すっごくマイナーなエロゲーを原作に、再構成して色々やってく。オープニング曲はぜひ聴いて。
やる気が続けばいろいろ行けるかも。
終わりなんて見えてません。
太陽系統一歴元年
Solar system unified history first year
地球の衛星軌道上をひと続きに繋がり取り囲む、リング状の
名前を〈ユグドラシル〉。
北欧神話に記述される、世界を体現する仮想の木。別の名を、〈
かつて世界がそれぞれ主義主張を唱えあい、太陽系を舞台に戦争を繰り広げていた全ての
その中にある太陽系星間連邦議事堂のテラスに、彼は立っていた。
窓から覗く眼下――視界に入る全て、見渡す限りの虚無、星の海が広がっている。
一点を見つめると、煌く星が少しずつズレ、目を追わせることになる。広大というだけでは言葉が足らない、無限の空間に、赤い戦艦が視界の端に入る。航行中の船の眺めていると。
――歓声。
「そうか……、これは俺の……太陽系星間連邦〝初代大統領〟就任を祝う……」
この日は、
テラスの眼下には、広場に集まった数えきれない人々、中に浮かぶホログラムモニター、到るところから、割れんばかりの拍手と喝采が空間を揺らす。
この光景に、彼は目を瞑った。
ここに至るまでの苦難の道のりが、走馬灯のように脳裏に蘇る。
目を開け――って。
(ちょっと待て……)
(いや、そんな訳あるか……だって今は……)
――2013年の4月……。
(都内に住む単なる学生のハズ……だろ……)
そのはずなのに、なぜ大統領?
だったら、これは夢――と、決めつけられない。あまりにも現実味がありすぎるのだ。
そんな思考に軽いめまいを感じ、足元がぐらりと揺れる。それを見た周囲の男達が、彼に慌てて駆け寄ろうとする。
だが、彼は護衛を手で制す。
「……心配ない……ちょっと立ちくらみがしただけだ……」
そういったとき、
そう、彼――太陽系星間連邦初代大統領――だ。
(――ちょっと疲れてるんだ……変なこと考えるのも、そのせいだろう)
そう思いながら、制した手をさげ、彼はテラスの前方へと歩み出た。
――就任スピーチを待ち望んでいる。
持っている全ての思いを、人々に伝えなくてはならない。
統一は果たした。
だが、問題は山積み。
全ての
全ての人々が不自由なく、幸せに、
――暮らす。世界。
そんなの無理だ。心なき人々からそう呆れ、失笑されて一蹴されるのは分かっている。
だが、そんな夢物語でも作ってみせる。絶対に諦めない。たとえ本当に実現できなくとも……。
――笑顔が見たい。
マイクの前にたどり着き、場を一瞥。言葉を発しようとした。
〈――ずっと。守ってみせます!〉
――!
「―aG―!」
乾いた銃声が鳴り響いた。
気付いたときには、左胸に焼けるような痛み。
民衆の歓声は、静寂のあとに悲鳴へ一転し、視界が揺らいだ。
(撃たれた……のか?)
見下ろすと、噴き出す鮮血が傷口を押さえようとした手を真っ赤に染めていた。
急激に失われていく血が、彼の意識を奪っていく。体が倒れ――。
――ることはなく。そっと、抱きとめられる。
――これは、遠い未来に起きる運命の出来事。そしてこれから、あなたが直面する――
――現実。
▷▷▷
ピピピ!
「uruaAああ――!?」
ピピピ!
「……」
うめき声を上げ、起きた。息が荒く、額には汗玉が浮かんでいる。しかし、彼の様子とは無関係と目覚まし時計が口煩く鳴り響いている。
「夢……だったのか?」
頭に手を当て、夢を整理しようとする。
だが、夢とは信じがたい。
あまりにも現実味帯びていた。あの臨場感が夢と思えなかった。あのときの自分の思考は。あのときのあの考えは。あのときの、あのときの、あのときの――痛みは何だった――。
「――んぐっ!?」
胸に痛み。
あの夢と、撃たれた場所と――同じ位置。
直視できない。もし本当に撃たれていたら――。
彼は目を瞑るしかなかった。今までに経験したことのない恐怖。本当に死ぬかもしれない、若者が経験し得ない死への
「――――――――」
だが、いつまで経っても意識がなくなることはない。
「ぁれ……」
違和感を覚え、左胸を押さえる手を眼前に持っていく。なんてことはない、ほんのりと赤みがかっているだけで、いつもと変わらない自分自身の手だ。
「は……ぁ――」
あの夢が現実でなかったことに安堵して肩を落とし、大きく息を吐いた。
「なんだったんだよ……アレ……」
しかし、彼の脳裏に焼き付かせるには十分だった。
だが。
「――――アレ……」
彼は引っかかりを感じた。
「……まも…る…?」
彼――如月カタナは、この記憶が未来を壊したことを、今は知る由もない。
SLAVENIL_To the changing future
未来戦姫スレイプニル_変わる未来へ
)2013年4月
原作では2013年7月
)夢
原作ではヒロインの一人に膝枕され、夢に挟み込まれて見せられていた。
顔にたわわを乗っけられて。
2018.10.11
英語表記の修正