魔弾戦姫リュウフォギア 作:ライダーファイト(ただいま療養中)
本当に申し訳ございません。
まさかシンフォギアがグリッドマンやゴジラとコラボしていたとは。
そんなことより、更新遅くなってしまい誠に申し訳ございませんでした!?台風19号の被害が意外なところで出てしまい、片付けなどにかなり手間取ったり、自分自身色々とやるべきことがあったりでここまで更新が出来ませんでした。
本当に申し訳ございません!!!
今回は皆さまお待ちかねのアレが登場しますので、よろしくお願いいたします!
目覚まし時計の音が鳴った。
目覚まし時計の音ともに俺はベッドから起き上がり、目覚まし時計を止めた。
「……………………………………」
俺は無言のまま不機嫌な顔をしているが、1度立ち上がりタンスの前に行き、タンスの1番下の引き出しに手を掛け引いた。そこにはアホの神から送られた手紙と、妙な文字が書かれ三角と丸のマークが描かれた本を取り出す。
俺が取り出したこの本は、魔弾戦記リュウケンドーの物語の中でキーアイテムと言っていい《光のカノンの書》である。
「ふわぁ~あ…………」
俺はデカイ欠伸をしながら光のカノンの書を手に持ち、ベッドに座って光のカノンの書を開いた。リュウケンドー本編の光のカノンの書は、新しいマダンキーでカノン文字を出現させてマダンキーを使えるようにして光のカノンの書のページを作るのだが、俺に与えられた光のカノンの書は何日間かは分からないのだが、何時の間にやら3ページから5ページ辺りまでカノン文字が出て作られていることがあるのだ。
(まったく…………一体何をしたらそんなことができるのか、不思議すぎてしょうがない)
そんなことを思いながら、頭をガリガリと掻きながら新しく綴られた光のカノンの書のページを開くことにした。
「………………………………」
光のカノンの書を開いて無言で新しいページを読むも、すぐにそのページに目を向けた。そのページには今日の日付が書かれていたため、俺はそのページのカノン文字を音読した。
「! なになに…………“
その文章を音読して読めば、俺は自分の顔を疑問へと変え思いっきり首を右方向へと傾げた。
「ん?一体どういう意味だ?リュウケンドーに変身して相対する者って言やあ…………あの機械の鎧を纏った2人組の女かノイズぐらいだが…………」
俺はそう言いながら、今度は心の中で考え始める。
(燃え上がる怒りの炎と言われても、ノイズ相手にいつも俺は怒りの炎を燃え上がらせて戦ってるし関係はないか?…………ならあいつらか?ま、確かにあいつらが俺を勝手に敵視する理由には腹が立つし、戦い方にも危険なところが多すぎる)
心の中での呟きを止めて、その最後を言葉に出すことにした。
「可能性として考えたくはないが、まさかあいつらに対して怒りの炎を燃やすんじゃないだろうな?」
なんだか本当にありそうで困る。あの2人組の女は本当に危険極まってしょうがない、例えるなら燃料を背負った特攻機と言っていいからな。
「あいつらの行動に怒りを燃やすことがないとは言い難いが、まあ燃え上がる怒りを立てないよう気を付けるとするか」
自分自身でそう決めて、俺は光のカノンの書の次のページを捲る。
「次のページは、“リュウケンドーになるもの、貴殿の行動次第で運命は変わりうる”…………?」
次の光のカノンの書に書かれていることが分からず、俺は再び首をコテンと傾げ疑問を浮かべた。
どういう意味なのかは分からないが、文章にまだ続きが残っているためそれを続けて読むことにした。
「“しかし、既に決定付けられた運命を覆すのは不可、そうしなければ始まらぬ、そしてその運命をどう受け入れどう活かしていくかは…………リュウケンドー、貴殿自身である”」
口に出して読んでみたが、その続きの文章の意味も分からず、俺はまたまた首を傾げた。
「どういう意味なんだよ…………俺の行動次第で運命が変わる?だけど決定付けられた運命を覆すことはできない、そしてどう受け入れてどう活かすかは俺次第って、なんなんだよ?それにそうしなけれゃ始まらないって……………………一体」
一旦口を閉じて顎に手をやり深く考えてみるも、全くさっぱり分からないため、俺は両手で髪を無茶苦茶にして両手を頭から離して言い放つ。
「考えてもしょうがねえ、とにかく今は出来ることをやるっきゃねえんだ!それに決定付けられた運命を覆せない訳がねえ!?俺は、人の命を死の運命から何度も救ったじゃねえかッ!ならその決定付けられた運命も、覆すどころか塗り替えてやらあ!!!」
俺はそう決意しながら、力強く光のカノンの書を握り締めた。決意に満ちた鋭い目付きのまま、俺は今日の光のカノンの書に出来上がった最後の隣のページへと目を向ける。
「“リュウケンドーになるもの、この日この時最強の相手をすることになるだろう。それとともに新たな出会いも果たす”ん…………?最強の相手?一体なんのことだ、その日に最強のノイズでも出てくるってのか?それに出会いって…………遂に俺にも恋人ができるのか?」
光のカノンの書に出来上がった、最後のページに綴られた文を読めば、またしても俺は疑問を口に出しながら頭で考え始めるも全くもって分からなかった。それとその後のことに描かれていた文章に、俺はちょっとした期待を持ってしまった。今のこんな状況でちゃんとした恋人ができるかどうかも分からんが。
それと俺が最初の文章に首を傾げた理由は……………………。
「俺を倒せるノイズなんて現れるのか?それか新しいノイズでも出てくるってのか?だけど、それでもなんか負ける気はしないんだけどな~」
俺がこう言うのは自惚れでも自信過剰でもなく本当のことだ。確かに昔はノイズと戦ってかなり苦戦したこともあったが、今となってはそれなりに負けることのない経験を積み、ノイズなんて片手で捻るほどとまではいかないが負ける気はしないレベルではある。それでも数の多さで来られれば厄介ではあるし、油断しないようきちんと警戒もしているが。
「ま、例えどんな敵が現れようとも俺が人間を守ることには変わりはない、この決意は嘘じゃないし背負う覚悟も貫く覚悟もできてる!」
俺はそう言いながら自分の顔の前に握り拳を作る。この拳には俺の強い覚悟と決意が秘められている、それを忘れないよう俺はこの拳を見詰める。
「……………………………………」
5分ほど自分の拳を見詰めれば、俺は膝の上に置いた光のカノンの書を閉じ、元の所にあったタンスの一番下の引き出しに戻す。そして俺は自分の体を一度伸ばし、体を伸ばせば着ている寝間着を脱いでいき、高校で使っていたジャージへと着替えた。
「さてと、ランニングする時間はないから今の時間からだと竹刀を振るぐらいだけど、それでいいか!」
そう言って俺は、洋服ダンスの取手に手を持っていき開ける。その中にある使い古された竹刀を手に取り家の庭へと出ていく。
自分で言うのもなんだが、俺は小中校ともに文武両道の学生であった。なので、きちんと勉強をして上位に入り運動も忘れることなくこなしていき、武道の大会でも上位入賞を果たした。
そのためこの竹刀は俺にとっての思い出の1つである。今にも壊れそうではあるが、この竹刀には俺のトレーニングに何度も付き合ってくれているため大切にしようと思う、そのためそろそろ新しい竹刀を買おうとも思う。
「ふぅー……………………」
外に出た俺は竹刀を両手でしっかりと握り、正眼の構えを摂りこの庭は既に戦場であり周りには敵しかいないという緊張感を持って、俺は竹刀を振るった。
「はっ!…………やっ!…………せいっ!…………だあっ!…………えあっ!…………むんっ!…………はあぁぁぁぁっ!」
………………………………………………………………。
………………………………………………………。
………………………………………………。
………………………………………。
「はあぁっ!…………でやあぁっ!…………うらあっ!…………ふっ!…………ふんっ!…………おらあぁぁっ!!!」
竹刀を振り始めてから、俺は一切休むことなく竹刀を振り続けている。しかし竹刀を振るだけではなく、時には拳を打ち出し時には回し蹴りをやる。全方位に一切の集中力を乱すことなくやっていく、そして体感的ではあるが経っている時間は凡そ一時間程度だろう俺はそれくらい家の庭でトレーニングに励んでいる。
「ふっ…………ふぅぅぅ、であぁぁぁぁぁっ!!!」
「お兄ちゃ~ん。朝御飯出来たよ!」
そして竹刀を振るのを止め、俺は一歩後ろへと下がって竹刀を右手で持ち後ろに構え左手は威嚇をするように前へと向け、左足は左手と同じく前に出し右足は後ろへとやる。
前後に向けた足は踏み込みを入れながら重点を入れ、精神を一点に集中させ、意気込みを入れながらそのまま空気を斬り裂くように竹刀を振るった。
竹刀の振りをやれば、調度良いときに俺の妹の響がガラス戸を開けて朝飯ができたことを伝えて来た。
「そうか、分かった。すぐに行く」
伝えに来た響に返事をして、竹刀を振るい上に投げ左手でキャッチする。そして俺は家の中に戻ろうと歩を進めながら、トレーニングをする前に持ってきたタオルで流れ出ている汗を拭く。
「ふぅ~…………良い汗掻いたぁー」
「お疲れ様お兄ちゃん。それにしても毎日毎日トレーニングして、よく飽きないね」
「…………まあな、ノイズなんていう危ないもんが出てるって言うのに、今のところは安心安全に過ごしていけてる。でも、もしかしたらその安心安全がいきなり壊れちまうかもしれない…………そうなった時、響や未来、そして家族を守れるようにトレーニングしとかないとダメだろ?備えあれば憂いなし、だ!」
玄関から入ってきた俺を出迎え、響は俺の隣に並んで歩きながらそう言ってくる。「大変じゃないの?」と間接的に伝えているような響に、俺は大変じゃないことを伝えながら俺が何故トレーニングをしているかの嘘の理由も教えた。
俺がトレーニングする理由を教えれば、理由を聞いた響は口元を薄く微笑ませ、その後は俺に
「ありがとうお兄ちゃん。それじゃああたしもお兄ちゃんの手助けができるように体鍛えておこうかな?」
俺の力になりたいと言う響に、俺は鼻で笑って響のふわふわな髪をガシガシと乱暴に撫でた。俺がいきなり髪を撫でてきたことに、響は大慌ての悲鳴を上げる。
「ゆやあぁ~ぁっ!?!?なにすんのさ、お兄ちゃん!!?」
「妹がそんなこと気にしなくていいんだよ、そんないっちょまえなこと言うくらいなら自分の身は自分で守れるようにしろ。それなら俺も安心できるからな!なにせお前は他人のことばっかり気にして、自分のことは後回しにしすぎたからな。もう少し多めに自分のことを頭に入れとけ!」
「んむぅ~、仕方ないじゃん!?人助けはあたしの趣味なんだからッ!」
「周りをよく見ながら行動しろって言ってんだ!そうすりゃ最適な解答を得て自分への危険もなくなるだろ!ちゃんと自分を大切にしろ!…………んまっ、こんな話は終わりにして母さんの朝飯を頂こうぜ!」
乱暴に髪を撫でながら言い放つ俺に、響は口を尖らせ半目で俺を見ながら抗議するも、俺は響の髪から手を離し全くもっての正論を放つ。そしてこの話を切り上げ、俺は母さんの朝飯が並べられてるであろうリビングへと向かった。
「ふわぁ~あ…………眠い」
あの後、母さんが作った朝飯を食べ終えて俺は、すぐに大学の準備を終わらせ愛車のバイクを出して跨がり、大学に向けて発進させた。
そんで今は後少しで大学へ到着する距離のため、安全運転でバイクを動かしている。安全運転と眠りの時間が足りなかったため、ヘルメットの中で目尻に涙を溜めながら欠伸をした。運転中に欠伸をするのはとても危険が大きく危ない、安全運転で前の車ともそれなりの距離を取っているため大丈夫だと思うが、だが急に赤信号で止まって前の車にぶち当たったり欠伸のせいでバイクを横転させて大怪我をしてしまうかもしれな、そんなことにならないよう気を付けるに越したことはない。
安全運転で行けば大学が見えるところまで来た。するとその途中で、見知った後ろ姿を見つけた俺は大学の道程の曲がり角で曲がって2人に声を掛ける。
「よっ鈴、喜一、おはようさん」
「あ、剣二おはよう!」
「剣二、おはようございます!」
曲がり角の邪魔にならないところでバイクを停めて、幼なじみの鈴と喜一に挨拶をすれば、2人も俺に気付いて挨拶を返した。そして俺はバイクのエンジンも停めて、バイクを歩道へと上げて2人の隣に並んでバイクを押しながら同じ歩幅で歩き始めた。
俺がバイクを押しながら普通に並んで歩くその姿に、鈴と喜一は少しぎょっとした顔で聞いてきた。
「ちょっと剣二、バイク押しながらあたしたちと同じ歩幅で歩いてるけど大丈夫なの!?」
「ええ確かに、そのバイク結構な重さですよね?それを押しながら歩くなんて疲れませんか?」
鈴と喜一が言っていることはよく分かる、ただでさえこのHONDA CB400 SUPER FOURの重さは優に150キロを超えている。そんなものを押しながら歩くというのはかなり大変なことである。それでも新しく製造されているバイクで、重量200キロを超しているバイクもある。それを考えれば俺のバイクなんて軽い方なのではないかと思ってしまうが。
まあそんなことを気にすることなく、俺は普通に答えた。
「まあ少しは大変だけど、これぐらいは鍛えてるお陰でなんとかなってる。大丈夫さ」
歩きながら言い放つと、大学の校門前まで到着し俺は歩みを止めずこう言った。
「今日一日、頑張って学びますか」
「…………そうね!」
「…………ええ、学びましょう!」
鈴と喜一も同時に返答し、俺達はそのまま大学へと入っていった。
※
「奏、翼…………俺は昨日、確かにお前たち2人に言った筈だぞ?お前たちは人類の希望だ。お前たちを失うわけにはいかないと…………なのに何故お前たちは俺の言葉を無視してまた未確認の騎士と戦った?」
場所は変わって特異災害対策機動部二課では、聖遺物《ガングニール》装者・天羽奏と、同じく聖遺物《
「「…………………………………………」」
弦十郎の問い掛けに2人は答えることが出来なかった。無言を貫く奏と翼に弦十郎はただ2人を見詰めるが、数秒程度で見詰めるのを辞めて言葉を発した。
「確かに上層部からも未確認の騎士の捕縛を言い渡されているが…………俺は言った筈だぞ?未確認の騎士とお前らには決定的に戦闘技能の差があると、下手に戦えばお前たち2人は負けるどころか奴に殺される確率だってあるんだ!それにお前たちは人類の希望なんだ!お前たちシンフォギア装者を失うことは人類の終わりを意味する!それにお前たちの役目は人類の脅威であるノイズから人々を守ることだ!?それを忘れているわけではないだろッ!!!」
「「ッ!!?……………………」」
弦十郎の凄まじい言葉の数々と威圧に、もはや2人はただ緊迫な表情をするしかなかった。しかし弦十郎はそんな2人の顔を見ながらも、一切迷うことなく2人が驚くことを口にした。
「そしてこれをお前らへの最終忠告とする。もし忠告を破れば、お前たちのシンフォギアを没収することになる!そして最悪の場合、お前たち2人を拘束し軟禁することになる!」
「なっ!?なに言ってんだおっちゃ!?」
「司令!それはあまりにも―――――!?」
弦十郎の言葉に驚いた奏と翼は立ち上がって抗議するも、それでも弦十郎は2人を抗議の言葉を消し飛ばす勢いで言い放った。
「なら未確認の騎士との戦いを止めるんだ!!!!!」
「「!!!??」」
その後で弦十郎は、なるべくトーンを下げた口調で喋り始める。
「俺だってお前たちにそんな手荒なマネはしたくない、だがもし何かの拍子で未確認の騎士がお前たちのことを殺しにかかれば遅すぎる。だから人類の希望であるお前らにもう一度だけ言っておく、未確認の騎士との戦闘は止めろ、もしこの忠告を破るようであれば…………お前たちのシンフォギアを取り上げ拘束、最悪軟禁することになる!分かったな…………?」
「ッ、分かりました。司令」
「くそっ、分かったよおっちゃん」
弦十郎の心からの思いに負け、奏と翼は頷くしかなかった。それを聞いた弦十郎は最後に2人にこの言葉を残して司令室を出ることにした。
「…………お前ら2人はもう少し冷静になって落ち着いて考えるんだ。でなければ、いつか守るべきものに対して取り返しのつかないことをしてしまうぞ!」
「それは…………」
「そうだけど…………」
弦十郎はこの言葉を最後に司令室を出ていき、弦十郎の言葉に2人の装者はもはや言葉を詰まらせるしかなかった。
「司令、果たして奏さんと翼さんのお二人は司令が言った言葉の本当の意味を理解してくれるでしょうか?」
「…………………………………………………」
司令室を出た風鳴弦十郎は無言で廊下を歩いていたが、その右斜め後ろで弦十郎と同じ歩幅で歩いている彼の部下、緒川慎二が口を聞いてきた。その言葉に弦十郎は足を止めそうになったが、止めず無言を返し足を動かし続けるも真剣な表情で緒川の顔を見ずに先程の言葉の返事をする。
「分からない…………だが、あそこまで言ったんだ。2人も下手に未確認の騎士に戦いを挑まないことを祈りたい。今の2人はもし取り返しのつかないことが起これば、立ち直れなくなる確率が高いからな!どうか俺の言葉がしっかりと伝わってくれていることを願うばかりだ」
弦十郎はその言葉を最後に口を閉じた。だが、顔は複雑な表情を表していたが、止まることなく足を進めた。
※
時は過ぎて、剣二が通う大学。
「ぐあぁ~~~。はぁぁ、やっと終わったぜ!なんか肩凝った気分だな」
今日の講義が全て終われば、俺は腕を伸ばしてその次に息を吐き、肩を解すように動かし始める。
「仕方ないですよ。講義も聞いて答えてノートに写す、それの繰り返しですから、肩だって凝った気になりますよ」
左隣に座っている瀬戸山喜一が、掛けていた眼鏡を手にとってレンズを布で拭いている。すると、俺の右隣に座っていた鈴が立ち上がり、こう言ってきた。
「講義も終わったし、今日こそは3人で遊びにいかない!剣二!今日は大丈夫よね!?」
少々鈴が鬼気迫るような勢いで聞いてきたため、俺は少し引きながら両手を出しガードするように頷きながら言葉を返す。
「お、おう、もちろん大丈夫だ。俺自身が言ったんだ!覚えてるし、きちんと約束は守るぜ!」
「…………やった!」
俺がそう返事を返せば、鈴は後ろを振り向き何か小声で言ってガッツポーズらしきものを取った。そんな鈴の行動に、俺は思いっきり疑問もたっぷり含ませながら口にする。
「なんなんだよ…………。一体?」
「…………相変わらずモテモテで羨ましいですね。剣二」
すると、喜一が何か含みがあるような言い方をして、冷たい眼で俺を見ていた。そんな喜一にも俺は疑問しか持てなくなり首を傾げるしかなかった。
※
ゲームセンター。
今ゲームセンター内では、凄まじいまでの緊迫した空気が流れていた。そのため俺こと立花剣二は、ノイズとの戦闘をしているかのような集中力を発揮し、後ろにいる鈴と喜一は両手で握り拳を作って静かだが力のある応援をしている。さらにその後ろじゃ、学校帰りの学生や仕事終わりか休みの大人たちが、俺達のことを静かに見ていた。
「剣二!そこよっ!頑張って!」
「もう少しです!頑張ってください!もうそれを取るのに2000円近く出してるんですから!」
「ここだっ、頼む落ちろ!……………………いよっしゃあぁぁぁぁぁっ!!!!!」
「「やった!」」
俺の言葉とともに俺が狙っていた商品が落ち、その瞬間を見た俺は喜びの叫びを上げながらガッツポーズをして、後ろにいた鈴と喜一も同じく喜びながらお互いの手をハイタッチし、後ろにいたギャラリーの客と店員が拍手や歓声を上げた。
「…………プハッ、それにしてもこいつが手に入れられて良かったぜ~。2000円近い出費だったからな、あれ以上はさすがにキツすぎる」
「全くです。もし剣二があれ以上出してクレーンゲームをやるなんて言ったら、僕たちが全力で止めますよ!」
「本当にね。それにしても変わらないわよね剣二って、充分いい歳なのにまだそんなものが好きだなんて!」
クレーンゲームでの接戦の後、俺達は多くの歓声を浴びながらゲームセンターの休憩所で飲み物を飲んでいた。軽い祝杯みたいな感じだ。因みに俺はコーラで喜一は甘いカフェラテ、鈴はオレンジジュースを飲んでいる。お互いにあの接戦を話し合っているが、鈴が放った失礼な言葉に俺は口を尖らせ言い返す。
「ひでえこと言うんじゃねえよ鈴!特撮ヒーローは日本の宝で、俺達ファンにとっては心の支えなんだぜ!」
「はいはい、そうですね…………」
「なんだよ?冷てえなぁ~。良いじゃねえかよ!こいつだって俺らのためにノイズと戦ってくれてるんだからよ!」
鈴とそんな話し合いをしながら、俺は先程クレーンゲームで取った魔弾剣士リュウケンドーのフィギュアを見せた。俺以外の連中はこいつの名前を知らないため、【騎士のヒーロー】や【未確認の騎士】などと呼ばれている。
「それにしてもこのフィギュアすげえなぁ~。細かいところまで正確に作られてるし、それにしっかりと間接部分を動かせるように作ってあるし、それにきちんとカッコ良く出来上がらせている!まだこれが堪らん!」
「はいはい、そうね~」
「相変わらずヒーローになると…………剣二はテンションが上がりますね」
俺がそんな力説をすれば、鈴と喜一の2人は呆れたように言葉を発した。
ウオォォォォォォォォォッ!!!!!!!!
「ん?なんだ?」
そんなことをしていれば、いきなり勝ちどきのような騒がしい声が聞こえ、俺はそっちの方へと目を向けた。その方向はこのゲームセンターでもかなりの目玉で、数多くの種類がある格ゲーコーナーの所であった。俺が目を向ければ鈴と喜一もともに格ゲーコーナーの方へと目を向けた。
「うわっ、すっごい声!?一体なに?」
「なんでしょうね?格ゲーコーナーで誰かの勝利でも称えているんでしょうか?」
「…………気になるんなら行ってみようぜ!騒がしい格ゲーコーナーに!!」
俺は右手に持っていたコーラを一気に飲み干し、格ゲーコーナーに行くことを提案した。それに2人は同意をして、互いに持っていた飲み物を飲みきり、俺は格ゲーコーナーへと足を進めた。
「うわっ!すげえ人だかりだな!?なんかイベントでもやってんのか!!?」
俺が驚いた声を上げたのも仕方ない、なにせ今格ゲーコーナーには30人を越えた人だかりが出来ていたのだ。その現状に俺の隣にいた鈴と喜一も驚愕も含ませながら口を開いた。
「どうなんでしょうかね?ここのゲームセンターは5本の指に入るほど大きいですが、格ゲーのコーナーにしか集まらないイベントなんてやらないと思いますが?」
「確かにね。もしもやるんだったら、大々的に発表してイベントをやると思うのだけど?それにこの集まり方を見ると、剣二がクレーンゲームで取ろうとした時と状況が似てるんだけど」
鈴の言葉に俺は「なるほどね。言われてみりゃあ似てんな」と納得するが、仕方がないため近くにいた俺の前にいる数段歳上のおっさんに話を聞くことにした。
「あのすんません、この人だかり一体なんなんですか?」
「ああ、この人だかりかい。なんでも格闘ゲームでものすごい勝ち星を上げているのが居るみたいだよ。しかもその勝ち星をあげているのが女の子みたいで、そのせいで向かいの場で長蛇の列ができてるんだよ」
おっさんに聞いてみれば嫌な顔など1つもせず、俺に懇切丁寧にこの状況を教えてくれた。
「もうそろそろ、終わる頃だと思うよ」
「「「…………え?」」」
おっさんが言った言葉に、俺達は揃って格ゲーの方へと目を向ければ【WINNER】という勝利の音声が耳に入った。どうやら勝ち星を上げている女がまた勝利をしたらしく、相手側の男は頭を抱えながら唸った。
「くそっがあぁぁぁッ!!!負けちまったぁーっ!?!?」
「へへーん!ざまあみろ!」
相手の男が敗北の声を上げていれば、向かい側の女は自分の勝利に誇りを見せていた。しかし俺はそんな女の勝利の声を聞けば、そちらの方へと目を向けるが人だかりの多さと格ゲーの機材のでかさで女の顔が見えなかった。
「なら今度は俺が相手だ!」
「いくらでも掛かってきなよ。4~5分で終わらしてやるから」
「嘗めやがって!!」
次の男がドカッと椅子に座り女の相手を宣言するが、女は相手をからかうように挑発的な言葉を放ち、その言葉に男は激昂し格ゲーのキャラをさっさと選び女に勝負を挑んだ。
(あ~あ…………なにしてんだか、いくら勝ちたいって気持ちがあるにしても簡単に挑発に乗りすぎだろ。冷静さを失っちゃ勝てる戦いも勝てねえぞ)
相手の男の行動に心の中で指摘するも、結果は変わることなく女の勝利だ。本当に4~5分で決着を付け、相手側の男は床に手と膝を着けて真っ白になっていた。
女の方が一体どれだけの勝ち星を上げたのかは分からないが、これを見ている周りの連中は「誰か勝てる奴居ねえのかよ?」や「勝てる奴なんて居ねえだろ」などと負けることを想定した話し合いをしていた。
俺自身もこれ以上あの女に勝ち星を上げさせるのは何やら腹が立つため、俺は右のポケットに手を突っ込みポケットに入っている100円玉を取り出し、次の奴が座る前に言い放った。
「待ちな、その勝負俺が預かった!お前に負けた奴らやこれから挑む奴らの想いを背負って俺がこの女に勝ってやるぜ!」
俺が大きな声で言えば、しばらくの間ゲームセンター内の時間は止まったようになったが、すぐにドッと沸き出し声援を送るものやブーイングを散らすものそれぞれが現れる。因みに鈴と喜一は唖然とした顔をした後、すぐに俺への応援へと回った。
因みにリュウケンドーのフィギュアは、なんとかバックに入った。
対戦側の格ゲーの席へと行けば、俺の前に次の相手をする男が前に立ち止まってきた。これを見た俺は、めんどくせえと思いながらもこいつの言葉を聞こうとする。
「おい待てよ。次は俺が相手をするんだ!でしゃばったマネするんじゃねえ!」
「でしゃばってるねえ…………そう思われるのは仕方ないけど、別にでしゃばってはいねえよ。それにこれまで見てるから分かるはずだぜ、ここに並んでるあんたらじゃあいつには勝てねえってことぐらい。どうだ?ここはいっちょ俺に託してみねえか!」
「はぁ、好きにしろよ。負けたら俺を含めてここにいる奴らが容赦しねえぞ」
「お任せを。木船に乗ったつもりで頼ってくれ!」
「…………なんか急に不安になってきやがったな」
男は納得して俺に席を譲り負けるなと諌め、それに俺も軽い感じで答えてやれば、俺の答えに不安を感じながら後ろへと行った。
俺は含み笑いをして、人差し指と中指に挟んでいる100円玉を格ゲーの硬貨入れに投げ入れ、格ゲーをスタートさせた。俺の動作を見た周りの観客は「おおーっ!!!」と感嘆の声を上げた。
「さぁぁてと、準備はいいかい勝ち星上げてる女。…………俺に負ける準備はよ?」
指の骨を鳴らしながら椅子に座りキャラを選んでいくと、女の方も余裕な声を出しながら俺に話し掛けてきた。
「へー、随分と自信があるんだな。そっちこそ負けたときの言い訳考えとかなくていいのかよ?」
「安心しな、こう見えて俺はこの格ゲーをやり込んでたからな、負けることは絶対にねえ!」
(それにしても、本当につい最近に聞いた覚えのある声だな?)
女の台詞に俺は自信たっぷりの宣言をしながら心の中である疑問を出すも、気にせずにこの格ゲーで一番得意のキャラを選んだ。そして俺が得意のキャラを選べば、格ゲーが戦いの始まりをカウントする。その間に俺は相手の女にレディファーストを譲ることにした。
「ああそうだ。先制攻撃はそっちで構わないぜ、レディファーストだ。いくらでも攻め込んできな」
「…………言ってくれんじゃねえか!」
台詞に女は軽く怒りながら格ゲーのスタートとともに、女が選んだキャラを動かし始め俺に先制攻撃を与えてきた。
「よっ、ほっ、はっ、と言っての…………よよいの、よい!しょっと!」
繰り出してきた攻撃に対して俺は、全てのキャラが持つガードモーションの捌くや防ぐをやって、全ての攻撃をノーダメージで対処していった。
「こなくそっ!?」
「そんな攻撃をやっちまったら、がら空きだぜ!」
「んなっ…………!?」
女が怒りのあまりにキャラで繰り出した強攻撃に対し、俺はこのキャラが持つカウンターの投げ技で女のキャラを投げ落とした。その動作に女は驚嘆の声を出し、観客も「すげえ!」や「マジかよ!?」などと女と同じく驚嘆の声を上げた。
「それじゃ、今度はこっちから行くぜッ!!」
「なっ!?…………くそっ!?」
操作キャラを攻めさせてきたことに女は驚くがすぐにキャラの防御の動作をするが、それに俺はジャンプをして後ろに回れば打撃コンボのコマンドを繰り出した。
「ッ!しまった!?」
「まだまだッ!」
「ああッ!!?…………」
打撃コンボを繰り出せば、そのまま投げ技のモーションに入り女が操作しているキャラを再び投げ落とした。
「さっ、まだまだこれからだろ!」
「くそっ、負けるか!」
女が操作しているキャラが起き上がれば、今度は正面から攻撃を繰り出すことにした。女の方も負けじと攻撃を繰り出してくる。今画面では、ガードモーションなしでの攻撃の打ち合いが繰り広げられている。応援をしながら、この一戦を見ている観客たちはそれぞれに言葉を出した。
「おいおいすげえな、格ゲー内であれだけの戦いなんて中々見られるもんじゃないぜ」
「ああ、大会レベルもんだぜ!こんなもん見れるなんて俺ラッキーだな!」
「一体どっちが勝つんだろうな!?」
ドキドキしながらそんなことを言うギャラリーに、俺の後ろにいる鈴と喜一がひそひそ声で話し合う。ひそひそ声で話し合うところ悪いが、この話し声は俺に聞こえてしまっている。
「ねえ瀬戸山くん、どっちが勝つと思う。やっぱり私は剣二が勝つと思うんだけど?」
「どうでしょうかね?確かに剣二の方が体力が半分もあり相手に多めのダメージを与えていますが、このゲームには必殺技があります。それを喰らってしまえば剣二の負けは確定してしまいますから」
そう。喜一の言う通りこの格ゲーには必殺技があり、それを喰らってしまえば俺の負けは確定してしまう。それに俺と相手の女が操作しているキャラは、既に必殺技ゲージが満単のためいつでも繰り出せるのだ。しかしこの格ゲーで必殺技はそうそう出していいものではない、必殺技ゲージは簡単には溜まらないのもあれば、必殺技を繰り出すタイミングというのもあり、そういのが大切なためこの格ゲーは以外と難しいのだ。
「! ここだっ!」
『『『!!?』』』
「あたしの勝ちだ!」
そんな説明をしていれば、女が大声を出して操作キャラの必殺コンボを繰り出しやがった。タイミングも合っているため俺の操作キャラはその必殺コンボを受けてしまうだろう。それを見たギャラリーたちは「ああ、負けたか」「結局ダメなんじゃねえかよ」「なんだよ期待させやがって」などと落胆の声を上げている。女の方は勝利を確信した不適な笑みをしてるはずだ。
だが俺は落胆の声を受けながらも、俺は女が使っているキャラの必殺コンボの最初の一撃を喰らうこの瞬間に、ジョイスティックを上左にやり5つあるボタンを右下から順に押していった。その瞬間俺のキャラが女が出した必殺技コンボを弾き返し、逆に俺の操作キャラが必殺コンボを繰り出した。
「なっ…………!?」
「ええぇっ!?」
俺が必殺コンボを繰り出したことに女とギャラリー達は驚きの声を上げ、結果的に俺の操作キャラが勝利して格ゲーの画面には【KO】の文字が映し出され、次に俺の画面には【WINNER】の文字が映った。この番狂わせに格ゲーコーナーの空気はまた一時的に止まり、俺はそんなことを気にせずに、含み笑いをして言ってやった。
「どうよ、これがこの格闘ゲームにある隠し裏技コンボだ!」
俺がそう言ってやると、一時停止していた空気が一気に動き出し周りの連中は歓声を上げた。
「「「すげえ~!!!!!」」」
「俺初めて見たよ!このゲームの隠し裏技コンボ!?」
「ああっ俺もだ!本当にあったんだな!?」
「なあこれ大会じゃないよな!?格ゲー大会の最終決戦じゃないよな!!?」
などとギャラリーの連中が騒ぎ始めた。
隠し裏技コンボと言うのは、この格ゲーのそれぞれののキャラが持つカウンターの必殺技である。又の名を裏必殺技コンボとも言うのだ。
これを発動するにはギリギリの条件が必要であり、相手が放つ必殺コンボの一撃を受けた瞬間に、そのキャラが持つコマンドを操作すれば隠し裏技コンボが発動するのだ。
因みに隠し裏技コンボのことはこの格ゲーを作った会社が発表したが、しかし隠し裏技コンボを発動させるコマンドは発表されていない、なんとか自分で見つけろと言うのだ。俺は偶然このキャラが発動させる隠し裏技コンボを見つけることができ、今ではこの格ゲーではこのキャラで無双状態と言ってもいい。
「俺の勝ちだ。そういうことで、さっさとその場所から退きな。俺も帰るとするかね…………!?」
スマホで現在の時間帯を確認すれば、そろそろ帰らなければならない時間の為、俺は荷物を持って椅子から立ち上がり最後に対戦側の女の顔を確認しようと思い確認すれば、その対戦相手の女の顔に俺は小さいながらも驚きの声を発しそうになった。
(あいつらはあの機械の鎧を纏ってノイズと戦っているアイドルじゃねえかよ!?なんでこんなところに居るんだよ!?てかなんで周りの連中はそれについて騒がねえんだ。まだそれほど有名じゃねえのか?)
どうして俺がこいつらのことをそんなに分かっているのか疑問になるだろう、まあその理由は簡単なことだ。大学の講義中に昨日未来が言っていたツヴァイウィングについて調べた、調べてみれば2人の名前や年齢、ツヴァイウィングの結成理由などが出てきた。
そしてツヴァイウィングのアイドルの2人の名前が《天羽奏》と《風鳴翼》と知った瞬間、確か俺に喧嘩を売ってきた朱色の髪の女の名が奏と呼ばれ、青い髪をした女の名が翼と呼ばれていたため、俺は完全にこの2人だと確信してしまった。
「………………………………」
俺はこいつらがここに居ることに驚いたが、その反応を悟らせないようなんとか普通の表情をして、ゲームセンターを出ることにした。ゲームセンターを出るため、俺は後ろにいる鈴と喜一に声を掛けた。
「鈴、喜一、終わったから帰るとしようぜ!」
「そうね。そろそろいい時間だし、帰ろっか」
「僕も親のうるさい小言は聞きたくありませんし、帰りましょうか」
俺がそう言うと鈴と喜一は笑いながら頷き、2人と一緒に並んでゲームセンターから出ようと動けば、いきなり後ろから俺にドデカイ声が向けられた。
「待て!勝ち逃げなんてするんじゃねえ!もう一度あたしと勝負しやがれ!」
案の定、声の主は朱色の髪の天羽奏という名前の女だ。その女がなんか怒りの形相みたいな顔で俺を睨み付けながら言ったのだ。その女の行動に俺はフッと鼻で笑い、右腕を上げて拳を作れば、右手の甲の場所を左手で撫でながら朱色の髪の女に言ってやった。
「腕磨いて出直してこい、それと門限あるから無理だ。じゃあな!」
言って俺は右手の指2本出して右目を隠して振る。それをやれば、俺は鈴と喜一と一緒にゲームセンターを出ていく。女の方はなにやら俺のことを憎々しげに見ていたが、それを俺はどこ吹く風と言わんばかりに無視して去っていく。
「……………………ぷはっ、いや~快勝!快勝!」
ゲームセンターを出て家に帰ろうと思った俺なのだが、もう少し時間があるためゲームセンターの近くにあるフードコートで軽い食い物と飲み物を買い、今はベンチに座って格ゲーでの勝利を祝っている。
「むぐむぐむぐ、いや~それにしても負けたときのあの女の顔と来たら面白かったぜ!」
「剣二、そういう失礼なことを言うのはどうかと思いますよ。君の人間性が疑われてしまいますから」
「でも相手の子も失礼じゃなかった?なんか敵を見るような目で剣二のこと見てたし」
「まあ、それはそうですけど」
「負けたから悔しいだけだろ。気にすることじゃねえって!もぐもぐ、うーん!唐揚げうめっ!」
唐揚げを食べながら先程のことを言うと、喜一がそのことについて俺を注意し、鈴はあの朱色の髪の女の行動に憤慨しており、しかし俺はそんなことを一切気にせず唐揚げをまた1つ口に入れる。
そうやっていると、急に足元の特に脛の辺りがくすぐったくなり、(なんだ?)と思い左足の方に目を向けてみた。
「あ…………お前」
「クゥゥ~ン…………クゥゥ~ン」
目を向けてみれば、俺の足元には薄汚れながらも白い毛並みを持った野良の仔犬が、俺の足から脛まで匂いを嗅いで脛に顔を擦り寄せていた。
「おいおいなんだお前。こんなところで何やってるんだ?」
そう言いながら俺は、足元に顔を擦り寄せている白い毛並みの仔犬を両手で持ち上げた。持ち上げてみれば仔犬は俺のことをじっと見ながら、舌を出して「ハッハッハッ」と息を上げる。
「なんだお前、腹減ってるのか?」
「ワン!ワンワンワン!」
仔犬になんとなく聞いてみれば、仔犬はその通りだとでも言うように鳴き出した。しかし俺は首を横に傾げて悩む、なにせ今俺のところにあるのは唐揚げだ。唐揚げを犬にあげるのは一応大丈夫だが、あげすぎたり塩分や油が多すぎれば病気になってしまうため危ない、下手をすれば病気になってしまうかもしれないため危険性が高すぎる。
「どうすっかな~………………あ、そうだ!」
悩んでいた俺だが、すぐに良い妙案を思い付き仔犬を地面に戻し、隣に置いてあるバックを開いてこの中にあるものを取り出す。
「これならお前でも普通に食べれるだろ!」
俺が取り出したもの、それは塩分も糖分もない普通の食パンである。犬にはパンを与えても大丈夫だと言われている、それでも与えていい量がありその量はおやつ程度だ。
それ以上あげすぎれば色々と危なければ、塩分か糖分のあるパンを食べさせれば危険すぎることがあるため気を付けた方がいい。
それにこいつは野良の仔犬だから、食パンを2枚半ぐらい与えても大丈夫だろう。そう考えた俺は、購買で買いながらも食べなかった食パンの封を開けて食パンを与えた。
「ほら、これでも食え。これなら腹にも悪くないだろ?」
食パンを与えてやれば、仔犬はフンフンッと鼻で何度か嗅げば、そのまま一気にパンにかぶり付いた。パンにかぶり付けば、そのままガツガツと食パンを食べ進めていき2分程度で1枚を食べ終え、そして休むことなく2枚目の食パンにかぶり付いた。仔犬のその凄まじい食欲に、俺は軽く笑い3枚目の食パンを半分にしていく。
「ははっすごい食欲だな、そんなに腹減ってたのか?」
言いながら半分にした食パンを仔犬の前に置いてやれば、鈴と喜一がさらに俺の近くにやって来た。
「剣二、何やってるんですか!?そんなにパンを与えたら危ないじゃないですか!?」
「そうか。こいつ野良みたいだし大丈夫じゃないか?」
「わあぁ!可愛いわねこの仔犬。どうしたの?」
「ん?ただ俺が飯持ってないかやって来ただけだよ」
喜一は俺を注意し、鈴は手を仔犬に向けて聞いてきた。俺はのらりくらりと言った感じで、2人に答えてやった。すると喜一は仔犬を見ながら口を開いた。
「…………それにしても、また捨て犬ですか。最近よく増えてますよね」
「まあな…………この時代だからって言うのもあるのかね。だがいくらなんでも無責任すぎるだろ」
「ねえ誰かこの子飼えない?私のところはお兄ちゃんが犬アレルギーだから飼えないし」
「飼いたいところですけど、僕のところは両親が共働きですから飼うのは不可能ですよ。剣二はどうです?」
「…………悪いけど俺も無理だよ。ただでさえ母さんや婆ちゃんに迷惑掛けてるってのに、これ以上余計な負担掛けられねえよ」
「「「………………………………」」」
飼えるか飼えないかの話し合いをするが、俺全員この仔犬を飼えることは不可能であり、このまま放っておくことしかできなかった。
「俺らに出来ることと言えば、飼い主を探してやることだが、そんなこと今は出来ないだろ」
「…………うん、そうだけど」
「最悪ですが、また明日この仔犬に出会えることを祈りましょう。その時はこの子のために、飼い主を探してあげましょう!」
「ああ、そうするしかない。…………ごめんな」
「クウゥゥ~ン?」
話を終え、俺は悲しい顔をしながら仔犬の頭を撫でてやると、仔犬は食パンから口を離して可愛らしい顔を傾げた。これを最後に俺達は自分の荷物を持って家に変えることにした。
「本当に…………ごめん!」
歩きながらも仔犬の方へと振り向き、ただ謝罪の言葉を口にした。
※
奏side
「ああっもう、腹立つなあの男!!!」
「奏落ち着いて。ここお店なんだからあんまり騒いだら迷惑だよ」
「…………だってよぉ~翼」
あたしは苛立ちながらゲームセンターないを歩いていれば、それはもちろん周りの連中にも目を向けられてしまうがあたしはそんなことも気にすることなく、ついついこの怒りを発散するために叫びそうになるが、そんなあたしを相棒の翼があたしを宥める。
何故あたしたちがゲームセンターに居るのかは理由がある。おっちゃんの厳しい叱りを受けた後、どうにもモヤモヤとした心が身に纏いあたしはそれを振り払うため、暗い顔をした翼と一緒にゲームセンターへとやって来た。
ゲームセンターへとやって来たあたしは、こういう娯楽を知らない翼を引っ張り回しながら一緒に楽しんだ。そして最後はあたしが大得意とする格闘ゲームをやって大量の勝ち星を上げていたと言うのに、いきなりあたしを倒すと宣言した男が現れ、あたしはそんな男をコテンパンにしようと思ったが、逆にコテンパンにされ勝ち逃げもされて苛立っているのだ。
そんなあたしを宥めてくれる翼にあたしは口を尖らせながら言葉に詰まってしまう。もちろんあたしが怒っている理由は、あたしから勝ち逃げをした男にあった。
そんな時だ。
『ちくしょお~!?今日もこのフィギュア取れないなんてよー!!!!』
『はいはい、今日もご苦労様。小銭もなくなったし帰るとしようぜ』
『お前一体このフィギュア取るのにどんだけ金使ってんだよ?』
『一万はとっくに越えてるよ!だってしょうがねえだろ!欲しいんだよ。この騎士のヒーローのフィギュアを!!』
「「!?…………ッ!」」
少し奥から聞こえてきた言葉にあたしと翼は、お互いの顔を見合わせて頷き、奥にあるクレーンゲームの場所まで走った。その途中で項垂れている男を2人の男が挟んで慰める姿を見た。
「ッ!?これって…………」
「なんだよこれ…………!?」
クレーンゲームの1つを見てあたしと翼は言葉を失った。クレーンゲームの中にあるその1つには、あたしたちが倒すべき敵の未確認の騎士のフィギュアがデカデカとクレーンゲームの中にあったのだ。
それを見たあたしはみるみると怒りが込み上げてきて、周りのことなど構わず近くにいたゲームセンターの店員の胸ぐらを掴んで叫んだ。
「うわあぁぁっ!?」
「おいお前!あれはなんだ!?」
「あ、あれってなんのことですかお客様!!?」
「あのクレーンゲームの中にあるフィギュアのことだ!?」
店員の言葉に対し、あたしはクレーンゲームに入っている未確認の騎士のフィギュアを人差し指で指した。そのことについて店員は苦しい顔で説明し始めた。
「ああ、あの騎士のヒーローのフィギュアのことですか?あれはですね。今騎士のヒーローはとてつもなく流行っているため、フィギュア作りの人達に頼んで作ってもらったんですよ。そしたら今バカみたいに売上げが出ているんですよ!」
「そんな理由でこいつを売り出してるのか!?」
未確認の騎士のフィギュアが出ている理由を聞けば、あたしは怒りのあまりさらに店員の胸ぐらを掴む力を上げた。
(訳の分からない理由でノイズと戦い、あたしらのことをなんとも思っていない、未確認の騎士がこんな風に思われてるなんて許せねえ!)
あたしがそんなことを心の中で思っていれば、胸ぐらを掴まれていた店員が必死に口を開いて言い出した。
「い、一体何なんですかお客様!!?騎士のヒーローは僕達を命を懸けて守ってくれているんですよ!あなたに何かあったのかは知りませんが、もうやめてください!!!」
「ッ!?なんだと…………!」
店員の言葉に腹が立ったあたしは、右手の拳で店員を殴ろうとした時。
「奏やめてッ!!!」
「!? 翼…………」
店員を殴ろうとしたその手に、翼が必死にしがみついて止めていた。右腕にしがみつきながら翼必死にあたしを言葉を掛けてくれた。
「奏の気持ちはよく分かるけど落ち着いて!ここはお店の中だし、その人が悪い訳じゃないでしょ!?」
「…………そうだな、そうだった……………………悪かった翼」
翼の言葉に冷静さを取り戻したあたしは店員の胸ぐらを離す、胸ぐらを離されたことに店員は空気が来たことに「ゲホッ!ゲホッ!ゴホッ!」っと蒸せ混む咳を放った。
「…………本当に悪かった!!??」
店員に必死の叫びで謝罪して頭を下げ、あたしはこの場から逃げるようにゲームセンターを早歩きをする。
「あっ!奏待って!?」
そんなあたしを翼は駆け足で追い掛けてくる。それでもあたしは相棒である翼の方には振り向かず、凄まじい形相でただ進んでいく。
(見てろよ未確認の騎士!出てきたらその余裕な行動を崩してやる!!)
※
「ただいまー!!」
あの後は駐車場で鈴と喜一と別れ、肉の所沢にも寄ることはなく、真っ直ぐと我が家へと帰った。家に入れば、一番先に俺のことを出迎えへかれたのは、我が家にとってのムードメーカー件トラブルメーカーの妹である響だ。
「お兄ちゃんお帰り!今日は結構遅かったね」
「ああちょっとな、色々あって幼なじみの鈴と喜一と遊んできたんだよ」
「へぇー、お兄ちゃんがよく話してる幼なじみの鈴さんと喜一さんと遊んできたんだ。そう言えばお兄ちゃん!そろそろあたしに鈴さんと喜一さん紹介してよ!あたしお兄ちゃんの幼なじみに会うの楽しみにしてるんだから!」
「ああ、そうしたいところだが、お前がトラブルメーカーすぎて会わしたくないんだよ!お前が起こすトラブルにあの2人を巻き込みたくねえんだよ!」
「何それ!?お兄ちゃんあたしをなんだと思ってるの!!?」
響に鈴と喜一と会わすのは危ないと言ってやれば、響は少し怒った顔で自分をなんだと思ってるのか聞いてくれば、俺は嘘偽りなくハッキリと答えてやる。
「笑顔が可愛く元気一杯だが、人助けを趣味としながらもさらなるトラブルを起こすこともある。目が離せないおバカ自慢の俺の妹!立花響だろっ!」
「最初誉めながらも、最終的にあたしのこと問題児として見てるじゃんそれッ!?」
「全く持ってその通りだよ。そう言われたくなきゃも少し自分の行動力を考えてろっていつも言ってるだろ!お前は本当にフォローしている俺や未来の気持ちが分かっているのか!!」
「分かってるよ!フォローしてくれてお兄ちゃんと未来には本当にお礼しかないよ!」
「そう思ってるのなら俺達の気苦労を減らしてくれよ。下手すりゃ寿命まで縮んでるかもしれないんだぞ…………今日の晩飯ってなんだ?」
「何度も聞いてるし分かってるよ。もう…………今日のご飯はね野菜の天ぷらだって!なるべくスッキリと揚げようってお母さん張り切ってたよ!」
「そうか!それじゃあ荷物部屋に置いて、母さんが作ってくれた天ぷら食べるとするか!」
再び話続けていって、俺は今日の晩飯がなんなのかを聞けば、響は今日の晩飯のメニューを知っており教えてくれた。野菜の天ぷらだと知った俺は、笑いながら部屋へと向かおうとする。
「うん!そうしよう!…………そう言えばお兄ちゃん、なんかバックが朝の時より膨れてる気がするんだけど、なにか入ってるの?」
「おっ、それに気が付いたか響。実はな今日は嬉しいものを手に入れることができたんだよ。…………じゃーん!これだ!」
バックが大きいことに疑問を抱いてきた響に、俺は満面の笑みで答えながらバックの中に入っているお宝を取り出した。そのお宝を見た響も俺と同じく満面の笑みを返してくれた。
「お兄ちゃんこれって!騎士のヒーローのフィギュアだよね!!?あのノイズと戦いながら私達のことを守ってくれてる!!!」
「ああそうだ!ゲームセンターのクレーンゲームにあってな、それを今こうして手に入れたって訳だ!にしてもすげえな~体の細部まで完全に再現してるんだからな!」
響とそんな熱弁をしていれば、丁度良いときに父さんも帰ってきたため、立花家全員で母さんが作ってくれた美味しい夕飯を食べた。
夕飯を食べた後は響の宿題を分からないところだけ見てやり、分かるところは自分でやれと伝えて俺は風呂に入り、風呂から出ればパジャマに着替えて軽い柔軟体操をやって、家族全員が寝たのを確認もして俺も就寝に入ろうとしたときである。
「チッ、やっぱり来やがったか。だったら一気に炭素の山にしてやるだけだ!」
そう言い放ち、俺は動きやすい私服へと着替え、モバイルモードのゲキリュウケンをその手に持ち、部屋の中にある靴を履いて窓から気付かれないようコッソリと抜け出した。
「っと……………………」
屋根から誰も居ないことを確認した俺は、一気に飛び降りて地面に着地し、すぐにノイズの出現ポイントへと駆け出した。
(確かノイズの出現場所は既に使われていない廃工場近くだったな、その周りには民家があった。なら俺が囮になってあの場所から引き離すだけだ!)
そう思いながらも、俺はもう1つの懸念すべき事項を頭に浮かべる。
(頼むからあの機械の鎧を纏った女ども、今日ぐらいは俺の邪魔をしないでくれよ!)
そう祈りながら、俺はノイズが出現しようとしている場所に全速力で向かっていく。
※
ウーッ!ウーッ!ウーッ!ウーッ!
機動二課。
「司令ッ!ノイズが廃工場の付近に出現を確認しました!種類は小型ノイズのみ!数は数百体にも及びます!」
「やはり今日も出たか。未確認の騎士はどうだ?」
「いいえ!未確認の騎士はまだいません」
「よし、奏!翼!今すぐに出撃だ!言っておくがくれぐれも未確認の騎士には戦いを挑むんじゃないぞ!」
「分かっています司令、任せてください!」
「ああ任せろ、おっちゃん!」
弦十郎の指示に2人は強く頷き、急いで司令室を出た。
「2人とも、頼むからこれ以上心配を掛けさせないでくれ」
弦十郎は本当に奏と翼を心配している顔をしながら、そんなことを呟いた。
司令室を出た2人は走りながら、軍用ヘリポートに乗せるエレベーターに向かっている、並んで走りながら風鳴翼は天羽奏に顔を向けて、心配そうな顔で声を掛けた。
「ねえ奏、お願いだから今日は落ち着いて戦って。私も一緒に戦うから、今日の奏なんだかいつもの奏じゃなくて怖いんだもん」
「翼…………」
翼の言葉にあたしは言葉が出せなくなるが、すぐ翼に笑顔を向けて頷き言う。
「分かってる。それにあたし1人じゃ未確認の騎士には勝てやしないさ、だからこそ2人であいつに勝とう翼!」
「うんっ!!奏!!!」
この話し合いを最後に2人はエレベーター前に着いて、エレベーターに乗って軍用ヘリポートへと行く。
しかし2人は知ることはない、もし少しでも天羽奏と風鳴翼に、しっかりと周りを見る冷静さを持っていれば、2人はリュウケンドーの凄まじい力を受けることもなかったであろう。
※
ウーッ!ウーッ!ウーッ!ウーッ!
「ゲキリュウケン!リュウケンキー発動!」
『チェンジ リュウケンドー』
「…………撃龍変身!」
現場に近くまで到着した俺は、直ぐ様モバイルモードのゲキリュウケンを本当の姿にして、リュウケンキーを発動しゲキリュウケンに差し込んで回し、ゲキリュウケンからリュウケンドーに変身する龍を呼び出し、俺は魔弾剣士リュウケンドーに変身した。
「とおっ!…………ノイズ、こっちだ!」
『『『『『!?!?!!?』』』』』
「魔弾剣士リュウケンドー!来神!!!」
リュウケンドーに変身すれば、変身した場所から1回転のジャンプをしてノイズが出現した場所まで飛び、ノイズに視線を集めて決めた。
「先制攻撃だ行くぞッ!はあっ!」
『『『!?!!?』』』
「まだまだ、ナックルキー発動!」
『マダンナックル』
「来いっ!マダンナックル!…………ふっ、連続ナックルスパーク!!!」
『『『『『『!!?!!?』』』』』』
先制攻撃でゲキリュウケンを振るって3体のノイズを葬り去り、俺は動きを止めることなくマダンキーホルダーからナックルキーを抜き取り、ゲキリュウケンに差し込んで回し魔法陣を出してマダンナックルを呼び出した。
魔法陣から呼び出されたマダンナックルを手に取れば、前に転がって前方周辺にいるノイズに向かって、ナックルスパークを撃ち放つ、それにより6体の小型ノイズが一瞬のうちに炭素の塊に出来上がった。
(それにしても…………また小型ノイズのヒューマノイドノイズとクロールノイズだけ、一体どうなってるんだ?大型ノイズが出ないでもう1ヶ月以上だ。なにかあるのか?)
俺は休むことなくゲキリュウケンを振るって小型ノイズを始末していくが、最近のノイズの出現に俺は疑問を覚え考えるも、結局のところ俺みたいな奴では何も
「…………おわぁたあぁーーーッ!!!」
※
「未確認の騎士がいつの間にか出現していました!そしてノイズとも既に戦闘を開始しています!」
「なんだと!?…………よしっ、俺は今すぐ奏と翼に連絡をする。2人が到着するまで後どのくらいだ?」
「お二人が現場に到着するのはもうすぐ、最低2分後には現場に到着します!」
「分かった。奏、翼、聞こえるか?」
未確認の騎士が現れたと言う部下の報告を聞いた弦十郎は、直ちに人類の希望である天羽奏と風鳴翼の2名に連絡を入れた。
『ん?どうかしたのかおっちゃん?』
「ああ、ノイズの出現場所にやはり未確認の騎士が現れた。お前たち2人にもう一度伝えておくぞ!くれぐれも未確認の騎士との戦闘は止めておくんだ!もしこれを破れば、お前たちのシンフォギアを没収し最悪の場合拘束し軟禁することになる!俺もそれだけはしたくない、気を付けるんだぞ!」
『分かっています司令!』
『大丈夫だよおっちゃん!』
そんな2人の返事であるが、それでも弦十郎は2人が本当にリュウケンドーに戦いを挑まないかという不安が過り、もう一度だけ忠告に出た。
「いいかっ、しつこいようだが絶対に未確認の騎士に戦いは挑むな!もし下手に挑んでお前たちを失えば、それこそ俺達人間の終わりなんだ!それを忘れるんじゃないぞ!」
『もちろんだよ。あたしだって命が惜しいからな!それにしてもおっちゃんは心配性だな~!』
『大丈夫です!私達が最優先に守るべきものは人の命、そのためにシンフォギアを纏っているんです。未確認の騎士とは決して戦いません』
「…………そうか、くれぐれも油断はするなよ」
『おう!』
『はい!』
弦十郎は奏と翼の返答に少し違和感を感じだが、2人に注意だけを即し、奏と翼の2人はしっかりとした返事をして通信を切った。
ヘリコプター内。
扉を開けば、地上には大量の小型ノイズと、それを相手にしている魔弾剣士リュウケンドーであった。その場面を見ていた2人は、お互いの顔を見合わせ同時に頷き。
「歌うぞ、翼」
「うん、行こう奏」
そう言って、天羽奏と風鳴翼の2人はヘリから飛び降り、歌を歌った。
「Croitzal ronzell gungnir zizzl」
「Imyuteus amenohabakiri tron」
※
「数だけが自慢の雑魚が鬱陶しいんだよ!回転
『『『『『『『『!?!?!?』』』』』』』』
『『『『『『『『!?!!??』』』』』』』』
小型ノイズの数の多さにキレて、俺はゲキリュウケンを力強く握り締め回転しながら周囲にいる小型ノイズを倒し、さらに回転を続けながらマダンナックルを向けてナックルスパークを撃ちまくって、周囲にいる小型ノイズどもを蹴散らしていった。
「はっ!どんなもんだ!!」
回転を止めて足のふらつきもなく立ち上がりを見せ、小型ノイズどもに啖呵を切った。
その時である。
「Croitzal ronzell gungnir zizzl」
「Imyuteus amenohabakiri tron」
「! この歌は!?奴等か!!!」
この歌が聞こえてきたため、俺は歌が聞こえた方向へと顔を向ければ、あの奏と翼と呼ばれた朱色の髪の女と青色の髪の女が歌いながら降ってきて、その身に髪の色と同じ機械の鎧を纏った。
「ふっ!」
「はっ!」
朱色の髪の女と青色の髪の女は、それぞれお互いの得物を振ってポーズを取り、一気にノイズ目掛けて動き出した。
「らああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「はああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
(…………まあいい、ノイズを全滅させることが先決だ。もし奴等が襲い掛かってきたらそん時はそん時だ)
2人は俺には目も暮れず、ノイズに向かって武器を振るっていった。俺はノイズと戦いながらあの2人組を見ながら思うが、そんなものは三の次以上にして、ノイズとの戦闘に集中する。
※
翼side
「はぁぁぁっ!せいっ!やあっ!はあぁぁぁぁぁあ!!」
「ふんっ!たあっ!であぁぁ!らあぁぁぁぁぁっ!!」
「うおりぃやあぁぁッッッ!!!!!」
ノイズとの戦いに凡そ20分程が経った。私と奏はお互いの武器で懸命にノイズを葬っていくも、その向こうでは未確認の騎士が持っている剣で大振りを咬まして周囲のノイズを一気に葬り去っていった。
「ナックルスパーク!!!」
さらには手に装備している手甲のような武器で、稲妻を纏ったエネルギーを放ってノイズ倒していく、未確認の騎士のその異常な戦いぶりに怒りを覚える。
(未確認の騎士、お前は何故そこまで強いんだ?一体どうやってそれほどまでの強さを手に入れたんだ!?)
私は未確認の騎士を睨みながら観察した。未確認の騎士の戦い方は異常に尽きる、時に細かい動きをしたり時に大雑把な動きをやっていると思えば、その実確かな動きで敵を倒し、時に跳躍などの動きを見せてノイズを倒していき、ある時は鍵の形をしたもので強大な力を繰り出す。
私は未確認の騎士のその戦い方を見ながら、ただ自分の胸の中に怒りの感情が出てきていた。
私、風鳴翼は幼少の頃からある時は剣となりある時は盾となるため、人類の守護を目的とする防人として育てられてきた。それはとても辛く厳しいものであった、だがそれでもそれが自分に枷られた使命であるためなんとか乗り切っていった。
防人になるのを続けていたときのこと、未確認の騎士と言う全てが謎に包まれ、ただ人間を守りながらノイズという人間の敵を倒すまさに正体不明の化け物が現れたのだ。奴はただ人を守りノイズを倒せば去っていく、まるでテレビの中に居るような正義のヒーローだ。
だけど、私にはその姿が許せなかった。もし未確認の騎士にも我々のように正義を胸にして戦っているのなら、私達と共に力を合わせて戦えばいい、それなのに未確認の騎士は協力など提案せず、ただ1人孤独に戦うことを宿命付けられているかのようにその強大な力を振り下ろしていた。
(未確認の騎士よ、お前は本当になんなんだ?)
そんな言葉を心の中で呟いて、私はクロールノイズ種の中で手足がオミットされたオタマジャクシ型のクロールノイズを斬り裂けば、今ここにいるノイズの数は15体以下になり、これぐらいの数になれば私は奏と顔を見合わせ頷き、未確認の騎士が右の腰からまた鍵のようものを取り出した瞬間、私は未確認の騎士に切りかかったのだった。
「!?!!??」
「ッ!?やはり防ぐか、防人の剣を!」
私は未確認の騎士の反射速度に驚愕を表しながらも、ただ未確認の騎士を睨みながら、未確認の騎士との戦闘を始めた。
※
機械の鎧を纏った女どもと力を合わせノイズを叩いていけば、残りの小型ノイズの数が15体以下になったため、俺はマダンキーホルダーからファイナルキーを取り出そうとした時であった。
「やああぁぁぁぁぁっ!!!!」
「ッ!!むんっ!!!」
機械の鎧を纏った女どもが居る方向から、妙に気合いと殺気が籠った声が聞こえたため、俺は全力を持ってゲキリュウケンで防ぐように振った。
その行動は大当たりで、青色の髪の女が俺に向かって得物であるデカイ刀を振るって襲い掛かって来たのであった。俺は難なくその斬撃を受け止め、青色の髪の女とは今
「お前…………いったい何のつもりだ?」
「未確認の騎士!!今日こそは覚悟してもらうぞ!!!」
尋ねてみれば、女は未だに俺のことを敵視している台詞を言って、自分の武器である刀にさらに力を入れた。しかしそれでも俺は難なく受け止めるも、そこから青色の髪の女は刀を激しく振るい凄まじい連撃を繰り出していく。
「おっと、危ない」
女が繰り出す斬撃の連撃を、上手くゲキリュウケンで捌いていくも、この場所が廃工場と民家の間のため少々やりにくいのもあり困ってしまう、そのため戦いの場所を変えようと思い、俺は向こう側にある廃工場に向かって駆け出した。
(とりあえず残りの小型ノイズは、あの朱色の髪の女に任せるとして、一旦戦いの場を変えてやる!)
「むっ!逃がさんぞ未確認の騎士!!!」
俺が駆け出したことに、青色の髪の女はすぐに追いかけようとして走り出した。
※
「大変です司令ッ!翼さんが未確認の騎士に戦いを挑みました!」
「!? 翼か奏、どちらかが未確認の騎士に戦いを挑むと思ってはいたが、まさか翼の方だったとは。至急翼に通信を入れて戻れと伝えろ!…………どうした藤尭?」
オペレーターの友里あおいが急いで報告してきたことに、司令官である弦十郎は苦虫を噛み潰したような顔になるも、すぐに部下に通信を入れろと言うが、もう1人のオペレーターである藤尭朔也が汗を流しながら思い表情をしていたため、それを目にした弦十郎は藤尭がどうしたのか聞くことにした。
弦十郎の台詞に、藤尭はただ起きた事態を伝えることだけであった。
「ダメです司令、遅すぎました。翼さんは誘い込まれました。未確認の騎士は向こう側にある廃工場で動きを止めました」
「なにっ!?まさか翼は誘い込まれたのか!!?」
「そうとしか考えようがありません」
「くっ、大至急奏に連絡を入れて、翼の救助に向かえと伝えろ!」
「司令無理です!今奏さんは残りのノイズの相手をしているため、この場を動くことは不可能です!」
「ぬっ…………頼む翼、危険が迫ったらすぐに退却してくれ!」
相手が未確認の騎士であるため、本当なら弦十郎はここで最適な指示を出すはずなのだが、下手に退却されて未確認の騎士に追い詰められて翼を殺されてしまえばお仕舞いであるため、とにかく弦十郎は彼女が無茶を起こさないか祈るばかりであった。
※
廃工場の中に入れば、俺は足を止めて青色の髪の女の方へと向き直った。すれば、青色の髪の女も足を止めて周りを見回せば、すぐに緊迫した表情となり何かを察した。
「まさか、わざと私をここへ誘い込んだのか!?」
「…………ここなら暴れてもそれほど迷惑も掛からないだろ。仕方ないから付き合ってやるよ?」
そう言えば、青色の髪の女にとって俺の言葉は挑発とでも受け取ったのか、凄まじい勢いで俺に斬り掛かってきた。
「~~~!嘗めるな未確認の騎士!!!」
「……………………シッ!」
しかし俺は女の斬撃を簡単に受け止め、また鍔迫り合い状態になるも、青色の髪の女はすぐに鍔迫り合いから離れ、今度は大量の斬撃を繰り出してくる。
「ふっ、はっ、やっ、ほっ、とっ」
そこから俺と青髪女との激しい剣戟が繰り広げられていくが、女は苦しそうな顔をする反面、俺は軽い感じで受け流したり捌いたりしている。だがその行為がさらに女の戦闘行動に火を着けたのか、俺から勢いよく距離を取れば、俺に向かって踏み込みを入れた斬撃波を撃ち放った。
「余裕の態度もそれまでだ未確認の騎士、喰らえッ!!!」
【蒼ノ一閃】
青色の髪の女が持つ刀から青い斬撃波が撃ち放たれ、それがものすごいスピードで迫ってきた。だが俺は、その斬撃波を見ながらゲキリュウケンを持つ右腕を後ろに向けて、左手は鉤爪でもやってるかのように前に向けて、足も左足は前に持っていき右足は後ろに持っていき、体は斜めにした態勢を取る。
そして精神を集中させながら左足の爪先に踏み込みを入れて、力のある一撃の斬撃を繰り出した。
(その目に焼き付けろ!これが俺の剣の才だ!)
「はあぁぁッ!!」
息を一気に吐き出すような力のある斬撃を繰り出した結果、青色の髪の女が放った斬撃波は半分に斬られ、その半分になった斬撃波は廃工場の壁を貫き破って消えた。
「そんな!?防人の剣を防ぐだけではなく、斬撃を斬ったと言うのか!?」
「…………………………………………」
「ッ!?…………くっ!?」
斬撃波を斬られたことに驚きを隠せない青色の髪の女に向けて、俺は無言でジャキ!っという音を経てながら女にゲキリュウケンを向けた。その行動に、女はただ苦しい表情をしながら後退るだけであった。
俺と女2人の固まった空気が流れる中、その空気を破るようにこの廃工場に乱入者が現れた。
「翼!!!」
「!? 奏!!?」
【STARDUST∞FOTON】
今度は朱色の髪の女が現れたことに驚く青色の髪の女であるが、すぐに後ろへと下がれば朱色の髪の女は俺に向かって槍を投げ付けると、その槍が1本から30本程増えて俺に迫ってくる。
俺は朱色の髪の女が投げて大量に増えた槍を簡単に避けようとしたその時である。
ある1つの命が、俺の目に入った。
「クウゥゥ~ン」
(!? 嘘だろ!くそっ!!)
俺はその声が耳に入り、朱色の女の攻撃でその命が奪われてしまうのが目に入った俺は、その攻撃を受けるのを躊躇いもなく動き出した。
ドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!!!!!!!
「ぐうっ…………!?」
俺はその命を右手で抱え込み俺の胸元まで持っていき、この小さな命を守るために全力で踏ん張った。
「ハァ…………ハァ…………ハァ…………そうか、ここはお前の住み処だったのか。悪かったなお前の大切な場所を荒らしちまって」
「クウゥ~ン!クゥンクゥン!!」
「ははっ心配してくれんのか?大丈夫だよ、この程度なら俺には掠り傷だ!ほら、ここは危ないから早く離れな。俺は大丈夫だからよ」
「…………クウゥゥ~ン」
俺が守ったのは、今日の夕方頃に出会った薄汚れながらも白い毛並みを持った仔犬である。どうやらここはこいつの住み処だったらしく、俺達が争っていたせいで確認のために出てきたようだ。
女が繰り出した大量の槍の攻撃に苦しい声を出してしまうが、リュウケンドーの仮面越しから平気な優しい声を出して悲しそうな鳴き声を出す仔犬を安心させる。そして右手を地面に置いて仔犬を離してやり、ここから離れることを即す。仔犬はまた心配そうな鳴き声を上げながら1度俺に振り返り、前を向いてこの廃工場から急いで離れていった。
「行ったか。ふぅぅぅ……………………」
仔犬がこの場から離れたことに一安心した俺だが、それでも許されざることが起きたため俺は静かに立ち上がり、2人組の女を見る。
「…………なんで未確認の騎士は奏の攻撃を避けなかったの?あれだけの実力があれば、奏の攻撃なんて簡単に避けれたはずなのに」
「それはあたしにも分からない。まさか避けないことに何か意味でもあるのか?」
どうやら2人組の女は俺の行動に疑問しか抱いていないようで、その理由が分からずも武器を構えながらしっかりと警戒を置いていた。だが今の俺にはそんなものは一切関係なく、朱色の髪の女の行いに激しい怒りが沸き起こり、鋭い睨みを効かせて止まることのない凄まじい殺気を体全体から生み出した。
「一体なんだッ!?未確認の騎士から放たれてるこれは?殺気なのか!?」
「体が動かない…………それどころか、体中が恐怖で打ち震えている!?」
朱色の髪の女と青色の髪の女は、俺が体中から放つ殺気に動けなくなっていたが、俺はそんなことなど構わず、ただ胸の中に疼く怒りの感情を叫び声にして張り上げた。
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「「ッツ!?」」
喉が枯れるほどの叫び声を上げたことに、2人組の女は
恐怖の顔をするも何とか負けることがないように、互いの武器をしっかりと握りしめるも、その手と足は恐怖のあまり震えていた。
そんなものには一切構うことなく、俺は朱色の髪の女を睨みながら彼女に言う。
「朱色の髪の女ァッ!てめえは俺の目の前でやってはいけないことをやったぜ!!」
「…………は?」
「視野を広くせず、ただノイズを殲滅すること、いや暴力をも越えた危険な力を振り回して、かけがえのないものに気付けないお前達に、その力を持つ資格もなければ戦場に起つ資格もありはしない!」
「いきなり、何を言ってるんだ?」
「力を持つことへの責任とその覚悟、そしてその恐ろしさを知れっ!」
女たちは俺の言葉に疑問の声しか出すことが出来ず、俺は叫びながらマダンキーホルダーを回して、使うべきマダンキーに止まれば一気に引き抜き、そのマダンキーを発動させる。
「ファイヤーキー!発動!」
『チェンジ ファイヤーリュウケンドー』
「火炎、武装!」
炎の絵が描かれたマダンキーを発動させ、ゲキリュウケンに差し込んで回せば、ゲキリュウケンが音声を発し炎が生まれ、
「炎の…………!?」
「ドラゴンだと!?」
ゲキリュウケンから炎の龍が出てきたことに驚く2人だが、そんな驚きなど無視をして俺は炎の龍が降りながらこの身に纏って来るのを待つ、待っていれば炎の龍は俺の体の周りを旋回し、次第にその炎が俺の体を包んでいきリュウケンドーの頭部にファイヤーキーと同じ絵柄が装着され、白い鎧部分は赤い炎の鎧へと変わっていった。
姿が変わった俺は、ゲキリュウケンを前に突き出してこの姿の名前を言った。
「ファイヤーリュウケンドー!来神!!!」
「「未確認の騎士の姿が変わった?」」
「ああぁぁぁ!!!俺の怒りが!熱き炎となって、燃え滾る!!!!!」
この言葉とともに、俺は2人組の女との戦闘を再開させた。
※
奏side
あたしの攻撃を受けきったと思えば、未確認の騎士はいきなり訳の分からないことを言い出したと思えば、鍵のようなものを剣に差し込んで回し妙な音声が鳴り出した。その瞬間剣から炎の龍が現れば未確認の騎士を包み込んで、凄まじい熱波を放った。
「熱っ!?」
「くっ!?」
凄まじい熱波にあたしと翼は顔を手で隠すように防いで、熱波が収まり未確認の騎士が居た方に顔を向ければ、そこに居たのは白い体の未確認の騎士ではなく、炎のような赤い体をした未確認の騎士がそこに居たのだ。
「――――――――――――!――!!!」
未確認の騎士は何かを言うが、それはあたしたちにとっては聞き取れず何を言ったのかが分からなかった。そして未確認の騎士はこう言ってあたしたちに飛び掛かってきた。
「ああぁぁぁ!!!俺の怒りが!熱き炎となって、燃え滾る!!!!!」
「ぐうぅっ!?」
未確認の騎士が剣を振ってきたため、あたしはガングニールの槍で全力を持って防ぐが、あまりの異常な力の強さにあたしは膝を着いて苦悶の表情を浮かべ口を開く。
「ぐうぅぅ、一体どうなってるんだ?炎の力を纏ったと思ったら、急に力が強くなってやがる!」
『奏!?一体何が起こったんだ!?』
「おっちゃん!?今説明してる時じゃないんだよ!?それにそっちからでも分かるだろ!」
未確認の騎士の剣を懸命に防いでいれば、通信機から弦十郎のおっちゃんの慌てた声が聞こえ、あたしは必死に声を出しながら答えた。
『悪いがお前らがいる廃工場では、何が起きているのか分からないんだ。ただ分かっていることは、お前たちが相手をしている未確認の騎士のパワーが増大に膨れ上がったことだ!』
「なっ!?それじゃあこの姿の未確認の騎士はパワーは何倍も上がってるってことかよっ!!?」
「だあぁぁあ!!!」
「!? がはっ!?」
おっちゃんの報告に驚きながらまた赤い姿をした未確認の騎士に目を向ければ、未確認の騎士はガングニールの槍から剣を離せば、踏み込みと回転を入れた後ろ回し蹴りをあたしの腹に喰らわせた。結果、あたしは体をくの字に折り曲げて廃工場のスクラップ置場まで蹴り飛ばされた。
※
「はあぁぁぁぁ」
「奏!?よくも奏を!はあぁぁぁぁ!!!」
相棒である奏が蹴り飛ばされたことに怒り、翼はがむしゃらのような感じでファイヤーリュウケンドーに向かって突撃し、聖遺物の天羽々斬から生まれた武器である刀を思いっきり振りかぶった。
「おらぁぁ!」
しかしリュウケンドーは翼の斬撃を寸分で避けて、炎の力を宿したゲキリュウケンを振るった。
「ッ!?はあぁっ!危なかった。……………………熱っ!?そんな!!?」
翼はなんとか避けれたと思っていたようだがそれは違っていた。二の腕に急な熱さを感じ翼は恐る恐る見てみれば、二の腕にあった青の装甲が斬られており、しかしそれだけでは終わらず、斬られた箇所はマグマでも浴びたかのようにドロッと溶けていたのだ。
「これが未確認の騎士の…………本当の力」
翼は静かにそう呟くも、怒りが燃え上がっているリュウケンドーは問答無用で風鳴翼に突撃しゲキリュウケンを連続で振るう。
「!………………………………」
「くっ!?ふっ、はあぁぁ!?うあぁぁぁぁぁ!?」
翼はなんとかリュウケンドーの連続の斬撃を捌いていくが、ファイヤーリュウケンドーになったリュウケンドーの力は何倍にも上がっているため力を込めた斬撃を何度も捌けるわけはなく、最終的に力負けしてしまい吹き飛ばされた。
「こいつも持ってけ!」
だがリュウケンドーはこの2人を許すことが出来ず、翼が吹き飛んだ瞬間さらに、翼の右足を自分の右足で蹴り飛ばした。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁあ!?!!?」
「翼!?このぉぉぉーーーー-!!!!!」
するとスクラップ置場から奏が起き上がり、翼がやられたのを見て何とか立ち上がって、リュウケンドーに槍を刺そうと飛び掛かってくる。
「ふんっ!」
「んなっ!?がっ!?うおわあぁぁぁッ!?!!?」
ガングニールの槍を数倍上がった力で弾けば、奏は驚いた顔と苦しい顔をするがリュウケンドーは手を止めず、奏の槍を掴んでそのまま無理矢理地面に叩き付けた。
「奏!?ぐうっ!? !!? いやあぁぁぁぁ!?!?」
「翼! うわあぁぁぁぁ!!?があぁぁぁぁぁぁ!??」
翼は奏を助けようとするが立ち上がることが出来ず、奏は翼の元まで向かおうとするがそれが出来ず、奏はリュウケンドーに右腕を掴まれ勢いよく翼の元までぶん投げ2人を衝突させた。
「…………………………………………」
「くそっ!?」
「奏!!?」
リュウケンドーは無言のまま奏と翼の女の所まで歩いていく、2人はボロボロのフラフラで武器を構えるが録に動けるわけがなく、リュウケンドーは情け容赦なく炎の力が宿ったゲキリュウケンを力強く握り締め、2人の体を斜め横に斬り裂いた。
「うらあぁぁぁぁ!!!!」
「「あああぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」」
斬撃を喰らって火花を散らしながら、後ろに下がっていく奏と翼。そして2人を無言ながらも殺意全開の目で睨むリュウケンドー。
「…………………………………………」
「ちくしょ、なんだか分かんねえが、お前が恨んでるのはあたしだけだろ!!なら殺すのならあたしだけを殺せ!頼むから翼だけは殺さないでやって来れ!!!」
「!? 何言ってるの奏!?そんなのダメだよ!未確認の騎士!頼むから奏を殺さないで!!殺すのなら私だけにして、お願いだから!!!」
「……………………!?……………………!」
なんとか互いの相棒を殺さないでくれと頼む奏と翼、リュウケンドーはただ2人を見ているだけであったが、ある方向に顔を向ければ、すぐさま廃工場を出ていった。
「え…………?未確認の騎士が去っていった?」
「…………助かったのか?」
リュウケンドーがいなくなったことに不思議に思った2人は、それぞれの疑問を口にしたが再び通信機から連絡が入った。
『翼!奏!聞こえるか!』
「おっちゃん!?」
「司令ッ!?どうかしたんですか!?」
『お前たち、なんとか動けるか?』
「一体どうしたんだよおっちゃん!」
『レーダーに大型のノイズの反応が2体確認された!しかもその廃工場から近いぞ!』
「なんだって!?」
「本当ですか!?」
弦十郎の言葉を聞いて何回目か分からない驚愕の声を上げて、2人はなんとか武器で体を支え限界の精神力で立ち上がった。
『ああ!大方未確認の騎士は大型ノイズの気配を感じ取りそっちへ向かったんだろう。お前らももし動けるようなら未確認の騎士と一緒に対処を頼む!』
「ああっ…………分かった!?」
「了解です!?司令…………」
人類をノイズの脅威から守ると決めた2人は、フラフラでありながらも廃工場から出て大型ノイズの対処に向かおうとしたが、目の前にあった光景に言葉を発することが出来たものの、その顔は絶望に沈んだような顔であった。
『大型ノイズの反応が消えただと!?大型ノイズに何が起きたんだ!?奏!翼!一体何が起きたんだ!!?』
「おっちゃん、どうやら未確認の騎士の力はあたしたちの予想を簡単に越えちまってるみたいだ」
「司令、未確認の騎士が…………巨人型ノイズを簡単に葬っています」
『なんだとっ!?』
2人の目に入ったのは巨人型のヒューマノイドノイズの1体が火炎に包まれて、焼かれながら悶え苦しみ炭素の塊となった。そしてもう1体は、直接のファイヤーリュウケンドーの必殺技・ゲキリュウケン火炎斬りで真っ二つに斬られて炭素化した。
「「ッ!?」」
「……………………………………」
大型ノイズの瞬殺に言葉が出なかった奏と翼であったが、最後にリュウケンドーがこちらを見据えれば、2人はリュウケンドーの存在に畏縮し、リュウケンドーが静かに去っていけば奏と翼は暫くの間そこを動けないでいた。
※
「……………………!?……………………!」
怒りのあまり2人組の女を重傷レベルまで傷付けてしまい俺は無言のまま後悔した、あの光のカノンの書に書かれていたことを行ってしまったからだ。
怒りを燃え上がらせないと決めたのに、俺は怒りを燃え上がらせただけではなく、怒りに身を任せてしまいファイヤーキーの力を使ってこの2人をここまで痛め付けてしまったことに、今さらになって激しい罪悪感に苛まれてしまっている。
罪悪感に苛まれてしまっていると言うのに、俺の脳裏に大型のヒューマノイドノイズが現れる映像を流した。こんな時に久方ぶりの大型ノイズに慌ててしまうが、すぐに気を取り直して俺はこの廃工場から出ていき、大型ノイズが出てくる場所へと駆けていく。
「! 来たか…………」
出現場所が近くだったため、俺は5階建ての事務所のような建物の屋上で巨人型ノイズの出現を警戒していれば、すぐに上空から2体の巨人型ヒューマノイドノイズが降りてきた。
巨人型のヒューマノイドノイズが現れれば、俺はゲキリュウケンの持ち手部分を上げれば、同じくゲキリュウケンの顔の部分が上がりマダンキーを差し込む場所が現れる。そしてマダンキーホルダーから炎属性に変化した、炎の必殺ブレスを放っているファイナルキーを抜き取り、ゲキリュウケンに差し込んで回し持ち手部分を下げてゲキリュウケンの顔も下がり音声が鳴る。
『ファイナルブレイク』
「喰らえっ、ゲキリュウケン!火炎斬り!!!」
必殺技の名前を言えば、ゲキリュウケンから炎が産み出され俺はその炎を1体目の巨人型ヒューマノイドノイズに放った。
『!?!!?!!?』
撃ち放った火炎斬りをその身に受けた巨人型のヒューマノイドノイズは、火炎斬りの炎に包まれて悶え苦しみながら炭素の塊になろうとしていく。
「もういっちょ行くぜ!」
そう言って俺は力の限りのジャンプをして、炭素の塊になろうとしていく巨人型ヒューマノイドノイズの体を駆け登っていく、頭上に到達すれば巨人型ヒューマノイドノイズの頭を踏んで跳躍し、体を回転させ炎を纏ったゲキリュウケンを振って2体目の巨人型ヒューマノイドノイズを真っ二つに焼き斬った。
「ファイヤーリュウケンドー!ゲキリュウケン!火炎斬り!!!!!」
『!?!?!?!!?』
2体目の巨人型ヒューマノイドノイズも、火炎斬りに悶え苦しみながら炭素化していった。
「消え失せろ。…………ノイズ」
俺はゲキリュウケンを斜めに向けて冷酷に言い放ち、2体の巨人型ヒューマノイドノイズの最後を確認した。
「……………………………………」
「「ッ!?」」
2人組の女たちが居る方面に目を向ければ、2人は俺に畏縮したように止まって、ただ俺を見ているだけだった。俺もそれを見れば、背を向けて早急にこの場を去ることにした。
「……………………バカ野郎が!」
俺は歩きながら、静かな空気が流れているこの場に自分自身の愚かさを戒めた。
to be continued.
長かった……………………。
リュウフォギアの更新が1年過ぎにもなってしまい、本当の本当に申し訳ありませんでした!!!!!????
再び心に不安感が宿ってしまい、それに怯える始末になってしまい更新がここまで滞ってしまいました。誠に申し訳ございませんでした!
こんなことにならないよう、頑張っていきたいと思いますので、読者の皆様の感想や評価の応援よろしくお願い致します!
では次回予告をどうぞ!
次回予告。
俺は昨日ファイヤーリュウケンドーの力で、あの機械の鎧を纏った女2人を戦場に出れないほど傷付けた。
本当なら、リュウケンドーの力で人間を傷付けるのは大罪どころか死刑執行だ。それでも俺はあの朱色の髪の女が起こしたあの視野の狭い行動が許せなかった。そんな時、顔には出さず心の中で悩んでいる俺の隣に妹の響がやって来た。
そしてシンフォギアを纏う装者の2人、2人は二課で俺の怒りの理由を教えられる。その理由に2人の装者は俺に何を思うのか?
次回。魔弾戦姫リュウフォギア。
知るんだ、剣士の心を。
次回も魔弾戦記リュウケンドーで突っ走れ!