ストライクウィッチーズ 〜カールスラントの英雄〜 作:テアイチ
2年後…1938年
ベルリン総統官邸
「閣下…昨今、オスタリカを併合した際、ブリタニア、ガリアの2カ国が避難声明を出しました。今ここでこの案を彼の国に出すとなると、下手したら戦争になるやもしれません…」
「同じく、我が軍は未だ兵器の配備が間に合っておりません、更にウィッチの育成も間に合っておらず、配備には未だ一年程時間がかかりましょう…」
赤い絨毯の上を堂々と真ん中を歩き部下の言葉を聞いているが恐らく聞き流しているだろう。そして威勢のある木の大きなドアを開けて、自分の執務室の高級なイスに足を組んで座る。
「それで、勝算はあるのかね?」
「失礼ながら…勝算は低いかと…」
「なら仕方ない私は低い方に賭けよう、最近の私は何かと運が良いからな。」
「では…手筈どうりに事を進めます。」
「うむ…」
部下が部屋を出ると男は立ち上がり大きな窓に向かい空を見上げた。そこには数機の飛行機が飛んでいた。
「この件であの2カ国がどう出るかで今後の展開は大きく変わるぞ、消極的に出たら私の夢の実現はそう遠くない…私、アドルフ・ヒトラーの千年帝国は近いぞ!」
そうこの男こそ後に最悪最恐の独裁者と呼ばれるアドルフ・ヒトラーである。
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陸軍兵学校食堂
「おい、聞いたか、タイチ?」
「ん?クルトか…どうした?」
一人で昼食を食べていた時隣に親友であり相棒のクルトがやってきた。
彼はここ2年で見違える程に成長し最初の順位は120人中100位位だったのが今では120人中5位になっていた。ちなみにタイチは1位をダントツで維持していた。
「遂に戦争だぞ!我らカールスラント第三帝国の力を世に見せる時だ!」
「まてまて!そんなの初耳だぞ!?」
「教官達がコソッと話しているのを聞いた奴がいるらしい、今では学校中に知れ渡ってるぞ!俺の予想、相手はボヘミア王国らしい」
「ボヘミア?隣国なのは分かるがなぜその国なんかに……」
「さぁな?この後緊急集会があるからその事を話すんじゃないのか?」
「成る程な、俺は成績に影響するなら、参加してもええな。」
「タイチらしいな」
「言うな」
二人は仲良く話ながら食事を進める。とっとと食べ終わり二人で急いで講堂に向かう。すでにタイチ達よりも先に待っている訓練生もいた。
「はぇ〜全ての訓練生が出席とは中々ヤバイ話じゃないのか?」
「確かにそうだなクルトの話が本当なら…」
綺麗に部隊ごとに並び一段高くなっている壇上に目を向ける。
「集まったか貴様ら!?」
急に壇上に立っていた教官が声を高らかに上げて声を出す。その声を聞いた訓練生一同緩んでいた気をピシッと正し、教官の方を向く。無論タイチとクルトもだ。
「これは軍に所属している者にだけ知られている事だが、危急のため諸君ら訓練生にも命令が届いた。その命令は…」
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ブリタニア連合国国会議事堂
「チェンバレン首相、大変でございます!!」
「ん、どうした急に?」
「一大事です!」
昼の昼食を済ませて煙草を一服し良し仕事するぞと立ち上がった時に鬼の形相をして副首相がやってきた。
ネヴィル・チェンバレン、現ブリタニア連邦の国家元首である。日に日に戦争の足音が近く中、融和外交で平和を保とうとしている事で有名である。前回のカールスラント帝国のオスタリカ併合の際にも非難声明を出しただけであった為、ウィンストン・チャーチルら1部の政治家からは弱腰首相などと陰口を言われているが当の本人はそれには気付いていない。
「カールスラント帝国がボヘミア王国に対してズデーテンラントの割譲を要求してきました!」
「何!何故あの地を?」
「元々はオストマクル帝国の領土でもあり、カールスラント帝国との国境地域でもあるためカールスラント系住民が多く在籍しているとの事」
「くぅ…こう出てくるか…」
「ガリア共和国ダラディエ首相からは連絡は来ているのか?」
「はい、つい先ほど連絡がありまして、共にチェコスロバキアを援助すべしと来ています。」
「む…。」
チェンバレンは悩んでいた、このままガリアと共に先の大戦の様になるのか、カールスラント帝国の要求を飲むのか決断を迫られた。どちらにせよ成功しなければ野党やチャーチルらが辞任を要求してくるだろう。こうなれば何かしらの手を打たなければならない。
「わかった…ダラディエ首相に連絡を入れろ!我が国は戦争をじさないと、」
「わ…わかりました!」
「チェンバレン首相!カールスラント帝国から連絡が入りました!」
「何処からだ?」
「ロマーニャのベニート・ムッソリーニです!」
「ムッソリーニだと?何故奴がこの問題に加入してくる?」
「連絡の内容によりますと…貴国とカールスラント帝国の仲裁に入りたいとの事…」
「恐らく…ヒトラーの差し金でしょう…」
「だろうな…だが交渉で平和が保てるなら乗らないというわにはいかないな」
チェンバレンは部屋からテラスに出て空を見上げた。
「私が首相の任期を終えるまでは戦争はさせない!アドルフ・ヒトラーどの様な人物だか…」
自分のするべき事を硬く決心し会談に臨んだ。空には数人のウイッチが演習飛行を行なっていた。
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「…以上が今回の上層部からよ命令だ!参加は自由である、参加すると少なからずだがボーナス点が付くとの事だ!諸君の参加を待っている、以上、解散!!!」
教官の一喝で集まっていた訓練生は徐々に解散していった。周りでは参加するかしないかを聞いている。やはり皆、点が欲しいため参加するのが殆どだった。
「クルト、お前はどうする?」
「僕かい?参加するに決まってるじゃん!タイチはどうするんだい?」
「俺は出ないと単位を落とすからな、やるしかないだろ?」
「決まりだね!」
「おう!その為にはトレーニングだ!」
2人はこの日まで地獄の特訓をはじめた。
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ミュンヘン労働者党施設
会談が近づく中ヒトラーは机に座り煙草を吸いながら書類を見ていた。
「たった今ロマーニャのムッソリーニ、ガリアのダラディエが自国を出発したとの事」
「チェンバレンはどうだ?」
「たった今飛び立つ所です、ラジオで放送されていますがお聴きになられますか?」
「うむ…聞こう」
秘書はラジオの電源をオンにしてHlzを調節する。調整し終わった丁度マスコミがチェンバレンに取材していた時だった。今日は風が強く多少の雑音が入っていたが聞き取れない訳ではない。
『今回、私ネヴィル・チェンバレンは今からカールスラントのヒトラーと平和に向けての交渉を行いに行きます、先の大戦を2度もさせない為、自分達の息子を戦場へ行かせない為に私は立ち上がったのです!平和をこの手で掴む為に!では皆さん吉報をお待ち下さい!』
『たった今、チェンバレ首相は飛行機に乗り込みカールスラント帝国へと向かいました!頑張って下さいチェンバレン首相!!現場からは以上です』
「チェンバレンはやけに張り切っていたな」
「恐らく消極的だと野党から陰で言われている為、一泡吹かせたいのでしょう」
「成る程な…所で兵の準備は如何している?」
「第一国防軍30師団は既に国境沿いに集結しています。更に兼ねてからの要望通り兵学校の訓練生、4師団が間もなく着く頃です。」
「良し全ての準備が整った、次はメーメルだ直ぐに準備に取り掛かれ」
「は!」
各国がこの会談に臨んでいる中ヒトラーは次の手を考えていた。
世界大戦まであと394日…