東京喰種ーGhostー   作:マーベルチョコ

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#46 みんなと思い出を作りたいから

夏休みが終わって新学期が始まり、1ヶ月が過ぎた。

残暑も無くなり、涼しい風が流れる心地よい季節になっていた。

学校では体育祭、文化祭と楽しい行事が行われ、絋輝達も充分楽しんだ。

そして、絋輝達は10月渋谷で行われるイベントについて話し合っていた。

 

「『ハロウィンパーティ』?」

 

董香が依子から渡されたチラシを見ながら、そう呟くと依子が食い気味に話し出す。

 

「そう!去年から開催されたんだけど、みんなでコスプレして渋谷の繁華街に集まるイベントなんだって!みんなで行こうよ!」

 

目をキラキラさせながら説明する依子に少し引き気味な董香はハロウィンに因んだコスプレをしている男女達が楽しそうにしているチラシを見ながら考えた。

 

(依子って案外アクティブなんだよねー・・・・・それにしてもコスプレか。文化祭の時は恥ずかしかったなぁ)

 

少し苦笑いを浮かべる董香を見て、紘輝も考えていた。

 

(董香のハロウィンコスプレか・・・どんな風になるんだろ?文化祭の時のメイド服は可愛かったな)

 

文化祭の時の董香の姿を思い出し、幸せな気持ちになる紘輝だった。

ついでにその姿はスマホの写真フォルダにちゃんと保存していた。

 

(コスプレ・・・ナース服、チャイナ服、CA、ミニスカポリス、浴衣、レザースーツ、バニー、猫耳、魔女っ娘、etc・・・。やばい、興奮してきた)

 

吉桐は女性の様々なコスプレ姿を思い浮かべて鼻の下が伸びそうになっていた。

 

「ね?行こうよ!」

 

「うーん・・・私はなぁ・・・」

 

董香は喰種であるため、大勢の人間が集まるところに行きにくい。

それに元々性格的に騒がしい所は苦手だった。

 

「何で依子はそんなに行きたいの?」

 

気になった董香は質問すると依子は恥ずかしそうにして、声を小さくして答えた。

 

「だ、だってみんなと思い出を作りたいから・・・・・」

 

依子の言葉に董香達は優しい気持ちちになり、ホッコリする。

 

「……そうだね。じゃあ行こうか」

 

吉桐がそう切り出し、絋輝と董香もうなづく。

依子は全員で行けることに嬉しくなり、董香に抱きついた。

 

 

ーーーーー

絋輝は甫から呼び出され、アジトを訪ねると甫がコーヒーを飲みながら待っていた。

 

「来たね、まぁ座りなよ。コーヒー飲むかい?」

 

「あ、貰います。雄二さんと波島さんは?」

 

「リハビリをするために2人で地下にいるよ。彼女も貴重な戦力だ」

 

波島は目が覚めてから、甫達に協力してくれることになった。

最初は人を殺すかもしれないことに否定的だったが、このままいけば再び捕らえられて人体実験されると説明され協力してくれることになった。

まだ黒い人型は発言していないが蘇りの力、そして捜査官だった頃の経験が強みである。

 

「それで俺に話すことって?」

 

「この資料だ」

 

甫は紙束を絋輝に見せる。

それは絋輝が亜人研究会から脱出する際に盗んだデータだった。

 

「これって俺が盗んだデータですよね。殆ど意味のないデータだったって……」

 

「そうだったんだけど、読み込んだらいい情報があったんだ。ここさ」

 

甫が指差した文章を読む。

 

「『試作品No.2〜No.4を移送完了』……試作品?」

 

「その試作品って言うのは恐らくキメラ計画の何か。そして僕たちが欲しいものはその移送先にある、と思う。今は何も情報がないんだ。手当たり次第に当たっていくしかない」

 

甫がそう話しているが絋輝は『試作品』という言葉に引っかかりを感じた。

 

「あの……この試作品ってヤツなんですけどもしかしたら心当たりがあるかもしれないです」

 

「何だって?」

 

「俺と荒木さんを襲った喰種なんですけど、なんか普通と違うヤツだったみたいで」

 

「どんな所が?」

 

絋輝は荒木を殺した喰種の特徴を甫に伝えると考え込んでしまう。

 

「1つの赫包に複数の赫子……1つの個体で複数種類の赫子を持つ喰種はいる……だけどそんな喰種は聞いたことがない。もしかしたらそれがヤツらの試作品なのかもしれない」

 

「でも、何で亜人研究会が喰種を?何の関わりがあるんですか?」

 

「……その喰種を作るのに必要なのが亜人とかね」

 

甫の言葉に絋輝は目を見開く。

 

「何で亜人が必要なんですか?」

 

絋輝の質問に甫は言いづらそうにしながらも口を開く。

 

「…………僕は以前、亜人の研究者だったんだ」

 

「え?」

 

「今の亜人研究会の前身となる研究会だったんだけどね。そこで研究して亜人についてある事が分かった。それは亜人が蘇るシステムだ」

 

甫は驚いている絋輝を見ながら話を続ける。

 

「亜人は一度死んだらどんな傷でも元に戻して蘇る。その蘇りには亜人だけが持つある細胞が作用しているんだ。僕たちはそれを『A細胞』と名付けた。その細胞は宿主が死んだ瞬間、宿主を元の状態に戻そうとする。………他にも色々とあるみたいだったんだけど、僕が研究してた頃はそれぐらいしか判明できなかった。これらの試作品はそれを利用して作られたのかもね」

 

「そんな細胞があるなら……人間や喰種に移したら、亜人になったりは……?」

 

「それはない。色々と研究したけどA細胞は宿主以外だと生きられない。泡みたいに消えていくよ。……とにかく僕たちが追うのはこのキメラ計画だ」

 

絋輝は新たな標的を見据え、思考を張り巡らせる。

荒木のような犠牲者を生まないために。


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