ナイトウィザードオリキャラ短編集   作:volrent

10 / 11
ギリギリに投稿するという捻くれっぷり。


お雛様

「プッハハハハハ!なんだその格好!?は、腹痛ぇ……!!」

 

「くっ……後で覚えてなさいよ……」

 

現在、オレは漿鳳院(しょうほういん)家で行われている雛祭りに呼ばれていた。

身内だけと言っていたが、どうも他にも友人などを招待などしているらしい。

おかげでかなり大きな催しとなっている。

流石名家だな。

で、何故オレが爆笑しているかと言うと

 

「お、おい和弥……それくらいにしておけ…」

 

「いや、だってお前この歳になってお雛様の格好するとか笑う以外にどうしろっつうんだ」

 

樹の言葉にそう返して、笑いながら目の前のお雛様……の格好をした本日の主役である漿鳳院(しょうほういん)鑽霞(きりか)の姿がある。

どうも毎年この家は身内の娘にお雛様の格好をさせる行事があるらしい。

 

「凄く似合ってると思うのだが」

 

「プッそうだな……滅茶苦茶似合ってるぜ、クク、ク……」

 

「……普通、見とれる場面では無いのか?」

 

「樹さん……この男にそんな甲斐性求めたって無駄よ」

 

「あ、はい」

 

失礼な。

オレにだって甲斐性くらいある。

今回は発揮されて無いだけで。

 

「は~笑った笑った。んじゃ、オレは飯でも貰ってくるかな。じゃあなイインチョ……プッ」

 

「……!!!」

 

「落ち着けキリカ!その格好で暴れた所であの男には勝てん!」

 

樹がイインチョを羽交い締めにしてる間にオレはこの場を抜け出した。

現在位置は屋敷の中。

本会場はこの屋敷の大庭でやることになっている。

食い物も何もかもがそこにある筈だ。

そして、大庭に出た所で。

凄い怖い顔をしたおっさんに行く手を遮られた。

 

「あ、あの何か用でも……?」

 

「……君が鑽霞に呼ばれたとか言うクラスメイトかね?」

 

「は、はぁ……そうですが」

 

「鑽霞とはどのような関係かな?」

 

「さっきクラスメイトって言ってたじゃ無いですか。その通りですよ」

 

「いや、そんな筈はない!あの娘はただのクラスメイトだろうと男を家に呼んだことは無かった!さぁ、本当のことを言い……」

 

「あらあらアナタ?こんな所で若い子に突っかかって無いで、ほら挨拶も終わってないんですよ?」

 

そうこうしてるうちにイインチョにそっくりなお姉さん登場。

こりゃ、アレか。

ご両親かこの二人。

いや、でも男友達呼んだくらいでこの過剰反応は凄まじいな。

流石名家か。

これからは少しイインチョとは距離を置いた方がいいかもしれないな。

厄介ごとに巻き込まれるのはゴメンだ。

 

「いや、私は彼に話がだな……」

 

「では、自分はこれで」

 

「ぬ、待ちたま……ぐえっ」

 

「はいはい、行った行った。では、ゆっくりしていってくださいね~」

 

オレが移動するまでもなく引っ張られていった。

女系家族なんだろう。

男の立場は低いのだ。

そもそも雛祭りだから周りも女性ばかり。

やべ、急に心細くなってきた。

 

「カズヤ、何か良いもの見つけたか?」

 

「樹いいい!よく来てくれた!」

 

「わぁ!?何!?何だ!?」

 

いや~知り合いが来てくれて助か……

よく考えたらコイツも女じゃねぇか。

状況変わんねぇ。

 

「……オレ、帰ろうかな」

 

「何故!?」

 

「いや、なんか女の人ばっかだし。場違いかな~って」

 

「今更過ぎるだろう」

 

「お前には分からないんだよ。女の中に孤立した童貞の気持ちが……」

 

「いやその……」

 

「後は何か凄まじい厄介ごとの臭いがしてきたんだ。主にあそこにいるイインチョの両親から」

 

「……確かにコッチをガン見してるな」

 

この会話がフラグじゃないことを祈る。

それはそれとして

 

「まぁ、飯食ってからでもいいか。元々それが目的だしな」

 

食事は立食形式になっている。

いわゆるバイキングってやつか。

和風な家だから一人一人にお膳が配られると思っていたら違うらしい。

こっちの方が楽だからいいが。

案外それが理由だったりしてな。

 

「そんな事だろうとは思っていた……ふむ、これなんか美味しそうじゃないか?」

 

「全部美味そうだ。じゃ、いっただっきまーす!」

 

そうやって飯を食っていると

 

「お、キリカが来たぞ」

 

「どれどれ……プッ、やっぱり笑えるな」

 

「いい加減にしろ全く……」

 

「人を笑ってこそのオレのアイデンティティよ……ん?」

 

何やら騒がしいな。

話し合いをしているみたいだが……

どうも必死に親父さんが反対しているらしい。

が、それをイインチョとお袋さんが笑顔で押しきっている。

 

「何やってんだありゃ」

 

「カズヤは知らないか。あれはお内裏様を決めているんだ」

 

「お内裏様ぁ?」

 

「毎年、招待で来ている者の中から選ばれるらしい。名家同士の思惑もあるだろうしな」

 

「ああ、お見合いとか?大変だな」

 

イインチョの歳がもっと小さかったら微笑ましいかもしれんが、この歳だと確かにそういう黒い話になるか。

あれ、どうも話し合いは終わったらしい。

親父さんが凄まじい眼光でコッチを睨んで……

 

「……キリカがこっち見て微笑んでいるようだな」

 

ヤバイ。

アレはヤバイ笑顔だ。

オレはクルリと後ろを向くと。

全速力で逃げ出した。

 

「逃がさないわよ、和弥くん!」

 

しかし使用人のような方々に回り込まれた!

魔法も使えないこの状況では……

 

「捕まえたわ…さ、着替えましょう。私を笑ったこと、後悔させてあげるから!」

 

「嫌じゃあああ!!」

 

オレの雄叫びがこだました。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。