東京喰種ーGhostー   作:マーベルチョコ

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#14 これで心置きなく、ブチ殺せる……!!

現れた荒木、そして後ろからボウガンのような武器を持った波島が現れた。

 

「波島、その坊主を連れて後ろに待機だ」

 

「はい、君こっちに来て」

 

「え、は、はい!」

 

突然のことに頭がついていかない絋輝だが波島の指示に従い、後ろに下がる。

荒木は怒りが篭った目で女狂いを睨みつけるが、女狂いも同様に絋輝を殺すのを邪魔されたからか怒りが篭った目で荒木と波島を睨む。

 

「何しちゃってくれてんのさ。君たちのせいで台無しだ。死んで償えってね」

 

淡々とそう告げながら、破壊された赫子を再生させて荒木に向ける。

荒木は構える訳でもなく、睨みながら口を開く。

 

「12年前に殺した女性捜査官を覚えているか?」

 

「そんなのどうでもいいでしょ?それより僕の邪魔をしたことを……」

 

「答えろ……!」

 

「………」

 

荒木の鬼気迫る様子に女狂いは何を思ったか答えてやることにした。

 

「そんなの覚えてないよ。殺した捜査官の顔なんて………あっ、でも1人だけ印象深いのがいたな。僕の楽しみを邪魔したから、散々犯してから周りに見えるように殺したんだ!あれは傑作だったよ!」

 

楽しそうに話す女狂いに荒木のアタッシュケースを握る力が強くなる。

 

「もういいでしょ?じゃあ死んで」

 

女狂いの赫子が細かく分裂し、四方八方から襲い掛かる。

しかし、荒木が殺される未来は訪れなかった。

荒木に襲い掛かった赫子は一瞬で切り落とされた。

荒木の手には刀身が鱗の様な模様が入った黒い大剣が握られていた。

 

「安心したぜ。お前が情報通りのクソ野郎で……これで心置きなく、ブチ殺せる……!!」

 

クロガネ

type 鱗赫

 

鐵の大剣を携えた荒木はコートを脱ぎ捨て、構える。

コートの下に隠れた鍛え上げた肉体が女狂いを打ち倒さんと隆起し、荒木は女狂いに向かって行った。

 

 

ーーーーー

荒木と女狂いの戦いは苛烈を極めた。

縦横無尽に襲いかかってくる女狂いの赫子に対し、人間離れした反射神経と筋力で全て対応していく荒木。

常人である絋輝には攻防が僅かに目で追えることしかできない。

 

「すげぇ……」

 

「君!ここにいたら危ないから早く出口の方に向かって!もう応援が来てるはずだから!」

 

「え、は、はい!」

 

波島に怒鳴られた絋輝は慌てて、日の光が射す出口に向かって走り出す。

 

「どこに行くんだい!?」

 

それに気づいた女狂いは赫子を絋輝に向ける。

しかし、その赫子に波島の矢が突き刺さり、また爆発を起こす。

 

「っ!?邪魔だなぁっ!!」

 

女狂いは遠方から大型のボウガンで狙い打ってきた波島を睨む。

 

「やらせない!」

 

スサノ

type羽赫

 

「おい、こっち向けよ」

 

その瞬間、女狂いは後ろに跳んだが肩が僅かに斬られた。

 

「こっからだろうが」

 

「どいつもこいつも……!!」

 

剣の切っ先を向けてくる荒木に女狂いは忌々しそうに睨む。

 

 

ーーーーー

絋輝が日の光が射す出口から出ると突然後ろから捕まえられた。

 

「わっ!?何だ!?」

 

「被害者を確保!もう大丈夫だからね」

 

捕まえてきたのは警察官で周りはパトカーや野次馬、それに対応する警察官に埋め尽くされていた。

安全圏まで連れていかれた絋輝は漸く一息をつくことができ、残った荒木と波島が大丈夫なのかと不安になった。

絋輝たちが落ちた場所建設中のビルの中らしく、まだ外側だけの骨組みが出来ているだけでシートが被せられていた。

シート越しに鉄と鉄がぶつかり合う音が響いており、野次馬たちはその音がする度に中で何が起こっているのか、と沸き立っていた。

 

ーーーーー

荒木と波島の連携は徐々に女狂いを追い詰めていた。

基本的な攻撃は近接の荒木が行い、女狂いが大振りの攻撃をしようとすると波島のスサノから援護で邪魔される。

荒木から離れようとすると荒木は絶対に離さないと言わんばかりに近づき、クロガネを振るう。

そのせいで決定打となるもの打てなくて追い込まれていた。

 

(こいつら邪魔だなぁ……!まずは、女の方からだ!)

 

女狂いは標的を荒木から波島に変えた。

後から甚振ってやろうと考えていたが、波島の援護が思った以上に厄介なので仕方なく先に標的にした。

荒木の大剣を大きく弾き返して隙を作って、一気に波島に迫る。

まだ若い女の肉を想像して女狂いは涎を流しながら、爪を突き立てようと腕を構える。

しかし、凶相で迫る女狂いに波島は慌てず、スサノの一撃が重い矢を放つが女狂いは赫子を犠牲にして防ぐ。

それでも波島は慌てることはなく、スサノの銃身を2つに折った。

 

「喰らいなさい」

 

短くなったスサノの砲門から連射の弾丸が放たれ、女狂いを襲う。

咄嗟に赫子で防ぐが止まることなく襲ってくる羽赫の嵐に女狂いは足を止める。

 

「チィッ!!」

 

一発一発の威力は先の重いものと比べると全く大したことないが数が多く浴び続けると不味いのは確かだった。

そして、女狂いは意識を波島に向けすぎていた。

 

「背中がお留守だぜ」

 

女狂いの背中に重い一撃が放たれた。

 

「グアアアァァァァッ!!?」

 

荒木の一撃は女狂いの背中に深い傷をつけた。

女狂いは切り飛ばされた先で蹲り、斬られた背中を抑える。

 

「やりましたね、荒木さん」

 

笑顔を見せる波島に荒木は一切油断することなく蹲る女狂いを見る。

 

「……こっから本番だぞ、気ぃ引き締めろ」

 

そう言った直後、女狂いの傷口から触手状の赫子がミミズの様に細かく溢れ出し、女狂いを覆っていく。

 

「赫者!?」

 

やがて触手は全体を覆っていき、とぐろを巻くように蠢きながらその形を成した。

 

『イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ』

 

壊れたラジオのように繰り返し言葉を話すそれは最早、化け物にしか見えなかった。

 

『ダレェェェ?ボクボクノ邪魔スルスルノォォォォ?』

 

人型の触手の集合体になった赫者、女狂いは触手で覆われた顔部分を荒木たちに向けた。

 

 

ーーーーー

絋輝は救急車で頭の応急処置をされていると続々と白コートを着た人物達が集まり始めた。

 

(捜査官だ)

 

喰種捜査官たちの中で最も年上であろう小太りな人物が他の捜査官に指示を出す。

 

「中で荒木上等と波島二等が戦闘している!これより囲むように中に入り、SSレート『女狂い』を包囲する!それにより4班に分ける!まず……!」

 

リーダーが話を続けようとした瞬間、建物の中から何かがなぎ倒される音が響く。

しかも、一度だけではなく何度もだ。

 

「な、何の音だ?」

 

「何か壊れるような音が……」

 

その時、絋輝の頭に中の構造が思い出された。

 

「全員逃げろ!!」

 

「ちょっ、ちょっと君!落ち着いて……」

 

「今すぐ逃げないと全員死ぬぞ!!」

 

周りに向かって叫ぶ絋輝にリーダーである捜査官が話しかける。

 

「君、何を慌ててるんだ?」

 

「早く野次馬を逃せって!建物が崩れるぞ!!」

 

そう言った瞬間、建物から地響きが鳴り、横に傾いて崩れだした。

 

「退避っー!!」

 

捜査官の命令と悲鳴が次々と出てくるが建物が崩れるのと同時に土煙が巻き起こり、周りを包んでいく。

土煙が収まり、少し晴れてくるとリーダーは即座に指示を出す。

 

「半分は周りの避難を!残りは私と中に入るぞ!!」

 

「中って……もう崩れてる」

 

部下の捜査官が崩れた建物を見て、中にいた2人は助からないだろうと諦めたように呟く。

 

「馬鹿野郎!!まだ荒木さん達が生きてるかもしれないだろうが!!」

 

リーダーはそれでも諦めず、部下に叱咤する。

すると土煙の奥から人影が見えてきた。

 

「攻撃準備!!」

 

リーダーが全員に構えるように指示を出し、相手の出方を見る。

もし女狂いなら、こんな混乱した状況で攻撃してくれば背後の民間人達に危険が及ぶ。

最悪の事態を考え、警戒を怠らない。

やがて煙の奥から現れたのは片手にクロガネを持ち、もう片方で波島を抱えた荒木だった。

 

「よぉお前ら。少し遅かったな」

 

 

ーーーーー

CGGと連携している大きな病院で絋輝は待合室のようなところで待たされていた。

事件の詳しい情報を聞きたいとのことでこの部屋に通された。

 

(何か俺が悪いことしたみたいだな……)

 

当の本人はそんな的外れたことを考えていた。

連日衝撃な事が起きすぎて、絋輝が考えるのを疲れたのもある。

しかし、ふとした時に自分の死、そして今回死んでしまった水戸を思い出すと気分が悪くなる。

 

「うっ……」

 

少し吐き気を催し、胸を押さえていると外が少し騒がしくなった。

すると扉が乱暴に開けられ、そこには包帯や絆創膏を貼った荒木が立っており、その後ろにはアワアワと慌てている捜査官が立っていた。

 

「お前らなぁ、この坊主は犯人じゃねえだろうが。こんな所に入れやがってよぉ」

 

「い、いえ、しかし重要な参考人なので……」

 

「おら坊主、こっから出るぞ。親御さん達がもうすぐ来る」

 

「え……?」

 

そのまま周りの捜査官を押し切り、部屋から引っ張り出された絋輝は荒木に連れられ自販機で飲み物を奢ってもらっていた。

 

「ほらよ、ジュース」

 

「あ、ありがとう……ございます」

 

絋輝は貰ったジュースには手をつけず、荒木は缶コーヒーを一口飲んでから口を開いた。

 

「すまなかった。俺らがもっと早く奴の居場所を掴んでいたらこんな事にはならなかった……」

 

「あっ、いえ……そんな、助けてもらっただけでも……」

 

荒木は心の底から絋輝に謝った。

救えた命があったのにも関わらず、それを散らせてしまった。

そして、これからする質問に対しての謝罪でもあった。

 

「それで聞きたい事があるんだわ」

 

「……何ですか?」

 

「何で女狂いはお前を狙ったんだ?」

 

その一言に絋輝の心音は跳ね上がった。

 

「おかしいんだよ。今回の彼奴の狙いは……。女狂いはその名前の通り『女』を狂ったように狙う。特別視してるんだろうなぁ。だけど今回はその特別な女をサッサと殺してお前を狙ってた。………お前と女狂いに何があったんだ?」

 

荒木の的確な質問に絋輝は手の震えが止まらなかった。

もし下手なことを言えば自分が亜人のことも董香たちあんていくのことがバレてしまう可能性がある。

背中の冷や汗が止まらず、焦りだけが出てくる。

 

「どうなんだ?」

 

「………」

 

口の中が異常に乾く、何かを話さなきゃと口を動かした、その時……

 

「荒木さん!」

 

「ん?おう出河か、ちょっと今邪魔すんな」

 

声をかけてきたのは現場で指揮を取っていた捜査官だった。

 

「いや、その子の親御さんが来たんですけど……」

 

「そんなの後にしとけよ……!」

 

荒木が鬱陶しそうな表情で言うが出河が気まずそうな表情をする。

 

「いや、そうもいかなくて……」

 

「はあ?」

 

出河の後ろから2人の男女が現れる。

絋輝の父、篠原と母だった。

 

「絋輝っ!!」

 

「ああ、絋輝!よかったぁっ!!」

 

「父さん、母さん……」

 

篠原と母は絋輝に駆け寄り、抱きしめた。

2人の温もりでさっきまで緊張がほぐれてくる。

 

「先輩!?」

 

「ん?荒木か?」

 

荒木の素っ頓狂な声が病院に響いた。

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