ゾンビが人間を守って何が悪い   作:セイント14.5
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初投稿です。


本編
レベル1.我こそはガーディアン


「…弱ったな」

 

 

さっきより勢いの強まった吹雪を見てつぶやく。

いくら敵が少ないとはいえ、やはりこんな山道を選ぶんじゃなかった。洞窟の壁にもたれかかりながら、今更意味のないことを考えて暇をつぶす。

 

 

『吹雪は少なくとも一晩、最長で二日ほど続く可能性があります。船を呼んで、一度シティへ戻りませんか?ここは寒くて…』

 

 

私のゴースト…ガーディアンのナビゲーターがわざとらしく震える。ひし形のシェルに入った大小の亀裂がこすれ、カチカチと音を立てる。

私はゴーストを手で制した。この手の冗談は嫌いだ。つまり、全くありえない仮定をするような…。

俺達が帰るべきシティはもうない。ついでに、ゴーストに寒さを感じる機能もない。

 

 

…そう。我々が、文字通り命をかけて守ってきたシティは、ついに敵の手に落ちたのだった。

カバル。レッドリージョンという一派だった。突然の襲撃に、我々は完全に敗北した。

シティを愛するタイタンは、カバル戦艦の砲撃から街や市民を守るため立ちはだかり、そのまま死んだ。

ハンターは飛び回り、何とか敵を減らすよう立ち回ったが、そのことごとくが失敗に終わった。

ウォーロックは混乱を鎮め、解決策を導き出すことに躍起になったが、答えはどこにもなかった。

 

 

我々は負けた。

俺もガーディアンとして戦ったタイタンの一人だった。

今では…頼るべき光も無い放浪者に過ぎない。

 

 

「これからどうすればいい?」

 

 

私はゴーストに尋ねた。ゴーストは俺よりずっと賢い。知り合いのウォーロックにこう言うと、全くナンセンスな考えだと笑われるのだが、少なくとも私はそう感じている。

 

 

『…あなた以外にも生きているガーディアンがきっといます。まずは彼らと合流しましょう』

 

 

「生きている、ね。光のないガーディアン…人類を守れないガーディアンは、本当に生きていると言えるのか?」

 

 

『…だとしても、これから生き返るのです』

 

 

「どうやって?」

 

 

『トラベラーの光を失いましたが、必ず取り戻す方法があるはずです。それを見つけましょう』

 

 

「俺が生き返るのと、みんなと合流することのどっちを先にやればいいんだ?」

 

 

『…お好きなように』

 

 

「そうか。なら、まずは光を取り戻そう」

 

 

自分でも意地の悪い問答だった。ゴーストをいじめるつもりはなかったのだが…光を失ったことで、無自覚のうちに精神が不安定になっていたのかもしれない。

 

 

光。ガーディアンの力の源にして、トラベラーを象徴するもの。曰く、生物、無機物…あらゆるところに存在するエネルギー。曰く、無限の勇気、情、奉仕の心…精神的パワー。実のところ、よく分かっていない何か。

これがないと、ガーディアンは何もできない。敵に撃たれれば死ぬし、復活できない。ガーディアンにとって光を失うということは、両手足をもがれ、感覚器官をすべて奪われたに等しい。

 

 

「よし…まず光だ」

 

 

なればこそ、取り返さなくてはならない。光を。力を。使命を…ガーディアンとしての、命を。

 

 

 

・・・・・

 

 

 

夜が明けてしばらくすると、嘘のように吹雪が止んだ。降り積もった雪を何とかかき分けて外に出ると、周囲を一望する。

真っ白な雪と、淡い水色の青空が目に入った。というより、それしかなかった。目印になるようなものが全くない。

 

 

「これはまずいか?」

 

 

ゴーストに尋ねる。

 

 

『問題ありません。自分の位置もわからないゴーストはいません。問題は、しばしばガーディアンの居場所を見失うことですが…』

 

 

問題なさそうだ。ゴーストのナビに従い、歩を進める。

一歩。雪に足が沈む。

二歩。膝まで沈む。

三歩。腰まで雪が積もっているのか?

四歩…

 

 

『ガーディアン、止まって下さい!ガーディアン!』

 

 

五…

 

 

「ゴースト?どうし…」

 

 

瞬間、嫌な浮遊感が私を襲う。

 

 

『ガーディアン!ああ…まずい…!』

 

 

どうやら、私は雪山のクレバスに思い切り足を踏み入れていたようだった。

崩れ落ちる雪とともに、割れ目の底へ落ちていく。

景色が妙にスローだった。ゴーストの声が遠くなっていく。走馬灯。何度も見た景色が、視界に現れては消える。

 

 

いや、大丈夫だ。ガーディアンは死んでもゴーストの光の力で蘇生してもらえるのだから…

…光?

 

 

「…っぁあああああーーー!」

 

 

死ぬ!死ぬ!このままだとまずい!

二度と生き返れないことを思い出した俺は、がむしゃらに手足を伸ばした。

ボロボロになったグローブが氷壁を引っかく。落ちるスピードは変わらない。

ブーツで氷を蹴る。スピードはだんだん早くなる。

真っ暗なクレバスの底が近づいてくる。

 

 

 

重い衝撃。俺はたった数秒のうちに、意識を手放した。

 




あとがき

Destinyの世界観が好きなのですが、二次創作は少ないのが残念だと常々思っていました。
だったら作ればいいじゃないかぁ(ひらめき)


ちょっとした設定

主人公は名もなきガーディアンです。ちなみにタイタンですが、これは私の好みです。
時系列はDestiny2開始直後、レッドリージョンがシティを制圧した後です。主人公は人間です。まだ。

ヒロインや仲間は作るかもしれないし、このままゴーストがヒロインになるかもしれません。
これが欲しいぞ!という方は感想で伝えてもらえると、私がそれを読んで要望に応える可能性があります。


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