二人の魔王の異世界無双記   作:リョウ77

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亜人族、運送中

翌日、ガハルドは誓約を遵守するためにもさっそく国民に“全亜人族の解放と今後の奴隷化の禁止”の勅命を出した。

この突然の強権の発動に、当然国民は少なからず反発した。

ちなみに、パーティーにいなかった帝国貴族にも反発する者は大勢いたが、そっちはあらかじめ黙らせておいた。簡単に言えば、念のために残っていたハウリア族によって一人見せしめに殺した。これで素直になったのだから、聞き分けが良くて助かった。

そして、帝城に詰め寄った国民には、こちらででっち上げた説明をした。

すなわち、“この亜人族に対する対応は、エヒトによる神託である”と。

幸い、こちらには神の使徒の身体をもった香織と、トータスの勇者様(笑)である天之河がいる。

この2人と一緒にガハルドが声たかだかに宣言し、神々しさMaxの香織と天之河を全面に押し出すことで、国民には納得してもらった。こちらも幸い反発の声はなく、むしろ歓声すら上がった。

この台本は、ハジメが原案を考え、俺が確認してすり合わせ・推敲した。

この誓約はあくまでガハルドら皇帝一族に課したものであり、国民はその限りではない。だが、その国民が言うことを聞かなければ、たちまち一族は滅亡する。

それに頭を抱えたガハルドに、ハジメがさわやかな笑顔で告げた。

 

「困ったときは神様を利用すればいいだろ?」

 

と。

ということで、ハジメが大雑把な台本を作り、俺が確認してガハルドに渡した。

この時に、香織に銀羽を国民にばらまいた。国民はありがたや~と銀羽を持って拝んでいるが、実はこの銀羽が俺たちの気持ち1つですべてを分解する凶器になると説明したらどうなるか。ハジメは嫌らしい笑みを浮かべて想像したが、俺は考えたくすらなかった。

また、国民を心地よくして一種のトランス状態にするための魂魄魔法と亜人族の奴隷を癒すための回復魔法の波紋も放っているので、少なくとも帝都にはこれ以上反発する輩はいないだろう。

亜人族の奴隷も帝国兵によって回収され、次々と奴隷の首輪を外していく。

 

「クソガキと言ったのは撤回する。お前らは・・・悪魔だ!」

 

この言葉は、それを眺めているときのガハルドによるものだ。

ハジメはともかく、俺まで悪魔呼ばわりとは、ちょっと不本意だな。それに、天之河や八重樫たちはともかく、ユエやティアたちですらたしかにとうなずいているのだから、はなはだ遺憾だ。

まぁ、そんなこともあって、俺たちはフェルニルに取り付けた巨大なゴンドラに亜人族を乗せ、フェアベルゲンへと出発した。

 

 

* * *

 

 

俺たちは今、フェアベルゲンに向けてフェルニルを飛ばしている。

一応、フェアベルゲンに行くだけならゲートがあるのだが、演出のためにあえてこっちにした。これの方が、神の使徒によるものだと実感させやすい。

そして、俺とハジメはフェルニルのブリッジにいる。ハジメはユエとシア、香織を傍に侍らせてふんぞり返りながら、俺はティアに膝枕されつつ子キツネイズモを腹の上にのっけて撫でながら。

傍から見れば、たしかに喧嘩を売っていると思われるかもしれないが、俺たちはいたって真剣だ。

さすがに数千の亜人族を乗せた状態での飛行は負担が半端なかった。一応、ハジメは飛行や方向転換といった大雑把な操作を、俺は姿勢制御や衝撃緩和のような細かい作業を分担しているのだが、それでもかなりキツイ。

とはいえ、これは魔力操作のいい鍛錬にもなるから、やめはしない。

ユエやティアも、そんな俺たちのために傍にいてくれているのだから、できた恋人だ。

そう思っていたら、ブリッジの扉が開いて人が入ってきた。

 

「おいおい。皇帝を前にずいぶんな態度だな」

 

入ってきたのは、ガハルドだ。後ろには姫さんや八重樫たちもいる。

なぜガハルドが乗っているのかと言えば、フェアベルゲンで誓約を復唱するためだ。

今回の戦争は、“フェアベルゲンと帝国”ではなく、あくまで“ハウリア族と帝国”の戦いだ。だからこそ、カムはフェアベルゲンの最高意思決定機関である長老衆にも皇帝として誓約を宣誓するように要求した。そのために、俺たちと一緒にフェルニルに搭乗することになった。姫さんが乗っているのも、それを見届けるためだ。

ちなみに、先ほどまでティアの案内で艦内を探検していたのだが、そのティオはハジメにル〇ンダイブを決行したことで迎撃され、恍惚の表情でピクピクと痙攣している。

ガハルドの怒りと呆れ半々の言葉には、俺が呆れ100%の言葉で返した。

 

「今更、敬意をはらうほどでもないだろ」

「このっ、てめぇ・・・」

「ったく、やり返された程度であんなに喚くとか、期待外れもいいところだったぞ」

「んだと?なら、てめぇはもっとうまく立ち回れたとでもいうのか?」

「帝国に入ってこの状況を予測した時点で、パッと5つほど思い浮かんでいる。まぁ、弱肉強食とか豪語しときながら無様に喰われた間抜けに言ったりはしないけどな」

「・・・化け物め」

 

ちなみに、その1つはさっさとカムたちを殺すことだ。

今回の件、ガハルドはおそらく、ハウリア族を捕まえて尋問している段階で、すでに常識の埒外の存在が手を貸しているということに薄々勘づいていた。その上で、今さらその存在が関わると考えず、強者への興味を優先してわざわざ生かして尋問した。その結果、まんまと逃げられたわけだ。そして、兎人族狩りの情報を持ち出され、戦争にまで発展した。さらに、俺たちと会談した時点で確実に俺たちとハウリア族のつながりに気づいていたのに、今回の事件の可能性を度外視し、あらかじめ決めていた以上の対策を取らなかった。いや、気づいていた可能性も0ではないかもしれないが、自分なら問題ないと割り切っていたのかもしれない。

ガハルドの敗因は、自分の強さを疑わずに慢心した結果だ。俺からすれば、半端もいいところだが。

そこに、これ以上は無駄話だと思ったのか、ハジメがガハルドに声をかけた。

 

「で?探検はもう終わったのか?」

「おう、とんでもないな。なぜ、こんな金属の塊が飛ぶのかさっぱりわからん。だが、最高に面白いな!おい、南雲ハジメ。俺用に1機用意してくれ。言い値を払うぞ」

 

どうやらガハルドはフェルニルを相当気に入ったらしく、子供っぽく目を好奇心でキラキラさせながら空いているベンチに座った。

八重樫と姫さんがさりげなくガハルドから離れた俺たち側の場所に座ったのだが、それにも気づいていない様子だ。

対するハジメは、どこまでもめんどくさそうに答える。

 

「金なんかいらねぇての。諦めろ。乗るのは今回限りだろうからな。せいぜい今の内に堪能しとけ」

「そういうなよ。な?1機だけ、小さいのでいいんだ」

「うっとうしいな。ハジメがやらねぇって言ってんだからさっさと諦めろ」

 

いい年したおっさんが駄々をこねるとか、見たくもない。

もちろん、俺もハジメを説得する気はない。

 

「なら、金がダメなら女だ!娘の1人にちょうどいい年の奴がいる。ちょっと気位は高いが見た目は上玉だぞ。お前のハーレムに加えてやるから、な?いいだろう?」

「・・・雷龍、する?」

「ぶっ潰しますよ?」

「ふざけてるのかな?かな?」

「ダメ!絶対ダメですよ!私を差し置いて!」

 

今度は女を引き合いに出してきたが、それはハジメが拒否する前にユエたちが速攻で拒絶した。というか、視線に若干殺気がこもっているような気もするが。

 

「・・・そういうことだ」

「ちっ、なら・・・」

 

舌打ちしたガハルドは、今度は俺に視線を向けてきたが、

 

『「・・・」』

 

そこにティアとイズモの絶対零度の視線がガハルドに突き刺さる。

 

「だから、さっさと諦めろって言ったろ」

「くそっ、見せつけやがって・・・ん?今、雫も睨まなかったか?」

 

言われてみれば、八重樫もどことなくジト目に近かった気がする。

だが、当の本人はと言えば、

 

「えっ?わ、私が陛下を?え、本当に?」

 

まったく自覚がないようだった。

まぁ、あったらあったで俺も反応に困るからいいけど。

とりあえず、この路線で話を続けられるのもいやだから、ハジメに話題を振る。いや、正しくは姫さんにだけど。

 

「つーか、それを言ったらハジメには姫さんも反応してたよな?」

「へっ?い、いやですわ。聞き間違いではないですか?」

 

本人は否定しているが、うろたえ方からして黒だ。

ガハルドも、それを見て意地の悪い笑みを浮かべて話しかける。

 

「クックック。そう言えば、パーティーでもバイアスそっちのけで南雲ハジメと嬉しそうに踊っていたなぁ」

「なんていうか、相変わらずの手の速さだな」

 

愛ちゃん先生のことといい、気づけば身近な女を落としている。こいつ、前はこんなキャラじゃなかったはずなのにな。

 

「にゃにゃにゃにゃにを言っているのですか!わ、私と南雲さんは断じてそんな関係ではっ!そ、そうですよね?ね?南雲さん!」

「あ?あ~、天地がひっくり返っても有り得ねぇよ」

「・・・そこまで言わなくても・・・」

 

姫さんは顔を真っ赤にして否定するが、ハジメのはっきりした物言いにへこんでいるあたり、満更でもなさそうだ。そもそも、姫さんの態度はハジメとのダンスを見ていればわかるだろう。見ていない俺でもわかっていたし。

そして、どこまでも容赦のないばっさりとした態度に、姫さんに同情の視線が、ハジメにジト目が向けられた。俺は、どちらかといえば面白がっている感じだ。

 

「・・・なんで俺がそんな目を向けられにゃならないんだ。大体、姫さんは人妻みたいなもんだろうが。婚約者は首チョンパされているが、それでも皇族との婚姻ってのが無くなったわけじゃない。なら結局、他の皇族があてがわれるんだろう?」

 

どうやら、婚約の話があるならどうせ自分とくっつけるわけがないと考えているらしい。

まぁ、ハジメの言い分ももっともではあるが、

 

「それはないと思うぞ、ハジメ」

「あ?どういうことだ?」

「今の帝国は、それどころじゃないだろうからな」

 

ハジメは俺の言っていることがわからないというような感じだったが、それについてはガハルドから説明が入った。

今の帝国は皇帝一族が外したり誓約を破ったら死ぬ首輪を嵌めさせられている状態で、亜人族の奴隷の禁止や取り締まり体制の抜本的な改革、確実に執行される厳罰の体制、帝都以外の奴隷の解放などなど、てんてこ舞いの状態だ。

そんな状態で、いつ死ぬかもわからない王族に一国の姫を嫁がせたくないと言われれば、帝国としても引き下がるしかない。

しかも、亜人族の奴隷がいなくなることで帝国の労働力ががた落ちすることから、むしろ帝国が王国に援助を頼みたいなんて状態だ。

 

「そういうわけだから、姫さんの輿入れは白紙撤回になったってことだ。一応の安全が確認されたら、ランデル殿下が本格的に王位に即位したあたりにガハルドの娘さんを嫁がせる、ってのがベターだろうな」

 

ガハルドの説明を引き継いで結論を述べると、あちこちで「へぇ~」と感嘆の声が挙がった。

ちなみに、この背景には実際に首輪を無理やり外して発狂死した皇族がいるから、というのもある。

これを聞いた天之河は八重樫たちは姫さんに温かな眼差しをむけ、これに姫さんは微妙な表情をした。

べつに、この結婚は姫さんが嫌がったわけでもなく、むしろ国のために必要なことでもあったから、素直に受け取るには微妙な感じなのだろう。とはいえ、婚約パーティー前に暴行しようとした輩だったからか、珍しくガハルドが目の前にいる状況で、目の奥に喜色が見られた。

これにガハルドは思わず苦笑いしたが、すぐに意地悪な笑みを浮かべ、俺も追い打ちを加える。

 

「そういうわけだから、姫さんは今絶賛フリーってことだ」

「もし欲しけりゃ、俺が皇帝の権力をフル活用して協力してやるぞ?」

「なっ!?陛下!峯坂さんも!何を言っているのですか!わ、私はそんな・・・」

 

姫さんは再び動揺するが、ハジメの方はやはりどこまでも呆れた表情だった。

 

「何言ってんだ?そんなの、俺になんのメリットもないだろうが・・・いや、むしろデメリットか?」

「ちょっ、どういう意味ですか、南雲さん!」

「言葉通りだろ。王女の肩書なんて、俺たちからすれば面倒でしかないし」

「峯坂さんも何を言ってるんですか!?」

「おいおい、一国の王女様だぞ?男なら手に入れたいと思うのが普通だろうが」

「あの、お三方?聞いてますか?私の話、聞いてますか!」

「あのなぁ、あんたと俺たちを一緒にするなよ」

「別に、俺たちには女をコレクションする趣味はねえよ」

「はいはいはい、聞いてないんですよね。私の話なんか誰も聞いてないんですよね・・・ぐすっ・・・王女って何なのかしら・・・」

 

合間になにやら姫さんの声が聞こえる気がするが、めんどくさいから無視しておく。ティアやイズモからも呆れた視線を向けられている気がするが、そっちもスルーだ。

ガハルドの方は、どうしてもフェルニルが欲しいのか、グヌヌと唸るが、それでもなお食い下がる。

 

「ぬぅうう、本当に欲しいものはないのか?して欲しいことも?正直に言えよ。人間、いつだって何かを欲しているものだ。何もいらないなんて奴は、人間をやめているか何か企んでいる奴だと相場が決まっている・・・あっ、そう言えばお前ら、化け物だったか」

「おいおい、ずいぶんな言い様だな」

「喧嘩売ってんのか、あんた?・・・まぁ、その言い分は理解できる。だが・・・」

 

別に、ガハルドの言っていることが理解できないわけではない。

だが、俺たちはその限りではない。

 

「俺がホントに欲しいものは既に腕の中にある。“ずっと手放さないためには”ってことに頭が一杯で、〝もっと〟なんて考える余裕はない。きっと、一生な」

「俺たちには、今ある分の幸せで十分すぎるくらいなんだ。だから、さっさと諦めろ」

 

ハジメはユエとシアを抱き寄せながら、俺は寝転がってティアの頭を撫でながら告げる。頭を撫でられているティアは、嬉しそうに微笑みながら目を細めた。ハジメの方も、幸せオーラが振りまかれる。

そう、俺たちに“これ以上”なんて余裕はない。今ある幸せを逃がさないようにするためにもいっぱいいっぱいな状態だ。だったら、俺たちからさらに求めるなんてことは、おそらく一生ない。相手から求められれば別かもしれないが、それは今考えても仕方ないことだ。

 

「あ~、あ~、そうかいそうかい。チッ、口の中が甘ったるくて仕方ねぇ。1人で探検の続きでもしてくるか・・・」

 

そして、ガハルドは俺たちの空気にあてられたのか、舌打ちしながらブリッジから出て行った。

俺はべつにどう思うでもなく、そのまま目を閉じてフェルニルの補助に意識を傾けた。

 

『なぁ、ツルギ殿。私も、その腕の中に含まれているか?』

 

傾けようとしたところで、イズモからそんなことを言われた。

・・・う~ん、帝国のパーティーでイズモにキスされてから、イズモの積極さにさらに磨きがかかった気がする。

とはいえ、俺に断る理由もないから、苦笑しながらもイズモの頭を撫でた。ついでに、狐耳を軽くいじるのも忘れない。

頭を撫でられ、狐耳をいじられたイズモは、気持ちよさそうにしながら尻尾をわさわさと動かす。

その様子を、なにやら八重樫が複雑そうな感じで見ていた。

 

「・・・八重樫、どうかしたか?」

「え?い、いや、何でもないわよ?」

「そうか?それならいいんだが・・・八重樫も撫でるか?」

 

そう言いながら、俺はイズモのキツネ耳を強調した。

これに八重樫は、目に見えて顔を赤くして狼狽する。

 

「べ、べつに私はいいわよ」

「遠慮しなくてもいいんだぞ?ティアから、すでにイズモの尻尾をモフモフしたと聞いてるしな」

「ちょっと、ティア!」

「あの時のシズク、可愛かったわよ?」

『雫殿なら、私の耳を撫でてもいいぞ?』

 

イズモの言葉に、いつかのシアの時のように顔をデレっと相好を崩し、若干よだれを垂らしながらイズモに手を伸ばし、

 

「「叩いて直す!(のじゃ!)」」

 

いざ撫でようとしたところで、近くから香織とティオの声が響いた。

そちらの方を見てみると、なにやら香織とティオが怒気みたいなものを立ち昇らせながらユエに詰め寄っているところた。

 

「・・・やめて。本気でやったら2人が私に勝てるわけないでしょ?」

 

それに対し、ユエは素敵にイラっとさせる台詞を吐き、

 

「「上等だよ!(じゃ!)」」

 

香織とティオもさらにヒートアップ。すでに背後にそれぞれのスタ〇ドが出現しており、戦闘準備はばっちりだ。

 

「ちょっ、ちょっと、3人とも!いきなり喧嘩なんて・・・ていうか、南雲くん!止めなさいよ!」

 

これに八重樫が正気を取り戻し、何とかして止めようとハジメに救援を求めるが、

 

「・・・無理、だるい」

 

気だるい返事が返ってきただけだった。

 

「あ、あなたって人は・・・なら、峯坂君!」

 

これに頭を抱えた八重樫は、今度は俺に助けを求めてきた。

とはいえ、俺の返事は決まっている。

 

「放っておけ。この程度のコミュニケーションは日常茶飯事だ」

「この喧嘩が日常茶飯事なの!?」

 

まだ俺たちと行動して日の浅い八重樫は知らないだろうが、主にユエと香織の喧嘩は俺たちにとって珍しいものでもない。

たしかに、香織が使徒の身体になってから喧嘩の内容がちょっと過激になっているが、ユエは多少分解されたところで“自動再生”ですぐに元に戻るし、頑丈になった香織も“雷龍”されたところでちょっと煤けるくらいだ。それに、けっこう魔力を消費するが、いざというときは再生魔法や魂魄魔法もある。跡形もなく消し飛ぶとかならわからないが、ちょっと死んだくらいなら蘇生できる。まぁ、それはあくまで最終手段だが。

そういうことだから、喧嘩が多少血みどろになったところで、今の俺たちは慌てたりしない。

 

「それよりもだ。他人の心配より、自分の心配をした方がいいぞ?」

「え?」

 

八重樫が首を傾げ、俺にどういうことか聞こうとしてきたが、それよりも早く、八重樫の肩がガッ!された。

犯人は香織だ。

 

「雫ちゃん!前衛お願いね!」

「あれ?いつの間にか巻き込まれてる!?」

 

こうして、ごく自然に八重樫の参戦が決まった。

視線を移せば、ティオが谷口と姫さんも捕まえていた。

姫さんは侍女であるヘリーナに、谷口は天之河と坂上に救援を求められたが、どちらからも見捨てられたようだ。

そして、ユエもシアを誘い、完全にやる気になっていた。

 

「ティアとイズモはどうする?」

「そうね。せっかくだから、シズクと手合わせしたいわ」

『私も、久しぶりにティオ様と戦ってみるとしよう』

「そうか。がんばってこいよ」

 

珍しくティアとイズモも参戦する気になったようで、それぞれ立ち上がってユエ・シアチームに加わった。

そして、ティアたちがブリッジから出てしばらく経つと、なにやら爆音と轟音が響いてきた。おそらく、訓練場で喧嘩が始まったのだろう。

天之河と坂上は体をビクッ!とふるわせたが、

 

「楽しそうだなぁ・・・」

「仲良しなのはいいことだろ」

 

俺たちからでてくるのは、そんな気の抜けた感想だ。

 

「・・・この状況で動じない!?くっ、これがっ、俺と南雲たちとの差かっ」

「いや、なんか違うだろ、それ。冷静になれよ、光輝」

 

横から天之河のずれた感想が聞こえた気がしたが、軽くスルーした。

・・・そういえば、ガハルドは1人で探検に行ったんだっけ?どこに行ったかは知らないけど。




「う~む、何度見ても広いな。いったい、どうやってこれだけのスペースを確保しているんだか・・・ん?なんだ?」
「それじゃあ、始めるよ、ユエ!」
「・・・ん、かかってこいやぁ」
「行くわよ、シズク!」
「あぁ、もう!どうしてこうなったのよ!」
「では、参ります、ティオ様」
「うむ、遠慮はいらんぞ、イズモよ!」
「え?ちょっ、まっ・・・」

ズドーンッ!!

「ギャ~~!!??」

ナチュラルに巻き込まれる皇帝陛下の図。

~~~~~~~~~~~

アニメ3話。なんとかマシになった・・・かな?って感じですね。そして、このペースだとウルの町はあっても香織との再会はなさそうですね。もしそうなら、個人的にはちょっと残念というか。やっぱり、好きなシーンなので。
そして、ユエ様がめっちゃかわいかった。これに関してはいい仕事をしたといわざるを得ない。

ティア膝枕と、子キツネイズモクッション・・・やばい、想像しただけでも歓喜の鳥肌が。
抱き枕というか、抱きクッションなら自分も持っているのですが、それ以上の抱き心地プラス彼女の膝枕なら、金払ってでも望みそう。
あぁ・・・でも自分は動物の毛アレルギーだったか・・・あれ?目から汗が・・・。

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