とりあえず実験を降りよう 作:あーくん
時は試しに。さらっと読んでいってください。
プロローグだから短いのは許してね。
(妹達ちゃんともっと関わらせたいとか決してそんな欲があったわけでもなくげふんげふんあわよくば妹達ちゃんと一方通行の恋愛物語もちょっと仄めかしたいのかそんな欲望があるわけでもなくごほんごほん)
彼が眠りにつくと、決まって白雲が彼を覆い隠す。綿あめのようにふわふわとしている雲を、昔彼は必死に退けていたらしいが、先が見えない事に嫌気が差してその行為をやめてしまったらしい。
どんなに掻き分けても続く白雲の道。しかし、それで彼に支障をきたしたわけではないので、特に深く考えずに彼はその白雲を無視し続けた。自分に害がなければ、それがあろうと無かろうとどうでもいいのだ。
しかし、今日は違った。いつも通りに眠りにつき、親の顔より見慣れた光景を目にしてーーー何故か今回だけ、無性にその雲を掻き分けたくなった。
何故だか分からない。理由も無い。ただ単に、その雲の先を見たくなったのだ。
操り人形のように、彼はその雲を掻き分ける。ただひたすらに、無我夢中に、雲を掻き分けていく。昔はある程度進んだ所でリタイアしたが、今回はそのリタイアした所の先まで進んでいた。
その雲を退けて、どれくらい経ったのだろうか。そろそろ腕も疲れてきた。ここでは能力が使えない。これ程能力がないことに不便だと感じたことがない。
掻き分けて、掻き分けて、掻き分けて。
ーーーそして、やっと、光が見えた。
「ーーーー!」
彼は目にする。雲の先に見えた、幻想の世界を。
そして彼は悟る。何故雲が、これ程ーーーまるで彼を絶対に先へと進めないように、何重にも覆いかぶさっていた理由を。
そして彼は、後悔する。
ーーー自ら、面倒な事に首を突っ込んだ事を。
****
ーーー
人類の限界を超えた超越なる存在。6つの段階に分けられるレベルの頂点、
もしこの存在が学園都市中に知れ渡ったら、必ずその存在を追い求めるものが後を絶たないであろう。
だが、言わずもがなこのような天地に辿り着くなど至難の業である。ハッキリと言えば、到達するのは『有り得ない』のだ。どんな研究者達が論争を繰り広げても、絶対能力者の可能性を秘めることはなかったーーーある時までは。
ある者が、こう言ったのだ。「絶対能力者に近い存在がいると」。誰もが求め、誰もが期待したその名を、ある者は口にした。
その者は、学園都市の頂点に立つ存在であった。能力開発によって幼き頃からその強大な能力で周りを圧倒した存在で、どんな銃火器を持ち合わせても決して地に伏せる事がなかった、学園都市最強の
その彼を利用した計画が、今正に始まろうとしていた。
しかし、そんな事が出来るわけがない。そこで彼らは、同時期に進められていた、御坂美琴のDNAを用いて作られた彼女の体細胞クローンーー『
しかし、彼女のレベルは精々
その計画の名は、
複数の研究者達の目が、実験場に立つ二人に向けられていた。
片や有名な常盤台中学の制服を身につけ、重厚感のあるゴーグルをかける可憐な茶髪の少女。手には似つかわしくない拳銃が持たされている。
片や銀髪に赤眼と、アルビノを思わせる細身の少年。
可憐な少女が御坂美琴のクローン、『
この時を、研究者達は今か今かと待ち侘びていた。やっと、悲願が達成する時が来たのだ。この実験が成功すれば出世は間違いないし、後世に偉大なる研究としても残せるであろう。
さぁ、実験よ。早く始めろ。実験が始まる直前のこの静寂の時を、研究者達は手に汗握りながら忙しなく待った。
ーーーそして、実験開始時刻が廻った。
「つーかよォ」
直後であった。
00001号が攻撃を開始しようとした瞬間、一方通行が気だるそうに声を発した。
00001号の動きが止まる中、一方通行は、まるでコンビニにでも行くかのような軽い声で、研究者達にこう言った。
「ーーーもう、帰っていいかァ?」
は?
研究者達の頭が、その一言で埋め尽くされる。
彼らが戸惑う中、学園都市最強の超能力者はつらつらと言葉を並べていった。
「こンな経験値稼ぎみてェなことを、永遠にやるなンてことァなァ、ハッキリ言って面倒なンだよ。てか、これ意味あるンか?」
「な、何を……あるに決まっているだろう!?この実験が成功すれば、君は最強の遥か先にーーー!」
「行けねェよ、そンなとこ」
研究者の言葉が、打ち返される。
まるで確信を持ったような言い方だった。この実験は成功しない。自分は最強の先にへと行けない。そんな確固たる信念を持ち合わせていた。
「これじゃあ、俺は最強の先になンざ行けねェ」
誰だ、と誰かが零した。
誰だ、彼は。最近会った彼とは、まるで別人のようだ。
最強の先を追い求めた、あの血迷ったかのような瞳と違う。もっと、別のーーー。
「で、帰っていいのかァ?」
再度問いかけられたその言葉に、研究者達は返すことも出来なかった。
***
ソファから体を起こした一方通行は、暫く眠気を吹き飛ばした後、苛立ちを隠さずに頭を掻く。ぐしゃぐしゃになった髪をそのままにした彼は、そのまま『夢』のことについて思考し始めた。
『彼』の夢は、まるで
これが『彼』の夢ならば、一方通行は大して気にも留めなかった。くだらない夢だと、考えるのも無駄だと、少々考えることはあるかもしれないが、早々に切り捨てていたことであろう。
そう、これが『彼』という、一方通行とは全く別人の夢ならば、だったら。
「夢が『俺』っていうのが胸くそ悪ィ」
そう、この夢。自分の未来をそのまま描いたかのようだと言ったが、本当にそうなのだ。姿形も、挙動も、全てが一方通行なのだ。夢に出てきたのも自分、ツンツン頭の青年に無様に殴られるのも自分、幼女を助けるのも、全て自分だ。声はさすがに聞こえなかったが、その姿だけで、容易に「これは自分だ」と把握出来る。アルビノという存在など限られるからだ。
まるで一方通行のその後を、伝えているかのような。そんなリアリティが読み取れた。
「予知夢……?はッ、馬鹿馬鹿しい」
非科学的な事に、一方通行は嘲笑う。
しかし、と、一方通行は今日のスケジュールを思い出した。今日は第一次実験の当日。今日やっと、彼は最強の先にへと足を踏み入れることが出来る。
ーーーもし、あの夢の通りに本当に起こるのだとしたら。
「……」
馬鹿みたいなことを考えるのは良そう。と彼は考えるのを放棄したものの、あの「夢」がこびりついて頭から離れない。
もしあの夢の通りに起こるのだとしたらーーーーああ、一方通行は全て見、知ったのだ。第一次実験の後に起こる出来事を、自分が実験を続けても、大して意味の無いことも。実験を続けても、最強の先には行けないこともーーー全て、知ってしまったのだ。
「…………あァーーー」
信じるのも、馬鹿らしいのに。
いつの間にか、一方通行は無意識にこう呟いていた。
「やる気、無くなった」
そして彼は、この実験に価値を見いだせなくなったなり、実験を放棄するようになったのだった。
ーーー夢は信じていない。その夢から得た情報で、最終的な決断を出しただけである。一方通行はそう思っている。
しかし彼は知らない。
この選択が、彼の未来を大きく変えることを。
そして彼は、この世界が織り成す「未知の世界」に、片足を突っ込むことになるのだ。
これは、ある世界を知ってしまった青年が、己の為に「今の世界」を生きる物語である。
タイトル適当に決めただろとかそんなこと言わないの!
原作を知った一方通行がどういう行動を取るのか考えた結果この作品が生まれました。うーん俺得ゥ!
一方通行も好きだし妹達ちゃん達も好きだしどうしようどうしようとなった結果こうなったとかそういう理由もあるんですけどね。
え?欠陥通行が欲しい???しょーがないなーの〇太くんは!!!!!!!(殴)
こんなテンションで進めていく予定です。妹達編最後まで書けたらいいなと思っている。そこから気力があれば続けていこうかなぁとも思っている。私は一方通行程頭が良くないので、そういった専門知識を兼ね揃えた説明文などは書けません。そんな所は軽く生暖かい目でさらっと読んでくれるとありがたいです。指摘されちゃうと私の頭がパンクしちゃう。
というわけで次もあればよろしくお願いします。また次話で。