東京喰種ーGhostー   作:マーベルチョコ

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#48 本格的だなと思ってさ

ハロウィンパーティー当日、絋輝達は現地で集まることになっていた。

周りでは見ると多くの人達が様々な仮装をして楽しんでいた。

絋輝は黒いマントを着て髪をオールバックにした吸血鬼の仮装をしていた。

 

「ちょっと恥ずかしいな……」

 

自分の格好を見ながらそう呟いた絋輝は皆が集まるのを待っていた。

 

「篠原くーん!お待たせー!」

 

絋輝に声を掛けてきたのは魔女の仮装をした依子だった。

その背後には董香が恥ずかしそうに隠れていた。

 

「ほら、董香ちゃんも見せないと」

 

「わ、わかってるって」

 

董香が依子の後ろから姿を現し、彼女が選んだ仮装を見せた。

服は白シャツと赤スカートに黒いタイツを履いた普通の服装だが、頭には猫耳のカチューチャを着けて、お尻辺りに猫の尻尾の飾りを付けていた。

 

「猫か、かわいい」

 

「可愛いよね〜!」

 

董香の仮装を見て呟く絋輝と同意する依子の言葉に董香は顔を赤くして恥ずかしそうにする。

 

「そ、そんなことないって」

 

「董香ちゃん!『ニャア』って言ってみて!『ニャア』って!」

 

董香の猫の仮装を見てテンションが上がってしまった依子が董香に頼み込んできて、董香もその圧に押し切られてしまう。

 

「えぇ……にゃ、にゃあ?」

 

「「かわいい」」

 

董香の恥ずかしそうにしながらも猫の鳴き声を真似する董香に絋輝と依子は声を揃えた。

 

「やあ、みんな。お待たせ」

 

最後に吉桐が到着した。

 

「吉桐か、その仮装は……」

 

吉桐の仮装はいつもの服にデザインマスクを被っただけの姿だった。

 

「喰種だよ。毎年のハロウィンイベントで多くの人達がこの仮装をするみたいなんだよね」

 

「そ、そうか……」

 

喰種の仮装をする吉桐に絋輝は苦笑いしながら答えて、董香の方を見ると董香は何とも言えない微妙な表情になっていた。

 

「あれ?ウケ悪いかな?」

 

「いや、そうじゃなくて本格的だなと思ってさ」

 

4人は仮装した者たちがひしめく街に繰り出した。

 

 

ーーーーー

ハロウィンパーティーが始まる数時間前、会場の直ぐ近くにある広い会議室では警察、CCGが一同に介していた。

 

「今年もこの時がやってきた。毎年渋谷で行われるハロウィンイベントは喰種共の格好の狩場だ。去年、一昨年は被害が出てしまい不甲斐ない結果になってしまったが今年こそは1人も犠牲者を出さないように取り組もう」

 

この会議室の中にいる喰種捜査官の中で最も高い位にいる男、特等捜査官『刈谷 雅史』が皆に聞こえるように凛とした声で話し出す。

 

「今年もこの時期が来た。去年は死傷者12名と不甲斐ない結果となってしまったが今年こそは死傷者を出さないようにするぞ」

 

『はい!』

 

警察もCCGも皆、顔を引き締めて真剣な顔になっている。

その中には先日絋輝に接触した仁志の姿もあった。

打ち合わせも終わり、それぞれの配置位置に向かおうとしている時に刈谷が仁志に声を掛けてきた。

 

「荒木君、初めましてだな。君の父親、仁とは同期でね。君のことは仁からも聞いていたよ。働きに期待している」

 

刈谷はそれだけを言って仁から離れて行った。

 

(また親父の関係者か……)

 

捜査官の中でも上等以上の捜査官から仁との関係を話されることがある。

その度に仁志は何とも言えない感情になる。

CCGの捜査官から聞く仁の話は自分が知らないことばかりで嬉しい反面、悪い所しか自分が見れていなかったことに悲しく思えてしまう。

仁志はそんな気持ちを心の隅に追いやり、任務に集中する。

 

 

ーーーーー

4人は渋谷の大通りを歩いているが周りは仮装をした人たちでごった返していた。

様々な仮装している人たちを見て楽しんでいた。

 

「まだ早い時間なのに人がいっぱいいるね」

 

「人が多過ぎて前に進めない」

 

「はぐれないように気をつけろよ」

 

3人は固まって行動しており、周りが大騒ぎしている状況に少し緊張して溶け込めていない様子だった。

しかし、その中に吉桐の姿がなかった。

 

「あれ?新田君は?」

 

「はぐれたのか?」

 

「あ、いた。あそこ」

 

董香が指さす先には仮装をして酔っ払っている大学生達と肩を組んで騒いでいる吉桐の姿があった。

 

「もう馴染んでる」

 

「流石新田君……」

 

3人は新田の適応力に驚いたが、すぐに絋輝は吉桐を引っ張り戻した。

 

「どうしたの3人とも!?このイベントを楽しまなきゃ!」

 

「お前適応力高すぎ」

 

4人はその後は渋谷の街を歩き回り、ハロウィンイベントを楽しんだ。

 

 

ーーーーー

ハロウィンイベントのような大きいイベントでは毎回何かしら不祥事を起きる。

酔っ払い同士の乱闘、店舗での器物破損、痴漢騒ぎなど様々なことが起こる。

そしてそれは路地裏など人がいない所で大抵起きる。

コスプレをした若い男女2人がお互いを抱きしめてキスをしている。

 

「もうっ、激しすぎだってぇ〜」

 

「良いじゃん、別に誰もいないしさ」

 

男は続けようとすると路地の奥に1人の男が立っているのに気づいた。

 

「ねぇ、どうしたの?」

 

「いや、何かこっち見てる奴がいるんだよ」

 

「え、マジ?」

 

女性は乱れた服を慌てて整えようとし、男性は奥にいる男を睨みながら近付いていく。

 

「何だよ?何見てんだよ?」

 

「ちょ、ちょっとやめなって」

 

男性は酔っているためか気が大きくなり男に詰め寄る。

女性の静止を振り切り近づいて、赤くなった顔を男に間近に寄せて威圧する。

 

「あ?何か言ってみろや!ゴラァ!?」

 

男性は胸ぐらを掴むが突然衝撃が走り、掴んでいた腕の力が無くなった。

目を向けると掴んでいた腕が二の腕から先が無くなり、その腕は自分の足下に落ちていた。

 

「え?…は?え、何これ?」

 

男性は状況が飲み込めないのか後ろに下がりながら、血が滴り落ちる腕を抑える。

 

「い、いて……イテェってこれ……お、お前何して……」

 

男は混乱する男性の頭を抑えて首を露出させると勢いよく噛み付き、血が噴出した。

男性は痙攣を起こして地面に倒れてしまい、その顔には生気がなくなっていた。

男は血で濡れた口を拭うと壁に寄り掛かって腰を抜かせた女性に目を向ける。

 

「ヒッ……!」

 

女性は突然の凶行に怯え切ってしまい、体はガタガタと震えて股から液体を漏らしている。

男は女性に近づくとその髪を掴んで立ち上がらせて、また首筋に噛み付く。

 

 

ーーーーー

絋輝たちはハロウィンを楽しんでいると依子が喉が渇いたと言い出した。

 

「喉渇いたね」

 

「確かに。ずっと歩き回って疲れたしな」

 

「じゃあ何処かで休む?」

 

「でも、どこの店も人で一杯だよ?」

 

吉桐が近くの店に目を向けるが、店には多くの人達がおり4人で休めそうにない。

すると、董香は近くに座れそうなベンチを見つけた。

 

「あそこなら座れそうじゃない?」

 

「じゃあ、董香と小坂は待っていてくれ。俺と吉桐で飲み物買ってくるから」

 

そう言って絋輝と吉桐は飲み物を買いに行った。

自販機の前には飲み物を買う人たちが並んでおり、暫く談笑しながら待っていた。

 

「吉桐はさ。彼女とか作らないのか?」

 

「いやー、彼女はいいかな?女性は好きだけど彼女は無理かな」

 

「無理?無理ってどういうことだよ?」

 

吉桐の言い回しが気になり、質問する。

 

「僕は人が好きだけど、誰かを愛し続けることなんて僕にはできないよ」

 

「なんか意外だな。お前なら好きであり続けることができそうなのに」

 

「まっ、1人に拘るより僕は沢山の女性を愛したいんだよ」

 

「最低じゃん」

 

そんな会話をしていると自販機から離れた場所で騒がしくなった。

 

「何だ?」

 

「どこぞの輩が暴れて車を横転させたとか?」

 

興味深そうに目を向ける絋輝達だが、その騒いでいる人達は楽しくて騒いでる様子ではなかった。

その顔は恐怖で引き攣り、何かから逃げている様子だった。

絋輝は目を凝らして見ると逃げようとする1人の女性の背後から血まみれの男が掴みかかり、その首に噛み付き肉を引き裂いた。

 

「……吉桐、逃げるぞ」

 

「だね……」

 

2人は冷や汗を流し、董香と依子の元へと走った。

 

「あっ、帰って来た」

 

「遅いって……どうしたの?」

 

「はぁ、はぁ、ここから逃げよう!」

 

「何言ってんの?」

 

絋輝の切羽詰まった様子に不思議そうにする2人だが少し離れた所から悲鳴が聞こえてきてそちらを見ると女性の首に噛み付き、口周りを血で汚し青白い肌をした男が叫び声を上げた。

 

「な、なに……あれ?」

 

「……」

 

戸惑い、言葉が詰まってしまう依子と驚きで固まっている董香の手を引いて立ち上がらせる。

 

「さあ、行くぞ!」

 

4人は逃げ出すが周りの人達も同様に逃げ出し、人で溢れており、やがて人波で押し流されてしまう。

 

「ちょっ…!人多すぎ!」

 

「みんなパニックになってるんだ!」

 

離れないようにしていたが人に流されて絋輝と董香の手が離れてしまった。

 

「董香!!」

 

「絋輝!!」

 

互いに名前を叫び合うが人に流されてしまった。

 

 

ーーーーー

事件発生から約1時間後、渋谷で行われたハロウィンパーティは死者500人を生み出してしまった。

CCGが到着してもなお被害者の数は増え続けた。

絋輝はその中で1人、取り残されてしまった。

 

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