そうアレは、オレが学校の帰りにコンビニに寄った帰り道のことだった。
珍しいマッチョでスキンヘッドの男と。
なんかソイツに絡まれてる女子を見つけた。
「ちょっと、それ以上近寄らないで!」
見たことがある女子だ。
確か…クラスメイトの【
良く覚えてないってことはそこまで深い関係でもないだろう(確信犯)
というわけでオレは通り過ぎることにした。
「あ、ちょっと和弥君!?」
会釈をしておいた。
缶コーヒーがうまい。
そんなオレを見てスキンヘッドはニヤッと笑う。
「あんな死んだ魚みたいな目した奴ほっとけよ。どうせキモオタのインポ…」
オレは全力で飲みかけの缶コーヒーを投げ付けた。
スキンヘッドの頭の天辺からコーヒーが流れる。
「良かったな?ハゲに髪が生えたぜ」
その言葉にぶちギレたらしいコーヒーヘッドはオレに向かって拳を繰り出してきた。
そしてオレに拳が直撃する。
コーヒーヘッドチンピラーの顔は驚愕に染まっていた。
「誰がキモオタのヒキコモリのブサメンのインポ野郎だ!!」
「そこまで言ってな…ぐほぉっ!?」
オレは拳で殴られたのにこれっぽっちも動いていない。
痛みもない。
ウィザードは《月衣》を纏っている。
《月衣》はあらゆる物理攻撃を無効化する結界だ。
勿論、カツラの代わりにコーヒーをかぶっているイカれた野郎のヘナチョコパンチも、だ。
オレはイカれたチンピラを《月衣》で底上げされた身体能力にモノを言わせて殴った。
鳩尾にクリーンヒット!
転がったゴミクズの顎を蹴り上げ、よりゴミに相応しい姿にしていく。
「か、和弥君?それくらいにしといた方が」
「今はこれくらいにしといてやるよ!」
「あと、別にブサメンじゃないと思うわ。大丈夫よ」
「やめろ。それ以上言うな。泣けてくる」
最後に動かなくなったチンピラの頭を踏みつけた。
人間がウィザードに手を出そうとするからだヴァカめ!
「ふうっ…無事かイインチョ?」
「……さっき見捨てようとしたよね?」
周囲の体感温度が二度下がった気がした。
オレの頭はこの状況から抜け出すために高速回転を始める。
まずは無難な答えからだ。
「いや、ちょっとイインチョだと気付かなくってな」
「へぇ、そう。知り合いしか助けないの?女の子が絡まれてたのに助けないんだ?」
さっそくミスった。
「いや、そう!アレだ!チンピラの友達の田中に見えたんだよ!きっと仲良く話でもしてるんだろうな、と」
「……私が女に見えないっていいたいわけ?」
あ、ヤベ。
詰んだわ。
もう鳥肌が
「ねぇ、ちょっとお茶しに行かない?和弥君」
「え、いやオレ家族と用事が」
「大丈夫よ。私も謝りに言ってあげるから」
「いやでも」
ガシッ
バ、バカな…逃げることに関しては天才的なオレが反応も出来ないだと……
そして彼女はまるで天使のような微笑みを浮かべて言った。
「いいから来なさい」
「アイ、マム!!」
それから数日間、世界がまるで……別物に見えたんだ。