東京喰種ーGhostー   作:マーベルチョコ

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#15 俺は生きてるし、ここにいるから

現れた篠原に荒木は驚きの表情を浮かべた直後、背筋を伸ばして頭を下げた。

 

「お久しぶりです。篠原先輩」

 

「荒木か、久しぶりだな」

 

驚いたのは篠原もだった。

 

(どういう関係なんだ……?)

 

「息子を守ってくれたのはお前だったのか、ありがとう」

 

「あー……いえ……」

 

篠原の感謝の言葉に荒木は少し気まずそうにする。

すると出河が篠原達に話しかける。

 

「息子さんには事件の詳細をお聞きしたく、これから時間を頂いても……」

 

「いや、今日はもう帰ってもらった方がいいだろう。疲れてるだろうしな。なぁ?」

 

荒木は絋輝を見てそう言うが、絋輝は緊張した気持ちで荒木を見る。

油断ならない男だとこの時思った。

荒木の提案により篠原一家は帰って行ったが、その姿を荒木はまじまじと見ていた。

するとそこに車椅子に乗った波島が押されてやって来た。

 

「荒木さん。お待たせしました」

 

「おう。容態はどうだ?」

 

「足を強く掴まれて、捻挫みたいになってました」

 

「いつになったら歩ける?」

 

「え?1週間は安静にと言われましたが……」

 

荒木の言っている意味がわからない波島は呆けた表情で質問に答える。

 

「1週間後から篠原 絋輝を見張れ。家での様子、学校での様子、全部だ」

 

「彼は被害者ですよ?見張る必要なんて……」

 

「だからだ。アイツは襲われる理由があったんだ。それを知る必要があるんだよ」

 

荒木は鋭い眼光で去っていく絋輝を見ていた。

 

 

ーーーーー

家に帰った絋輝は両親に心配した、無事で安心したと抱きしめて無事を祝ってくれた。

その日は色々とあり、死ぬように意識が落ちて眠りにつこうとするが、その時女狂いの言葉を思い出した。

 

『これから君の大切な人たちをこうして殺していくよ。友人、家族、そして喰種の彼女とかね』

 

その言葉を思い出し、絋輝はベッドから跳ね起き焦燥に駆られた。

あのイカれた男なら言ったことをやるかもしれない、そう思うと寝ることなんてできなかった。

一晩中部屋をウロウロと動き回り、どうするべきか、何をするべきかと考える。

 

日が登り始めた頃、ある事を心に決め、ある人物にメールを送った。

翌日絋輝は篠原に連れられて、1区に存在するCGG本部にやって来て、事件の詳細を聞かれた。

 

「あの質問いいですか?」

 

担当の女性に絋輝は気になったことを質問した。

 

「どうぞ」

 

「俺を襲った喰種どうなりました?」

 

「あー……勿論!荒木上等と波島二等が駆逐しましたよ!」

 

少し考える素振りを見せた女性は元気に絋輝の質問に答え、絋輝はそれに黙って頷いた。

事情聴取が終わり、部屋から出ると待っていたはずの篠原は居なかった。

辺りを見渡していると声を掛けられる。

 

「よぉ、坊主」

 

「あっ、あん時の……」

 

「荒木だ。あの時の話の続きをしよう」

 

声を掛けたのは荒木で、本部内にあるカフェテリアに連れられた。

荒木は絋輝の前にジュースを置き、前に座った。

 

「ジュースでいいか?」

 

「何も言ってませんけど……あの、あの喰種どうなりました?駆逐されたって言ってましたけど、嘘ですよね」

 

「……あぁ、嘘だな。安心させるためにああは言っているが実際はギリギリで逃げられた。クソが……!」

 

荒木は悔しげに呟く。

赫者化した女狂いに荒木達は傷を負いながらも後一歩のところまで追い込んだ。

しかし、女狂いは最後に触手状の赫子を束ねた極太の赫子を振り回して建物の支柱を破壊して、倒壊のドサクサに紛れて地面に穴を掘り逃げた。

 

「それでお前が狙われている件についてなんだが?」

 

荒木は絋輝を見つめながら質問する。

絋輝は緊張を隠しながら、昨夜考えた嘘を答えた。

 

「もしかして何ですけど、前にあの喰種に会った事があるかもしれません」

 

「前にあった?」

 

「はい、すれ違ったの方が正しいかもしれませんけど、その時口元に血が付いてたかも?」

 

絋輝の答えに荒木はそれで狙われる可能性もあるか?と考える。

女狂いは食事と情事を邪魔されるのが酷く嫌う。

余韻に浸っていたところを偶々すれ違った絋輝を狙ったのかもしれないと考えた。

もう少し話を聞こうと質問しようとするとそこに篠原と真戸がやってきた。

 

「おい荒木。人の息子を勝手に連れ出さないでくれ」

 

「篠原さん。スンマセン、ちょっと個人的に話を聞きたかったんで」

 

「荒木君は仕事熱心だねぇ。今回は災難だったね、絋輝君」

 

「真戸おじさん!」

 

真戸が来たことに絋輝は驚く。

その後、大人達は昔話に花を咲かせ、篠原が2人にお礼に食事に来てくれと言って別れた。

その時も荒木は絋輝に疑心の目を向けていた。

 

 

ーーーーー

更に翌日の放課後、絋輝は董香と共にあんていくに向かいながら女狂いに襲われたことを話した。

 

「またあのキチ野郎に襲われた!?」

 

「キチ野郎って……言葉汚いな」

 

「ちょっと大丈夫なの!?」

 

董香は心配した顔で絋輝の体をあっちこっちを触り、無事かどうかを確かめる。

 

「大丈夫だって、ちょっと打ち身と頭を切っただけだから」

 

「だって……」

 

絋輝が心配するなと言っても不安そうな顔をする董香に絋輝は董香の手を優しく掴んで安心させる。

 

「俺は生きてるし、ここにいるから」

 

「……うん」

 

絋輝の温もりを感じて董香は少し頬を紅く染めて安心した表情をする。

2人は手を繋いだままあんていくに向かう。

 

「今日は店長にそのことを報告するの?」

 

「まぁ、それもあるけどある人に会うため」

 

絋輝の言葉に董香は首を傾けたが、その時の絋輝の覚悟を決めた目に少し胸がときめいた。

董香が少し胸がときめかせながらあんていくに着いた絋輝は奥の休憩室に通され、芳村に女狂いに襲われたことを報告した。

 

「そうか……それは災難だったね。すまなかった、まさか女狂いがこんなにも早く動くとは思わなくて、対策が取れなかった」

 

「いえ、俺も何もできずに水戸さんを死なせてしまいました」

 

絋輝は拳をキツく握り締め、悔しそうにする。

董香は絋輝のその様子に少し心配そうにする。

 

「だからここに来ました」

 

「どういうことだい?」

 

絋輝の言葉に芳村は意味が分からず、質問すると絋輝は覚悟を決めた表情で答えた。

 

「俺は強くなりたい」

 

 

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