PHANTASY STAR ONLINE2~星霜ヲ蝕ス三重奏~ 作:無銘数打
統合軍所属護衛艦イクサ之5番艦。
乗組員が使用するエリアの中で、最も使用する者が少ないトレーニングルームがある。
理由は単純、その場所を陣取っている部隊がいるからだ。その部隊に関わるのは、今後の人生において何ら影響はない。何故なら、その時点で今後の人生などないからだ。命知らずが関わり死を迎えるなど、そんな当たり前の事実を知らない者はこの艦にはいない。
「―――喧嘩したくねぇか、軍曹」
体から発せられる熱気は、男がダンベルの様に片手でバーベルを上下させているのが原因。引き締まった肉体などという生易しい言葉は、そこにはない。あるのは化け物じみた、化け物の様な肉体。
人が用いてはならない筋肉量を宿した男は、暇潰しのトレーニングの最中、酷い暇を感じている。それを飢餓と呼んでも偽りはないだろう。
「したいわけないでしょう、中尉。暇潰しに喧嘩するとか、路地裏の童貞野郎みたいな事を言わないでください」
男の横で文庫本を読んでいる眼鏡の女は、上官の呆れた言動に適当な返答を返す。
「こんな暇な任務をする為に、俺は此処に居るわけじゃなねぇんだよ。いいか、軍曹。俺は軍人だ。軍人は戦ってなんぼ、戦いがなければ軍人とは言わないだろ」
「軍人とは民を守る為にあるべきと、お偉い方々は口にしますが?」
「阿保らしいな。そんな大義名分なんぞ俺は知らん。俺が軍に居るのは戦う為だ。戦ってこそ男だ」
「私は女だから、中尉の言いたい事はさっぱりわかりませんね」
この会話は一体何度目になるだろうと、女は文庫本を閉じ、上官を見る。
男の名は小隊を率いる、ライバック中尉。
女の名は小隊の副隊長、チェイン軍曹。
本来ならば上官であるライバックに、チェインが口答えするような事は許されないのだが、この小隊においての力関係兼隊員の信頼度はチェインの方が上。
「中尉、アークス情報部から命令を受けているはずです。我々は本来ならば早々にナオビに降り、治安維持という名目で暇な直立運動をしなければいけません。なのに、我々はどうですか、この状況」
軍曹は部屋の中の惨状を指さす。
ある者は眠り、ある者は遊戯に勤しみ、ある者は賭け事をし、ある者は昨日までなかった大型テレビで映画鑑賞。これが統合軍の部隊のあるべき光景とは口が裂けても言えないだろう。
「貴方達も中尉に何か言ったらどうなの?というか、貴方達の内、1人くらいは任務を全うしようとは思わないのかしら?」
全員が全員、チェインに目もくれず片手を振る。つまり、まっぴらごめんと言ってるのだ。
「……中尉、この現状をどう思われます?」
「我が隊に相応しい光景だと俺は思うがな。それにな、軍曹。この状況は普通に見れば立派な命令違反、良くて懲罰、悪くて軍法会議ものだ。だが、それでも上の連中は俺達に何も言ってこないのは、何故だ?」
「我々が嫌われているからでしょうね。我等は『墓堀部隊』。そんな連中に関わりたくないという想いはひしひしと感じますよ」
「それもあるが、それだけじゃねぇわな。考えても見ろ、今回の命令を出しているのは、情報部の連中だ。情報部だぞ?アークスがだぞ?統合軍にわざわざアークスシップの治安維持なんて命令を出すなんて、変だと思わないか?あっちには、都市警備局っていう連中がいるんだ。その仕事をどうして俺達に回してくる?」
持っているバーベルを床に落とし、ライバックは待機中であるにも関わらず、アルコールが詰まった酒瓶を口にする。
「上の連中だって馬鹿じゃない。きな臭いと思っているって事なんだよ。だから、俺達は保険なんだ。いざという時に動ける保険、それが俺達だ」
口から洩れる濃いアルコールの混じった息を吐きながら、ライバックは凶悪な笑みを浮かべる。
「楽しい話じゃねぇか。つまりは、こうだ。俺達はアークスと喧嘩が出来るって事だ。こんなオラクル船団っていう辺境に飛ばされて、糞つまらない護衛なんぞしてられっかと思ったが、こんな美味しい特典があるなら、少しはやる気も出るってもんよ」
この上官の悪い性癖が出たと、チェインが額を抑える。
「それは中尉の希望的観測でしょうに……あのですね、ライバック中尉。アークスと喧嘩するなんて、統合軍としても良い事なんてありません。こっちとあっちの仲が悪くなれば、迷惑を被るのは誰ですか?それを理解してないのはわかっていますが、もう少し貴方の好戦的な希望を捨てて、まともな思考で考えてください」
こんな風に戒めても、きっと考えを改める気などないのはわかっている。この上官の考え方は常にこれだ。だから、その部下達も気楽なものだ。どいつもこいつも、墓下から出してもらった恩を感じて言わないのか、それとも単に暴れたいから何も言わないのか知らないが、誰も文句を言わない。
「副長、その辺でもう止めときましょうよ。隊長に何を言っても意味ないんですから」
「そうそう、俺等は爪弾き者なんだから、俺達が動かない事が軍の平和ってもんさ」
「それよりも副長もこっちに混ざりませんか。脱衣麻雀なんですが」
「馬鹿野郎。副長の貧相な体なんぞ拝んでも嬉しくない」
「お前こそ馬鹿野郎。あの貧相な体には夢が詰まってるんだぞ!!」
「お前、夢見すぎ」
「夢を見て、何が悪いってんだよ!!」
「まったく、これだから男は……そんなに欲求不満なら、私が相手してあげましょうか?」
「いや、お前も男だろ」
「もう取ってるから、女よ」
「え、取ったの?」
「文句ある?」
「……いや、それもありか」
「お前の守備範囲広すぎだろ」
「おい、五月蠅いぞ。今、良い所なんだから、もう少し静かにしろ」
「五月蠅いのはお前の方だ。もうちょっと音量低くしろよ。なんでこんな所で大音量で官能ビデオなんて見てんだよ―――ってか、龍族の絡みとか見たくねぇんだよ!!」
「馬鹿野郎め。異種族の交尾とか燃えるだろ」
「変態しかいねぇのか、この部隊は……ところで、リリーパ族のそういうのってあるか?」
「あるよ」
「あるのか……よし、言い値で買う」
「だから、音量を下げろって言ってんだろうが!!」
「あ、テメェ、勝手に……いいぜ、この野郎。ぶっ殺してやんよ」
「やるか?あぁ、やってやる」
「お、おっぱじめたか。おい、どっちに賭ける?」
始まった喧嘩を煽る者もいれば、それに乗じて賭けをする者。終いには参加する者と、非常に見苦しい騒動にチェインは、頭を抱える。この部隊にはまともな者が1人もいないのか、と。この隊長にして、この隊ありと言われるのは納得するしかない。
「お、喧嘩か。俺も混ざるか」
「止めてください。中尉が混ざると死人が出ます」
日常茶飯事な光景は、もう慣れたが、悩みはする。このままでは、この部隊は何時まで経っても、統合軍の掃溜め扱いだ。
「まぁ、そんな悩むなよ、軍曹。それにな、俺だって別に上がどう考えてるかで、動く動かないと決めてるわけじゃねぇんだ。単に、あの野郎が気に入らないってだけだ」
「そっちの方が駄目でしょうに……あの野郎とは、情報部のジョンドゥの事ですね」
「あぁ、あの野郎は信用ならん。俺の勘だが、あの野郎はこっちの連中をテメェの懐に入れてる可能性もある。じゃないと、こんな簡単に統合軍は動かねぇよ」
好き嫌いで物事を考えても、そこには多少なりと理屈がある。その度合いがわかりにくいが、このライバックという男はそれがある男だとチェインは理解している。
「―――虚空機関が解体されてからですね、連中の名を聞き始めたのは」
「『無銘の血統』なんて随分な呼ばれ方してるが、結局は自己中心な馬鹿野郎共の集まりだよ、奴等は」
「ジョンドゥ……私達が以前遭遇した者も、同じ名前でしたね」
「そりゃ同じ名前さ。連中に名前なんてないんだ。だから大概は同じ名前だ。男ならジョンドゥ。女ならジェーンドゥ。中にはネームレスなんてのもいたな。ともかく、連中は元々はそういう名前すら与えられなかった者達だ」
「その殆どが何者かのクローン体。その何者が誰は未だにわからない、と」
そして、その何者かもわからない者達が、野に放たれている。チェインが知る限り、ジョンドゥという2人の男。
1人は半年前に作戦行動中に遭遇した者。こちらは存在が悪質だが、ある一定レベルの者でない限りは無害な存在だ。だが、問題は今、自分達に干渉しているもう1人のジョンドゥという男。
「上の方々は、ジョンドゥをどう思っているのでしょうか?」
「抱きこまれてなければ、危険視してるだろうが……恐らく、この艦の奴はしっかり抱きこまれてるだろうよ」
「その上で我々に何も言ってこないという事は」
「動かすと面倒だと思ってるんだろ?」
自覚はしている。
この部隊は爆弾だ。
統合軍にとって切り捨てられ、闇に葬られた連中を、墓の下から掘り起こしてしまった男が纏める、爆弾部隊。
「楽しみだなぁ、軍曹」
「私はあまり楽しみに感じられませんが、そうですね……」
その眼が刃の様に怪しく光り、チェインの肌が僅かに黒く染まる。
「興奮は、してきますね」
ちなみに、これは2時間前の会話。
現在、この隊にある人物の捕獲命令が出ている。
「……中尉、命令が出てますけど」
「知らん、寝る」
だが、未だ動かず。
■■■
工業地区に着いたはいいが、空気が重い。
彼女としては話してしまったが故に、俺を完全に巻き込んだという苦悩。俺としては情報部が動く程のとんでもない事が起きていたという事実に困惑。
それでも俺達は思考とは別に体がしっかりと動くようにプログラムされているのか、自動的に工業地区の入り口を通過し、目的の廃棄エリアへと足を向けていた。
工業地区の独特の匂いは勿論だが、機械が何かを作る時に発生する音量は、体を震わせる程の振動だった。その中で会話をするのは難しいと思うが、2人ともまともに会話をしないのだから、問題ない。
それにしても困った。
想像以上に面倒な事が起こっているようだ。
マザーシップ。
よりにもよってマザーシップと来たもんだ。
全長5000㎞程という規格外に巨大な船。そこがオラクル船団の中心であり、オラクル船団にとって重要な意味を持つ船。全アークスシップの管理と統制を行うのは勿論だが、その中には生命維持機能も含まれており、アークスシップで生きる事に必要不可欠な存在と言える。また、アークスに与えられる情報の収集と解析なども行われているので、仮にマザーシップが機能を失えば、オラクル船団は死ぬと言っても過言ではないだろう。
それ故、一般市民は勿論、アークスもその船内に入る事は容易ではない。むしろ、その中に入るという事は、それだけ重要な人物になっているという事だ。
今のマザーシップは2隻目であり、以前のマザーシップはある事件でその機能を停止しているらしいが、どちらにせよ俺の様な者が入った事など一度もない。
そして、オラクル船団の心臓部のマザーシップは、難攻不落の要塞にもなっている。いや、そもそも落ちてはいけない場所なのだから、当然警備は最高クラス。外も内も、鼠一匹通してはいけない場所なのだ。
「数か月前、マザーシップが何者かにハッキングを受けました」
その言葉が意味するのは、難攻不落の要塞に賊の侵入を許したという事。それがどれだけ恐ろしい事なのか俺でも想像は出来る。だが、そんな事が出来る者がいるというのか、という疑問に行きつくのだが、困った事に過去にも侵入を許してしまった事がある。その時、俺はまだ惑星リリーパに居た為、その事件の当事者にはならなかった。それがアークスを変える出来事である事は、アークスのみならず、オラクル船団全体が知っている事件だった。
だが、その時と今回は違う。
物理的な侵入ではなく、ネットワークを介しての侵入。
あり得る話、などとは口が裂けても言えない。
前例などない。あってはならない。だが、起こってしまった。それを起こした者が確かに存在している。存在している事を知ってしまった。
賊が何の目的でマザーシップにハッキングを仕掛けたのかは、未だに不明らしい。だが、賊はそのハッキングで、我が物顔で障壁を突破して、何らかの情報を得て、優々と帰ってしまった。侵入を許し、脱出を許してしまった。仮にそれが表に出てしまえば、とんでもない大騒ぎになってしまうだろう。そして、その事実は隠されている。隠されているからこそ、情報部が動いているという事だ。
結果、情報部は賊の逃げた先を見つけ出し、賊を捕まえる為にこの地に降りた。そう、このナオビこそが賊の潜伏地域だという。
そして事件は起きた。
情報部の4人のアークスが殺された。犯人は恐らく賊だろう。つまり、そこがこの事件の始まりという事になる。マザーシップへの侵入、殺されたアークス。この2つは繋がってしまっている。なら、ジェリコとクレアの死、そしてイプシロンとスパルタンもそれに繋がっているのか。繋がっている可能性は濃いのか。だからジョンドゥは動いているのか。
事実を得た事で生まれる疑問が、頭の中を駆け巡る。
まいった、本当にまいった。
これはナオビのみで収まる事件などではなく、オラクル船団全体に関わる事件ではないか。どう考えても俺では役不足で、都市警備局すら役不足に感じる。仮にこれを知っていれば、俺はジョンドゥの言い分を飲む事に僅かながら納得はしていたかもしれない―――当然、同じように反発はしている事は間違いないだろうがな。
「……はぁ、お前さんがそんな申し訳そうな顔をするな」
悪いのはこっちだ。
今なら彼女の気持ちも理解出来る。どう考えても彼女の考えは正しい。幾ら手を組んでいるとは言え、前提となる大事件を知る事で俺が混乱し、俺に何らかの危険が及ぶのは間違いだろう。
いや、俺だけじゃないだろうな。
「聞いてしまえば、もう後戻りは出来ないし、する気もない……言ったろ、覚悟は決まってるってよ」
だから、そんな顔するな。大丈夫、オッサンはこう見えて意外と頑丈に出来ている。無駄に歳を重ねているわけではないのだ。むしろ、こんな重いモノを抱えているお嬢さんの肩の荷を、少しだけ持つ事が出来ている事は、悪いもんじゃない。
「無理してませんか?」
「少ししてる。してるが、まだ大丈夫だ」
足を止めている暇は残念ながらない。歩き出したら、それを続けるしかないのだろう。
「しかし何だ、始末屋なんて呼ばれているが、お前さんは結構甘いな」
「その呼び方は、あまり好きじゃないって言ったじゃないですか……あの、甘いですか?」
「甘い、大甘だ。だが、こっちとしてはそれが助かるよ」
助かるし、だから気に入っているんだろうな。
さて、話はこの辺にして、思考を切り替えて―――行こうとした時、爆音が響き渡った。
爆音が周囲を揺らし、思わず膝をつきそうになる。
「今の音は……」
「あっちの方です!!」
何が起こったかは知らないが、作業に伴って出た音ではない。何かが破壊される音に導かれるように、俺達は走る。
走った先では大変な騒ぎになっていた―――なってはいたが、すぐに思い出す。俺が言った事ではないか。
今、この工業地区ではAISの新型エンジンのコンペが行われている。
稼働時間の少ないAISのエネルギー問題は、新たな動力が開発された事で何とか解決へと進んでいる。ならば、ついでに性能そのものを向上させるため、新たなエンジンを搭載してみるのも良いだろうと考えられ、コンペが開催されるらしい。
音の発生場所は、演習場。
そこで盛大に爆発炎上しているのは、AIS。
つまり、そういう事だ。
「おぉ、見事にぶっ壊れてるな……搭乗員は大丈夫だったのか?」
「大丈夫みたですよ、ほら」
彼女が指さす場所には人だかり。
AISの搭乗員らしき者、恐らくアークスだろうと思われる男が、怒りを露わにしている。その矛先を向けられているのは、ツナギを来た若い女。その後ろに妙にガタイの良い同じくツナギを来た野郎共が控えている。
「―――お前等は馬鹿なのかッ!?あんなエンジンを載せて、まともにAISが動くわけないだろうが!!」
アークスが吠えるが、相手の女はまったく動じる事なく、アークスすら見ずに燃えているAISを眺めている。
「……やっぱり、AIS側をしっかりセッティングしとくべきだったわね」
「おい、人の話を―――」
「あぁ、聞いてる聞いてる。ごめんね、AISの性能に希望を持ちすぎてたわ。まさか、あんなチャチな物だとは思わなくてね」
すげぇ言い草だな。
「でもさ、アークスさん。そっちのAISの馬力が低すぎない?こっちのエンジンの性能に全然ついていけてないじゃない。幾ら私達のエンジンの性能が良くても、乗せる機体があれじゃ、全然ダメよ」
ほんとに、すげぇ言い草。
「お、お前等……自分達の作った粗悪品のおかげで、俺は死ぬところだったんだぞ!!これはAISに搭載されるエンジンのコンペだ。なのにお前等の出してきたのは、出力が高すぎて、AISを暴れ馬にしちまうほどの粗悪品じゃねぇか!!」
演習場は様々なタイプがあるが、今回は障害物を多く設置した場所を想定しているらしい。あちこちに障害物があり、高層ビル並みに高い障害もあれば、人の身長くらいの高さもあるし、沼地に砂、草原に雪と1か所に沢山のバリエーションを置いている。この全てをクリアして、エンジンとしての性能を確かめようとしているのだろうが、
「最初の障害で駄目だったみたいだな」
「スタートと同時に壁に激突ですか……一体、どんなエンジンだったんでしょうか?」
テストする搭乗員も下手糞ではないだろうし、むしろその反対。どんなエンジンを載せたAISだろうと乗りこなせる自信はあったのだろう。だが、それすらも凌駕してしまうエンジンは、化け物か粗悪品か、そのどちらかだ。
「粗悪品……粗悪品と言ったのかしら?」
そして粗悪品という言葉が、気に入らない奴がいるのも事実。
「当たり前だ。他の連中の出してきたエンジンの中で、お前等のエンジンは最低最悪の粗悪品じゃねぇかよ!!」
「へぇ、そう……粗悪品ねぇ」
直観したので、行動する。別にこんな事をする深い意味はないのだが、此処で変な事件が起きて、俺達の目的を邪魔されるのは好ましくない。
罵るアークスの言葉を聞いていたツナギの女の手には、既にそれが握られていた。だから、その手を掴む。
「―――誰、アンタ?」
「通りすがりのお節介だ。色々思うだろうが、とりあえず穏便にしてくれ」
アークスからは突然現れた俺に驚きの感情を向けられ、女の背後に控えている連中からは激しい怒気を感じる。その視線を無言で黙らせ、女を連れて奥の倉庫に向けて歩き出す。
「ちょ、ちょっと何なんなのよ!?離しなさい変態野郎ッ!!」
「いいから、黙って来い」
俺が女を連れていき、その後ろでツナギの連中がぞろぞろとついてくる。残されたアークスとその他の連中は茫然としていたので、彼女にフォローを任せた。
「お騒がせしました。とりあえず、あれを消火する事をお勧めします。その後はどうぞコンペを続けてください。ほら、次の方々が待ってますよ」
「あ、あぁ、そうだな」
「では、私はこれで……」
実に的確なフォローに感心しながら、俺は女を倉庫へと連れていく手を放さない。あと、その間も抵抗する女からかなり殴られて痛いが、我慢する。男の子ですから……