幼女のヒーロー?アカデミア   作:詩亞呂

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はじめまして、ほぼ初投稿の見切り発車です。
デグ閣下に大暴れして欲しいがためだけに書いてみました。


国外脱出編
第1話


やぁ、ご機嫌麗しゅう。

私の名前はターニャ・デグレチャフ。国籍は日本人で8歳の高校1年生だ。

あぁ、国籍と名前がおかしい?年齢と学年がおかしい?まぁ、御託はこの戦争が終わってからにしてくれたまえ。今は我が愛する校舎を襲撃してくれた敵どもの駆逐で大変忙しいのでな。

「Guten Morgen,我が同胞よ。久しく相見まえたというのに全くもって情緒の欠片も感じさせない挨拶をありがとう。

───あぁ、もう言葉も分からないのだったな」

 

それでは、さようなら。

 

 

 

 

 

国外脱出編

 

 

 

私の人生は栄達と挫折の混合物であった。

 

人並み以上の知能を持ち、難関と呼ばれる学校に入学を果たすもその集団の中で1位を取ることが出来ない。天才や秀才には、多少能力のある平凡な私は遠く及ばないのだ。

 

しかしそんな平凡な私も世間一般で言うエリートサラリーマンとしての人生を歩んだ。

学歴エリートというプライドだけはやたらと高い人種だった自覚はある。なんと屈折した若者だっただろう。愚鈍な連中を貶し見下すことで自分を保っていたのだから。

 

内面は置いておいて、表面上私の人生は上手くいっていた。

然るべき報酬さえあれば文句も垂れず働き、人間関係も無難にこなす。自分のテリトリーに入られない程度には友好的に、しかし狡猾に。

 

しかし人生とは上手くいかないものだ。

 

「なんで私なんですか!」

 

人事部に配属され暫くした後、クビを告げた元同僚に私は殺された。

 

クビを切られたことに憤慨するのはまだ良い、どれだけ喚こうが裁判をふっかけようがこちらは万全の用意がある。ある程度の罵倒も覚悟の上だ。

しかしそれで相手を殺す?

───馬鹿馬鹿しい。感情的かつ短絡的なその行動に、一体なんの意味があるのか。

全くもって嘆かわし───

 

『嘆かわしい!お主、本当に生身の生物か!』

───どちら様でしょう?

 

私はあの男に突き落とされ、電車に轢かれ肉塊になったはずだ。

奇跡的に助かった?死に際の幻覚?それとも突き落とされたこと自体が夢だった?

 

『いい加減にしてもらいたい、最近の人間は理非を知らぬ。

他者への共感力も無ければ創造主に対する信仰もない』

───創造主?まさか神とでも言う気か。死に瀕した私の前にわざわざ現れたと?

 

『左様』

 

無理やりに辺りを見渡せば、肉片を撒き散らす自分や背景、驚く通行人らがまるでストップウォッチで時間を止めたかのようにそこにあった。なるほど超常現象である。

 

───わざわざ来ていただいて恐縮だが、私は現実的で理性的観点から神の存在など認めない。

 

『何?』

 

───理論に基づけば、世の認識を超えうるのは神か悪魔。

神というような存在がいるのだとしたら、このような不条理な行為を放置するはずもない。つまりあなたは

 

『悪魔だと?』

 

───もしくはそれに準ずる存在Xとでも。

 

『やはり貴様には信仰心が欠如している。ただでさえ人類はこちらの許容範囲を超えているのに、信仰心の無い人間を転生させるなど徒労でしかない』

 

───業務過多なのであれば、ビジネスモデルに欠陥があったのでしょう。消費者の心理分析が甘かったとしか。

そもそも進み過ぎた科学は信仰を曖昧にする。何かに縋るという行為は窮地に追い込まれてこそ。

 

『つまり貴様が信仰心を失った原因は、科学社会において強者で、男で、戦争を知らず、追い詰められていないからだな?』

 

───少し待って頂きたい、それは端的な結論に過ぎる。

 

『ならばその状況下に置かれれば、貴様の信仰心は目覚めるのだな!?』

 

───少し、落ち着いて、落ち着いて頂きたい!

 

次の瞬間私が見たのは、再度時が動き出し醜く笑う同僚と宙に舞う自分の肉だった。

 

 

 

 

 

 

存在Xによる理不尽な転生の末、私は異世界の貧しい修道院に捨てられていたという。

存在Xの言うように私は社会的弱者で、女で、戦争を体験することになる、現時点で差し迫った状況下に置かれていると言ってもいい。全くもって不愉快だ。

 

そこは前世に似たように科学が発達した世界ではあるものの、『個性』という名の超能力が蔓延る超常現象が日常的に巻き起こる摩訶不思議な世界だった。

世は荒れ、スラム街に位置するこの修道院付近の治安は悪化の一途をたどる。力の無い幼女の私には、到底生き延びる道は無いかと思われた。

 

だがある日、男が修道院に来てこう言った。私がまだ3歳の時だった。

 

「良い個性を持つ子供を探している。未来のヒーローを育成するため、どうか私に預けてくれまいか」

 

と。

混沌とした世を憂いた一般人はその個性でヒーローさながらに活動し、ついに市民権を得たという。ヒーローという職業が存在してしまうとは、なんとも漫画のような世界に来てしまったものだ。

そしてそのヒーローを育成するために、貧しい修道院を狙った人身売買もどきを平気で行う輩も反吐が出る。

 

全く疑う様子も無く───金に目の眩んだ大人に私達は無事売られ、胡散臭い『ヒーロー研究施設』とやらに収容されることになったのだ。

 

この時、無抵抗に連れられていった自分を心から恨む。

ほんの少しでも反抗することが出来ていれば、私の未来は変わったのではないだろうか。

 

 

 

*




Guten Tag.
平和な日常から凄惨な戦場を眺め、「酷いね」と他人事のように呟く常識人諸君。
人の不幸はお楽しみ頂けましたか?私もそう有りたいものです。
とは言え、人生とは配られたカードでプレイするしかないのですから仕方無し。
あぁ、ご挨拶が遅れました。
ターニャ・デグレチャフと申します。
では、また戦場で。
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