ヒーロー『デク』   作:ジョン・スミス

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一週間に一回は投稿(目標)


第2話

「そういや、お前知ってるー? 最近噂のヴィジランテのこと」

 

「ああ?? んなもんキョーミねぇよ、ヴィランとなんら変わりねー奴らの事なんざ」

 

 所詮はヒーローの出来損ない。ヒーロー資格も取れない奴らがやってることなんて気にするまでもない。爆豪勝己には今、無名の公立中学校から、唯一の雄英入学者という箔付けしか頭にない。

 

「いやーそれがさ。そのヴィジランテ、バクゴーみたいに手から爆発起こしてるんだってよ。それで夜な夜な空を飛び回ってるとか」

 

 ちらりとむかつく顔が脳裡を過ぎったが、気になることが聞こえた。

 

「………詳しく聞かせろや」

 

 自分じゃないのは確かだが、自分と同じ個性を使う奴がヴィジランテなんてやってれば、自分に疑いが掛かりかねない。噂でも受験に響きかねないと爆豪は危ぶむ。

 

「んな凄むなよ………。なんでも、夜中パトロールしてるらしいぜ。ヴィランを追っかけて、気絶させては夜巡回してる警察やヒーローに見つかるよう仕向けて、一切姿を見せない。おれら、てっきりお前がやってんのかと思ったけど」

 

「ま、んな器用なこと勝己できるわけねーよなー」

 

「まあバレたら雄英行けなくなるようなことしないよな」

 

「みみっちいし」

 

「ああ!? だぁれがみみっちいだ!! やろうとすりゃ出来るわ!!」

 

 好き放題言うこいつらをどうしてくれようか、と一気飲みして空になった缶を爆破する。

 

 むしゃくしゃしてやった。

 

 やめろよ、こえーよ。そういった二人は手に持った箱から一本ずつ口にくわえる。

 

 そんな二人の様子に目ざとく振り向き、手からは煙を燻らせる。

 

「つーか煙草やめろっつったろ!! バレたら俺の内申にまで火の粉かかんだろーが!!」

 

「ココアシガレットだっての!!」

 

「ほらみみっちい………」

 

「んなっ!!」

 

 ん、と向けられた箱から棒状ラムネ3本程ひったくり、一気に噛み砕く。辛いものが好きな爆豪のお気には召さなかったようだ。

 

 勿体ねーな、と思うが掌の爆破が向けられないだけましだ。それなりに付き合いの長いみみっちい級友に二人はあきれる。人からとったものだからと、吐き捨てないあたりがなんだかんだと爆豪の憎めないところだった。

 

「んにしても、おまえさァ幼馴染なんじゃねーの?」

 

「流石に今日のはやりすぎ」

 

「ああ? 俺の道にいたのが悪い」

 

 ムカつく顔を思い出して、苛立ち紛れに落ちていたペットボトルを爆豪は蹴る。

 

 所詮、あいつは捨てられたペットボトル。いや、リサイクルもできやしない、道端の石ころだ。

 

 それが、自分と同じく雄英を目指すだなんて。夢見るのも大概にしろ。

 

「ガキのまま夢見心地のバカはよぉ、見てて腹が立つ」

 

 そんな爆豪の様子を見かねた二人。

 

「もう一本いっとけって」

 

「楽になるぞ」

 

 なお、ココアシガレットである。

 

 カリカリとした様子に目を見合わせて。糖分たりてねえんだな、ともう一度向けた箱を今度はひったくられた。

 

「ちっ―――」

 

「「あ―――!?」」

 

 がり、ばり、ぼり。一気に口へ放り込む。30円のものだ。高い、とはいえない駄菓子に過ぎない。

 

 文句なんざ受け付けないと、これ見よがしに残り全部を食べきった爆豪に、二人は―――

 

「お、おい………」

 

「うし、ろ………」

 

 ―――二人は爆豪の後ろに見たそれに声を上げる。

 

「? あ―――」

 

 

 

「―――良い個性の―――隠れミノ―――!」

 

 

 

 爆豪は背後のそれに襲われるまで気づけなかった。

 

 

 

 □-□-□

 

 

 

 ひょろりとした男性。着ている服こそ同じものの。しかし誰もが知るオールマイトとは似ても似つかない。………だが彼こそがオールマイトなのだ。

 

 これが本当の姿なのだと。そう本人の口から聞かされた。

 

「一日約三時間。それが、今の私がヒーローとして活動できる限界だ」

 

 嘘だ。そう思った。でも、見せられた傷が。オールマイトに刻まれた、見ただけでも痛ましいその手術のあとが、僕に現実を見せる。

 

「人々を笑顔で救い出す、平和の象徴は―――決して悪に屈してはいけない」

 

 満身創痍。そういっても過言ではない。オールマイトが、『平和の象徴』が背負うものの大きさに、僕は打ちのめされる。

 

「プロはいつだって命懸け。個性(ちから)無しになりたつとは、とてもじゃあないが………口に出来ないね」

 

 No.1ヒーローでさえ、命に関わる傷を負う。もしかすると、オールマイトがその傷を負ったとき、彼はNo.1ヒーローでなくなっていたかもしれない。あるいは………死んでいたかもしれない。

 

 誰もが目を逸らし、有り得ないと信じていることが、有り得たかもしれない。ファンの一人として、あまりにも受け入れ難い事実だった。

 

 

 

 警察にでもなったらいいんじゃないかな、なんて無個性だった僕にオールマイトはアドバイスをくれる。

 

「夢を見ることが悪いとは言わない。だが、相応に現実も見ないとな、少年」

 

 その通りだ。だけど、僕は―――!

 

「あの!」

 

「………なんだい、まだ何か聞きたいことでも?」

 

 僕はもう無個性じゃない。個性を手に入れた。僕の個性でいつかどんな傷でも治せるような、個性(ちから)を手に入れたなら―――!

 

「も、もし。その傷「ああ、だから。これについてあまり触れないでくれよ。あまり人に話すようなことじゃないんだ。じゃあね」

 

 決心して言いかけた言葉はオールマイトによって気だるげに遮られた。

 

 ………オールマイトが去った後、帰り道を辿ろうとする。

 

 しかし、この屋上から見える炎。粉塵。そして時折聞こえる爆発音に意識を持っていかれる。オールマイトと跳んできた方向だ。

 

 嫌な予感がした僕は、急いでビルの屋上から()()()()()

 

 

 

 大丈夫。コツはもう掴んでる。大切なのは、イメージ。何回も練習もした。この個性で空は飛べる!

 

 掌の皮膚を厚く変成してニトロのような物質を垂れ流し、着火。かっちゃんの『爆破』の個性で、落ちる身体は重力に逆らう。

 

 近づくにつれて聞こえてきたのは、聞きなれた爆音。………みみっちいかっちゃんが、犯罪なんてするわけがない。やるんなら絶対バレないようにやる。確信に近い予感をもって、ヴィランの暴れている現場へ行く。

 

 ………爆発を操る個性持ちのヴィランなら、早々に取り押さえられても、おかしくない。こんな火災になることもなかったろう。だが、それがされていないのは、ヴィランでない、誰かが爆発を起こしているからではないか。

 

 出来ることなら、外れていてほしかった予感。果たして、その予感は―――正しかった。

 

 幼馴染みも着ている筈の学ランが、オールマイトが捕らえたはずのヘドロヴィランの端から見える。ヴィランに覆われているその両手からは爆発が迸り、商店街の一角が炎上していた。

 

 人気のない路地に降りて、群衆に紛れる。

 

 全部僕のせいだ。

 

 オールマイトを引き留めようとさえしなければ、彼が―――かっちゃんが襲われることは無かった!

 

 この場にヒーローは沢山いる。………オールマイトもやってきた。責任を感じて来たのだろう。みせて貰った傷跡を服の上から押さえて苦しそうにしている。

 

「私二車線以上じゃなきゃムリ~~~!!」

 

「爆炎系は我の苦手とするところ………! 今回は他に譲ってやろう!」

 

「そりゃサンキューッ! 消火で手いっぱいだよっ!! 状況どーなってんの!?」

 

「ベトベトで掴めねーし! 良い個性の人質が抵抗してやがる! おかげで地雷原だ、三重で手ェ出し辛え状況!!」

 

「ダメだ、これ以上解決できんのは今この場に居ねぇぞ! 誰か有利な奴が来るのを待つしかねぇ!」

 

 そう言ってヒーローたちは被害を抑えることに注力している。相性の良い個性(ちから)を持っている誰か(ヒーロー)を待って。

 

 ああ、この状況を解決できるこの場にいるヒーローはオールマイトくらいだろう。………そのオールマイトは今、動けない。

 

 どうしたら良い。………でも、僕がなにか出来るか? プロヒーローですら何も出来ないでいるというのに? 無個性を装って? こんな大衆の目がある中で?

 

 無理―――

 

 

 

 否。

 

 息継ぎのできないかっちゃんの顔。それが見えて。

 

 ―――気が付いた時僕の身体は大衆の中から飛び出していた。

 

 




個性紹介
『爆破』
おなじみ、皆大好きツンギレかっちゃんの個性!
手からニトログリセリンのような汗を出して爆発させることが出来るぞ!
どんなことが出来るかは原作コミックスを見よう!(ステマ)
空を飛ぶのにデクは約半年かかった。かっちゃんは始めての一回で出来た。何回か死にかけた。
女の子になったり、見下してる幼馴染みが美少女になったりとこの界隈では大変な目に遭う模様。強く生きろ。
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