いまいちカッコよくならない主人公です。
個人的に、あまりヒロイックじゃない主人公のほうが好みです。まあだからこうなってるんですけど。鶏卵の問題みたいなもんですね。
ーーー0700、聴取試験開始。被検体01『ガンドール』
…俺をその名で呼ぶのをやめろ。今すぐにだ。
ーーー『ガンドール』…悪いが、お前が現在、自らの名を変えていようと、バンガードの登録名を優先させてもらう
…ならさっさと終わらせてくれ。ここは息が詰まる。まるで見せ物の檻だ。
ーーー【もしも】を想定し、防弾壁越しに話しかけている、それだけだ。我々は実験のためにここにいる。他意はない。
フン。どうだかな…
ーーー本題に移ろう。お前はどうしてフォールンの身体を手に入れるに至った?
カバルの襲撃でシティが落ち、逃げ延びた俺は逃走経路として旧ロシア連邦の山岳地帯を選択した。
結果、深いクレバスに落下し、重傷を負った。手足を含む複数箇所の骨折だ。そのクレバスの底でたまたまフォールンの基地跡を見つけ、バンダルの死体を剥ぎ取り、手足をフォールン製の義肢に取り替え、運良く生き延びた。以上だ。
ーーーでは、お前の身体に接続されているフォールンの身体は全てそのバンダルのものか?
違う。俺の身体は複数のフォールンを使い、ライフ……俺のゴーストにて複数回改造されている。
ーーーお前の身体が常人と比べて巨大なのはそのためか?
ああ。ライフが言うには、エーテルが俺の身体をエーテルに最適化させるために改造を進めた結果らしいが、俺にはよく分からん。
ーーーエーテルの人体に与える影響の詳細については、また後日に調査することになる。
そうか。
ーーーでは、次に、お前がここに至る経緯について話してもらいたい。
曖昧な質問だな。まあいい…順序立てて話そう。
フォールンの身体を得て生き延びた俺は、更なる生存のためにエーテルの確保…奪取が急務となった。その一環としてフォールンの小規模な部隊と何度か戦闘し、その中で更にフォールンの身体を手に入れた。
ーーーザナリー3とは、どこで出会った?
旧ロシアからヨーロッパ・デッドゾーンの間…細かい位置や日時は覚えていない。
俺がバンダルの義肢を奪って生き長らえた後、エーテル奪取のためにフォールンと戦闘した。右腕を失ったからキャプテンのを奪って取りつけたのもそこだ。
その後になって、ザナリー3の方から接触してきた。
ーーーどうして同行することになった?
知らん。アイツから付きまとってきた。俺は何度も拒んだし、首を掴んで放り投げてやったこともあった。
それでも着いてきたのと、ライフが同行に賛成したから仕方なく同行を許した。
ーーー…仲が悪いのか?
それも知らん。俺はあのポンコツと仲良くなりたいとは欠片も思っちゃいないがね。
ーーーザナリー3は『臆病者』と呼ばれ、戦闘は不可能と言われていた。
そうなのか?特に問題なく戦えていたように思えたが。ハンドキャノンは人並みに当たるし、ハンターによくある変な突撃癖も無かった…多分。まず俺がよく突っ込むから分からん。後ろに目はついてないからな。
ーーーでは次だ。デヴリム・ケイとの接触について。
…あのいけ好かないジジイがどうしたって?俺を殺そうとした。それだけだ。
ーーー彼から、お前はフォールンのスパイだと報告されている。
フォールンはスパイひとりのために同胞を何部隊も殺させるのか?バカにしてるとしか思えんな。
ーーー…バンガードでも、似たような見解が出ている。一応のチェックだ。
そうかよ。そろそろ終わりか?さっさと出してくれ。
ーーーまだだ。『暴風のガンドール』
………
ーーー火星。メリディアン・ベイの撤退戦。そこでガーディアンの本隊を逃がすため、殿として残ったファイアチームはお前の部隊だな?
…何が言いたい。
ーーー質問をしているだけだ。お前の異名…『暴風』がついたのは、その時メリディアン・ベイでは激しい砂嵐が巻き起こっていたからだ。…お前達とカバルの連隊が、撤退する部隊からは全く見えなかったほどの…
下らん。俺のあだ名の由来が何だって言うんだ?
ーーーその後のお前の聴取データの中に、【お前が仲間を殺した】との記述がある。これは事実か?
………ああ。
ーーーでは、その経緯について説明することはできるか?
……それが出来ないことは、その当時にも話したはずだ。話したくない。
ーーー隠匿は、時に誤解を産む。今、お前は危うい立場にいることを我々は懸念している。
だから事実を話せと?
ーーーそうだ。
…あまりなめるなよ、研究者風情が…いつも部屋に引きこもってるお前達に、ガーディアンの何が分かる!
ーーー分からないとも。だから聞いているのだ。
………なら、俺の答えはひとつだ。誤解したいなら好きにしていればいい。俺は何も言わん。
ーーーそうか。では、また明日にでも聞くとしよう。
バンガードに協力すると言った以上抵抗はしない。だが二度とここには来たくないな。
ーーー…ロックを解除した。もう部屋から出ても構わない。
フン…
………………………
「頑なに過去を話そうとしないな」
「ああ。だが戦闘能力に関しては問題なしだ。一部はガーディアンを超えている」
「だが、彼が反乱分子ではないと証明しなければ、戦力として投入することはできないか…」
「そこは仕方がないだろう。『彼』がいるとしても、奪還作戦は緻密な連携が必要なんだ」
「まあ、今はまだ時間がある…腰を据えて話をしていくしか無いだろうな」
「ああ、頭が痛いよ…」
………………………
『お疲れ様でした』
「ああ」
『…本当にお疲れのようですね』
「…あの日のことを聞かれた」
『そうですか…答えたのですか?』
「まさか」
『…そうでしょうね』
『あの日に何があったか…知るのは私とあなただけです。もう、何年も前のことになりますね』
『…あなたは、いつ自分を許すのですか?』
「…許す?それこそありえない」
『………』
『…エイリーク…ダカート76…イブキ・リンドーズ…』
「………」
『あなたが手にかけた仲間たちは、あなたを糾弾しましたか?』
「…関係ない。自分が許せないだけだ」
『仕方がなかった』
「それは何度も聞いた。あいつらからも…」
『…私に自由意思が生まれたのは、ちょうどその頃でした』
『私は幾重にも交差する思考のループに呑まれていました。ガーディアンとしてガーディアンを殺すあなたに、ゴーストとしてどうすればいいのか分からなかった。』
『結局、私はサポートデバイスとしてあるまじき【何もしない】という選択肢を選んだ…いえ、何もできなかっただけかもしれません』
『今の私はその際に発生したメモリの空白に生まれた、言わば偶発的なバグのようなものです…その際、あなたとの接続も、少し薄まりました』
『しかし、私は後悔していません。自由意思を持つことで、私は『私』になりました。あなたにも反乱しうる存在になりました』
「…昔話を始めて、なんのつもりだ」
『今から私が何をするか、当ててみて下さい』
「………」
『……せめて何か言って下さい……まあ、ちょっとあなたの過去を適当な人に打ち明けてくるだけです』
「…そうか」
『止めないのですか?』
「俺が止めたらやめるのか?行くなと言ってやめるならもう言ってる…」
『…痛いところを突かれましたね』
「行くなら行け。俺は寝る…」
『分かりました。では、とりあえずザナリー3のところへ…』
「それはやめろ。せめてケイの所に行け」
『分かりました。残念です』
「………」
『…冗談ですよ』
ふわっとした設定なので、どこかに矛盾があるかもしれません。その時は教えてください。またはオリックスの玉座のように広い心で許して下さい。