ナイトウィザードオリキャラ短編集   作:volrent

11 / 11
お茶を出せ

「ククククク…いや、笑ったぞ。あれほど似合わないお内裏様も無いだろう」

 

「でしょう?仕返しには妙案だと思ったのよね、フフ」

 

「うるせぇ……」

 

あの悪夢の雛祭りからその後。

折角だからと漿鳳院(しょうほういん)の家でお茶をしていくことになったオレ達は、現在鑽霞(きりか)の部屋へと向かっていた。

お雛様へとクラスチェンジしていた部屋とは別なそうな。

かなりでかい家であることは間違いない。

 

「でも良いのか?」

 

「良いって……何がかしら樹さん?」

 

「あの場面でお内裏様にするってことはこの男と添い遂げるって言ってるようなモノだと思うのだが……」

 

は?

 

「え、何?イインチョ、オレのこと……!?」

 

なるほど。

まぁ、オレだからな。

仕方ない。

 

「そ、そ、そ、そんなわけ無いでしょう!あ、あれは和弥くんが私のこと笑ったからそれで……」

 

「照れんなって……というか動揺しすぎだ。いくらなんでも初心すぎるだろう」

 

「う、うるさいわね」

 

「散々告白とかされて来ておいて純情派ですか?純情な少年達の心を折ってきたくせに!?」

 

「う、う、う、うるさい!」

 

「まあ、告白くらいわたしでもされるからな。大したことでは……」

 

お前も告白されたんですか(いつき)さん!?

え、てことは

 

「何?お前ら学校でもトップクラスな美少女なわけ?そんなのと同じ空間にいるのオレ?」

 

「な、なんだ突然!いや、美少女とかそんなのでは……その、嬉しくないわけではなくてだな」

 

美少女と同じ空気を吸ってるとか。

ちょっとこれ、青少年的に……

 

「いや、無いな。お前らは無い」

 

「「………」」

 

あれ、何か一気に空気冷めたな。

何かマズいこと言ったっけ?

言ったな。

 

「相手が和弥くんとは言え、そう言われると何だか凄く悔しいわ……!」

 

「甚だ不愉快だ……!」

 

「そうか。それはよかった」

 

この男……!、と二人がオレを睨む。

ふむ。

 

「んで?客人呼んどいてこの家はお茶も出ないんですかあ?ねぇ?」

 

「落ち着けキリカ!!この男に突っかかった所で暖簾に腕押しだ!!」

 

「おお、怖い怖い」

 

ニヤニヤしながら鑽霞が樹に羽交い締めにされるのを眺める。

徐々に服が乱れていきヒラリとスカート中が覗いた。

 

「眼福、眼福」

 

ハッとして赤い顔をした鑽霞が服を整えオレを睨む。

縞とは分かってるな。

チェックでも良いが。

これでしばらく困らんだろう。

何にって?

言わせんなよ、恥ずかしい。

 

「……とでも考えているんだろう。最低だな、カズヤ」

 

「勝手に人の思考を読むんじゃねぇよ」

 

樹が侮蔑の表情でオレを見下す。

まさしくゴミ以下の害虫を見る目だ。

だからオレは言ってやった。

 

「黒」

 

「……!?い、いつ見たんだ貴様!」

 

「さっき。にしても黒とは。白だと思ってたぜ」

 

「~!!その頭から今すぐ忘れろ!いや、忘れさせてやる!!」

 

「《バインド》」

 

「くっ!?このぉ!はなせぇ!」

 

「嫌だね。まだ死にたくないんで。ところでいいのか?暴れれば暴れる程見えるぞ?」

 

「こ、このクズ!」

 

「誉め言葉だ」

 

オレがもがく樹にドヤ顔をかましているとイインチョが呆れた顔を向けてきた。

 

「ここまで来るといっそ清々しいわね……いいわ。()()お茶を淹れてくるから、ちょっと待ってて」

 

瞬間、樹の《バインド》を解き、さっきまで喧嘩(いやがらせ)をしていたとは思えないほど巧みなコンビネーションで、鑽霞の腕を両側から掴んだ。

 

「な、何?」

 

「待て待て。やっぱりお茶はいい。座ろう」

 

「え?なぁに?今更遠慮?気にしないでよ。確かにお茶を出してなかった私も悪いし……」

 

「いいから座れキリカ。お茶より先に折角遊びに来たのだから何かしよう。な、カズヤ!?」

 

「そうだな!樹の言う通りだな!」

 

オレ達の態度を訝しんでいた鑽霞だったが唐突に不満げな表情になると

 

「……もしかして私が淹れるから心配してるわけ?」

 

その言葉に気まずげに目を逸らすオレと樹。

 

「大丈夫よ。お茶を淹れるだけなのよ?」

 

そう言われると、確かに。

 

「……大丈夫なのか?」

 

「うん。待ってて」

 

そう言って鑽霞が部屋を出ていく。

よし

 

「脱出しよう」

 

「即決か!?お茶を淹れるくらいどうってことは無いかもしれんぞ!少しくらい待っても」

 

「いいか、イツキ。確かにもしかしたら普通のお茶が出てくるかもしれない。でも、そんな希望にすがるくらいならオレはここから……」

 

「お待たせ~」

 

「遅かったぁ!!?」

 

頭を抱えた。

樹なんざ置いてさっさと脱出すれば良かった!

 

「何?どうかした?」

 

「い、いや」

 

目の前にコトリとカップが置かれる。

見た目は普通のお茶だ。

だが、この見た目が信用ならないことをオレは知っている。

樹と思わず目をあわせ

 

「ええい、オレも男だ!」

 

お茶を一気に飲んだ。

 

「カ、カ、カ、カズヤ!?」

 

「………あれ?意外とフツーな、グポッ」

 

人間が出してはいけない音が口から発せられ、目の前の視界が七色に染まる。

やっぱり……飲むべきでは無かった……。

 

「カズヤ!」

 

何か温かいモノにオレの頭が支えられる。

樹……意外とあるんだな。

ぐっじょぶ!

そしてオレの意識は暗転していった。

 

 

 

「……キリカ」

 

「……言わないで分かってるから」

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。