東京喰種ーGhostー   作:マーベルチョコ

43 / 59
#42 出来れば痛みを感じたくないんだ

甫はメイド長の攻撃から何とか生き延びていた。

刃物のような鱗赫を伸ばし、甫を追い詰めていく。

 

「チッ!こっちはまだリハビリ中なんだよ!」

 

飛んでくる破片に身を屈めながら、攻撃してくるメイド長に怒鳴る。

腕からは血を流し、足を捻ったのか引きずっている。

なんとか物影に隠れて弾丸の確認をすると残り2発しかなく、窮地に立たされていた。

するとメイド長の足音が聞こえて、息を潜ませる。

 

「早く終わりにしましょう。貴方以外にも獲物がいるのですから、他の者に横取りされてはいけません」

 

探るように辺りを見回すメイド長の背後にガスパイプがある事に気付き、そこを目掛けて発砲するが外してしまい、居場所がバレてしまった。

 

「終わりです」

 

「うっ!?」

 

メイド長は甫の足を串刺しにして、吊り下げる。

 

「貴方が亜人かどうかはわかりませんが、生かしたままにしておきます」

 

吊り下げられた甫は激痛に耐えながら不敵に笑う。

 

「ははっ、亜人は死んでも生き返るけどさ……痛みはそのまま感じるんだよね」

 

突然話し出す甫に不可思議に思うメイド長だが、関係なしに甫は話を続ける。

 

「出来れば痛みを感じたくないんだ」

 

甫は銃をメイド長に向けて発砲するが注意していたメイド長はそれを見切り、頭を少し動かすだけで躱すが背後にあったパイプに命中して煙が辺りに立ち込める。

メイド長は見えなくなってしまった甫を赫子ごしに感じていたが、突然甫を捕まえていた赫子が切り裂かれた。

 

「っ!」

 

赫子を慌てて引き戻し、前を警戒すると煙が晴れ始めて、甫とその傍に佇む人影が見えてくる。

 

「久しぶりにコイツを使う。さぁ、一仕事終わらせよう、『ライオット』」

 

『メンドウ…ダ』

 

灰色だヴェノムより一回り小さいが凶暴そうな顔がヴェノムと良く似ている甫のIBM、『ライオット』が手を巨大な刃物に変形させてメイド長を睨む。

 

 

ーーーーー

月山と対峙する董香と絋輝だが、一番最初に動いたのは董香だった。

勢い良く月山に駆け出し、飛び蹴りをぶつけるが月山は腕で防いだ。

更に董香は連続で蹴りを繰り出すが月山は全て防ぎ、躱しきる。

決定打が入らない董香は大きな回転蹴りを繰り出すが足を掴まれ止められてしまう。

 

「霧島さん……以前より攻撃にキレがないね?食事が悪いのか、っな!」

 

「ぐっ!?」

 

逆に蹴られた董香が絋輝のところまで吹き飛ばされてしまう。

吹き飛ばされた董香を抱き起こして容態を見ていると、月山が絋輝に話しかけてくる。

 

「女性に守られるなんて、大層な身分じゃないかい?篠原君。愛する人が傷ついても君は何もしないのかい?」

 

「……っ」

 

月山はわかりやすく絋輝を挑発し、怒りを覚えた絋輝は月山に向かっていく。

 

「絋輝…!待って……!!」

 

董香は痛むところを抑えながら、絋輝を止めようとするがその手をすり抜けて月山に向かっていく。

月山は近づいてきた絋輝を捕まえようと考えており、まんまとハマった絋輝を見下していた。

近づいてきた絋輝に手を伸ばした瞬間、目の前から絋輝が消え顎に衝撃が走る。

絋輝は月山が動いた瞬間、月山の視界から消えるようにしゃがみ込んでその勢いのまま顎を下から殴った。

月山はすぐに態勢を立て直そうとするが、それより早く絋輝が足を払って転ばせると馬乗りになって殴りつける。

 

「スゴ……あそこまで戦えたんだ」

 

絋輝がそこまで戦えると知らなかった董香は月山を押している姿に驚愕していた。

絋輝はここまでの苛立ちと董香を傷つけられた怒りを月山にぶつけるように殴りまくる。

すると何かを貫く音が聞こえ、腹に違和感を感じた。

 

「あまり調子に乗らないことだ」

 

月山の言葉と共に腹を見ると腹に月山の肩から生える赫子が突き刺さっていた。

 

「ぐ…ぁ……」

 

「人間にしては大した度胸だ。生身で喰種に立ち向かってくるなんてね」

 

月山は立ち上がり、絋輝を持ち上げる。

 

「おっと失礼。君は亜人だったね」

 

苛つく笑顔を浮かべて話す月山に絋輝は持ち上げられたまま顔を蹴るが、それは容易に掴まれる。

 

「亜人と言えど身体能力は人間と同じ。喰種に勝てるはずがない」

 

掴んだ足を強く握りしめて鈍い音と共に足を折る。

 

「ぐぁあああっ!!?」

 

月山は絋輝を壁際に投げ捨てた。

 

「死んだらその怪我は全て治ってしまうから、死なない程度にしておいたよ」

 

「絋輝に手を出すな!」

 

董香が再び殴り掛かるが月山は赫子を払って、董香を近づけさせない。

 

「僕と相性が悪い君で僕に勝てるかな?」

 

「殺ってやろうか?」

 

董香の赫眼が更に深くなり、左肩から赫い霧状の赫子、羽赫が現れる。

 

「あれが董香の……」

 

初めてみる董香の赫子を絋輝は見つめる。

 

「ォラァッ!!」

 

散弾のような羽赫の攻撃が月山を襲うが赫子で防ぐ。

すぐさま董香は追撃していくが全て防がれ、反撃されてしまう。

 

「くそっ……俺も…!」

 

絋輝は痛む体を引きずり2人の戦いに参加しようとする。

ゴーストを出そうとするが僅かに体から粒子が出るだけで、また失敗してしまう。

 

「何で…!出ないんだよ!」

 

徐々に追い詰められていく董香を見て、焦るがやはり出てこない。

 

「俺は董香と生きていくって決めたんだ!辛いことがあっても……!頼むから、出てくれぇっ!!!」

 

絋輝の心から叫びと共に粒子が大量に出る。

徐々に人の形をとっていくがいつものゴーストとは少し形が変わっていた。

ゴーストは本来手足が長い人型の形をしていたが、今回現れたゴーストは体の節々に鋭利な棘が生えた攻撃的な姿となっていた。

 

『ブッコロス』

 

「行け!」

 

突然現れたゴーストに月山は驚いたが、すぐに歓喜の笑みを浮かべる。

 

「それも亜人の力なのかい!?Great!!」

 

新しい力に更なる味の興味を唆られた月山は迎撃しようと赫子を振るう。

赫子はIBMにも有効で攻撃されれば体は削られる。

しかし、絋輝が出した新しいゴーストは月山の赫子と鍔迫り合いを起こし、火花を散らした。

 

「中々……!パワフルだねぇ……!」

 

喰種の力に対抗できるゴーストに驚きながら押し返そうとする月山だが、ゴーストが前のめりになると月山を軽々と押し飛ばした。

 

「がはっ!!……やる…」

 

壁に叩きつけられた月山にゴーストが更に追い討ちで重いパンチを放つ。

更に連打で月山を殴り、壁に減り込ませる。

血塗れになり、動かなくなった月山を確認するとゴーストは霧散して消えてしまった。

戦いが終わり、董香は動けないでいる絋輝に近づいて、容態を見る。

 

「絋輝!大丈夫……じゃないよね」

 

「あぁ、足と肋骨が折れてて内臓も出そうだし。大丈夫じゃないな」

 

軽口を言える状態であることに董香と絋輝は互いに安心して笑顔になる。

その時、絋輝がふと顔を上げると傷を負った月山が董香の背後に立って赫子を振り上げていた。

 

「董香!!」

 

「きゃっ!」

 

絋輝はあらん限りの力で董香の腕を引っ張り横にずらすと月山の赫子は絋輝の背中に突き刺さってしまった。

 

「ごふっ!?」

 

「タダでは終わらないさッッッ!!!」

 

狂気染みた笑み浮かべた月山だが、董香は一瞬で月山の横腹を抉り取って大きな傷を作ったが、月山は血を撒き散らしながらもまだ倒れない。

 

「ま、まだだ!!(亜人)という最高の珍味を食べずして倒れるわけには……!」

 

次の言葉を続ける前にゴーストが全力の拳を顔面に放ち、月山は壁に激突して今度こそ動かなくなった。

 

「絋輝!」

 

董香が絋輝に駆け寄ると絋輝はゆっくりと立ち上がって一息つく。

 

「ふぅ……お陰で怪我が治った」

 

「……もう、馬鹿」

 

安心させる為に冗談を言う絋輝に董香は安心したのかその場に座り込んで呆れてしまった。

怪我を負っている董香に肩を貸し、2人は出口に向かう。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。