魔弾戦姫リュウフォギア   作:ライダーファイト(ただいま療養中)

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 さぁ…………剣士と戦姫の物語が始めるとしようか。




 こんなところで言うのもなんなのですが、それでも私はここで強く断言したいです!
 やはり魔弾戦記リュウケンドーは、これからも語り継がれるべき名作特撮ヒーローであると!
 私ライダーファイトは断言致します!!!!!!!!!


オレはリュウケンドーだ!

「うっ…………うぅぅッ、あ、…………あぁっ」

 

 少々掠れた声を出しながらも、ゆっくりと瞼を開いていく。

 目を開けて最初に目にしたものと言えば、明る過ぎると言っていい程の電灯の光と、真っ白と言っていい天井であった。

 慣れ親しみもなく違和感しかない、こんな場所に言う言葉などこれしかないだろう。

 

「…………知らない天井だ」

 

 小さい声ながらもしっかりとした発音で呟き、周囲を見回した。そこにあったのは心電図などを図る医療系の機器に横長の棚、そしてそこの棚の上には綺麗な花瓶に1本の花が入れられていた。

 ついでに花瓶の隣には俺が着ていた衣服が綺麗に畳まれて置かれ、さらに服の上には俺の財布と免許証、そしてスマートフォンがご丁寧に置かれていた。

 

 しかし、俺の一番大切な相棒と鍵はどこにもなく。恐らくと言うか、完全に奴らの手の中にあるのだろう。

 

(めんどくせぇことになったな。ゲキリュウケンがあれば、こんなところ簡単に脱出できるつーのに、奴らに奪われちまうとは…………)

 

 因みに俺が今着ているのは、PCR検査などに使う検査着である。

 

「…………だッ…………!?」

 

 ここがどこだかは分からないが、とにかく俺は起き上がろうとするも、その瞬間に体が悲鳴を上げるほどではなかったが、鋭いものを突き刺したかのような痛みが流れ、その痛みは顔に出るほどだったが、痛みを(こら)えながらも上半身を上げた。

 

「ッ…………この痛み、ぶっつけ本番で三位一体攻撃なんてしたから、その反動とツケがやってきたってか?」

 

 あの時の戦いで、どこからともなく黒いノイズが現れ、凄まじい強さで朱色の髪の女と青髪女を含む俺達3人を圧倒、そのため俺は死を覚悟しながら黒いヒューマノイドノイズに、ぶっつけ本番の【三位一体魔弾斬り】を放った。ギリギリで倒すことに成功し、倒すことを確認した俺は安堵しながら気を失ったんだろう。

 

 そしてそれもあり、体はかなりの痛みを訴えているが、動けないと言う程でもない。恐らく基本的に日々のトレーニングを欠かさなかった賜物だ。

 

(………………………………………)

 

 無言でもう一度周囲を見回してみるが、これと言ったものはなく、ただ普通の自動ドアに見えるものも大方厳重な仕組みをしているため、簡単に抜け出すことは出来ないだろう。

 

(…………それに体を見てみたが、上半身のほとんどには包帯巻かれて、下半身には包帯とデカいガーゼが貼られてるな。右腕の手首より少し離れた所には注射用保護パッドのメディパッチが貼られてる。大方俺の血液を採取して検査したってところか…………)

 

 そう把握した俺は、呆れた顔をしながら溜め息を吐いて呟いた。

 

「はぁ、俺の体ひんむいて調べて楽しいかよ」

 

 ぼやくように呟けば、扉が横へと移動した。予想通り自動ドアだったようで、そこへ入ってきたのは俺が3日前に戦った、人間を辞めた大男だったのだ。

 

「おっ、どうやら目を覚ましたみたいだな!」

 

「……………………………………」

 

 大男のその馴れ馴れしい言い回しに、俺はただただ冷たい瞳を大男へと向けるだけであった。

 

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 

 

 剣二が目覚める数時間前。

 

 機動二課研究室。

 

 

「了子! 検査結果が出たと聞いたが、どうだった?」

 

 プシューと言う音を立て研究室の扉が横に開けば、そこから司令官である風鳴弦十郎が入ってきた。研究室に入室すれば、向けられた声は研究責任者である桜井了子に対してであった。

 

 そしてその質問は、機動二課の医務室で眠っている、魔弾剣士リュウケンドー変身者。

 〈立花剣二〉のことであった。

 黒いノイズを倒した後、血を流しながら倒れた剣二を奏と翼が2人で抱え上げ、なんとかヘリに乗せて機動二課まで連れていき医務室で治療したのである。

 

 

 しかし、そのついでに機動二課の面々。特に科学者の桜井了子なのであるが、嬉しそうにしながらも剣二のことを隅から隅まで調べようとしたのだが、弦十郎から余計なことをしないよう強く釘を刺されたため、渋々と言った風に剣二の血液だけきちんと適量で抜き取り、後は少しだけであるが彼の細胞組織の皮膚片と口の中にある唾液を採取して研究室の機器で細かく調べ上げた。

 

「それで了子、検査の結果はどうなんだ?」

 

 弦十郎は真剣な表情で、了子に聞いた。

 

 

 それは弦十郎にとって、1番重要なことであった。

 数日前に弦十郎は、例えリュウケンドーが人間でなかろうと子供でなかろうと守ってやると発言した。しかしそれでも弦十郎は心の片隅から願っていた、リュウケンドーに変身する剣二が人間であることを、彼が化け物ではなく自分達と同じ人間であることを。

 そんなことを願いながら、弦十郎は真剣な眼差しで了子を見る。

 

「それじゃ、弦十郎君が気になっていることを報告するわね」

 

「ああ、頼む」

 

 桜井了子の台詞に、弦十郎は頷きながら返答し姿勢を一切崩さず一言も聞き逃さない態勢である。

 

「結果は…………」

 

「ッ…………」

 

 一度、弦十郎は息を飲んで了子の次の言葉を待つ、そして了子はゆっくりと口を動かし、立花剣二の検査結果を伝える。

 

「検査の結果…………彼は普通の人間よ。体の全てと言う全て、血液も細胞も勿論、私たちと同じ人間と断定できたわ」

 

「!? …………ッ、そうか…………そうなのか!」

 

 了子の報告を聞いた弦十郎は、満面の笑みを浮かべて物凄く喜んだ。立花剣二が自分達と同じ人間であることは、弦十郎にとって何よりも嬉しいことであった。

 

「でもね、弦十郎君」

 

 しかし、そんな弦十郎の喜びを遮るように桜井了子は口を開く。真剣味を帯びた了子の台詞に、弦十郎は彼女の方へと顔を向ける。

 

「確かに彼は人間だったんだけど、それでもおかしな事があるの」

 

「おかしな事?」

 

「ええ、確かに彼は検査の結果では人間と断定できたわ。でもね彼がここへ運ばれた時、彼の体は応急処置レベルだけど止血されていたの、医療器具も使わずに彼の体は止血をされていた。これは完全におかしな事よ」

 

「………………なら了子、彼は人間に完璧に擬態した“なにか”だとでも言うのか?」

 

 了子の報告に、弦十郎は再び深刻な顔になり了子を見つめ問う。しかし桜井了子の方も、立花剣二が何者であるのかをまだ断定できていないため、彼女の方も首を横に振りながら答える。

 

「それは私にも分からない…………それでも私が言ったことを頭の片隅に置いておくぐらいで良いから気を付けてくれる。弦十郎君」

 

「ああ分かっている。気を付けておくさ、了子」

 

 了子の真剣な言葉に、弦十郎も真剣に返す。そしてその時、弦十郎が使っている小型の通信機から人の声が流れた。

 

『司令、聞こえますか?』

 

「!  緒川か。どうかしたのか?」

 

 声の主は、弦十郎が信頼を置く部下、緒川慎次からであった。

 

『はいっ、実は未確認の騎士に変身していた彼が、今やっと目覚めました』

 

「ッ! そうか、彼が目覚めたのか!!」

 

 緒川からの報告に、弦十郎は声からも喜びが分かるレベルの声を上げて立ち上がった。

 

『はい、ですが念のために気を付けてください。彼は目を覚ましました後、今は周辺状況の確認を行っています』

 

 緒川の言葉に、弦十郎は通信機を軽くひっぱって頷いて答える。

 

「ああ、了子にも言われたから、ちゃんと気を付けるさ」

 

 緒川との話し合いを終えた弦十郎は、インカムの通信が切れ、最後に桜井了子に言葉を掛けて研究室を出ていく。

 

「それじゃあ了子、行ってくる」

 

「ええ、弦十郎君。気を付けて」

 

 

 そして場所は、剣二が眠っていた医務室に戻る。

 

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 

 

「おっ、どうやら目を覚ましたみたいだな!」

 

「……………………………………」

 

「そんなに冷たい目を向けないでくれよ。これでも重傷の君を保護したんだぞ?」

 

「保護と治療にはついては礼を言わなけりゃならないんだろうが、俺はそんなことを頼んだ覚えはない。第一にあれだけの傷でも充分に回復できたんだ。その必要はなかったと思うが?」

 

「確かに君のその回復力を見ればそうかもしれないようだが、俺達にだって人情はあるんだ。ほっとけるわけないだろ?」

 

「ふんっ…………」

 

 大男の台詞に、俺は鼻を鳴らしてそっぽを向く。大男は「これは参ったな」とでも言ってる顔をして、右手を後頭部まで持っていき髪を掻いた。

 すると、大男は困った顔から、なにか大事なことを思い出したようで、また俺に話し掛けてきた。

 

「そうだ! 大事なことを忘れていた!!」

 

「大事なこと…………?」

 

 その言葉に反応して俺は、大男を睨みながら顔を向けた。そして大男の台詞に俺は顔を青くしてしまうほどのことを聞いてしまった。

 なにせこの大男は、余計なお世話以上の厄介なことをしてくれたのだからな。

 

「“君の家には我々の方から連絡を入れておいたから〟安心してくれ!」

 

「は…………? おい、てめぇ今、なんて言った?」

 

 大男の言葉に俺は深刻そうな顔をして振り向き、痛む体のことなど無視して、立ち上がって大男に詰め寄った。大男は俺が詰め寄ってきたことに驚き、3歩ほど後ろへと下がるが、疑問の顔をしながらも俺に言葉を投げ掛けた。

 

「なにって、君のご家族のところに連絡を入れたんだ」

 

「…………ああっ! クソッ!? なんて余計なことをしてくれたんだ!!」

 

 大男の言葉を聞いた俺は、奴から離れ背を向けて悪態をついた。

 

「な、なんだ? どうした? なにか俺は余計なことをしたと言うのか?」

 

 疑問符を浮かべ話し掛けてくる大男に、俺は顔を向けて遠慮せず言い放つ。

 

「ああそうだよ! 余計も余計、余計なお節介を遠慮なくやってくれたよ!!」

 

「な!? 余計なお節介とはどう言うことだ!? 俺は君のことを思ってだな」

 

「それが余計だって! 言ってんだよ!!! くそったれ、ああもう!? どうすりゃいいんだ!」

 

 怒鳴りながらも、俺は大急ぎで自分の携帯を手に取り電源スイッチを押した。そしてその瞬間、俺は思いっきり絶望的な表情となる。

 それもそのはず、何せ今俺の携帯の履歴に100件を越えるほどの家族からの電話やメール、挙げ句の果てにLINEやDMが送られているのだから、そして家族の他には、喜一からの連絡も含まれている。

 

 

 それを見た俺は膝から崩れ落ちて、小さく呟いた。

 

「マジでどうすりゃいいんだよ、これ…………」

 

「なあ一体どういうことなんだ? 説明してくれないか、本当に君に余計なことをしてしまったのなら謝る!?」

 

 大男は俺に少し接近して声を掛けてきて、それに俺は大男を睨み付け、1度「チッ!」と大きな舌打ちをして、ドカッと乱暴に俺が眠っていたベットに座り、怒り全開で大男に説明を始めた。

 

「ああ良いぜ。何でてめぇが余計なことをしたのか説明してやるよ、俺は家族に親友の家に泊まるってのを言ったんだよ! そして俺は親友の家に泊まっていた。これだけ言えばもう充分に分かんだろ?」

 

「…………………………」

 

 俺の台詞を聞いた大男は、顔から見ても分かるようになんとも言えない苦い表情をしていた。だが、すぐにしっかりと俺を見て謝罪の言葉を放った。

 

「知らなかったとは言え…………それは本当に、すまなかった!?」

 

 そうして大男は、俺に面と向かって頭を下げた。しかしそれでも、俺は大男を許すことは出来ず、そっぽを向きながら言い放った。

 

「謝って済むんなら、俺はこんなに困ることはなかっただろうがな! 連絡が着かなくて親友の家に電話してくるだろうが、あいつなら色々と察して誤魔化してくれたのによ!」

 

「うッ…………」

 

 俺の台詞に、大男は頭を下げたまま気まずそうな声を上げた。しかし俺はそんなことなど一切関係なく、「チッ!」と大きな舌打ちをして、大男に対して言う。

 

「それで、一体なんの用なんだ。見たところあんたはこの組織の、トップか? 重役か? …………直接会いに来たってことは、俺に話があるんじゃないのか?」

 

 もう過ぎてしまったことは仕方がないため、俺はこの大男の本題を聞くために即した。

 

「あ、ああそうだった。まあその前に自己紹介からしようか…………俺の名前は風鳴弦十郎。ノイズを対処する組織、特異災害対策機動二課の司令官をやっている。よろしく!」

 

「…………………………………………」

 

 大男は満面の笑みで自己紹介をしてきたが、俺は睨みながら再び無言を貫く。

 

「俺が自己紹介したんだから、次は君が自己紹介する番だと思うんだがな?」

 

「…………どうせお前らの力なら俺の事を調べるなんて簡単だろ? なら言うことはこれだけだ。ただの人間、ごく普通の一般人だ」

 

 俺の言葉に、大男は顎に手を持っていき考える素振りをしながら俺を見て、呟いた。

 

「ごく普通の一般人か…………それなら聞かせて貰いたいのだが、君のあの力は一体なんなんだ?」

 

「答えてやる義理があると思ってるのか?」

 

「…………はぁ、君はなんでそこまで俺達を信用してくれないんだ? そこまでされると、いくら温厚な俺でも気分が悪い」

 

「温厚? 強引に俺を捕獲しようとした奴がよくそんなことが言えるな? それに…………信用なんて出来る訳がないだろ? 人の話を盗み聞きしてる鼠女2匹を飼ってる組織なんざ、なッ!」

 

 俺はそう言いながら棚に置いてある財布を手に取り、財布から既に使用できないポイントカードを取り出し、最後に強く言いながら扉の隙間に向けてポイントカードを勢いよく投げた。

 

「わっ!?」

「きゃっ!?」

 

 ポイントカードを隙間に向かって投げれば、そこから女2人の驚いた声が響いた。女の声を聞いた俺は大男に視線を向けると、大男の方は面倒そうな顔をしながら髪を掻いて、ドアの前まで歩いていき操作して開けた。

 

「何をやっているんだお前らは?」

 

 ドアを開けると共に、呆れた声で盗み聞きをしていた女どもに言ってやれば、ドアの前で盗み聞きをしていたのは、怪我をしまくっている朱色の髪の女と青髪の女だった。

 つまるところ、機械の鎧を纏って俺に喧嘩を売ってきた2人組である。

 

 盗み聞きがバレていたことに、朱色の髪の女は後頭部に手を触れながら罰の悪そうな顔をしながら口を開いた。

 

「い、いや~…………その、未確認の騎士に変身していた奴が目を覚ましたって聞いたから、つい」

 

「あ、あの、私は奏を止めようとしたんですけど、止められなくて」

 

(なんか簡単に想像できたぜ、つまり青髪女は朱色の髪を止められず、逆に引っ張られたって所か)

 

 この2人の言い分を聞けば、頭の中でそんなイメージが簡単に想像できてしまい、俺は無表情ながらも心の中で勝手に納得した。

 すると、大男は右手で顔の半分を隠して「はぁ~」と1度溜め息を吐けば、すぐに俺の方に顔を向けて、あることを言った。

 

「それにしても、扉の前に居たこの2人の気配に気付いていたんだな。君は?」

 

「消す気もサラサラないほどの気配が駄々漏れだったんだ。その程度なら難なく気付くさ、無駄に何年もノイズと戦っている訳じゃないんでな。この程度の技術、否が応でも身に付く」

 

「「「………………………………」」」

 

 俺の言葉に大男と2人組の女は無言で俺を見た。しかし、大男の方はどこか深刻そうな表情で俺を見ていたが、少々重苦しくなった雰囲気を、朱色の髪の女が呑気な声で破った。

 

「そんで弦十郎の旦那。こいつが何者かは後にして、こいつ二課に来るのか?」

 

 そう言いながら朱色の髪の女は俺にずいっと近付いてきて、俺をじろじろと見やる。

 

「その話をしようと思っていたのに、お前たちが盗み聞きなんてしていたせいで、出来なくなっているんだが?」

 

 大男の言葉に、2人組の女、特に朱色の髪の女が冷や汗でもかいているような感じで焦った表情になり、慌てながら言葉を発する。

 

「え、あ、いや…………それについては、いきなりこいつが扉にポイントカードを投げてきたせいで、あたしは……………」

 

「奏、言い訳が苦しすぎるよ」

 

「…………奏」

 

「………………………………」

 

 青髪女と大男の言葉に、朱色の髪の女はさらにばつが悪そうな顔になっていく。

 

「そ、それじゃ! あたしらもう戻るわ! じゃあなおっちゃん!!」

 

「あ!? まっ待って奏!!? …………えっと、黒いノイズから私達を助けてくれてありがとうございます! それじゃ!!」

 

 少々重苦しい空気となり、朱色の髪の女は耐えられなくなったのか、この空気をぶち破るように声を張り上げて病室から出ていった、最後にもう一度だけ俺に目線を配って。

 そして青髪女も朱色の髪の女の急な行動に慌てて、病室から出ようとしたが、助けてくれたことに感謝をして俺に向かって頭を下げてお礼を言って去っていった。

 

 

「………………………………」

 

 去っていく2人組の女を見ながら、俺は少々気まずそうな顔になってしまう。なにせ少なからず敵対していたのだ、それなのに敵対していた相手にまたお礼を言われるのはどうにも変な感じである。

 

 そのため、俺は気まずい顔でポリポリと人差し指で頬を掻いた。

 

「あー、っとなんだ。騒がしくてすまない」

 

 俺が無言でいると、大男も罰が悪そうな顔で俺に向かって謝罪をしてきた。

 

「別に…………なにかと楽しそうでいいじゃねえか」

 

 しかし俺は、大男の謝罪を気にすることなくぶっきらぼうに返した。

 

 

「まあそれでなんだが! 先程言ったように、俺達の組織に来ないか?」

 

「………………………」

 

 大男の台詞に、俺はまた無言となる。だが無言となりながらも、思案もしているが。

 

「…………もし君のその無言が答えだったら、一体どっちなんだ?」

 

 俺が無言になったことに、大男は疑問ながらも俺の答えを聞いてきた。そんなことを言う大男に、俺は面と向かって聞くことにした。

 

「1つ聞きたい、もしここで俺がNOと言ったらどうなる? 俺を拘束して監禁でもするのか? そして従わない場合は俺の家族や友人を人質にでもして強制的にでも従わせるのか?」

 

 言いながら、俺は大男が言葉を返す今のうちに、俺の頭の中に浮かんでいることを、遠慮なく口にする。

 

「そんなことをすれば俺は遠慮なく暴れるぜ、あの力を使ってこの組織もろとも上の連中も調べ上げて暴れさして貰うぜ。…………てめえらを全滅させることぐらい、簡単に出来るんだよ!」

 

 最後にそう言って、俺は鋭い瞳で大男を睨み付けた。俺のその目に大男は真剣な目、真剣な声で言い返してきた。

 

「そんなことは絶対にさせない! 君や君のご家族、君の周りに居る友人達は俺達が全力を尽くして守ることをここに誓う!」

 

「………………………」

 

 大男のこの言葉に嘘偽りはないのだろう。だがそれでも俺は信用できないものがあるため、はっきりと言葉にさせてもらうことにした。

 

「あんたのその言葉に嘘偽りはないんだろうな。…………それに俺が力を貸せば、お前らの負担はかなり減るだろうしノイズの対策も打てる。…………でもよ! それで終わらないのが『国』であり『軍』だろ!?」

 

 俺は止まることなく、続けて言う。

 

「お前らの事は多少なりとも信用していいんだろうが、それでもお前らの上層部は信用できないんでな! 現実離れした力を手中に収めたとき、簡単に人の道から逸れるのが政府の人間じゃねえのか!?」

 

 この俺の台詞を聞いた大男が、次には複雑と驚愕の入り混じった顔になり、俺を見ながら大男は言葉を出した。

 

「…………これは驚いたな。俺よりも年下なのに俺よりも世界の仕組みを理解してそうな口ぶりだ…………」

 

 大男の台詞に俺は無言で視線のみをぶつけるが、心の中でのみ発言する。

 

(ま、ある特撮ヒーローで国や軍、そして人間の『欲』を

題材にしたものがあったからな。…………あれのお陰で俺は、力を持つ人間がどれだけ愚かで最低なのかよく勉強できたみたいなもんだけどな)

 

 心の中で発しながら、地味に生きていたかつての俺自身のことを思い出していた。

 すると俺の言葉に納得でもしたのか、大男は深く頷けばそこから言葉を口にした。

 

「…………確かに君の言う通りだ、君のその力のことを考えれば、上の連中はノイズの対処だけでなく、下手をすれば君にとって望んでいないことを企む可能性は大いにあるだろう」

 

 大男は言葉を止め、一呼吸置いて再び口を開いた。

 

 

「…………だが君をそんな危険な欲から守るのも、俺達の務めでもあるんだ! だから信じてくれないか? 俺達のことを信じて、是非とも力を貸してくれないか!?」

 

「…………例えお前らがまともであろうと、あの2人組の女を戦場に出しているようじゃ、信用も信頼も置けやしねえよ…………」

 

「そうか…………分かった」

 

 俺の言葉に大男はゆっくりと顔を下げるが、すぐにまた俺の方に顔を向けた。

 

「なら俺は少し大事な話し合いがあるからここで失礼する。それと、君の傷は処置をしたとは言えまだまだかなり深い、もうしばらくほど安静にして横になっていてくれて構わない」

 

「…………ふんっ、どうせ家族からの怒りの説教コースは確定してるんだ。暫くはゆっくりするさ、だが15時過ぎになったらここから出ていかせて貰うぜ!」

 

「ああ、その時はここから出られる場所まで案内するさ」

 

「それと、俺の大事な相棒も返してくれねえか? あれは俺にとって家族や俺の命と同じぐらい大事なものなんでな」

 

 そう言って大男が出ていこうとしたが、その前に俺の相棒であるゲキリュウケンを返して貰おうと口にしたが、大男はこう言った。

 

「あれについては君が帰る時に返す。安心してくれ、君の大切なものは破壊したりしないさ。…………それにしてもあのオモチャのようなものを相棒と言うことは、君の力の秘密にはあのオモチャが関わっているようだね?」

 

「……………………チッ」

 

 やはりこの大男は、ここの司令官を勤めているだけはあり、こいつの目利きなどもあって、俺の言葉から俺の力の事があれにあることが分かってしまい、余計なことを言ってしまった自分自身に対して舌打ちをする。

 

「ふっ…………大人しくしてろよ。じゃあな」

 

 不適な笑みを俺に向けて、大男は病室から去っていった。

 

 

 

 

 

 プシューと扉が閉まり、機動二課の司令官である風鳴弦十郎は病室を出て、そして剣二がいる病室のドアをなにやら悲しそうな目で見ていた。

 

「…………俺達は彼から信頼や信用どころか、一切の心を開いて貰えていないな。…………ある意味自業自得とも言えるが、悲しいものだな」

 

 そんな言葉を小さく呟けば、弦十郎が持つインカムから連絡が入った。

 

『司令。大丈夫でしたか?』

 

 通信相手は先程と同じ緒川慎次であり、弦十郎はいつも通りで通信を開けば、剣二が居る病室から離れるように歩き出した。

 

「ああ緒川か。…………この通り無事さ、ただ彼からは全く持って心からの信頼も信用も得られていないがな」

 

『…………そうですか』

 

 弦十郎の言葉に緒川慎次は静かに返答するも、弦十郎の方はそんなことなど気にすることなく言葉を返した。

 

「それより緒川、司令室に奏や翼、みんな揃っているか?」

 

『はい。揃ってはいますが、桜井さんは彼の私物を解析していて、連絡しても出てくれませんが』

 

 それを聞いた弦十郎は、少し頭を抱えながら一度「ハァー」と溜め息を吐いた。

 

「了子の奴め、悪い癖が出たな? 彼が怒るような余計なことをしていなければいいが…………そっちに着いたら俺自身からも連絡をする」

 

『はい、分かりました。お待ちしております司令』

 

 緒川慎次はそう言って通信を切り、弦十郎は司令室に向かって歩み出した。

 

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 

 

 プシューと扉の開閉音がすれば、機動二課の司令官を勤める風鳴弦十郎が入ってきて、最初に気付いたのは姪の風鳴翼であり、喜びながら弦十郎に声を掛けた。

 

「あ、叔父様。お帰りなさい」

 

「おっちゃん大丈夫だったか?」

 

「「「司令ッ!!!」」」

 

 

 翼に続いて、奏が本心なのかどうか分からない感じで声を掛け、最後には司令室に居た隊員たちが弦十郎に向かって敬礼をした。

 

「そこまで畏まらなくても良いといつも言ってるだろ? 楽にしていてくれ」

 

 組織上の体裁ゆえ仕方ないとは言え、隊員たちの行動に弦十郎は苦笑した。

 

「司令、お疲れ様でした」

 

「ああ緒川。そう言えば彼の事なんだが、なにか分かったか?」

 

 隊員たちの次に、部下の緒川慎次が弦十郎に声を掛ければ、弦十郎は緒川慎次に顔を向けてあることを聞いた。

 

「ええ…………まあ、彼の免許証で身元などが色々と分かったんですが、それでも私達が知りたいと思うようなものはありませんでした」

 

「それでも良い、聞かせてくれ緒川」

 

「緒川さん、あたしもあいつのことを知りたいから話してくれよ!」

 

 緒川のあまり見たことのない困った表情を見た弦十郎は、例え自分達が求めている情報ではなくとも伝えてほしいと願い、奏も弦十郎に続いて言い放った。

 

「…………分かりました。彼について説明を始めさせていただきます!」

 

 その言葉を聞いた緒川は、意を決してリュウケンドー変身者である立花剣二の説明に入った。

 

「彼の名前は立花剣二。1994年10月15日に誕生、現在の年齢は18歳で、城南大学人文学部に所属している青年です。家族構成は父親と母親、それと母方の祖母と妹の立花響さんとの5人家族で暮らしているそうです」

 

「ふむ」

 

「へぇ…………あいつには、妹がいるんだな」

 

「あ、奏…………」

 

 一旦緒川が言葉を区切れば、弦十郎は顎に手をやって考えて、そして剣二に妹がいるのを知った奏は、微笑みながらも辛そうな顔で暗く俯いていた。奏のその表情を見た翼は、いたたまれなくなるも相棒の名前を言うしかなった。

 

 天羽奏がこうなってしまうのには理由があった、それは彼女も立花剣二と同じく妹が居た。だが彼女の妹は、幼くして両親と共にノイズに殺されてしまったのである。

 

「…………緒川さん、続き聞かせてくれないか?」

 

「……………………分かりました」

 

 司令室が少し重い空気になるも、奏自身が破って緒川に立花剣二についての説明を求め、奏の言葉に緒川は頷き、立花剣二の説明を再開した。

 

「その、立花剣二さんなのですが…………彼自身や彼のご家族には怪しいところはありません。寧ろ一切と言っていいほど戸籍上も経歴上も家族全員普通の一般市民です」

 

「なんだと…………!?」

 

「はあぁぁっ!?」

 

「それは本当なんですか!? …………緒川さん?」

 

 緒川の調査結果の報告に、弦十郎は目を見開きながら驚愕し、奏は大口を開けて驚きの声を上げ、翼は冷静な雰囲気で緒川に問うた。

 

「ええ。私自身も最初、驚きを隠せませんでした。ですが…………逆にこれだけなにもないのが逆に怪しさを感じさせるのですが、彼の両親や祖父母も今出来る範囲で調べた結果、全くもっての真っ白でした」

 

 緒川の台詞に、弦十郎は顎に手を当てて考えながら口を開く。

 

「なら。彼の両親のどちらかが、不思議な力を持つ家系と考えるべきなのか?」

 

「そちらの方も考えて現在調べていますが、大方それらしいものは出てこないと思われます」

 

「……………………そうか」

 

「つまるところ八方塞がりってやつか」

 

「そうなりますが、まだ彼について深く調べているところですので、そこになにかあるかもしれません!」

 

 

 話し合いでそこまで辿り着くと、司令室に居る皆が黙り込んでしまうが、風鳴翼が叔父の風鳴弦十郎に向かって口を出した。

 

「それでは叔父様、了子さんにそろそろ連絡を入れても良いんじゃないでしょうか?」

 

「了子にか…………?」

 

「はい。了子さんなら、きっと既に彼が持っていたキーホルダーと鍵。それと私が回収したもう1つの鍵は解析できているんじゃないかと?」

 

「……………………………」

 

 翼の言葉に弦十郎は腕を組み思案する。数秒ほど思案すれば、腕組みを解いて言った。

 

「翼の言う通りだな。俺達だけで考えてもなにも分からん、了子の方がどうなってるかも分からないが、多少なりとも解析できているだろう」

 

 そう言って弦十郎は、膝を叩いて立ち上がった。

 

「とりあえず、了子に連絡を入れてみるか!」

 

 そうして立ち上がった弦十郎は、研究班に連絡を入れるため、近くにあったマイクを手に取り、研究所に連絡が入るよう機器を操作していく。

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 

 機動二課 科学研究所。

 

 研究所では、白衣を着た科学主任の桜井良子を筆頭に、白衣を着た多くの科学者が忙しなく動いていた。そしてモバイルモードのゲキリュウケンを解析している桜井了子は、真剣な目付きでゲキリュウケンを見ながら解析データの方も見るが、1度それから目を離し椅子に背を凭れかけて「ふぅ~」と溜め息を吐いた。

 

「桜井主任、こちらの解析結果が出ました」

 

「こちらも、全ての鍵の解析が終わりました」

 

 自分と同じ科学者で、助手の声を聞いた桜井了子は、椅子を回して部下の方に振り向いて言った。

 

「そう。…………それでどうだったかしら、解析の方は?」

 

「「……………………」」

 

 了子の助手を務める2人は、互いに顔を見合わせると、先に男の方が報告をした。

 

「解析結果なのですが…………未確認の騎士が持っていた絵柄の鍵は解析してもなにもありませんでした」

 

 男がそう報告すると、女の方もこくりと頷いて報告をする。

 

「こちらも同じでした。翼さんが回収したキーも含めて解析しましたが、その全てなんの解析結果も得られませんでした…………」

 

「…………………………」

 

 部下2名の報告を聞いた了子は、肩を落として残念そうな顔をする。了子のそんな顔を見て部下2人は申し訳ない顔になってしまうが、男の部下は桜井了子が解析した龍の顔をしたキーホルダーについて問うた。

 

「あの、桜井主任。主任が解析していた龍のキーホルダーはどうだったんですか?」

 

「………………………………」

 

 男の言葉を聞いた了子は、真剣な表情をする。桜井了子のそんな表情を見た2人は、同じく真剣な表情で了子を見て生唾を飲み込む。

 

「「……………………………………」」

 

 しかし真剣な表情から、すぐに了子は疲れた顔となって簡潔に答えた。

 

「こっちもなにも分からなかったわ。何度解析してみてもErrorの文字しか出てこないのよ~」

 

 

 半ば泣きそうな声で了子は言って項垂れ、それを見た部下の科学者は「「そ、そうですか」」と苦笑いをしながら言った。

 そんな2人の反応を気にも止めず、了子は続けてズラズラと言葉を並べながら喋り出した。

 

 

「大方と言うか。…………完全に彼の力には100パーセントあのキーホルダーみたいなものと、あの妙な絵が入った鍵にあると思うのよ。それで龍のキーホルダーには色々な方法で解析を試みたんだけど、全てに置いてError反応、翼ちゃんが回収して持ってきた鍵も調べたんだけど、それもError反応が出たり、なんの反応も出なかったりなのよ。一体あの子が持っている力ってなんなのかしら? 多分このキーホルダーみたいなものも、未確認の騎士が持っている剣だと思うんだけど?」

 

「「…………………………………………」」

 

 了子のありとあらゆる過程を出す話に、2人の科学者は納得して頷くも、毎度毎度了子の長話に付き合わされているのか、少々うんざりしているような感じである。

 

 

 そんな時である…………。

 

 

「桜井主任。風鳴司令から連絡が来ています!」

 

「あ、そうなの。通信回線ごと映像も開いてくれる? モニターで話し合うから」

 

「了解しました」

 

「「ッ…………」」

 

 研究班の1人から、機動二課の司令官を務める風鳴弦十郎から連絡が着たのを聞かされた了子は、すぐにそちらの方へ振り向きモニターも開いてくれと指示を出し、その連絡を受けた1人は了承して機器を操作していき、風鳴弦十郎から連絡が来たのを聞いた、了子の話を聞かされていた2人はその事に喜び、了子に気付かれないよう小さくガッツポーズをしてハイタッチをした。

 

『了子。出てくれたか』

 

「連絡してくるなんて、どうかしたの弦十郎君?」

 

『ああ…………まあお前の悪い癖が出ていないかの確認と、こっちで色々と話し合ったんだが、どうにも纏まらなくてな。それでそろそろ解析の方も終わっているだろうと思って連絡を入れたんだ』

 

 そう言いながら弦十郎は、真剣な表情へと変わり了子に尋ねた。

 

『それで了子、解析の方はどうだった』

 

「「「…………………………………」」」

 

 弦十郎の言葉に、ゲキリュウケンを解析していた了子とマダンキーを解析していた2名が同時に顔を見合わせる。そして桜井了子がモニター越しの弦十郎を見ながら告げた。

 

「ごめんなさい弦十郎君。今ここにあるもの全てで調べてみたんだけど、なにも分からなかったわ」

 

『…………………………』

 

 弦十郎にそう報告すれば、了子は申し訳ないという顔をするが、それに気付いている弦十郎はいつも通りの口調で話した。

 

『そうか、そう気に病むな了子。こちらとしても彼が所持していたモノが解析できなかったのは残念だが、解析できなかった程度でお前を攻めはしないさ』

 

「ありがとう…………弦十郎君」

 

 弦十郎の言葉に、了子は優しい微笑みを称えてお礼を言った。了子の笑みに弦十郎も笑みを返すがそれも束の間、すぐに口をへの字にして腕を組んで言う。

 

『しかし彼自身から聞いたが、あの龍のキーホルダーのようなものとあの奇妙な鍵が…………彼のあの謎の力に関係しているのは確かだが』

 

「えっ、弦十郎君! 彼からこれのこと聞いたのッ!?」

 

 弦十郎の台詞を聞いた了子は、驚愕の声を上げながらも、剣二が使用している魔弾龍の力について問い詰めた。

 弦十郎の方も少々驚き、慌てながら了子に向かって言葉を訂正した。

 

『い、いや…………そうじゃなくてだな! 彼自身が言ったんだ。あの龍のキーホルダーのことを〝相棒〟と、それを考えるのなら彼の力はそれにあると踏んだんだ』

 

「そうなの…………」

 

 弦十郎のその言葉を聞いた了子は、解析用の機材に置いてあるゲキリュウケンに目を向けた。

 

『それより了子。お前からの仮説を聞きたいんだが、解析できずとも科学者のお前から見て、彼のあの力はどう見える?』

 

 了子がゲキリュウケンに目を向けていれば、弦十郎は了子がゲキリュウケンを見ているのに気付き、弦十郎は人類の希望であるシンフォギアを開発した第一人者である桜井了子から、彼女から見て魔弾剣士リュウケンドーがどれ程のものか聞いておきたかったのであった。

 

「…………私の見解からしても彼のあの力、あれはシンフォギアと同等…………いえ、簡単に凌駕していると思われるわ」

 

「「「!!?」」」

『『!!?』』

 

『やはり、了子から見てもそう考えるか…………』

 

 了子の言葉を聞いた科学者3名とモニター越しの奏と翼は、小さな驚愕の声を出して顔を強ばらせた。そして司令官である弦十郎は、腕を組んで1度考える仕草をして言う。

 

「それに、もし彼のあの力がこの龍のキーホルダーと奇妙な鍵にあるとすれば…………これは私たちが今まで出会った聖遺物を越えた聖遺物と考えてもいいわ!」

 

 新たに了子が言ったことに、最早回りにいたものやモニター越しからのものたちも、言えることがなにもなかった。

 しかし、そんな中でも弦十郎は小さな溜め息を吐いた後で、言葉を告げる。

 

『…………了子にそこまで言わせるとはな、一体彼はあの力をどうやって持ったんだ?』

 

「その彼についてなんだけど? なにか分かったことってあるかしら?」

 

『緒川が調べてくれてはいるが、今のところそれらしい情報は全くない』

 

「そう…………そうなれば彼自身があの力をどこかで手に入れたって言うことになるのかしら?」

 

『それも充分に考えられるが、そうなると調べるのはかなり厳しいな。彼が行った場所を調べるには手掛かりが必要になる。それにあの力について彼自身が素直に話してくれるかどうか…………彼は俺達に凄まじい敵意を向けているからな…………』

 

「それを考えると、どうしようもないわね。…………ノイズの対抗策が聖遺物しかなくて、使えるのが奏ちゃんや翼ちゃんだけ。でも彼からすれば、それは何よりも許せないことみたいでしょうし」

 

 弦十郎と了子が互いに話し合いをして、周りに居るものはただ静かに、2人の話し合いを邪魔しないように黙っていたが、その時である。

 

「桜井主任ッ! 龍のキーホルダーがいきなり光り出しました!?」

 

「なんですって!?」

 

 ゲキリュウケンがいきなり光り出したことに、1人の科学者が驚きながらも桜井了子に報告すれば、その報告を聞いた桜井了子は驚きの声を上げながらそちらの方に振り向いた。

 

 すると…………。

 

 

 ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!

 

 

 それと同時に、機動二課全域からノイズの出現を報せる警報が鳴り響いたのである。

 

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 

 

「「「!!??」」」

 

『『『!!??』』』

 

『もしかしてこの光は、ノイズの出現を報せる光!?』

 

 ノイズの出現の警報に機動二課の面々は驚愕と戦慄の顔となるも、研究所へのモニターは着いたままでありながら、桜井了子の発言も気に止めず、弦十郎は素早くオペレーターの藤尭と友里に顔を向けて問うた。

 

「藤尭。友里。報告を頼む!」

 

「はい! 市街地から少し距離のある一方通行の道から複数のノイズが出現!」

 

「個体はクロール、ヒューマノイド、ダチョウ型ヒューマノイド、そして後方にギガノイズが5体!! 既に多くの犠牲者が出ています!?」

 

 2人の報告を聞いた弦十郎は、次に天羽奏と風鳴翼の方に顔を向けて言う。

 

「奏! 翼! かなりの怪我を負っているところすまない、だが彼を出撃させるわけにも行かない! お前たち2人で対処してくれるか!?」

 

「ああっ、あたしらに任せろおっちゃん!」

 

「はいっ、彼はあの黒いノイズとの戦いで私達より傷付きました。ならば彼の変わりに私達が戦うのは当然のことです!」

 

 2人の強い言葉を聞いた弦十郎は、真剣な表情で頷いて続けて言う。

 

「頼むぞッ2人とも!」

 

 弦十郎の言葉に、奏はサムズアップをして翼は静かに頷き、走って司令室を出た。

 

「よしっ、了子。お前たちはそのまま待機してくれ、彼の私物の解析はもうしなくていい」

 

『えっ? まだ他にも解析する方法はあるのに、やらなくていいの?』

 

 奏と翼の2人が司令室を出たのを見送った弦十郎は、次にモニターに映り出されたままの研究所に通信を再び入れて、桜井了子たちに指示をする。

 その指示を聞いた了子は、疑問を上げながら弦十郎に問えば、弦十郎はまた頷いて言葉を発する。

 

「ああ、あまり下手なことをすれば彼の怒りをさらに買ってしまうからな。出来ることならそれは避けたい」

 

『…………分かったわ弦十郎君。それじゃあこれ以上の解析は止めておくわ』

 

「ああ、そうしておいてくれ。それから俺は彼が居る病室に連絡を入れるから、ここでの連絡は終わらせる」

 

『はいはーい、じゃあ後でね弦十郎君』

 

 その言葉を最後に、弦十郎は研究所の連絡を切った。

 

 

「司令、奏さんと翼さんがヘリに乗りました」

 

「分かった。友里、彼の居る病室に繋いでくれ」

 

「了解しました」

 

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 

 

(あの女の顔…………やっぱり、あの時の?)

 

 俺はベッドに寝っ転がりながら、あの朱色の髪の女のことを考えていた時である。

 

 ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!!

 

「ッ!! これはノイズの出現警報!?」

 

 大男が出ていった後、時間が来るまでここから出られない俺は、どうにか時間を潰そうと思ったがなにも出来ず。寝る気も起きないが、この体じゃトレーニングも出来ないので、私服に着替えてベッドで寝っ転がるのを選択。

 

 ただベットにボーッと寝っ転がることに10分以上経てば、いきなりノイズの出現を報せる警報が鳴り響いて、俺は驚きながらベッドから飛び起きた。

 

「しまった…………!? ゲキリュウケンが奪われちまったから、奴らの出現が分からなかったんだ。クソッ!? こんなことなら無理矢理にでも返しといて貰えば良かったぜ!」

 

 そんなことを言っても遅いのだが、それでも俺は言葉にしなければ気が済まなかった。

 

 

『立花剣二君。聞こえるか?』

 

「!!?」

 

 いきなり俺の名前が呼ばれたことに驚き振り向くが、振り向いたところには小型のスピーカーが設置されており、人間を辞めている大男の声が届く。

 

「おいっノイズが出現したんだろ? なら俺の私物を返せ! 俺もノイズと戦う!」

 

 だが俺はそんなことも気にせず、ゲキリュウケンを返せと大男に言う。ノイズが出現して人間を襲っているのなら、指を咥えて黙って見ているわけにはいかない、俺の全てを懸けて戦わなくてはならないのだ。

 

 

 しかし、大男が出した言葉は、とても信じられないものだった。

 

『…………ダメだ』

 

「は…………ふざけんなっ!? ノイズが出現してるのに、俺には出るなって言うのかよ? 傷を負っているあいつらだけじゃ危険だろうがっ!」

 

『それでも2人より傷を負っている君よりはまだマシだ! 君は黒いノイズと戦ってかなりの大怪我を負っているんだぞ!? 下手にノイズと戦えば、君の命に関わりかねないんだ!?』

 

「俺は元からその覚悟で戦ってんだ! それぐらいの覚悟がなきゃ、今ごろ俺はノイズとの戦いから逃げ出してる!」

 

『…………………………』

 

 俺がそう言えば、スピーカーから大男の言葉が止まるが、それも数秒程であり、すぐに大男からの返答がきた。

 

『…………それでもダメだ。悪いが君にはここで大人しくしておいてもらう』

 

「トウシロウどもに任せろって言うのか? あんな中途半端な力じゃ、下手すりゃ二次被害も起きるぞ!」

 

『そんなことは決して起きない。悪いがここはあの2人とシンフォギアを信じてくれ』

 

「シンフォギア? …………なんだよそりゃ?」

 

『…………………………』

 

 聞いたこともない単語に俺は疑問の言葉を出して、大男にそのシンフォギアについて問うた。

 すると大男は1度無言になるも、シンフォギアというものの説明を始めた。

 

『…………シンフォギアについては一般人には極秘なんだが、君になら説明してもいいだろう』

 

「…………………………」

 

『シンフォギアというのは聖遺物、世界各地の伝説に登場する、超古代の異端技術の結晶の総称だ。現代の技術では製造不可能なオーバーテクノロジーの産物でもある』

 

 大男は休むことなく説明を続けていく。

 

『その中で遺跡から発掘される物は経年劣化や破損が激しく、廃棄物でしかない欠片が大半を占めていて、従来の力を遺した物はほとんど存在しない。だが…………極一部に本来の力を留めながら基底状態のものが存在している、聖遺物の力を引き出す素質を持つ者がな』

 

「……………………」

 

 俺は余計な口を挟まず、大男が教えているシンフォギアについて、一字一句聞き逃さないよう聴覚に全神経を集中させた。

 

 

『シンフォギアは聖遺物の欠片のエネルギーを用いて構成される鎧型武装、またはそのシステムの呼称をシンフォギアと俺達は名付けた。その欠片の中に残った聖遺物の力が、適合者による波動によって活性化しエネルギーに還元された後、鎧の形に再構成される』

 

 シンフォギアの説明に俺は沸々(ふつふつ)と怒りが沸いてきて、鋭い目付きに変わっていき、握り拳を強く作って、そこから血が流れるのが理解できた。

 

『シンフォギアを装着する適合者は装者と呼ばれる。ギアが装者にもたらすものは、身体機能の上昇、音波振動衝撃によるノイズの侵食を防護するバリアコーティング機能、更にはノイズの在り方を調律し人間界の物理法則下に強制固着させて攻撃を有効化する、位相差障壁の無効化の3つに大別されるんだ』

 

「つまりるところ、てめぇらは貴重な文化遺産をノイズに対抗する兵器に変えて、力を引き出す素質を持ったあの2人を戦場に出してるってわけか?」

 

『まあ…………その答えで概ね間違ってはない』

 

「はっ胸糞悪くてしょうがねえぜ!」

 

 シンフォギアについてのことを聞いた俺は、悪態を吐きながらも頭の中でもう1つの答えも出した。

 

(聖遺物と適合者ね。…………ほとんど魔弾戦記リュウケンドーと同じってことか、ゲキリュウケンも遺跡で発掘された古代文明の遺産だから聖遺物と言ってもいいし、魔弾龍たちの力を使いこなすには適合者が必要だからな。ほとんど)

 

 俺個人で納得と理解はしたが、それとこれとでは話が全くもって違うため、俺は大男に進言をした。

 

「なおさら余計に俺も出撃させろ! そんな危険物で戦ってたらなにが起こるか分かんねえだろッ!」

 

『何度も言わせるな! 君はただでさえ、前例のなかった黒いノイズと死闘を演じて重症を負っているんだ! そんな君をノイズとの戦いに出して、もしなにかあれば俺は君の家族にそれを報告しなければならないんだぞ!』

 

「そんなもんお前らが気にすることじゃねえ」

 

『…………悪いがあの2人がノイズを完全に消滅させるまで大人しくしていて貰う』

 

 大男は最後にそう言って、俺との通話を一方的に切りやがった。

 

 

「クソッタレ! これだから政府に所属している頭でっかちの大人は嫌いなんだよっ!」

 

 大男の対応に、俺は叫びながら、近くにある医務室のベッドを思いっきり蹴った。

 

 

 

『…………聞こえるか?』

 

「はい司令、聞こえます」

 

「どうかしましたか?」

 

 剣二がいる医務室の扉の前では、軍服を着た男性2名が立っていた。肩にはスリング付きのアサルトライフルを掛け、腰にはホルスターを巻き付けサイドアームの自動拳銃を装備していた。そして耳には通信用のインカムを付けており、司令官である風鳴弦十郎から連絡がきてそれに応答した。

 

『大丈夫だとは思うが、もしかすれば彼がなにか行動を起こしてここを強行突破するかもしれない。念には念を入れてしっかりと警戒していてくれ』

 

「了解です。任せてください」

 

「我々がいればすぐに取り抑えることが出来ます。あの男もそう簡単に出ることはしませんでしょう」

 

 そう簡単に剣二の見張りをしている軍人2人だが、彼らは驚愕することとなる。立花剣二はこの後とてつもない手を使い、この機動二課から脱走することになるとは知る由もないのだ。

 

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 

 

 立花剣二が弦十郎から出動を拒否させられている時、シンフォギア装者である天羽奏と風鳴翼は、軍用ヘリに乗って複数のノイズが出現した現場に向かっていた。

 

 魔弾剣士リュウケンドーの変身適合者である立花剣二が、自分たち以上の大怪我を負っているため、剣二の変わりに自分たちが、今回現れた大多数のノイズと戦うことを決めた。

 

「奏さん。翼さん。もうすぐ現場に到着します、準備を!」

 

「はいッ! 分かりました!」

 

「任せときな、あいつの分まであたしらが戦ってやるさ!」

 

 そんなことをヘリコプターのパイロットと話し合っていれば、ヘリはノイズの大群が居る真下へと到達した。

 

「奏さん、翼さん、お願いします!」

 

「風鳴翼。…………行きます!」

 

「一気に殲滅してやる!!」

 

 到達とともにヘリのパイロットが声を掛け、奏と翼の2人は勢いよく扉を開けてヘリから飛び降りた。

 

 そして2人の歌姫はノイズと戦うための力である、シンフォギアを呼び出すための聖詠を口ずさんだ。

 

 

「Croitzal ronzell gungnir zizzl」

 

「Imyuteus amenohabakiri tron」

 

 聖詠を口ずさめば、オレンジ色の光と青色の光が2人の体を包み込み、そこからシンフォギアの鎧を身に纏っていった。

 

「しゃあッ!」

 

「はあぁッ!」

 

 シンフォギアを身に纏えば、2人は降下しながら互いの得物を持った。

 

「翼! ノイズはいつも以上の数だ。短期決戦を考えて全力の速攻で倒すぞ!」

 

「うんっ! 奏、私もそう思ってたところ。一気に行こうっ!」

 

 そう言って、天羽奏は自分が纏っている聖遺物ガングニールの武器である。槍をノイズに向かって投げ付ければ、その槍が大量に複製され、ノイズの大群へと迫る。風鳴翼も自らが纏っている聖遺物天羽々斬(あめのはばきり)の周囲から、無数の青いエネルギー剣を出現させ、ノイズの大群に狙いを定めて放った。

 

『『『『『!?!?』』』』』

 

 上空から大量の槍と青いエネルギー剣が迫ってきたことに驚愕するノイズ、シンフォギアの攻撃はなんの躊躇もなくノイズたちに炸裂し、なんの対処もできずにノイズの大群は炭素へと変化した。

 

「まだまだぁッ!」

 

「行くぞノイズッ!」

 

 しかし、シンフォギア装者の奏と翼は止まることなく、槍と剣を力強く握り締め、ノイズへと振るった。

 

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 

 

「…………やっぱ、黙って待ってられるか!」

 

 ベッドに腰を掛け考えるポーズをしながら大人しくしていた俺だが、やはりあの危険すぎる生命体どもをただ黙って放っておくことなど出来るわけもなく、俺はベッドから立ち上がって自動ドアを軽く触れながらも確認する。

 

(システム的には解析できれば開けられる。内部の回路を出して別々に直結させてショートさせるのもいける。だが手としてはダメだな、いくら奴らがノイズに集中しているとはいえ、電極に下手なことをすれば監視カメラかモニターでバレて、ここから出られなくなるかもしれない)

 

 ドアに軽く触れながら、ここから脱走するための思考を巡らせるが、ほとんどの方法は失敗するかもしれないと考えになってしまった。

 

「となれば、速攻のスピード勝負でここから出るしかないな」

 

 口にしながら決めた俺は、棚の上に置いてある財布と免許証を尻ポケットに入れて、スマホはすぐに取り出せるように右ポケットに半分だけ入れた。

 

「よしっ、やるとするか。…………地獄のような日常を生きてる現代学生を嘗めるなよ!」

 

 そう言って俺は、右足に履いているスニーカーの靴底を向けスライドさせた。靴底の半分を後ろへとスライドさせ、中にあったのは小型爆弾である。

 因みに小型爆弾は機械で被せられながらも、導火線が出ている爆弾であり、この爆弾には殺傷性は全く持ってないが、ドアノブ等の小さなものを破壊することぐらいは出来る威力はある。

 この自動扉を開けるため、俺はそのすぐ近くにある操作機器に小型爆弾を設置して、次に左足に履いているスニーカーの靴底を向け、靴底の半分をスライドさせれば、そこには10本のマッチが収納されており、マッチが収納されている近くには側薬が付いている。

 

(頼むぜ。なんとか開いてくれよな)

 

 俺は心の中で祈りながらマッチを1本取り出し、側薬に触れさせシュボっとマッチの火を着けた。

 そしてそのまま着火したマッチを小型爆弾の導火線に着け、導火線に火が着いたことにより、その火が走っていき爆弾を爆発させようとする。

 俺は少しだけ自動扉から離れ、この扉が開くことを祈りながら体を伏せた。

 

 

 

 

「? おい、なんか変な音がしないか?」

 

「そうか? 俺には聞こえないが?」

 

 ボカァァァーーーン!!!

 

「「!!?」」

 

 爆発音に扉の前に居た見張りの軍人は驚くが、運良く自動扉の機能がイカれたのか、自動扉は白い煙を周囲にあげながら、扉は半分ほど横にスライドした。

 

「な、なんだ!?」

 

 軍人の驚いている声など無視して、俺は半分ほど開いた扉を体を横にして飛び出て、目の前にいる1人の兵士に渾身の右ストレートを放った。

 

「なっ!?」

 

「この野郎ッ!」

 

「ぐほっ!?」

 

 男は鼻血を出しながら床へと倒れこみ、だが俺はそんなことに一切の心配も躊躇いも出さず、もう1人の見張りを担当している軍人に飛び掛かった。

 

「なっ!? なにをするっ!」

 

 男はそう言って肩に掛けていたアサルトライフルを俺に向けるが、そんなものを俺に撃ち放てば問題になるだろうし、ただの威嚇として向けたことを長年の経験で理解しているため、俺は止まることなくその男の顎に蹴りを浴びせた。

 

「ガハァッ!?」

 

 蹴りを顎に喰らったことで男の脳が軽く揺れたのか、男はフラフラしながら床へと倒れた。

 

「…………悪いな。俺にも譲れない覚悟があってな、力付くでいかせてもらったぜ」

 

 床に倒れた見張りの男2人に謝罪しながら言って、ここから離れようとするが、先程蹴って気絶させた男の右腰にハンドガンがあるのを見た俺は。

 

「ついでにこいつも借りるぜ、返すことは出来ないだろうが、護身用に持っていく」

 

 そう言って俺は、男が腰に装備しているホルスターからハンドガンを抜き取り、ダッシュでここから出られる扉を探すことにした。

 

「ふっ…………!」

 

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 

 

『司令ッ申し訳ありません! 緊急事態が起きました!?』

 

「どうした。なにがあった?」

 

『彼が、未確認の騎士の彼が…………脱走をしました!』

 

「なんだとっ!?」

 

 見張りをしていた兵士から連絡がきて、その連絡に弦十郎は応答すれば、兵士の報告に弦十郎は驚愕するもそれも数秒ほどで、素早く部下に指示を出した。

 

 

「藤尭、彼が脱走した。どうやって脱走したのかは分からんが、大至急彼の居場所を突き止めてくれ!」

 

「ッ、了解ッ!!」

 

 弦十郎の指示を聞いたオペレーターの藤尭朔也は、しっかりとした返事をしながら機器を操作して、立花剣二の居場所を探った。

 

「司令、見つけました! 彼はエレベーターの前に居ます。どうやらエレベーターを操作してここから出るようです!」

 

 モニターには、10名ほどの人数が入れるほどのエレベーターに向かって、なになら操作している脱走者・立花剣二の姿が映し出された。

 

 それを見た弦十郎は、素早く藤尭に新たな指示を出した。

 

「藤尭ッ! すぐにエレベーターを操作できないようにするんだ! 友里は付近にいる警備員に連絡を入れて彼を捕獲するようにしてくれ!」

 

「「了解ッ!!」」

 

 弦十郎の指示を聞いた藤尭と友里の2人は、返事を返して機器を操作して互いの役割を行おうとするが…………。

 

「あ、あれ…………?」

 

「ん? どうした藤尭?」

 

 機器を操作しようとした藤尭が戸惑いの声を出した。その声を耳にした弦十郎は、疑問の声を出しながら藤尭に声を掛けた。

 

 

「…………司令!? エレベーターの操作が彼に奪われてこちらの捜査を受け付けません!?」

 

「なっ、どういうことだ!!?」

 

「「「!!??」」」

 

 藤尭の言葉に、司令官の弦十郎を含め隣にいるオペレーターの友里あおいや二課にいる他の隊員たちも驚いていた。

 

「彼がエレベーターに乗り込みました。司令!」

 

「藤尭、エレベーターの操作権限を取り戻すことは出来ないか?」

 

「無理です。どうにも彼にこのエレベーターだけ操作を奪われています。このままでは確実に機動二課から脱走します。取り戻すには時間が掛かります!」

 

「なら彼がエレベーターから出てくる場所は分かるか?」

 

「それなら分かります。彼が出る場所は恐らく軍施設です!」

 

 現在、機動二課の面々は立花剣二に好きに動かれてしまったが、それでもなんとか彼を止めようと考え、弦十郎は藤尭に剣二がどこから出るのかを確認してもらった。それを聞いた弦十郎は「よしっ」と言いながら頷き、通信機に手を伸ばし、軍施設へと連絡を入れる。

 

 だが、それでも弦十郎の心の中では、今とてつもない驚愕と疑問が産まれた。

 

(どうやってあそこから出たんだ? 彼は一体何者なんだ?)

 

 そんな疑問が弦十郎の頭の中で渦を巻いていた。

 

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 

 

「! …………あれはエレベーターか? 一か八か賭けてみるか!?」

 

 この訳の分からないだだっ広い基地を走っていた俺だが、偶然曲がったところでエレベーターらしきものを見つけた俺は、さらに走るスピードを上げエレベーターらしき前まで来た。

 

「…………時間がねぇんだ。力付くでやらせてもらうぜ!」

 

 俺が入れられていた脱走する扉と同じ作りなのであろうエレベーターは、すぐ近くに操作機器があるが、そんなものの操作をする時間が勿体ないため、左手に持っているハンドガンを機器に向け弾丸を撃った。

 

「シッ…………おらぁぁぁッ!!!」

 

 弾丸を5発ほど放ち機器を壊した俺は、その機器の壊れた隙間に手を入れて、力付くで機器を引き剥がした。そして右ポケットに入れてあるスマホと電装系のケーブルを取り出し、ケーブルを引き剥がした内部の機器に突き刺してスマホの電源を入れ、スマホの中にある解析ソフトも起動させた。

 

「解析ソフト始動。奴らに捕まる前に早くしてくれ…………」

 

 スマホを身ながら祈り、解析ソフトがこのエレベーターの操作権限を奪取するのを1分1秒と待った。

 

「居たぞっ! あそこだっ!!!」

 

「ッ!? しまった見つかったか!!」

 

 しかし、エレベーターの解析をしている途中で、この基地の銃を持った軍人に見つかり、俺は焦りの顔を現してしまう。

 

「早くしてくれ!? ここで捕まるわけにはいかねえんだ! ッ!?」

 

 軍人が俺の元まで迫ってくるため、俺は焦りながら解析ソフトがエレベーターの操作を奪ってくれと、祈るように叫べば、その願いが通じたのかエレベーターの扉が開いて、俺は急いでエレベーターに飛び乗って扉を閉めた。

 

「よっと…………!」

 

「しまった!? クソッ、申し訳ありません司令! 後一歩のところで逃しました!!」

 

 

「……………………」

 

 軍人がなにか言っていたが、俺はそんなことを気にすることなく、エレベーターの電子表示を見ながら心の中で呟く。

 

(一体どこに出るか知らねえが、頼むぜ神様。こんなところで俺の運をなくさないでくれよ!)

 

 祈りながらも俺は目付きを変え、体を動かした。

 

 

 

「「「「……………………」」」」

 

 キンッという音を立てて、エレベーターは静かに開いた。エレベーターの扉が開くとともに、周囲に居る軍人たちは一斉に銃を向けた。

 だが、扉が開いたというのに、一向に誰も出てくることがなかったので、軍人たちは疑問に思いながらもゆっくりと近付いて、エレベーターの扉の前までやってくれば静かに立ち止まり、警戒を高めながらエレベーターの中を目を離すことをせず、隊長を勤めているような1人の軍人が、隣に居る部下に指示を出した。

 

「見てこい加納。全方位しっかりと警戒をしてな」

 

「…………了解」

 

 指示を聞いた加納という軍人は、上官の顔を見ながらも頷いて了承し、静かにゆっくりとエレベーターの扉まで近付き入ったその時。

 

「…………!」

 

「んなっ!!?」

 

「下手なことはするんじゃねえぞ。でないとこいつの頭を撃ち抜くことになるぞ?」

 

「「「「「!?!?」」」」」

 

「加納ッ!?」

 

 エレベーターの天井に張り付いていた俺は、1人の軍人が扉に入ってきたことを確認すれば、一気に軍人に飛び掛かり左腕を首に回し、軍人の右腕を無理矢理離して背中まで持っていき挟み込み、ハンドガンを持っている俺の右腕は軍人のこめかみに突き付けた。

 

 その光景に、扉の周りに居た軍人たちは驚愕の顔となった。

 

「こいつの頭を撃ち抜かれたくなかったら、今すぐお前らの武器を捨てて地面に膝を付けろ。そして両手は頭の後ろに持っていき、そこから動くなよ! さっさとしろ! やらなきゃこの人質を本当に撃つことになるぞ!?」

 

 思いっきり脅し全開だが、できることならこの軍人の頭を撃ち抜くなんてことはマジでやりたくない。

 

「あ、あぁ…………」

 

「わ、分かった。君の言う通りにしよう。全員武器を捨てて膝を付け、そして両手を頭の後ろに持っていって、一瞬たりとも動くんじゃないぞ!」

 

 恐らくこの軍人たちの指揮を任されている隊長らしき男が、武器を地面に置いて膝を付き両手を頭の後ろに持っていけば、周辺に居る軍人たちにそう言って、それを聞いた軍人たちは同じことをしていき、皆一瞬たりとも動かないようにしていた。

 

 それでも気が抜けないため、俺は全方位を警戒しながらハンドガンを軍人たちに向けながら、あるものに向かって足を進める。

 

「あ…………き、君がなにを思ってここから出てきたのかは知らないが、無駄なことはやめるんだ。こんなことをしてもここからは出られないぞ?」

 

 俺の手で人質となった軍人が、当初は驚愕と恐怖で声も出せなかったが、なんとか喉の奥から声を絞り出して俺に言ってきた。そんな度胸の良い軍人に向かって、俺はまた軍人のこめかみに銃を突き付けて言い返した。

 

「そんなもん知ったこっちゃないね、こちとら生まれたときからノイズと戦うことが決められてんだ。奴らを放って置くわけにはいかないんだよっ」

 

「な、なんだって? まさか君は…………」

 

 男がその先を言おうとした時であった。突如、近くに居た2名の軍人が立ち上がり、俺を取り抑え人質となっている男を解放しようとしたが…………。

 

 

「こっんのやろうっ! おらあぁぁっ! こいつの命がどうなってもいいってんだな!?」

 

 俺は派手に暴れて、襲い掛かってきた2人の軍人を引き離すように撥ね飛ばせば、先程より強く人質となっている軍人の男を締め上げ、叫びながらこめかみにハンドガンを突き付けた。

 

「わ、悪かった!? もうやらない!」

 

「俺も悪かった! だからやめてくれッ!?」

 

「悪かった! もうやらないから、どうか加納を撃たないでくれ!?」

 

 2人の軍人は手を上げて謝り、隊長らしき男も謝るが、俺は信用など出来る訳もなく、さらに全方位にハンドガンを向けながら警戒し、ある場所へと到達した。

 

「…………よしっキーも挿しっぱなしか」

 

「き、君の狙いはその偵察用オートバイだったのか?」

 

 軍人たちを警戒しながらも俺が手にしようとして居たのは、迷彩柄の軍人たちが使う軍用バイクであった。さらに運が良いことに、バイクのキーも挿しっぱなしであったのだ。

 

「ああ。流石にノイズの所まで行くには足が必要だからな、悪いがこの銃と同じで返すことが出来ないかもしんねぇけどな」

 

「…………ぐっ!?」

 

 そう言って俺は、人質にしていた軍人の男の背中を思いっきり蹴り飛ばした。蹴り飛ばされた男は苦痛の表情をしながら、大人しくしていた軍人たちの所まで飛ばされるも、なんとか別の軍人に助けられた。俺はそんなことなど気にもせずに、偵察用オートバイに跨がり素早くキーを回して起動させ、ハンドルを握りアクセルを捻りペダルを思いっきり踏み込んだ。

 

「邪魔したなッ!」

 

 軍人たちに振り向きそう言って、ノーヘルであるがオートバイを発進させた。

 

 

 

 オートバイを発進させ、あの場から抜け出した俺は、ノイズの大群が居ると思われる方へと顔を向ける。

 

「恐らくノイズが現れたのは南方方面、川原の大通り。ここからだと回り道をして行くことになるが、仕方ないか。…………あの凹凸女ども、頼むから無事でいろよ!」

 

 俺はそう言いながら、さらにアクセルを回しギアを踏み込んで、バイクのスピードを上げた。

 

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 

 

 剣二が機動二課から脱走した頃、シンフォギア装者である天羽奏と風鳴翼は。

 

「うらあぁぁ! ッ!? うあぁぁぁッ!?」

 

「奏!? ふっ、はあぁぁぁぁ!」

 

 押し寄せるノイズの大群に、思わぬ苦戦を強いられていた。特に正規適合者ではない奏は、時限式という重荷を背負いながらも懸命に戦ってはいるが、それでもノイズの数が減ることがなく、翼に助けられながらなんとかノイズを凌いでいた。

 

「くそっ、いつも通りで戦っているって言うのに、なんでこんなにも苦しいんだ!?」

 

「最近のノイズの出現数とかがおかしいだからだと思うよ奏。それともう1つ…………」

 

「あいつがいないからか。確かにあいつが戦ってたお陰であたしらの負担は少なかったからな。こんのぉー!」

 

 装者たちは苦戦をしながらも現状の把握をすれば、奏は叫びながら槍を振るって2体のクロールノイズを葬った。

 

「これならどう!?」

 

【逆羅刹】

 

 風鳴翼は逆立ちをすれば、横回転を行い脚部のブレード展開して、自分の周囲に居るノイズを切り裂いっていった。

 

「こいつを喰らいやがれッ!!?」

 

【LAST∞METEOR】

 

 翼の元まで跳んできた天羽奏は、槍の穂先を回転させ、それによって竜巻が生み出され、周囲の空間をとともに小型ノイズを吹き飛ばすが、大型のギガノイズには通用せず相殺され、ギガノイズは口から小型ノイズを吐き出し、さらにノイズの数を増やした。

 

「ッ…………数が多すぎる!?」

 

「このままじゃ後退させられるどころか。人々の命が!?」

 

 奏と翼は武器を握り締めながらノイズに1歩も退かぬ姿勢であるが、さすがに数に押されており後退させられていた。このまま2人が後退させられれば、彼女たちの後ろには守るべき多くの人間たちがいるのである。

 それを考えれば、なんとしてもここでノイズたちを死力を尽くして止めなければ、多くの犠牲が出てしまうが数に数で押されており、いくら覚悟しているとは言え奏と翼の頭には死の文字が(よぎ)っていた。

 

 

「こうなったらもう、絶唱を使うしかないのか!?」

 

「ダメだよ奏!? 今の私たちの状態で絶唱を使えば危険しかないよ!」

 

「だからって翼、このままだったらノイズのせいで死人が出るかもしれないんだぞ!?」

 

「でもここで使ったら、市民を巻き添えにしちゃうかもしれないんだよ!?」

 

 そうである。絶唱というものはシンフォギアの切り札なのであるが、その威力は凄まじく下手をすれば、ここら一帯を焦土と化す危険性もあれば、シンフォギア装者の命の危険もあるのだ。

 

 そのため絶唱を使うには、それ相応の覚悟と周囲の安全も考えて使わなくてはならないのである。翼の言葉を聞いた奏は苦しい顔をしながら、言葉を放った。

 

「それじゃあ八方塞がりってことかよ!?」

 

 奏がそう叫んだとき、自分達の後ろから凄まじいエンジン音が響いた。奏と翼はその音に驚きながらも、後ろを振り向けば驚愕の顔となり声を出した。

 

「なっ、あいつは!?」

 

「嘘っ!? どうやってここに?」

 

「お前ら少し、ノイズどもから距離取れ!!」

 

 それは予想通り、ノーヘルのままバイクで奏たちを助けに来た立花剣二であった。

 

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 

 

「ノイズどもから距離取れ!!」

 

 俺はそう叫べばバイクで女2人を突っ切り、バイクを転倒させてノイズに向かって突っ込ませ、俺は転倒とともにバイクの座席を蹴って飛び降り、ズボンに挟み込んでいた拳銃を取り出し、バイクのエンジンを精確に狙って弾丸を3発撃って、ノイズの大群にバイクが触れる前に大爆発を起こさせた。

 

「……………………」

 

 俺は多少痛む体のことなど気にせず立ち上がり、燃え盛る炎の向こうにいるノイズを警戒しながら見やる。ノイズを警戒していれば、俺の後ろにいた2人組の女が叫びながら俺の所までやってきた。

 

「おいお前、なんでここに来たんだよ!?」

 

「それに一体どうやって二課から出たの!?」

 

 この2人が聞いてきてるようだが、俺は2人の言葉に聞く耳持たずで、目の前に警戒を置いていれば、ノイズの大群が火を押し退けて出てきたのである。

 

『『『『……………………』』』』

 

「やっぱ、全然通用しねぇか」

 

「「!!?」」

 

 俺はノイズに銃を向けて撃つが、残っている弾全てが通り抜けてしまい、俺は舌打ちをしながらホールドオープンした拳銃をノイズに投げ付けた。

 

「チッ、こいつも貰っとけ!」

 

 しかし拳銃がノイズに触れたとしても、炭素になってしまうため、なんの意味もないのであるが。

 

「相変わらず、嫌な力を持った連中だぜ…………」

 

 小さな声で呟けば、後ろにいた2人組の女が俺を引き下がらせるように、叫びながら前に出ようとしてきた。

 

「だったらあたしたちに任せて下がってろ! お前はあたしたちより重い傷を負ってるんだぞ!?」

 

「それにあなたは、あの不思議な力は持っていないはず? なおさらこれ以上危険に去らすわけにはいかない。だから下がって!?」

 

 女どもがギャーギャー騒ぐが、それでも俺は俺などもの前に手を出して、守るように前に立って言う。

 

「なら言わせてもらうが、お前らこそ今の状態じゃ俺より酷い満身創痍だろうが、そんな奴らが戦ってたら余計に危ねぇよ」

 

「そんなこと言ってるとこじゃねぇだろ!?」

 

「早く逃げて!?」

 

 俺は一旦言葉を止めるも、女どもがまた叫んでるが続けて言う。

 

「それに俺は昔からヒーローに憧れてた。それでも戦いの辛さや悲しさはよく知ってる。でも、だからこそ! 守りたいものや救いたいものがある! 諦めたくないことがあるんだよ!」

 

 そして俺は、この台詞を言って天に向かって右腕を強く伸ばした。

 

「だから、龍よ。…………撃龍剣よ。俺に力を貸してくれッ!!!」

 

 

 

 ──────心を開いてくれたか─────

 

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 

 

 

「!? な、なんなの!? 急に龍のキーホルダーと全ての鍵が光り出すなんて!?」

 

 機動二課の研究室では、モバイルモードのゲキリュウケンとマダンキーが強く光り輝いていた。

 

 

 機動二課・司令室。

 

「司令ッ! 機動二課内部で尋常ではないほどのエネルギーを感知。場所は研究室です!」

 

「…………!? まさか彼のあの私物か!?」

 

 機動二課で緊急を伝えるサイレンが鳴り響けば、サイレンを聞いたオペレーターの友里は、急いでその緊急事態の場所を調査して、司令官である風鳴弦十郎に報告した。

 もう何度目か分からない驚愕の声を出す弦十郎だが、そんな時に研究室にいる桜井了子が大急ぎでモニターを開いた。

 

「了子!? そっちでなにかとてつもないエネルギーを感知したようだが、もしや?」

 

『ええ、そう。彼の持っていた私物がいきなり強い光を放ち始めたの!』

 

 弦十郎の予想に頷きながら、了子はモニター越しからその現象を見せた。

 すると、ゲキリュウケンとマダンキーはさらに強い光を放てば、宙へと浮いた。それをモニター越しから確認した弦十郎は、マイクを使って了子に伝えた。

 

「了子。すぐにその付近から離れるんだ! なにか嫌な予感がする!?」

 

『『『きゃあぁぁっ!?』』』

 

『『『うわあぁぁっ!?』』』

 

『いやぁあぁぁっ!!??』

 

 弦十郎からの警告も遅く、モバイルモードのゲキリュウケンと全てのマダンキーは光を放って宙に浮き、そのまま地下にある機動二課の天井と地面をぶち破り飛んでいったのである。

 

 そんな中、その現場にいた研究員全員はなんとか無事であるが、桜井了子は最早この事態に付いていけず、呆然としながら呟いた。

 

『一体、なんなの?』

 

 モニター越しからその現状を見た弦十郎も言葉を発せられなかったが、それでもすぐ気を取り戻してオペレーターに指示を送った。

 

「藤尭! 友里! 大至急彼の私物のエネルギーをキャッチして、行き先をマークしてくれ!」

 

「「りょ、了解!」」

 

(恐らくだが、あれが飛んでいったと言うことは、その行き先は)

 

 弦十郎は、ゲキリュウケンとマダンキーが飛んでいった方向に考えを付けるが、すぐにオペレーターの2人はその調査を終え、行き先を弦十郎に報告した。

 

「司令、調査の特定終わりました!」

 

「そして行き先も判明。場所は…………奏さんと翼さんとがいる場所、ノイズの出現場所に当たります!」

 

「…………やはりそうか。彼自身の想いかなにかが、あれを飛び寄せたと言うのか…………?」

 

 ゲキリュウケンとマダンキーは剣二が居る場所に向かって、弦十郎は深刻な顔を向けた。

 

 

 

 

 

 ※

 

 

 

 

 

「うわっ、なんだ!?」

 

「なにこの光!?」

 

『『『『!?!!?』』』』

 

 強い光がこの場にやってきたことに、2人組の女は手を顔の前にやりながらも、目を瞑って光を遮断し、ノイズの大群もこの光に驚愕していた。

 しかし俺だけは、この光に一切驚くことなどせず、落ち着きながらもその光を手にした。俺が手にし光にあったのは、剣の姿をしたゲキリュウケンと俺が今持っている全てのマダンキーがあった。

 

「心を開いてくれたんだな。…………お前の心、俺が熱くさせてやれたんだな!」

 

 そう言いながらも、俺はゲキリュウケンを強く握り締め、ノイズへと向かっていく。

 

「行くぜゲキリュウケン!」

 

「な、なにやってるの!?」

 

「おいバカ、やめろっ!!!」

 

 ノイズに向かって走り出せば、小型ノイズのヒューマノイドノイズは俺を炭素にしようと迫ってきた。

 

 

「ふっ、はっ、らあっ、であぁぁっ! シッ! せあっ、ぬんっ、おらあっ…………これで終わりだ!」

 

「嘘…………だろ」

 

「そんな、生身でノイズを倒すなんて…………!?」

 

 ゲキリュウケンを振るって、一撃の元で俺に向かってきた11体のヒューマノイドノイズを葬り去り、目の前で起きた出来事に朱色の髪の女と青髪女は驚いていたが、俺は気にするとなくゲキリュウケンの柄の部分を上げ、マダンキーを挿し込む場所を出現させた。

 

「リュウケンキー発動!」

 

『チェンジ リュウケンドー』

 

 リュウケンドーに変身するためのリュウケンキーを発動させ、ゲキリュウケンに挿し込んで回し、ゲキリュウケンから青白い光のエネルギーが発した。

 

 俺はゲキリュウケンを俺の前まで持っていき、強く変身の言葉を叫んだ。

 

「撃龍変身!!!」

 

 その言葉とともに、ゲキリュウケンから青白い龍が昇り、空で龍の咆哮を放てば、そのまま俺に向かって龍は突撃してくる。

 

「…………ふっ!」

 

 青白い龍をその身に受ければ、俺の体には青と白の鎧が身に纏い、手と足には龍の顔を模した手甲と足甲のガードが装着され、そして金色の龍の顔が入った仮面を纏って変身を遂げ、俺はゲキリュウケンを振りながら魔弾戦記リュウケンドー第1話での決め台詞を言う。

 

 

 

「光と共に生まれし龍が、闇にうごめく魔を叩く! 魔弾剣士リュウケンドー。…………ライジンッ!!!」

 

 

「魔弾剣士…………」

 

「リュウ、ケンドー…………?」

 

『それが彼の、あの姿の名前なのか?』

 

「お前らはそこで大人しく見てな。行くぜッ!」

 

『『『!?!?』』』

 

 俺は2人組の女にじっとしてろと言って、ゲキリュウケンを握り締め、小型ノイズの集団に先制攻撃の斬撃を与えた。だが、俺は止まることなどせず、ゲキリュウケンの柄をまた上げて、マダンキーを発動させる。

 

「レオンキー、発動!」

 

『ブレイブレオン』

 

「派手に暴れろブレイブレオン!」

 

 召喚魔法のエネルギーを地面に向ければ、魔方陣が現れてそこから獣王ブレイブレオンが誕生した。

 

『ガアァァァァァァァア!!!!』

 

「あの時の!?」

「ライオン野郎!?」

 

 魔方陣から出現したことにまた2人組の女は驚くが、ブレイブレオンもそんなこと気にすることなく、ノイズの大群に向かって飛び掛かっていった。

 

『『『!!?』』』

 

『グルルルゥゥゥゥゥ!!』

 

 ブレイブレオンはダチョウ型ノイズの喉元を噛み千切り、小型のヒューマノイドノイズやクロールノイズを踏み潰していき、今はギガノイズにぶち当たって押し合いをしていた。

 

 

「おらぁぁっ!」

 

『!?』

 

 俺はそんなことなど気にせず、ゲキリュウケンでヒューマノイドノイズを斬り倒し、次にマダンキーホルダーからナックルキーを引き抜き、ゲキリュウケンに挿し込んで回し発動させた。

 

「ナックルキー、発動!」

 

『マダンナックル』

 

「出ろ、マダンナックル!」

 

 左腕にマダンナックルが出現し、マダンナックルのキバを展開して、俺は周囲に居る小型ノイズに向かってナックルスパークを放った。

 

「ナックルスパーク!!」

 

『『『『!!??』』』』

 

 複数のノイズをナックルスパークで葬っていき、さらにゲキリュウケンを振るっていき、ノイズを炭素の塊にしていった。

 

「お次はこのマダンキーで行くぜ。…………スラッシャーキー発動!」

 

 マダンナックルを消して、次にエメラルドの色をした龍がブレスを放っているマダンキーを抜き取り、必殺技を発動させた。

 

『マダンスラッシャー』

 

「マダンスラッシャー…………斬り裂いてやるぜ!」

 

 その音声が鳴ると、ゲキリュウケンの剣の部分が緑色の光を放ち、俺は無数にいるノイズを斬り裂いていった。

 

『『『!?!?』』』

 

「ふっ! …………おらぁぁぁっ!」

 

『!?!!?』

 

 魔弾スラッシャーの発動時間がなくなりそうであったため、最後に俺はダチョウ型ノイズの首元を狙ってマダンスラッシャーで斬り裂いた。

 

 このスラッシャーキーと言うのは、かつてテレビマガジンの特典として付属していたマダンキーである。転生する前はその特典のマダンキーをよくゲキリュウケンや他の魔弾龍の武器に挿し込んで遊んでいたものだ。発動すれば龍の目が光り『マダンスラッシャー』と音声が鳴る。スラッシャーキーをセットした状態で、アクションボタンを押せば、龍の目が光り召喚音が鳴った。

 

 実は、このスラッシャーキーについて詳しいことは分かっていないのだが、俺の見解では恐らくリュウガンオーが持つショットキーと同じだろう。

 ショットキーは100発の弾丸を連続で発射していることが特徴だ、それならこのスラッシャーキーも敵を一掃する魔弾斬りに対して、威力は落ちるが100回分の必殺剣を放てられるのだろう。

 

「す、すげぇ…………」

 

「あんなにいたノイズを、あっという間に…………」

 

 驚嘆する2人組の女の声を耳にしながらも、俺は動きを止めずノイズを倒すことに集中する。

 

「今回は特別にマダンキーの大放出だ。お次はこいつだ! ダガーキー発動!」

 

『マダンダガー』

 

 マダンスラッシャーの発動時間が終えれば、次に俺はダガーキーをゲキリュウケンに挿し込み、発動させた。

 

「いでよ。マダンダガー」

 

 魔方陣が出現してマダンダガーが飛び出てくれば、難なくマダンダガーをキャッチして、ドーム状の部分をノイズに向けて、ダガースパイラルチェーンを放った。

 

「一網打尽にしてやるっ! ダガースパイラルチェーン!!」

 

『『『『『!!??』』』』』

 

 ドーム状の部分からダガースパイラルチェーンを放てば、複数のノイズどもが1ヶ所に集まっていき、その一瞬を狙ってゲキリュウケンを真横に向け、気合いを入れて集まったノイズを一刀両断で斬り裂いた。

 

「うおりぃやあぁぁッ!!」

 

『!!!??』

 

 1ヶ所に集まったノイズを斬り倒せば、すぐに俺は放っておいたブレイブレオンの方に顔を向けて、声を掛けた。

 

「ブレイブレオン大丈夫か!?」

 

『ガアァァァァァァッ!!!!』

 

『!!?!?』

 

 ブレイブレオンの方を見れば、ギガノイズの首に噛み付き、そのまま力任せに捩じ伏せギガノイズを葬り去り、周囲にいるギガノイズが出したと思われる小型ノイズを葬り去っていった。

 

「とんでもねぇな…………」

 

 そんな感想しか出なかったが、すぐ俺は残っているノイズの方へと移した。

 

(…………残るノイズはギガノイズが2体。ダチョウ型が6体。そしてヒューマノイドとクロールが10体越え…………ならこいつで決める!)

 

 心の中で残りのノイズの数を数えた俺は、勝負に出ることを決め、ブレイブレオンを先に牽制した。

 

「ブレイブレオン。残りは俺が片付けるから手を出すな」

 

『…………グルゥゥゥゥゥ』

 

 俺の言葉に、ブレイブレオンは納得がいかないと言った唸り声を出すが、俺の言うことを聞き大人しく後ろに留まった。

 そして俺はマダンキーホルダーを回して、ファイナルキーを抜き取り決めることにした。

 

「これ以上ノイズは出させねえ! ファイナルキー…………発動!」

 

『ファイナルブレイク』

 

 ファイナルキーを発動して、ゲキリュウケンに挿し込んで回せば、ゲキリュウケンに青白い光が纏い始めた。

 

「いくぜッ! こいつが俺の必殺技だ!」

 

 俺はゲキリュウケンを両手で握り締めながら走り出し、飛び上がれば1回転のジャンプをして、残っているノイズに向かって必殺技を放つ。

 

「ゲキリュウケン! 魔弾斬りッ!!!」

 

『『『『『!!?!?』』』』』

 

 必殺技の魔弾斬りを放ったことにより、残っていた全てのノイズは炭素も残さず纏めて消し飛び、俺は地面に着地し1度ノイズが居た場所を見詰めるも、すぐに背中を向けて右手に持っているゲキリュウケンの剣の部分を肩に乗せ、さらに顔半分をノイズが居た場所に向けてこの台詞を与えた。

 

 

 

「認定特異災害ノイズ…………闇に抱かれて眠れ!」

 

 リュウケンドーの決め台詞を言って、俺は視線とともに顔を戻し、肩に乗せていたゲキリュウケンを〝ジャ〟っと右斜め下へと下げた。

 

「…………これで終わりだな。ブレイブレオン、ビークルモードだ」

 

『ガアァァァァァァッ!』

 

 ブレイブレオンは咆哮を上げれば、ジャンプし空中でレオントライクに変形した。

 

「………………………………」

 

「!? な、なあッ!」

 

「ま、待って! 帰らないで!?」

 

 レオントライクに跨がり発進させようとしたが、それを黙ってじっとしていた2人組の女が俺を呼び止めようとするが、俺はそれになんの反応などせず伝えることだけ伝えることにした。

 

「てめぇらの基地で派手にやった。色々と大変なことになってんだろうが、お前らの命を救ったんだ、これでチャラにしてくれ。じゃあな」

 

 朱色の髪の女と青髪女に最後にそれだけ言って手を振り、俺はレオントライクを走らせここから去った。

 

「ちょ、ちょっと!?」

 

「おい、待てよ!?」

 

 女の声など無視して、レオントライクのスピードをさらに加速させ、この場からさっさと退散した。

 

 

「あ~あ、今から帰ったら確実に響や両親、婆ちゃんからの説教コースか。最悪じゃねえか…………」

 

 俺はぼやきながら、家族からの説教に覚悟を決めてブレイブレオンを走らせる。

 ついでに喜一への謝罪の連絡も忘れずにやっておいた。

 

 to be continued.




 ちょっとだけタイトルを変えました。申し訳ございません。
 ここからはライジン!でいきます。
 やっぱりこっちの方がいいかなと思ったので、勝手ですみません!
 そしてテレビマガジン特典のマダンキーも使用しました。どうでしょうかね?


 もう録な息抜きが出来ないから嫌になるを通り越して、もうただ小説を描かずに金銭を稼いで終わっていく、なにも感じない1日です。

 もういっそのこと、ここのメッセージ機能を利用して、話し合おうかな?
 どなたか話し合ってくれますか?



 次回予告。

 あの人間の皮を被ったゴリラの身勝手な行いのせいで、俺は家族からとてつもない説教を受けた。
 さらには響からも説教を受け、なんとか許しを得ることに全力を尽くした。

 家族からの許しを得ることが出来れば、その数週間後に人間を辞めた司令官から連絡がきて、機動二課とやらに行くことになった。

 予想通りめんどくさいことが待っていやがった!?

 そしてそこから口にする、隠された俺の大罪。

 それなのに、シンフォギア装者で有名アイドルの天羽奏と風鳴翼と模擬戦をすることになった。
 俺とお前らとじゃ勝負の結果は分かりきってると思うんだが?

 そして語られる罪と天羽奏が俺を憎む理由。


 次回 魔弾戦姫リュウフォギア

 機動二課との対面と俺の罪

 次回も魔弾剣士リュウケンドー! ライジン!
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