東京喰種ーGhostー   作:マーベルチョコ

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#17 ほらほら、応援してあげるから頑張るんだよ

絋輝が家に帰ると玄関に見知らぬ靴が1つ置いてあった。

客が来てるのかと思い、リビングに行くとそこには荒木が座っていた。

 

「よぉ、坊主。久しぶりだな、怪我の具合はどうだ?」

 

「なんで……」

 

驚きのあまり目を見開く絋輝に料理を持った母親が声をかけてきた。

 

「お帰り、早く手を洗ってきなさい。もうすぐご飯よ」

 

「あっ、ただいま。何で荒木さんが……」

 

「なんでって父さんが食事に誘ったからでしょ?貴方を助けてくれたお礼も兼ねてるんだから、早くしなさい」

 

母親にそう促されるまま絋輝は準備をし、テーブルに着いた。

その時も荒木は鋭い目を絋輝に向けていたが、本人は気づかなかった。

 

「荒木さん。改めて助けてくれてありがとうございました」

 

「未来ある子供を守るのは当然の義務だ」

 

表情をすぐに戻し、笑みを浮かべてそう言った。

 

「何カッコつけてんだ。この不良捜査官!」

 

既に酒が入っている篠原はほろ酔い気分なのか、少し顔を赤らめた状態で荒木のグラスにビールを注ぐ。

 

「ふりょうそうさかんってなにー?」

 

一番下の妹が絋輝に聞いてくるが、一応助けてくれた恩人に失礼なことも言えず、困った顔になる。

 

「こいつはな。新米捜査官の頃こら素行が悪くてな!よく上司と喧嘩したのを止めたもんだ!」

 

篠原は始終上機嫌で荒木の肩をバシッバシッと叩きながら話した。

 

「勘弁してくださいよ先輩。その頃の話は……」

 

「実際そうだったろ?そのおかげで嫁さん貰えたんだからな」

 

それを言われた荒木は少し悲しそうな表情になり、それに気づいた篠原は気まずそうに謝った。

 

「すまん……酔いすぎたな」

 

2人の様子に下の子供たちは何が起こったか分からず、首を傾けるが絋輝は2人の会話と女狂いに襲われた時に荒木が質問したことを思い出し、女狂いとの因縁があるとわかった。

篠原は悪くなった空気を変えようと話を変える。

 

「そう言えば息子さんはどうした?今は1区にあるCGGの特別スクールに通っているんだろう?」

 

「仁志ですか。嫁に似て優秀ですよ。誇らしいです」

 

その時見せた荒木の表情は穏やかなもので、息子のことを大切に思っているのがわかった。

 

「そっちの新米捜査官はどうなんですか?」

 

「これが中々癖のある奴でね。骨が折れるよ」

 

 

ーーーーー

翌日、荒木は独自の調査資料をまとめていた。

そこに足に包帯を巻いた波島がやってきた。

 

「荒木さん、準備できました。……あの本当にやるんですか?相手はただの学生ですよ?」

 

波島は不安そうに質問するが荒木は資料から目を離さず、答える。

 

「上司の命令は聞いとけ。篠原 絋輝の交友関係、行動を全部調べろ。何かあるはずだ。喰種じゃないことは昨日確認した。後は周りだ」

 

「昨日って…わざわざ家に上がって確認したんですか!?非常識ですよ!」

 

篠原家に食事に行ったことは波島も知っているがわざわざそれを確認するために行ったとは思いもしなかった。

波島が非難するが荒木は気にした様子もない。

その様子を見て、波島はしょうがないと言った風にため息を吐いた。

 

「一応調べますけど、多分何も出ないと思いますよ?捜査官の息子が喰種と関係があるなんてありえません」

 

「そうかい……」

 

波島にそう言われても荒木は絋輝の写真を見つめていた。

 

 

ーーーーー

下水道には血の匂いが充満しており、何かが引きずる音が聞こえていた。

音の発生源は傷だらけの女狂いだった。

撃退された時から日にちは経っているが今だに赫者の状態は半ば残った状態であり、体からボトボトと赫子を落としながら下水をウロついていた。

 

『ニク……ニク……ニクぅぅぅ………」

 

様々な傷が目立つが赫子が再生しようと蠢いている。

しかし、それでも治りが遅く苦しそうにしている。

このままでは絶命するのは目に見えていた。

何かにつまずき、下水の中に倒れた女狂いは仰向けになり、空気を吸い込む。

徐々に呼吸が浅くなり意識が朧げになるなか、足音が聞こえてきた。

 

「うわーコリャ酷いね!下水と血の匂いで鼻が曲がりそうだよ」

 

その場には場違いな能天気な声が響き、女狂いは誰かが来たことに気づいた。

 

『ニク……肉っ!!」

 

女狂いは最早血肉になるなら何でもいいと赫子を伸ばす。

最後の一撃だと言わんばかりの触手赫子の束はその人物に伸びるが赫子はズタズタに切り落とされた。

最後の力を振り絞った女狂いは倒れると、その人物は近づく。

 

「ほらほら、応援してあげるから頑張るんだよ」

 

そう言ってその人物は懐から血の入った瓶を取り出し、女狂いの口にその血を流した。

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