東京喰種ーGhostー   作:マーベルチョコ

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#40 解体ショーってそういうことかよ

絋輝は自室で吉桐と芳村の話を思い返しながら、董香とどう話すのか考えていた。

いくら考えても出てこない答えに嫌になり、ぶっつけ本番だと思い、とりあえず董香を呼び出すことに決め、あんていくのすぐ近くにある公園に呼び出すことに決めた。

 

 

ーーーーー

絋輝と連絡が取れなくなり、憂鬱な気分でベットに蹲っていた。

そんな時に着信音が鳴り響き、気怠けに明るくなった画面を見ると絋輝の名前が表示されていた。

それに気づき、ベットから跳ね起き画面を表示すると先日の謝罪と話したいことがあるため今すぐあんていく近くの公園で話したい、との内容だった。

董香はそれを読むと急いで準備を始めた。

その顔には何を話すのか、という不安と久しぶりに会えると少し嬉しさを滲ませていた。

 

 

ーーーーー

絋輝は日が落ち、暗がりが広がる空を眺めながら公園で董香を待っていた。

まだ何を話すべきなのか頭の中でぐるぐると考えがまとまらなかったが、それでも董香と話し合わないといけないと思った。

決心して董香が着くのを待っていると公園の入口に人の気配を感じ、顔をそちらに向けると1人のメイドが立っていた。

 

「メイド?」

 

メイドが暗闇に1人で立っていることに絋輝は呆然としてしまう。

すると絋輝を囲むように1人1人暗闇から現れる。

突然現れたメイド達に戸惑っていると、メイド達の目は赫く輝く。

 

「グー…っ!?」

 

驚く絋輝に背後から口と鼻に布を当てられ、意識が混濁していき、遂には気を失ってしまい、メイド達に黒塗りの高級車に乗せられ連れ去られてしまった。

車が公園から去る丁度にあんていくの制服を着た董香が急いだ様子で到着した。

一瞬去っていく車が気になったがすぐに絋輝を探し始める。

しかし、どこにも姿が見えず不安がよぎった。

 

「まさか……っ!」

 

董香はすぐさまあんていくに戻りながら、ある男に電話をかけた。

 

 

ーーーーー

絋輝は目隠しを付けられ手を縛られた状態で地面に寝かされていた。

 

(何だ?……ここどこだ?何でなにも見えない?)

 

自分の状況が理解できない絋輝は焦り始める。

すると突然声が響いた。

 

『今宵お集まりの皆様、大変長らくお待たせ致しました。これよりショーを開催いたします!』

 

アナウンスの終わりと共にスポットライトが絋輝を照らし出す。

 

『本日のディナーはこちらの少年です!』

 

(は?ディナー?何言って……)

 

訳のわからないアナウンスに絋輝は更に混乱してしまう。

 

『なんとこの少年は喰種の少女と恋仲の関係であり、何度も体を重ねております。よってその肉体は普通の人間とは異なる味がするでしょう!』

 

(何でそのこと知ってるんだよ!?)

 

激しく動揺する絋輝の目隠しが外され、いきなり光が差し込んで目が眩んでしまう。

やがて目が慣れて周りを見渡すと血がこびりついた石の床に円形状に囲まれた広い場所に寝かされていた。

ふと人の気配を感じ、上を見るとその円形の壁の上に仮面を被った身なりのいい人物達が絋輝をまるで品定めするような目で見ていた。

 

「ほぉ、喰種と人間の恋愛か」

 

「最後にはいい声で鳴きそうね」

 

「味に喰種臭さがあってはいかんぞ」

 

「共食いの趣味はないのですが……」

 

(何なんだよ。こいつら……)

 

突然の状況に絋輝は理解が追い付かず、焦りを見せる。

 

『今回この食べ物を用意していただいたのはM r.フィマル氏です』

 

次にスポットライトが照らしたのは高級なスーツを着た男性でアオギリの樹であるエトとタタラに画面越しで面会した人物であるが絋輝は知るはずもない。

 

「あら、フィマル氏が男を出品するなんて珍しい。あの方は女性専門だと思っていましたが」

 

「大方、恋人である喰種は既に確保しているのでしょう。……あの方は女性にしか興味を持てない偏食家ですからな」

 

呆れたように小声で聞こえない程の声で呟く喰種もいる。

仲間という関係でもないが偏食家の力を恐れているようだ。

今日の獲物がどうやって調理されるのか談笑していると会場の入り口からある人物が入り、入り口付近でたむろしていた数名はその人物を見て驚いた。

 

「MM氏!?何故ここに!?」

 

「今日はフィマル氏が主催のショーですよ?」

 

入ってきた人物とはMM氏ことあんていくに警告にきた月山 習だった。

月山と偏食家は殺し合いを始める程の犬猿の仲であるのは喰種専用のレストランに通う喰種にとって周知のことであり、この場に月山が現れるのは考えられないことだった。

 

「いやなに、たまには趣向を変えてみようと思ってね。一種の気分転換さ」

 

そう言う月山に喰種達は頷くしかなかった。

月山は調理場の中央にいる絋輝に目を向ける。

 

(あれが霧島さんの……)

 

かつて殺し合いをした相手の恋人ということもあり多少興味があったのだ。

 

『それでは本日のスクラッパーを紹介します。解体ショーをお楽しみください』

 

解体ショーと聞いて、絋輝は嫌な予感がしてしまう。

鉄の扉から巨体の男がこびり付いた血で汚れた巨大な鉈を持って現れた。

 

「解体ショーってそういうことかよ!」

 

解体ショーとは喰種が人間を喰べるための残虐な殺戮のことだと理解した絋輝は立ち上がろうとして、姿勢を変える。

逃げようとしていることに気づいたスクラッパーは鉈を振り回しながら絋輝に襲いかかる。

 

「グヲヲヲヲヲオォォォ!!」

 

「ぐっ!?」

 

振り下ろされる鉈を絋輝は立ち上がろうとしたが前に転がることで避けたが、すぐさまスクラッパーが横に倒れた絋輝の体を蹴り飛ばす。

 

「グヲ♪」

 

「がはぁっ!?」

 

壁に叩きつけられた絋輝の口から苦しそうに咳が出る。

 

「ごほっ!ごほっ!ぅぅ……」

 

鉈を振り回しながら楽しそうに近づいてくるスクラッパーに絋輝は殺意を覚えた。

 

(楽しそうにしやがって……)

 

絋輝はこの状況を打開しようとゴーストを出そうとするができなかった。

 

(何で……!?体が怠いからか?薬のせい?)

 

ゴーストを出せないことに心当たりは連れ去られる際の薬のせいではないかと焦りながらも考えつく。

近づいてくるスクラッパーに絋輝は逃げようと立ち上がるが薬のせいで足元がフラつく。

その隙にスクラッパーは絋輝に向かって鉈を振るう。

体を屈めて何とか避けたがその時に肩に刃が掠り、浅くない傷ができる。

 

「ぁあっ!」

 

痛みで叫びそうになるのを我慢する絋輝をスクラッパーは面白そうに気味の悪い笑みを浮かべる。

スクラッパーは絋輝の足首を掴むと中央に投げる。

 

「ぐぁっ!」

 

投げられた絋輝は痛みで立ち上がることが出来ず、息を荒くするしかなく、そこにスクラッパーが近づいて鉈を振り上げる。

 

「ト・ド・メ♪」

 

鉈が振り下ろされ、血が床に散る。

そこからスクラッパーは何度も何度も鉈を振り下ろし、絋輝をぐちゃぐちゃにしていく。

やがて原型が僅かに分かる程になるまで切り刻まれてしまった。

 

「何だ。案外あっさり終わったな」

 

「叫びもしないからつまらなかったわ」

 

喰種達はつまらなさそうに呟き、月島も呆気なく死んでしまった絋輝につまらなそうに見た。

 

(呆気なく死んでしまったか……つまらない)

 

踵を返して帰ろうとした時、絋輝の亡骸に変化が起こったことに気づいた。

 

「ん?」

 

絋輝の体から黒い粒子が現れ、絋輝の体を包み込んでいく。

粒子が晴れるとそこには体が元に戻った絋輝の体があった。

 

「何だ……?」

 

「何が起こって……」

 

突然の事態に動揺する喰種達だが、絋輝は目を覚まして立ち上がる。

 

「くそ……また死んだ」

 

死ぬ感覚に慣れない絋輝は気分が悪そうな表情をしていた。

絋輝は周りが静かなことに不思議に思い周りを見渡すと、喰種達は一斉に沸き立った。

 

「亜人だと!?」

 

「本当に存在していたのね!!」

 

「おい!スクラッパー!!早く解体しろ!!早く食べさせろォ!!」

 

全員が仮面越しに目を血走らせ、中には涎を垂らす者もいる程に熱狂している喰種たちを見て、絋輝は恐怖を感じる。

 

「早くここから逃げないと……!」

 

幸い手を縛っていた拘束はスクラッパーに殺された時に一緒に切り刻まれ、自由になったが周りを見ても出口らしきところが見つからない。

 

「グヲヲヲヲヲッ!!!」

 

「チッ!」

 

スクラッパーがまた鉈を振り回して絋輝に迫ろうとした瞬間、スクラッパーの顔と胸にいくつもの赤黒い結晶が突き刺さった。

 

「グヲ……ォ?」

 

スクラッパーは何が起こったかも分からず絶命して倒れ、絋輝も呆然としてしまう。

 

「は?」

 

すると絋輝の目の前にうさぎの仮面を被り、ローブのような上着を着た人物が降り立った。

 

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