に欠けているのは、駆け引きだ。相手は魔物じゃなくて、人だ。当然、頭も回るし策をめぐらせる。魔物相手と同じように突撃したところで、返り討ちにされるだけだ。とはいえ、お前に難しいあれこれができるとは思っていない」

「・・・峯坂、お前、俺をバカにしてねえか?」

「してるに決まってるだろ。それとも、駆け引きで俺を出し抜くことが、お前にできるとでも言うのか?」

「・・・」

 

坂上は黙って視線を逸らした。図星らしい。

 

「だから、お前でもできることを教えてやる」

「それはなんだ?教えてくれ!」

「簡単なことだ。さっきの蹴る直前に放った拳、あれにはほとんど攻撃力はない。せいぜい、当たっても痛いだけだ」

「お、おう、そうだったのか・・・だったら、どうすればいいんだ?」

「対処するのは、でかいダメージになる攻撃か致命傷だけ。痛い程度のダメージは全部無視して、当たってカウンターを仕掛けるようにしろ。ダメージの見極めくらいなら、お前でもできるだろう?」

「そりゃそうだが・・・そんなんでいいのか?」

「いいんだよ。どうせ格上相手に無傷の勝利なんて不可能だしな。だったら、倒れる前に倒す、くらいの心構えで行け。お前のそのガタイは飾りじゃないだろう?あぁ、でも毒使い相手には気を付けろよ。かすっただけで終わり、なんてのもあり得るからな。だから、お前の課題は、相手の攻撃の見極めと、当たりながらカウンターを放つ後の先の呼吸、この2つだ」

 

ぶっちゃけ、こんなごり押し戦法は勧めたくなかったが、残念ながら、坂上は筋金入りの脳筋だ。だったら、ガタイに物を言わせたごり押し戦法の方が、坂上のスタイルにマッチするだろう。

問題は、この教え方のせいで坂上の戦い方がヤンキーのケンカみたいにならないかだが・・・そのときはそのときだ。こいつなら、そう簡単に死にはしないだろう・・・多分。

さて、坂上には若干の不安要素が残ってしまったが、今はこれでよしとして、

 

「最後は、天之河だな」

「あぁ。俺には、何を教えるんだ?」

「そうだな・・・まずは、剣を抜け。聖剣は持ってきてるだろう?」

「あぁ、ここにあるけど・・・」

 

そう言って、天之河が聖剣を抜いたところで、俺は物干し竿を生成し、天之河に斬りかかった。

だが、天之河は咄嗟に聖剣を構えて防いだ。

 

「へぇ、今のに反応できるのか」

「っ、なんのつもりだ、峯坂!」

「言っただろう、鍛錬だって」

 

言いながら、俺は聖剣をかち上げて再び斬りかかるが、本気ではないとはいえ、天之河もよく反応して防ぐ。

だが、それほど余裕はないらしく、それなりに切羽詰まった表情をしている。

 

「さて、お前に足りないものはいろいろとあるんだが、1個ずつ言っていくか。1個目は、メルドさんも言ってたよな」

「な、んの、ことだ!」

「覚悟だ」

 

天之河の問いに、俺は簡潔に答える。

 

「覚悟だって?」

「あぁ、人を殺す覚悟だ」

「っ、だが・・・!」

「人殺しは間違っているって?なら聞くが、お前の世界を救うって覚悟は、自分が間違ったことをしたくないってだけの理由で投げ出す程度のものなのか?」

「そ、それは・・・」

「お前は全部救うなんてほざいているがな、そんなことをできるやつなんてどこの世界にも存在しない。お前は当然、俺やハジメでもだ。だから、最低限守るものを決めて、それのためなら害する奴らを殺す」

 

俺の言葉に、天之河の表情が歪み、同時に聖剣がぶれてきた。

それを見てから、俺は神山で手に入れた新しい技能、“心眼”を発動した。これは、対象の魂魄を見ることができ、魂魄の揺らぎなどによって対象の心情や感情を推察することができる。

今の天之河は、それなりに動揺しているのが見て取れる。

ここから、さらに天之河の心を抉るように言葉を選んで口撃する。

 

「それに、お前は力があるから何でもできるなんて思っているが、力なんてただの道具にすぎない。強いからなんでもできるわけじゃないんだよ。本当になんでもできるなら、そもそも香織を死なせるような状況なんて作らせないからな」

 

俺の口撃に天之河は反論できない。俺の言っていることが正論だからというよりは、俺の攻撃をしのぐのに精いっぱいだからだろうが。

そこで、俺はわずかに攻撃の手を緩めて問いかける。

 

「さて、ここで質問だが、なぜ俺たちは全部を救えないと思う?」

「そ、それは・・・」

「・・・わからないみたいだな。簡単な理由だ。すべてを守るには、世界は広すぎるし、俺たちは違い過ぎる。それが答えだ」

「違う、だって?」

「あぁ。生まれた国が違う、信仰する神が違う、身分が違う、種族が違う。そして、人に限らず、生き物は違いを無条件に受け入れられるようにはできていない。この世界の戦争はエヒトによるものだとわかっているが、仮にエヒトの干渉がなくても戦争は起こっていただろう」

「どうしてそんなことが言える!」

「地球がそうだからだ」

 

戦争というのは、国や宗教の違いから軋轢が生まれ、話し合いで通じなくなったときに起こる。要は、国同士のケンカだ。互いが互いを受け入れられないから、武力行使で無理やり理解、あるいは迎合させようとする。

この原理で戦争が起きている以上、戦争というものはどこの世界でも必ず起きるものだ。

 

「お前は、自分が正しいと思っていることが全部だと思っているが、それはガキの考えでしかない。お前の“正しい”は、時に他の奴からすれば“間違っている”、あるいは“異端”だと思われることもある。そして、それを受け入れられないのもまた、お前の弱さでもある」

「なん、だって?」

「自分は正しくなくちゃいけない。たかがその程度のことに取りつかれ、時に自分に都合のいいように考える。自分の間違いを認めず受け入れずのお前が、強くなれるはずもないんだよ。そして、都合のいいようにしか考えないお前には、その剣になにも込めちゃいない。お前の剣には、意思や決意がまったくない。だから・・・」

 

そう言って、俺は物干し竿を振り上げ、天之河にたたきつける。

天之河はこれを防ぐが、簡単に吹き飛ばされてしまい、後ろの壁に激突した。

 

「がはっ!」

「こんな風に、俺でも簡単に吹き飛ばすことができる」

 

ちなみに、今の攻撃には魔力をまったく込めていない。

ステータス上ではほぼ互角、あるいは天之河が上にも関わらず、簡単に俺が吹き飛ばしたのは、それによる剣の重さの違いだ。

 

「今回はこれくらいで終わるが、お前の聖剣に込めるべきもの、お前が本当に守るべきものを考えておけ。これでまた同じようなことを言うようなら、お前は強くなれないことを覚えておけ」

 

それだけ言って、俺は踵を返してアンナたちの下に向かった。

そこでは、メイドたちが微妙な表情・・・をしているかと思ったら、尊敬一色の表情を向けられた。

 

「さすが、ツルギ様です!私たちもスッとしました!」

「・・・う~ん、それは何よりだが、ちょっと複雑だな・・・」

 

俺には尊敬の眼差しを向け、天之河には「へっ、ざまぁみろ!」みたいな目を向けるメイドたちは、本当にアンチ天之河なんだなぁ、とアンナから聞いた話に納得した。

 

「ですが、よろしかったのですか?周りの目もありましたが・・・」

「ん?あぁ、いいんだよ。今の天之河に必要なのは挫折だ。そういう意味じゃあ、周囲に他の人間がいるというのも悪くない。それに、あいつが調子に乗っているのは周りの人間がむやみにあいつを支持することにもあるからな。これで天之河に疑念を持って、できれば離れて行くってなれば、あのバカもちょっとは自分を見直そうとするだろ。これでも治らないようなら、もっとボコボコにするしかないんだが・・・」

 

だが、あまりやりすぎるのもよくない。

さっき言った通り、天之河の根っこはガキもいいところだ。なら、あまり言い過ぎると癇癪を起こす可能性もある。その結果、周りに被害をだそうものなら目も当てられない。

やろうと思えば、さらにあのバカの心をズタボロにすることもできるが・・・今のでこれなら、やめておいた方がいいだろう。香織や八重樫のこともあるし。

 

「んじゃ、あっちのことは置いておくとして、今からお前たちの訓練を始めるぞ」

「「「「「はい!」」」」」

 

俺の言葉に、メイドたちは元気よく応える。

・・・どうして“剣様専属メイド会”って言わないのか、だって?恥ずかしいからに決まってるだろ。

それはさておき、訓練を始めるわけだが、

 

「それじゃあ、まず最初に、各自にこれを渡しておく」

「ツルギ様、これは?」

「見ての通り、武器とかを入れるホルスターだ。さすがにメイドとかの仕事があるのにごつい武器を持たせるわけにはいかないからな。あとで、それぞれに合った暗器や携帯武器を渡しておく」

 

ちなみに、これはハジメに頼んで特急で作ってもらったものだが、なぜかノリノリだった。作ってもらったとは言っても、半分以上はすでにハジメが用意していたものらしいし。

何やら変なことを考えているのは目に見えているが・・・そのときは、ユエあたりが相手するだろう。わざわざ俺が手を出すこともないはずだ。

 

「それで、これはどこに取り付けるのですか?」

「足、できれば太ももに取り付けるのが望ましいな」

「と、いうことは・・・」

「まぁ、武器を取り出すときはスカートをたくし上げることになるな」

「そ、そうですか・・・」

 

俺の言葉に、メイドたちに羞恥や困惑の表情が見て取れる。

当然と言えば当然だろう。冒険者とかファッションを別にすれば、年頃の女の子が人目のあるところで肌を、とくに足を露出するのをためらうのは珍しいことではない。その機会が少ない上流階級や使用人ならなおさら。こっちの世界のドレスも、大胆に足を露出するものはわりと珍しいし。

とはいえ、だ。

 

「嫌だと言うなら、別にやめてもらっても構わないぞ」

「え?」

「戦場では、どういう理由であれ、一瞬のためらいが自分や周りの勝敗、ひいては生死につながる。俺も、それで痛い目にあったことがあるからな。だから、ここで覚悟を決められないというなら、これ以上俺の指導を受けても無意味だ。帰ってもらって構わない。もちろん、このことで俺が責めるつもりはない。お前たちの自由だ」

 

戦場での羞恥というのは、それだけでも死に直結しかねないものだ。シアの露出過多は別にしても、ユエだって基本的に多少の被弾で服が破けるくらいは無視する。そもそも被弾することが少ないが、ユエならそうするだろう。

そして、俺は別にそれを強要したりしない。ここで、覚悟のある奴とない奴を選別し、ない奴は容赦なくふるい落とす。そして、覚悟がある奴だけに戦いを教える。そもそも、覚悟のない奴に戦い方を教えたところで、それは徒労にしかならないのだから。

だが、俺の見立てが正しければ、

 

「私は、やります!」

 

まず最初に行動したのは、アンナだった。

アンナはためらいなくドレスエプロン(要はメイド服)の裾を持ってたくし上げ、太ももにホルスターを取り付けた。

それに続いて、他のメイドたちもわずかな躊躇を見せながらも、それを押し殺して次々にドレスエプロンをたくし上げ、太ももにホルスターを取り付けていった。

そして、全員がホルスターをつけ終わった。

 

「・・・つまり、お前たち全員に、戦う覚悟があるということでいいな?」

「「「「「はい!」」」」」

「なら、お前たちにその覚悟に見合ったものを叩き込んでやる!しっかりついてこい!」

「「「「「はい!」」」」」

 

これで、前段階は終わり。あとは、限られた時間のなかでできる限りのことを教えよう。それに、これだけの覚悟があるなら、俺がいなくても自分たちだけで行動できるはずだ。

まだ早いが、もうこの子たちに問題はないだろう。

さて、今度は、この子たちに戦闘の基礎とそれぞれに適性のある武器の使い方を叩き込みながら、ティアとイズモへの言い訳を考えておこう。

さっきから、もはやジト目を通り越して殺気を感じる。これをなだめるのは、一筋縄にはいかないだろう。

それに、八重樫もジト目を向けている気がするのは、気のせいだと思いたい。




「そういえば、ツルギ殿、聞きたいことがあるのだが」
「ん?なんだ?」
「先ほどの勇者殿への指導、若干私怨が混じっていなかったか?」
「当たり前だろ。あいつには日本にいたからストレス感じてたからな」
「清々しいほどに開き直った!?」

天之河への八つ当たりを正々堂々と告白するツルギの図。


~~~~~~~~~~~


自分の目の前に整列する、42人のメイドたち・・・アキバでもそうそうお目にかかれないでしょうね。
ちなみに、自分の好みはメイドではなく猫耳です。
猫耳と肉球つけてかわいらしく「にゃん♡」と言わせる、これこそ至高だと考えています。
それはそうと、勇者()へのあてつけというか、指導ですが、この時点ではまだ軽めにしておきました。
どうせ、後々で言われることですし。
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