二人の魔王の異世界無双記   作:リョウ77

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婚約パーティーでの一幕

その日の夜、俺たちは帝城のパーティー会場で、姫さんと皇太子の婚約パーティーに参加していた。

会場はそこかしこに豪華絢爛さだった。

立食形式のパーティーで、純白のテーブルクロスの上には数百種類の料理やスイーツが並べられており、そのどれもが趣向を凝らしていた。

ちなみに、このパーティーの参加者は俺たち以外は全員帝国のお偉い方で、特に武官が頻繁に俺たちに話しかけてくる。なにせ、こっちでは俺たちは“神の使徒”にして“勇者一行”だ。興味を持つのも当然だろう。

俺とハジメは料理を楽しんだり、話しかけてくる武官を丁寧にあしらったりしていたが、他のことにも意識を割いていた。

 

『HQ、こちらアルファ。H4ポイント制圧完了』

『HQ、こちらブラボー。全Jポイント制圧完了』

『HQ、こちらチャーリー。全兵舎への睡眠薬散布完了』

『HQ、こちらエコー。皇子、皇太孫並びに皇女2名確保』

 

それは、今も聞こえるハウリア族の声だ。もちろん、周りには聞こえていない。ハジメ作のイヤリング型の通信機からの念話だ。

とはいえ、あくまで状況確認のためのものだから、意識の2,3割くらいしか傾けていない。

残りは話しかけてくる武官に向けている。

なにせ、帝国の人間らしく俺たちに興味を持っているということや、貴族らしく俺たちとコネを持ちたいという下心だけでも面倒なのに、俺やハジメに話しかけてくる奴らからはまた違う意味の下心を感じる。

その対象は、今回のパーティーのために着飾ったティアやユエたちだ。本人たちは隠そうとしているのかもしれないが、視線がちらちらとティアたちに向いているのがバレバレだ。

だが、無理もないといえばそうだろう。

なにせ、姫さんと皇太子が主役のパーティーのはずなのに、もはやティアたちが主役だと言わんばかりの存在感を放っている。

現在進行形で料理を食べているティア(人間族の姿のまま)は、翡翠色のAラインドレスを身に纏っており、露出は多くないものの、ところどころから適度に引き締まった肢体をのぞかせている。

イズモは紅葉色のスレンダードレスを着ており、肩や豊かな胸の谷間を露出させている。話しかけてくる男たちも、時折プルンッ!と揺れる胸に視線が吸い込まれており、不躾な視線を向けてくる輩に片っ端から弱めの殺気を放って近寄らせないようにしている。

・・・ただ気になるのが、イズモはティアと違って人間族に変装しておらず、狐耳も尻尾もそのままなのだが、尻尾はいったいどうやって出しているのだろうか。見た感じ、目立った穴も見当たらないし・・・まぁ、うん、気にしないようにしよう。

また、ユエたちの方もハジメの気をひこうと気合を入れており、特に純白のウェディングドレスモドキを纏ったユエにハジメが俺たちがいる前で濃厚なキスをかますという軽い事件が起こったほどだ。

また、俺もティアとイズモの姿に目を奪われ、それを察せられたティアに頬を撫でられた途端にキスをかましそうになったが、人前ということもあってなんとか踏みとどまった。まぁ、後でこのドレスをもらって違うときに着てもらおうかと考えたが。もちろん、その時にどうするかは、ここでは言わない。

あと、イズモにも目を奪われたことに、自分でも内心で驚いた。思っていたより、俺の中でのイズモの存在がでかいんだなぁと思ったが、その思考は横に置いておいた。

ただ、ひたすらに意外だったのが、八重樫だった。

なにやら、ティアと香織に捕まって着せ替え人形のごとく八重樫に似合うドレスを選んだらしく、結果として藍色のプリンセスドレスを身に纏っていた。露出は多くないのだが、それでもわかる体のラインと恥ずかしそうに頬を赤く染める姿に他の男の視線が殺到し、そのたびに八重樫の傍にいるティアがどことなく怖い笑顔を振りまいて男たちの視線を散らしていた。

ちなみに、恋人への原動力がなければ友人に拉致られることもなかった谷口は、十分に着飾っているのに目立つこともなく、逆に少し浮いているように見えた。そんな谷口は、バクバクと料理を貪る坂上を諫めながらも、自身もケーキなどのスイーツを貪っている。

そして、話しかけてくる武官をあしらい続けていると、会場の入り口がにわかに騒がしくなった。どうやら、主役である姫さんと皇太子・バイアスが入場したようだ。

文官風の男が大声で風情たっぷりに二人の登場を伝えた。

そして、大仰に開けられた扉から現れた姫さんのドレス姿に、会場の人々は困惑を隠せないでいた。

なにせ、今の姫さんのドレスはすべての光を吸い込みそうな漆黒のドレスを着ているのだ。本来の趣旨を考えれば、もっと明るいドレスの方がふさわしいだろう。そして、いかにも「義務としてここにいます」と言わんばかりの澄まし顔と合わせて、まさに壁を感じさせる。

パートナーのバイアスの方も苦虫をかみつぶしたような表情でいるので、どう見ても婚約者同士には見えなかった。

そして、会場も司会も困惑を隠せないままパーティーは進行し、ダンスタイムになった。1曲目で姫さんとバイアスがペアになって踊っているのだが、その動きはどことなく機械的で、バイアスが距離を詰めようとしても姫さんはいつの間にか距離をとっている。

そして、微妙な雰囲気のまま1曲目が終わった。

 

「何て言うか、リリィらしくないね。いつもなら、内心を悟らせるような態度は取らないのに・・・」

 

いつもと違う姫さんの様子に、香織がポツリと呟く。

 

「まぁ、いろいろと思うところがあるんだろ」

「峯坂君は、なにか知っている様子ね?」

「俺も詳しくはわからんが、大方、皇太子に襲われそうになって、ハジメが道すがらに助けたってところだろ」

「そう、リリィがおそわれ・・・ナンデスッテ?」

「ちょっと、ハジメ君!それって本当なの!?」

 

俺の言葉に、香織と八重樫が筆頭になってハジメに驚愕の視線を向ける。

視線を向けられたハジメはと言えば、

 

「・・・ユエ、1曲踊らないか?」

「・・・ん、喜んで」

 

逃げの一択だった。

香織や八重樫が追求しようとするが、説明が面倒になったらしいハジメは俺にちらっと視線を向けて、さっさとユエと踊りに行ってしまった。

そして、結果的に今度は俺に視線が集まった。

 

「・・・さっきも言ったが、俺だって詳しくは知らないぞ」

「でも、なにか訳知りな感じよね?」

「いや、まあな。あらかじめハジメに、姫さんの周りに気を付けておいてくれって言っただけだし」

「それって、どうしてなのかな?」

「あらかじめの情報収集で、皇太子の大体の評判がわかったから、姫さんが危ないだろうと思っただけだ」

 

俺が調べた限りのバイアスの人物像は、良くも悪くも実力主義なことに変わりはない。

だが、皇帝と比べると、その人格には大いに難がある。

簡単に言えば、弱者をいたぶる趣味の持ち主なのだ。

自分が強者なのだから、弱者は自分に従うべき。ここまではまだいいのだが、それを理由に他の愛人や女性の使用人に身体的・性的問わずに乱暴を働くことが多々あるらしかった。

そのため、姫さんも危ないかもしれないということで、主に城のトラップの解除にまわるハジメに、あらかじめ言っておいた、ということだ。結果として、それが功を奏したらしい。

 

「・・・要するに、一応はリリィの危機を救ったというわけね」

「あぁ。まぁ、ハジメからすれば、香織の友人だからって理由だろうけどな。俺も似たようなもんだし」

 

実際、このことを黙って姫さんが手遅れになった場合、香織が悲しんだりしたらハジメがどうなるかは俺にもわからない。だったら、あらかじめハジメに言っておいた方がいいと思っただけだ。

俺のそっけない言葉に香織は苦笑いしたが、すぐにハジメの2番手争いの方に行ってしまった。

さて、俺はどうしようか・・・

 

「ツルギ殿。ティア殿とは踊らないのか?」

 

何しようか考えていると、イズモからそんなことを聞かれた。

たしかに、ハジメがそうしているように自分の恋人と踊るのが普通と言えば普通だろう。

だが、

 

「まぁ、ティアが踊りたいっていうなら俺もやぶさかではないんだが・・・」

 

そう言いながら、俺はちらりと視線をティアに向ける。

するとティアは、苦笑しながら首を横に振った。

 

「私、ダンスとかは苦手だから・・・」

 

ティアは、ガーランドでは英雄の娘という立場だったが、生まれ自体は庶民だし、このようなパーティーに出ることもほとんどなかった。どうやら、リヒトがティアの参加を拒否していたらしい。

結果として、ティアにダンスの心得はなく、俺も同じくないため手持無沙汰になっていたというわけだ。

俺もまったく踊れないわけではないが、それでも初心者だ。踊るだけならまだしも、ハジメと違ってエスコートなんてできる自信がない。

というわけで、少し残念ながら今回はティアとのダンスは望めない、ということだ。

そう言うと、イズモは顎に手を当てて考える素振りを見せ、

 

「そうか。なら、私と踊らないか?」

 

俺に手を差し出して、そんなことを言ってきた。

たしかに、今の手持無沙汰の俺に断る理由はないが・・・

ちらっとティアの方を見ると、また苦笑しながらも今度は肩を竦めた。

やはり、ティアはできた恋人だ。

 

「それなら、喜んで」

 

俺はイズモの手をとった。

 

 

* * *

 

 

ツルギとイズモが踊りに行ったあと、その場にはティアと雫の2人が残った。

 

「・・・ティア、いいのかしら?」

「なにが?」

「自分の恋人が他の女の人と踊りに行っちゃったってこと」

 

雫の言葉に、ティアは納得したようにうなずき、わずかに苦笑する。

 

「他の女じゃなくて、イズモだからいいのよ」

「そうなの?」

「もちろん、イズモでもいろいろと思うところはあるけど・・・」

 

それでもティアは気づいている。

ツルギが、自分とは違う意味でイズモを頼りにしているということを。

イズモが、ツルギのことを本気で好いているということを。

つまり、ツルギとイズモには少なからずつながりがあるということだ。

 

「正直、ちょっと嫉妬しているところもあるけど、私だってイズモのことを頼りにしているし、ツルギが信頼しているところだって私も同じだから」

 

だから、少なくともイズモを邪険に扱うことはしない。

そのティアの言葉に、雫は感嘆のため息をもらす。

 

「・・・強いのね」

「別に、そういうわけじゃないのだけどね」

 

しいて言うなら、今まで一緒に過ごしてきた時間があったからこそだし、ツルギの天然誑し(もちろん本人は無自覚)にもある程度は折り合いをつける必要もあるかもしれない。

というわけで、少なくともイズモは受け入れるつもりでいた。

それを話すと、雫は微妙な表情になった。

 

「・・・できれば、その気遣いを私にもしてほしかったのだけど」

「あら、なんのことかしら?」

「このドレスのことよ!ティア、絶対に腹いせも兼ねているでしょ!」

「そんなことないわよ?」

「嘘を言って!私はわかってるわよ!ティアがドレスを着せ替えているときに、ずっと意地悪な笑顔を浮かべていたこと!」

 

そもそも、雫の着せ替え人形化はティアが発端だ。

着替え終わったティアは、十分に着飾っていながらもどこか無難な選択をした雫に、他のもっと似合うドレスにしようと提案。雫はそれを渋ったが、ティアが香織を誘ったことで形勢逆転し、結果として現在のドレスになったということだ。

ちなみに、雫が言ったティアの腹いせというのは、実は合っている。

最近はティアと雫の2人で鍛錬をし、よく手合わせをしているのだが、それなりの回数をしているのにティアは雫に勝ち越せないでいた。

このまま負けっぱなしは嫌だと思ったティアは、雫が可愛いもの好きだという情報を思い出し、それならこのパーティーで思い切りかわいらしい格好をさせようと考えたわけだ。

 

「まったくもう・・・」

「でも、シズクもそのドレスを気に入っているんじゃない?」

「べ、べつにそんなことないわよ」

 

口ではそう言っているが、顔が赤くなっている時点でお察しという奴だろう。

このような“凛々しいお姉さま”から離れた姿を見ると、香織が雫のことをしゃべりたがる気持ちがわからなくもないとティアは思った。

そこで、ちょうど曲が終わりにさしかかっていることに気づき、なんとなくツルギとイズモの様子を見て、思わず体を硬直させた。

 

 

そこでは、イズモがツルギにキスをしていた。

 

 

* * *

 

 

ティアと雫をその場に残した俺とイズモは、ダンスホールに向かった。

途中、ティオがダンスのパートナーの座を姫さんに横取りされて興奮している様子が見えたが、俺もイズモもあえて見ないふりをした。

そして、俺たちはイズモのリードでダンスを始め、俺は“瞬光”を使ってイズモの動きに合わせる。

 

「ふむ、ツルギ殿も、十分踊れるではないか」

「踊るだけならな。俺じゃあ経験不足でリードなんてできねえよ。それにしても、やっぱりイズモは踊れるんだな」

「潜入捜査の際に、このようなパーティーに参加することもあったからな。それなりに嗜みはある。だが、こうして楽しみながら踊るのは初めてだ」

「なるほど。ある意味、俺が初めての相手だってことか?」

「あぁ。異性に恋慕の情を持つこともな」

 

それは、あまりにさりげない告白だった。

だが、俺とてまったく気づかなかったわけではない。というか、その話はティアとした。

 

「やっぱ、そうだよな」

「なんだ、思っていたより驚かないのだな」

「まぁ、なんとなく気づいていたしな」

「ふふ、だろうな。やはり、隠そうと思っても隠せるものではないか」

「今までさんざん大胆なことをしておいて、何を言ってるんだよ」

「それもそうか」

「・・・だが、俺には・・・」

「ティア殿がいる、だろう?言われなくともわかっている」

 

そう、俺にはティアという一番がいる。その時点で、イズモを特別として見ることはない。

だが、イズモはわかっているという風に頷く。

 

「だが、そうとは限らないと思うぞ?」

「あ?それはどういう・・・もしかして、ハジメか?」

「あぁ、そうだ」

 

たしかに、ハジメはユエという“特別”がいて、それを理由にシアや香織の告白を断っている。

だが、それでもシアたちを“大切”という枠で見ており、シアに限ればハウリア族の手助けをするなど、シアにかなり心を許している。それこそ、“特別”とはいかなくとも、ユエと同じくらいの想いで。

とすれば、

 

「シア殿がハジメ殿に受け入れられれば、私にもツルギ殿に受け入れてもらう余地があるとは思わないか?」

「・・・まぁ、まったくないとは言わないが」

 

さすがに俺たちの間柄で「よそはよそ、うちはうち」と言うわけにもいかない。

とはいえ、だ。

 

「だからと言って、必ずしも俺が受け入れるとは限らんと思うぞ?」

「ふふ、何を勘違いしている」

 

するとイズモは、妖艶な笑みを浮かべて、

 

 

 

 

 

「私は、ツルギ殿に受け入れてもらうまで続けるぞ?」

 

 

 

 

 

自然な動きで近づき、俺の唇に触れるかどうかというところにキスを落とした。

 

 

 

「え、ちょ、おま・・・」

「では、また後でな」

 

俺は突然のことに狼狽するが、ちょうど曲が終わったということもあってサッと離れてしまった。

行き先は会場の隅の方だ。どうやら、本番に備えてという名目で移動したらしい。

どう反応すればいいかわからない俺は、ガシガシと頭を掻く。

すると、

 

「ツルギ?」

「み、峯坂君・・・」

 

後ろから声をかけられて振り返れば、そこには絶賛ジト目のティアと顔を真っ赤にして顔を覆っている八重樫がいた。

 

「さっき、イズモに何をされていたの?なんか、キスしていたように見えたのだけど」

「み、峯坂君、そんな、人前であんな・・・」

 

ティアはさっきのイズモのキスで冷え切った声を出し、八重樫はその事実に羞恥が振り切れているようだ。

 

「いや、俺も不意打ちでされただけなんだが。ていうか、八重樫はハジメの方に行かなくていいのか?あいつ、まがりなりにも人妻に手を出したわけだが」

「そっちは香織たちがいるからいいのよ」

 

つまり親友任せということか。投げやりになっているのか、信頼から為せることなのか。

 

「それより、リリィはよく南雲君の魔力だってわかったわね。峯坂君と似た色なのに」

「まぁ、俺の紅はハジメよりも薄いからな。案外、わかりやすいんだろ」

 

俺の魔力は淡紅色で、ハジメの鮮烈な紅よりも薄い。パッと見はわかりづらいかもしれないが、一度比べればすぐにわかる。というより、俺の魔力光にはなにか別の色が混ざっているように見えなくもないが・・・気にすることでもないだろう。

 

『HQ、こちらズールー。Zポイント制圧完了』

『隊へ通達。こちらHQ、全ての配置が完了した。カウントダウンを開始します』

 

そこに、ハウリア族から準備完了の通信が入った。

となると、そろそろか。

 

「よし。俺たちも本番のために移動するぞ」

「あぁ、いよいよなのね・・・」

「大丈夫よね」

 

俺の言葉に八重樫は沈痛な面持ちになり、ティアはハウリア族の、ひいては帝国の亜人奴隷の行く末を案じた。

 

「さぁな。だが、事を成すのはハウリア族だ。俺たちの出る幕じゃない。ここは、見物でもするさ」

 

ハウリア族の覚悟は見た。なら、後は見守るだけだ。

そこに、ちょうどガハルドが壇上に上がり、スピーチを始めた。

 

「さて、まずは、リリアーナ姫の我が国訪問と息子との正式な婚約を祝うパーティーに集まってもらったことを感謝させてもらおう。色々とサプライズがあって実に面白い催しとなった」

 

そう言って、ガハルドは俺たちの方に意味ありげな視線を向けた。どうやら、少なくともバイアスの件は俺たちによるものだとわかっているらしい。本命の方に気づいているかはわからないが。

同時に、俺たちの念話石にも決然とした声が響いた。

 

『全隊へ。こちらアルファワン。これより我等は、数百年に及ぶ迫害に終止符を打ち、この世界の歴史に名を刻む。恐怖の代名詞となる名だ。この場所は運命の交差点。地獄へ落ちるか未来へ進むか、全てはこの一戦にかかっている。遠慮容赦は一切無用。さぁ、最弱の爪牙がどれほどのものか見せてやろう』

『10,9,8・・・』

『ボス、兄貴。この戦場に導いてくださったこと、感謝します』

 

俺たちとハウリア族にしか聞こえないカウントダウンに、帝国の貴族は気づかない。

そして、皇帝であるガハルドとハウリア族族長であるカムの声が重なる。

 

「パーティーはまだまだ始まったばかりだ。今宵は、大いに食べ、大いに飲み、大いに踊って心ゆくまで楽しんでくれ。それが、息子と義理の娘の門出に対する何よりの祝福となる。さぁ、杯を掲げろ!」

 

『気合を入れろ!ゆくぞ!!』

『『『『『『おうっ!!!』』』』』』

『4,3,2,1・・・』

 

そして、ついにカウントダウンが、

 

「この婚姻により人間族の結束はより強固となった!恐れるものなど何もない!我ら、人間族に栄光あれ!」

「「「「「栄光あれ!!」」」」」

 

『ゼロ。ご武運を』

 

ゼロになった。

その瞬間、会場の明かりがすべて消えた。




「もぐもぐ。やっぱりおいしいわね」
「・・・ティア、よくそんなに食べれるわね」
「そう?これくらい普通だと思うのだけど」
「いや、普通じゃないわよ。ていうか、どうしてそれだけ食べて体形を維持できるのよ」
「それは、食後はよくツルギと一緒に運動するから・・・」
「峯坂君、あなた・・・」
「ちげぇよ、俺をそういう目で見ないでくれ。単純に鍛錬しているだけだ」
「そうね、ツルギったらあんなに激しく・・・」
「まさか、夜の鍛錬なの!?」
「だから違うっての!ティアも、余計なことを言わないでくれ!」

*注:本当にちゃんとした手合わせです。決して運動(意味深)ではありません。


~~~~~~~~~~~


イズモをさらに大胆にさせてみました。
こういうさりげない告白って、これはこれで味があっていいなと個人的に思いますね。

さて、次回はハウリア族が暴れまくる回ですが・・・どう書こうかちょっと迷っています。
というのも、今作ではハウリア族にあまりテコ入れしていないんですよね。
するなら義妹結社だと決めているので。
なので、内容を飛ばし飛ばしにして1話で軽く終わらせようと考えてはいるのですが、内容を整理するためにも少し投稿に間を空けるかもしれません。

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