二人の魔王の異世界無双記   作:リョウ77

71 / 186
ハウリアとの再会

「よし、このくらいにしておくか」

「はぁ、はぁ・・・お、おう・・・」

 

今日もまた鍛錬をつけて、坂上は汗だくになりながら倒れ伏した。

とはいえ、場所は外ではない。屋内の修練場だ。

とりあえず、一から説明するとしようか。

今、俺たちが乗っているのは、大型飛空艇・フェルニルだ。もちろん、ハジメ作のアーティファクトで、重力石と感応石を組み合わせることで空を飛んでいる。

見た目は大きさ約120mほどのマンタで、中には操縦席はもちろん、台所や風呂、トイレなどを備えた居住区に、今俺たちがいる広大な修練場まで存在する。

ちなみに、この修練場は空間魔法を使って限界以上に広くしてある。周りからすれば使わなくても十分なのかもしれないが、俺たちのメンバーは基本的に攻撃が大規模だから、こうする必要があった。

もちろん、空に障害物はないし、この世界には基本的に他に空を飛ぶ乗り物はない。結果として、フェルニルがこの世界で世界最大かつ最速の乗り物になるということだ。

では、なぜ今まで使わなかったかと言えば、単純に技量不足だ。主にハジメの。

重力石は、その質量が大きくなればなるほど重力干渉の力も大きくなる。簡単に言えば、大きな重力石ほど扱いが難しいのだ。もちろん、それは操作性にも言える。

もともと巨大飛空艇の構想自体はハジメの中にあったが、それを実現するだけの熟練度がなかった。

それでも、ロマンを愛する錬成師であるハジメの性からか、空いた時間にちまちまと鍛錬を重ね、つい最近になって、ようやく運用できるようになった、ということだ。

別に操作だけなら俺でもできたのだが、魔力量の問題があった。飛ばすだけならなんとかなるが、やはりそこまで長距離を飛ばすことはできなかった。こういうときに、自分の魔力量の半端加減がいやになる。ハジメは当然としても、ユエにも倍近く差があるわけだし。

 

「旅の終盤で飛行系の移動手段を手に入れるのは常識だろう?」

 

ちなみに、これが八重樫たちにフェルニルを見せたときのハジメの言葉だが、この時のハジメはドヤ顔全開だった。

今、フェルニルに乗っているのは、俺たちに加え、勇者パーティー、あと姫さんと護衛の騎士と従者が数人だ。

とはいえ、フェルニルなら王都からヘルシャー帝国までは1日半弱。すぐに降りることになる。ハルツィナ樹海も、二日半くらいしかかからないが。

ということで、短い時間を無駄にしないためにもと坂上が自分から鍛錬を申し込んできて、それを受け入れて稽古をつけていた。

ちなみに、今ここにいるのは俺と坂上だけだ。ハジメたちはブリッジでくつろいでおり、谷口は姫さんと談話、ティアとイズモはシアの料理を食べているところだ。

そういうわけで、坂上をしごいていたわけだが、ここで1つ問題が生じた。

 

「・・・坂上。お前、ここまで物覚えが悪かったか?」

「・・・面目ねぇ」

 

そう、坂上に課した課題の1つである、攻撃の見極め。これがほとんどできていなかった。むしろ、すべての攻撃を受けるとでも言わんばかりになってしまった。

もちろん、まったくできていないわけではないが、同じように鍛錬している谷口と比べたら、かなり遅い。谷口はすでに自分でいくつか新しい防御方法を編み出しており、それに伴って通常の障壁の強度も上がった。今までの鍛錬の成果を存分に出しているのだ。

坂上って、ここまで脳筋だったか?空手は習っているらしいから、そこまで難しいことでもないと思っていたんだが。ここまでとなると、方針を変えた方がいいかもしれない。

とはいえ、坂上でもできそうなこととなると、選択肢はだいぶ限られてくる。

・・・そういえば、俺はここまで、それなりに坂上をボコっているが、わりと平気そうにしている。もちろん、本気ではないが、それなりの回数は殴り飛ばしているはずだが。

・・・しょうがない。ここは、発想の逆転といこうか。

 

「そうだな。じゃあ、方針を変える。もちろん、最低限の見切りは必要だが、あくまで最低限にする。攻撃の見切りは深く考えなくていいから、やられる前にやるぐらいの気持ちでいけ」

「お、おう。そりゃあ、たしかに俺でもわかりやすいが、そんなんでいいのか?」

「パーティーで動いているうちはな。多少の怪我なら、香織の回復魔法があるし、魔力の消費はバカにならないが、再生魔法や魂魄魔法もある。他と連携を組めば、被弾も減るだろうからな」

 

もちろん、俺としてもこんな提案はしたくなかったが、そもそも坂上は自分で考えることが極端に苦手だ。だったら、バカでもわかる方法をとるしかない。

この指摘が裏目にならないことを祈るばかりだ。

 

『ツルギ、いいか?』

 

そんなことを考えていると、ハジメから念話がかかってきた。

 

「どうした?」

『ちょいと気になるものがあってな。こっちに来てくれ』

「わかった」

 

わざわざ俺を呼ぶくらいなら、優先度は高くなくてもあまり無視できない、といったところか。とりあえず、早めに向かうか。

 

「ハジメが呼んでるから、さっさと行くぞ。立てるか?」

「おうよ、大丈夫だぜ」

 

そう言って、坂上はすぐに起き上がった。

マジでタフネスだな、こいつ。これなら、今の教え方でも問題ない、はずだ。たぶん。きっと。

 

 

* * *

 

 

「ハジメ」

「来たか」

 

ブリッジに入ると、そこには俺たち以外の全員が揃っていた。モニターになっている立方体の水晶を囲んで、なにかを見ている。

 

「んで、なにがあったんだ?」

「あぁ、あれを見てくれ」

 

言われてモニターを見ると、そこでは水の流れていない狭い谷間で、2人の兎人族の女性が必死に逃げている様子が見えた。相手は、当然と言うか、帝国の兵士だった。

なるほど。それで俺を呼んだのか。

隣では天之河が早く下ろせとか言っているが、無視してモニターを見る。

・・・ん?ちょっと待てよ?

 

「・・・なぁ、ハジメ。あの2人、なんか見覚えないか?」

「やっぱ、ツルギもそう思うか?」

「まぁな。ていうか、シアの方がわかるだろ」

「へ?・・・あれ?この2人って!」

 

俺がシアに話を振り、ハジメがモニターをズームアップして顔をよく見えるようにすると、シアも気づいたようで、ウサ耳をみょん!とさせた。

 

「2人共、何をそんなにのんびりしているんだ!シアさんは同じ種族だろ!何とも思わないのか!」

「すみません。ちょっと静かにしてもらえますか?」

 

天之河がなおも主張を繰り返すが、ばっさりと切り捨てられて口をつぐむ。

そして、シアが思案を巡らしていると、やっぱりというように声を張り上げる。

 

「ハジメさん、間違いないです。ラナさんとミナさんですよ!」

「やっぱりか・・・豹変具合が凄かったから俺も、覚えちまったんだよな」

「まぁ、お前のせいだしな。にしても・・・この動きといい表情といい・・・へぇ」

 

俺たちを考え事をしている間も、2人の兎人族、ラナとミナは倒れこむようにして足を止めてしまった。

天之河はそれを見て甲板に飛び出そうとするが、俺がそれを止める。

 

「待て、天之河。手を出さなくてもいい」

「なっ、何を言っているんだ!か弱い女性が今にも襲われそうなんだぞ!」

 

俺の言葉に天之河が俺をキッ!と睨むが、俺の代わりにハジメが少し面白そうな様子で告げた。

 

「か弱い?まさか。あいつらは・・・“ハウリア”だぞ?」

「あっ!」

 

ハジメがそう言った瞬間、誰かが驚愕の声を上げた。

天之河がそれに反応してモニターの方を見ると、

 

「え?」

 

そこでは、帝国兵の死体の山が映っていた。ある者は首を斬り落とされ、ある者は頭部を矢で貫かれている。

その光景に、天之河だけでなく、俺たち以外の全員が眼を点にしている。

そして、そうしている間にも、帝国兵は次々に殺されていき、あっという間に壊滅状態になってしまった。

まるで玩具のようにポンポンと首が飛ぶ光景に天之河たちは口元を抑える。谷口にいたっては半分白目になって倒れそうになり、坂上に支えられている有様だ。

姫さんや近衛騎士達は、兎人族が帝国兵を瞬殺するという有り得ない光景に、思わずシアを凝視した。

特殊なのはお前だけじゃなかったのか!?みたいな感じで。

これに対して、シアは首を横に振り、

 

「いや、紛れもなく特殊なのは私だけですからね?私みたいなのがそう何人もいるわけないじゃないですか。彼等のあれは訓練の賜物ですよ・・・ハジメさんが施した、地獄というのも生温い、魔改造ともいうべき訓練によって」

「「「・・・」」」

 

最終的に、全員の視線がハジメに向けられた。すなわち、「また、お前かっ!?」と。ハジメはすっと視線を逸らした。

次いで、俺にも視線が向けられるが、

 

「言っとくが、あれに関しては俺はノータッチだ。どちらかといえば、ハジメがあれでバカやらかした後始末をした側だし」

 

本当に、あの時ハジメの傍にいなかったことが悔やまれる。いやまぁ、それでも少なからず豹変していただろうけど。

そんなことを話ている間に、事態は最終局面に向かっていた。

後続の輸送馬車と残りの帝国兵たちが現場にたどり着いたのだ。

帝国兵たちは凄惨な殺人現場に足を止め、その隙をついてハウリアが攻撃をしかけた。

ある者が帝国兵の注意をひきつけ、そちらに意識が逸れた瞬間に他のハウリアが首を斬り落とすか、矢で頭部を射抜く。

これに帝国兵たちは成すすべもなく蹂躙され、あっという間に全滅まであと少しになった。

 

「にしても、ずいぶんと暴れているな。どうやら、訓練は続けていたようだ」

「あぁ。だが、ちと詰めが甘いな」

 

俺たち以外の全員(特に姫さんたち女性陣)が恐怖とか戦慄でおびえている中、ハジメはシュラーゲンを構えた。

そして、一部開閉可能な風防を開けてスコープを覗き、スッと目を細め、静かに引き金を引いた。

放たれた弾丸は、ちょうど馬車から飛び出てハウリアに魔法を放とうとしていた帝国兵の頭部を貫き、そのまま消滅させた。

これで、ここにいる帝国兵は全滅したようだ。

 

「んじゃ、さっさと降りるか。それだけなら、俺でもなんとかなるし」

「いいの?」

「さすがに事情くらいは聞いといた方がいいだろう。それに、見ろよ。あんなビシッとした敬礼をしてるんだぞ?無視した方がよっぽど面倒だろ。一応あれでもシアの家族だから、他の面々にも説明する必要があるだろうし」

 

俺に尋ねたティアも、たしかにとうなずいた。今のメンツでハウリアのことを知っているのは、俺、ハジメ、ティア、ユエ、シアの初期メンバーだけなのだ。このまま放置して質問攻めになるのも、ハウリアを無視して変な報復をされるのもいやだ。

シアの方も、自分の家族がまた暴走しているのではないか不安になっているようで、俺の案に賛成した。

ということで、中二病呼ばわりした坂上と谷口に制裁を入れたハジメから操作を代わり、谷間に着陸した。

フェルニルから降りると、そこにいたのは整然かつキリッとした表情で出迎えたハウリア族6名と、およそ100人ほどの亜人族だった。パッと見ただけで兎人族はもちろん、森人族、狐人族、犬人族など、様々な種族の女子供がおり、全員例外なく手足と首に金属の枷がつけられていた。やはり、先ほどの馬車は亜人奴隷を運ぶためのものだったらしい。

そんな亜人族たちは、驚愕8割警戒2割くらいの視線で俺たちを見ていた。絶賛混乱中といったところか。

そこに、クロスボウを担いだ少年が颯爽と駆け寄り、ハジメの手前でビシッ!と背筋を伸ばすと見事な敬礼をしてみせた。

 

「お久しぶりです、ボス!兄貴!再びお会いできる日を心待ちにしておりました!まさか、このようなものに乗って登場するとは改めて感服致しましたっ!それと先程のご助力、感謝致しますっ!」

「よぉ、久しぶりだな。まぁ、さっきのは気にするな。お前等なら、多少のダメージを食らう程度でどうにでもできただろうしな・・・中々、腕を上げたじゃないか」

「「「「「「恐縮でありますっ、Sir!!」」」」」」

 

うわぁ、久々に見たな、このノリ。涙は流さないと言わんばかりに目を見開きすぎて、目が血走り始めているのが怖いけど。

それに、俺、ハジメ、ティア、ユエ、シアは平然としているが、他の全員はドン引きしている。ちゃんと後で説明した方がいいんだろうか。

 

「えっと、みんな、久しぶりです!元気そうでなによりですぅ。ところで、父様達はどこですか?パル君達だけですか?あと、なんでこんなところで、帝国兵なんて相手に・・・」

「落ち着いてくだせぇ、シアの姉御。一度に聞かれても答えられませんぜ?取り敢えず、今ここにいるのは俺達6人だけでさぁ。色々、事情があるんで、詳しい話は落ち着ける場所に行ってからにしやしょう・・・それと、パル君ではなく“必滅のバルトフェルド”です。お間違いのないようお願いしやすぜ?」

「・・・え?今そこをツッコミます?っていうかまだそんな名前を・・・ラナさん達も注意して下さいよぉ」

 

最後に会ったときと変わらないパル君にシアがこめかみをぐりぐりと抑えながらツッコミを入れ、とりあえず場所を移すという意見だけは聞き入れてラナと呼んだ女性と他のメンバーにパル君の厨二ネームを改めさせるように注意した。

 

「・・・シア。ラナじゃないわ・・・“疾影のラナインフェリナ”よ」

「!? ラナさん!?何を言って・・・」

 

・・・ん?ちょっと嫌な予感が・・・

 

「私は、“空裂のミナステリア”!」

「!?」

「俺は、“幻武のヤオゼリアス”!」

「!?」

「僕は、“這斬のヨルガンダル”!」

「!?」

「ふっ、“霧雨のリキッドブレイク”だ」

「!?」

 

・・・非常に、非常に嫌なことに、悪い予感が当たってしまった。

 

 

 

パル君の厨二病が、盛大に伝染してやがるっ・・・!!

 

 

 

とりあえず、こいつらの正式名称は最初の2文字だけだったはずだ。それだけは覚えておこう。

それよりも、今は口から魂が飛び出そうになっているシアの心配だ。久しぶりに家族に会ったら、痛い名前を口にしながら香ばしいポーズをとっているのだ。その心傷は計り知れない。

ハジメも、己の過去を垣間見ながら忠告を入れようとした。

だが、

 

「ちなみに、ボスは“紅き閃光の輪舞曲(ロンド)”と“白き爪牙の狂飆(きょうひょう)”ならどちらがいいですか?」

「・・・なに?」

「ボスの二つ名です。一族会議で丸10日の激論の末、どうにかこの2つまで絞り込みました。しかし、結局、どちらがいいか決着がつかず、一族の間で戦争を行っても引き分ける始末でして・・・こうなったらボスに再会したときに判断を委ねようということに。ちなみに俺は“紅き閃光の輪舞曲”派です」

「まて、なぜ最初から二つ名を持つことが前提になってる?」

「ボス、私は断然“白き爪牙の狂飆”です」

「いや、話を聞けよ。俺は・・・」

「何を言っているの疾影のラナインフェリナ。ボスにはどう考えても“紅き閃光の輪舞曲”が似合っているじゃない!」

「おい、こら、いい加減に・・・」

「そうだ!紅い魔力とスパークを迸らせて、宙を自在に跳び回りながら様々な武器を使いこなす様は、まさに“紅き閃光の輪舞曲”!これ一択だろJK」

「よせっ、それ以上小っ恥ずかしい解説はっ・・・!」

「おいおい、這斬のヨルガンダル。それを言ったら、あのトレードマークの白髪をなびかせて、獣王の爪牙とも言うべき強力な武器を両手に暴風の如き怒涛の攻撃を繰り出す様は、“白き爪牙の狂飆”以外に表現のしようがないって、どうしてわからない? いつから、そんなに耄碌しちまったんだ?」

「・・・」

 

ハジメも厨二ネーム対象にがっつり入っていた。ハジメも流れ弾を喰らい、口から魂を吐き出すことになった。

なんというか、ご愁傷様だな、うん。

 

「あ、ちなみに兄貴は・・・」

「よせ、それ以上口を開くな」

 

俺にも流れ弾がきそうになったが、そうなる前に止めさせた。俺だって命は惜しい。

 

「シ、シズシズ、笑っちゃダメだって、ぶふっ!」

「す、鈴だって、笑って・・・くふっ、厨二病って感染する・・・のかしら、ふ、ふふっ」

 

ふと、後ろから噴き出す音が聞こえて、振り返ってみたら、そこでは八重樫と谷口が必死に笑いをこらえているところだった。ちゃっかり俺も視界の中に入れながら。

とりあえず、パル君たちは俺の拳圧とハジメのゴム弾で黙らせつつ、2人に恨みがましい視線を送った。

 

「八重樫。お前にはあとで強制リボン付きツインテールをプレゼントして映像記録に残してやる。ついでに、そいつを義妹の連中にばらまく」

「!?」

「谷口、お前は身長をあと5㎝縮めてやる」

「!?」

 

俺とハジメの死刑宣告に、2人はぴたりと笑うのをやめて、戦慄の表情で俺たちを見た。それで俺たちが本気だということを悟った2人は天之河と坂上に助けを求めようと振り返ったが、そっちの2人はすでに視線を逸らして明後日の方向を向いていた。どうやら、あいつらにも封印した過去があるらしい。

 

「あの・・・よろしいでしょうか?」

 

そこに、今度は控えめな声で話しかけられた。

振り向くと、そこにいたのは足元まである長く美しい金髪を波打たせたスレンダーな碧眼の美少女だった。耳がスッと長く尖っていることから森人族だということが分かる。

 

「あなた方は、峯坂ツルギ殿と南雲ハジメ殿で間違いありませんか?」

「あぁ、そうだが・・・まさか、アルフレリックの血縁か?」

 

よく見れば、どことなくアルフレリックの面影がある。娘にしては若い気もするが。

俺の言葉に、話しかけてきた少女は頷く。

 

「はい。わたくしは、フェアベルゲン長老衆の一人アルフレリックの孫娘アルテナ・ハイピストと申します」

「長老の孫娘が捕まるって・・・どうやら、いろいろとあったみたいだな」

「それでですね、わたくし達を捕らえて奴隷にするということはないと思ってよろしいですか?祖父から、あなた方の種族に対する価値観は、良くも悪くも平等だと聞いています。亜人族を弄ぶような方ではないと・・・」

「まぁ、たしかにそういう趣味はないな。とりあえず、ハジメ。まとめてフェルニルに乗せて、樹海に届けるか?」

「あぁ、ついでだし、それくらいはいいだろう」

 

長老衆の孫娘ということは、まさしくフェアベルゲンの姫君であって、当然、逃走経路なども確保されているはずだ。その上で捕まったというなら、フェアベルゲンに何かがあったと考えた方が妥当だろう。最悪、大樹に手を出されている可能性もある。

それに、俺たちが今いる場所は帝都のかなり手前の位置だ。このままだと帝国兵に見つかる可能性がある。さっさと移動した方がいいだろう。

パル君たちの方も、帝都の近くの仲間に情報交換するということで、姫さんを送るついでに一緒に乗せることになった。帝都から離れたところに下ろせば大丈夫だろう。

そんなこんなで、パル君たちが声をかけて亜人族を歩かせる。亜人族の面々は、不安の方が大きいようで、おずおずといった風だ。

 

「きゃ!」

 

その時、ハジメの近くでアルテナが足枷のせいでつまづいてしまった。

近くにはハジメがおり、その背中にしがみつこうとしたのだが、

 

ビタンッ!!

「ふきゃっ!?」

 

ハジメは後ろに目がついているかのように避けて、アルテナはそのまま痛そうな音とともに地面にたたきつけられた。

他の亜人族が起こしに行こうとするが、ハジメに怯えて近づくことができずにいる。

そこでハジメは振り返り、アルテナの方を見て、

 

「さっさと起きて乗らないと、パルの言う通り置いていくぞ?」

 

言葉で追い打ちをかけた。

たしかに、ハジメは種族には良くも悪くも平等だ。ついでに言えば、男女に関してもそうだが。例外は子供くらいだ。

そんなハジメに、ほぼ全員から不評とドン引きの視線を浴びて、ユエに助けを求めたら、

 

「・・・ん?何が悪いのかよくわからない。シアの時もそんな感じだった」

「そういえばそうでした!」

 

どうやら、出会ったばかりのシアも同じ感じの扱いだったらしい。まぁ、俺が会った時点でもだいぶ適当な扱いだったが。

とりあえず、ハジメは足踏みを所望したティオをスルーし、アルテナの前に跪いて足枷を外し、奴隷用の首輪も開錠した。

途中でハウリアの面々がうるさくなったが、ハジメの「もういっそ、全員吹き飛ばしておくか・・・」というつぶやきに、面白半分で見ていた天之河たち共々顔を青くした。

そして、錬成で鍵を作ってパル君に渡し、そのまま開錠するように言った。

そして、全員の枷を開錠し終え、フェルニルに乗り込んだ。

さて、俺たちは俺たちでフェアベルゲンに何があったのか、パル君から聞くとするか。




「おっしゃ!いくぜ、峯坂!」
「おう、さっさとこい」
「おらっ!」

ぼごっ!

「ぐふっ、ま、まだまだぁ!」

ぐしゃっ!

「な、なんのぉ!」

どごっ!!

「こ、根性ぉ!!」
(・・・まぁ、サンドバックにはちょうどいいか)

ツルギと龍太郎の特訓風景。


~~~~~~~~~~~


今回はツルギ君の厨二ネームはなしで。
ちょっと、自分の厨二力が追いつかなかったんですよね、はい。
なので、原作作者さんや“永劫破壊”のシオウさんの厨二力が、ちょっとだけ羨しかったり。
自分には想像力があっても発想力がないっていう弱点を自覚しているんですが、こればっかりはどうしようもないというか、どうしても参考とか最悪パクリになりかねなかったりするというか。
なので、それをなるべく改善できたらなぁと思っています。
発想力に関しては、普段の生活でも必要になる場合がありますし。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。